byやませみ


1 温泉ってなに

1-1 温泉と地下水はどう違う

地下水はよく「夏冷たく冬温かい」といわれます。地中の温度を測定してみると、昼夜の気温や四季による温度変化は深さとともに小さくなります。日本ではおおよそ深度12〜14mのあたりに年間をとおした温度が一定になるところがあって、「恒温層」とよばれます。というわけで、恒温層より深いところから湧出する地下水はいつでも温度が一定で変わらないのです。地下水の水質(化学成分)は、例えば「欧州の水は硬水で日本のは軟水」といった地域的な差はありますが、ほとんどは分析しないとわからないような微妙な違いがあるにすぎません。

ところが地下水のなかには、温度や化学成分が通常と著しく異なっていて、湧出の過程でなにか特別に熱や化学成分の添加をうけてきたと思われるようなものがあります。これを私たちは「温泉」と名付けて珍重しているわけです。温泉は、字句どおりの解釈では「温かい湧泉」となり温度を重視した名前ですが、昔と違って加温が容易になった現在では、むしろ化学成分(泉質)のほうに人々の関心が置かれているようです。


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