'98年7月


「ホーム・アローン3」 - Home Alone 3 -

 脚本制作ジョン・ヒューズ、監督ラジャ・ゴズネル、主演アレックス・D・リンツ。

 マコーレ・カルキンから主役は変わったけど、内容はほとんど変わってない(^^;)。まったくワンパーンなのに作り続けるのは大したものだけど、単体で考えていると、今までのよりは面白いかもしれない。単に、前はカルキンのキャラクタが好きになれ無かったせいかもしれないけど。
 また、今回は世界的なハイテクな強盗団を相手にするという馬鹿らしさは面白い。

東宝「ホーム・アローン3」Official Site


「風雲」

 香港旅行の時に観た。郭富城、鄭伊健、千葉真一主演。
 面白かった。千葉真一がスッゴクかっこよかった。前半は人間関係が複雑でちょっとダルだったのですが、後半の畳みかけは見事。CGの使い方が素晴らしい。香港流のアクションと上手く組み合わされて、凄い迫力を出している。初めて香港のワイヤーワークを観た時の方な、ゾクゾクした興奮を感じた。
 しかし、人間関係が複雑。「風雲」の原作は眺めた事ぐらいしかないのですが、どっかに人間関係の解説本なんて無いもんですかねえ?


「アンラッキー・モンキー」

 脚本監督サブ、堤真一、吉野公佳、田口トモロヲ、大杉漣、サブ…。
 「ポストマン・ブルース」に続くサブの新作。「ポストマン・ブルース」も嫌いじゃないけど、今一つ、完成されて無い面を多く感じる。結果的には同じ印象を持った。ただ、映画的な雰囲気は違うのだけど。完成度とは別に雰囲気としては「ポストマン・ブルース」の方が好き。

 巻き込まれ型の銀行強盗、さらに殺人を犯し、警官にさらにヤクザにも追われるはめになる主人公山崎。逃げると行っても、そこには疾走感が感じられない。無気力感が主人公の本質かもしれないけど、なんか映画を観ていて主人公自体が掴み切れないいらだちを感じる。

 名前が二番目に出る割には、吉野公佳の出番が唖然とする程短いのに驚いた(^^;)。


「L.A.コンフィデンシャル」 - L.A.Confidential -

 エルロイの原作の初映画化であること、そしてケビン・スペイシー、キム・ベイシンガーの役者たち、とくに予告編に出てくるキム・ベイシンガーの美しさに魅了されて楽しみにしていた。

 ストーリもそこそこに面白いし、役者もそれほど悪くないんだけど、なんか薄っぺらい印象を受ける。多分、エルロイの原作から随分とスポイルされた部分があるのだと思う。

 でも、映画的にはそこそこ楽しめたかな。

→ 原作「LAコンフィデンシャル」感想
「L.A.Confidential 」Official Site
→ 東宝「L.A.コンフィデンシャル」Official Site


「普通じゃない」 - A Life Less Ordinary -

 「トレインスポッティング」のダニー・ボイル監督。ユアン・マクレガー、キャメロン・ディアス、ホリー・ハンター。

 掃除夫をクビになったロバートが社長令嬢のセリーンをひょんな事から誘拐する事になる。その二人の様を描くラブコメなんだけど…。

 ポップな感じは残っているけど、全体には「トレイン・スポッティング」の過激さや社会性はあんまり感じられない。英国とハリウッドの違いそのままが出ている様な気がする。これはあくまでハリウッド映画じゃないかなあ。
 あんまり好きじゃない。


「悪魔の憐れむ歌」- Fallen -

 グレゴリー・ホブリット監督、デンゼル・ワシントン。
 一言で言えば、現代の悪魔モノ。死刑囚が処刑後に蘇るという設定は、映画でもいくつか使われているので、新鮮な感じはしかなかった。しかし、接触で悪魔が人から人へ移っていく設定はちょっと新しい。余りに自由自在に悪魔の宿主が動いてしまうので、無理があるかなとも思ったけど、悪魔の視点の切り換えなどうまいし、ラストでもこの設定はうまく使われていた。
 ラストの悪魔との駆け引きはちょっと面白かった。出だしとラストの語りもいかしたトリックで、ちょっとニヤリとさせられる。


「GODZILLA/ゴジラ」- Godzilla -

 監督脚本製作はローランド・エミリッヒ、主演はマシュー・ブロデリック、ジャン・レノ、ハンク・アザリア。

 そもそも、まるで期待してなかっただけに、そこそこは楽しめた。「インデペンデンス・デイ」のエミリッヒ。何しろハリウッドの詐欺師、マリオ・カサールの弟子だけに、宣伝効果だけで客を呼ぶ、いつもの作戦。まったく、その通りの映画。
 中身は、「ジュラシック・パーク」に「エイリアン」シリーズが混ざったようなもの。

 日本版「ゴジラ」にいささか思い入れはあるにしても、まあ、ハリウッド版をエミリッヒが手がけると知った時点で期待はゼロ。まあ、ゴジラの造形がどうのこうの言ってもしょうがないんでしょう。全体は、もうパロディだらけだし、ストーリ的には矛盾/疑問だらけだし、その辺をリストにしても疲れるだけ。
 ラストの心臓の鼓動など、「キングコング」のまったくのパクリだけど、本家に比べての哀愁感の無さは、悲しい限り。

→ 「GODZILLA」 Official Website


「アンドロメディア」

 監督三池崇史、SPEEDの島袋寛子、上原多香子、今井絵里子、新垣仁絵、原田健二、DA PUMP、竹中直人、クリストファー・ドイル。

 監督の三池崇史と言えば、「中国の鳥人」「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」。荒削りながら、結構面白かったので期待していたのだけど…、この映画はダメだった。電脳世界の描き方とか、モーションキャプチャを使ったCGなど結構新鮮だけど、アイドル映画としてはダメ。まるでプロモーションビデオの様な、イメージカットの入れ方が全体の雰囲気を壊しいる。アイドル映画だからと言って、こんな作りはあんまりではないか。
 登場人物も、それぞれ何を目的として動いているかが判りにくいし、当然ラストもうまく収束して行かない。結末がガタガタ。特別出演だからほんのわずかな出番なんだけど、椎名桔平の意味なんてほとんど無かったのでは。
 クリストファー・ドイルもこんな映画にひっぱり出されて可哀想に。


「ガタカ」- GATTACA - ☆

 面白かった。今年の個人ベストテンには入りそう。
 アンドリュー・ニコル監督脚本。イーサン・ホーク、ユマ・サーマン。

 今時の真っ当なSF映画。SFものと言えば、金をかけてSFXを入れるのがまるでSF映画の必須条件という世の中だけど、この映画はまるで違う。科学がいかに社会に影響を与え、人間が変化していくかというSFの根本をいかにもうまく描いている。

 遺伝子科学が進み、妊娠時にはその子供の死亡時期まで判る社会。それが逆に差別を生んでいる。遺伝子を扱ったSFと言えば、クローンとか、遺伝子操作による怪物とか細菌兵器などなどが思い浮かぶ。しかし、同じ遺伝子を扱っていながら、実に当たり前でいながら、新鮮な視点で未来社会を見つめている。SFというものを見失っていたのを、痛切に感じる。

 役者それぞれの微妙な心の動きがいい。傑作。

→ 「GATTACA」 Official Website


「ソウル・フード」 - Soul Food -

 ジョージ・ティルマンJr監督脚本。全体には平凡ではあるけど、観終わってみると結構面白かった。
 ビック・ママと呼ばれる祖母を中心とした一家。ビック・ママによる日曜のディナーを中心に一家がまとまっていたが、三人娘の仲の悪さが露呈していく。ビック・ママに代わって一家をまとめようとする主人公の少年、アマッドの活躍が主なストーリ。
 ストーリ的には単純ではあるけど、よく練られているので飽きさせないし、楽しめる。

 この日曜の夕食の設定が「恋人たちの食卓」を連想させる。


「不夜城」

 李志毅(リー・チーガイ)監督、馳星周原作、金城武、山本未来、椎名桔平、郎雄(ラン・シャン)。

 原作の複雑な人間関係、パワー・バランスを描けているとは思えないけど、個人的には面白かった。逆に複雑な所はすべてはしょって、説明ばかりにならずにエンターテイメント性を高くしたのが成功している。
 監督は同じ金城主演の「世界の涯てに」の人だけど、まったく雰囲気が違う作りで、意外な上手さに驚いた。

 しかし、金城は台詞をしゃべらないとずっとかっこいい。山本未来はあんまり好きじゃなかったけど、熱演で好感が持てる。
 手だしのスティディカムを使った歌舞伎町の長回しが凄い、感動的な映像だった。

→「不夜城」オフィシャル・サイト
→ 原作「不夜城」の感想


「新生トイレの花子さん」

 映画「リング」の高橋洋が脚本を担当しているので観にいったが…これは凄い、怖かった。
 監督は堤幸彦、前田愛、浜丘麻矢、大村彩子、高島礼子。
'95年の「トイレの花子さん」の続編ではないけど、姉妹編。ストーリにはつながりはないけど、前田愛は中学一年生の役で今度も主演。

 前田愛演じる里見が主人公。11年前、姉のかおりが神隠しにあった中学に入学するところからストーリは始まる。こっくりさんとトイレの花子さんにまつわる学校の怪談を軸に展開する。時々のビジュアルが実に怖い。計算された怖さ。人形の顔や、姉が突然現れるシーン、この怖さは「リング」を彷彿とさせる。

「ズッコケ三人組 怪盗X物語」の併映。

→「新生トイレの花子さん」公式サイト


「ズッコケ三人組 怪盗X物語」

 鹿島勤監督、那須正幹原作。
 「新生トイレの花子さん」の併映だからついでに観たけど、まるで時間の無駄だった。「グーニーズ」のパロディのような映画。脚本にも手抜きが目立つ。

 一体、何がポイントだったのか判らない。親子関係の問題は中途半端だったし。勧善懲悪にしても、なんか納得できない展開だったし。悪を懲らしめるためには誘拐は正当化されるというんだろうか??


「ディープ・インパクト」 - Deep Impact -

 ミミ・レダー監督、スティーブン・スピルバーグ製作、ロバート・デュバル、ティア・レオーニ、イライジャ・ウッド、モーガン・フリーマン。

 地味ながら結構面白かった。前作の「ピースメーカ」と同じに、ミミ・レダーの社会派っぽい味付けが上手くいっている。SFXを使ったパニック部分もいいけど、それよりも人間ドラマに主眼を置いたのが成功している。

 ストーリがまるで米国中心だし、イライジャ・ウッドの行動がまったくの甘ちゃんという気がするけど…結果的に心に残るいい映画になっている。

「Deep Impact」 Official Website
→ 原案「神の鉄槌」感想


「初恋」

 ラッパー出身のエリック・コットの監督、脚本。ウォン・カーウァイ製作、クリストファー・ドイル撮影。
 金城武、カレン・モク、リー・ウェイウェイ。

 二つのドラマ(?)を交錯させ、その監督自身が語り役になるという構成が斬新だけど、最初はまったく意味が判らなかった(^^;)。始まっても、まだ予告編だと思ってた。まあ、構成が理解出来てからは面白かったけど。

 部分、部分では結構面白かったので、もっと真っ向から、ちゃんとした映画にすればよかったのにと思う。夢遊病の少女と夜間清掃員の初恋の物語、昔の恋人の影に怯える恋の後の物語。それぞれ、面白い設定だと思うのだけど。


「ライアー」 - Liar -

 ジョナス・ペイト/ジョシュ・ペイト監督脚本、ティム・ロス、クリス・ペン、M・ルーカー。

 娼婦の殺人容疑を受けた富豪の男、心理学専門家の刑事、たたき上げの刑事。嘘発見機による取り調べを軸にした、この三人による密室劇がメイン。タイトル通り、それぞれが隠し持っている嘘がポイントとなる心理サスペンス。しかし、ストーリ自体は判りやすいとは言えないし、ラストも明快とは言えない。でも面白かった。

 ラストは単純過ぎて、ずっと深読みをし過ぎていた私はちょっと拍子抜けしてしhまったけど(^^;)。
 なんか、「ユージュアル・サスペクツ」みたいな面白さがあった。


「レインメーカー」 - The Rainmaker -

 面白かった。法廷映画100%であるが、裁判特有の退屈さは微塵もなかった。

 フランシス・フォード・コッポラ監督脚本製作。ジョン・グリシャム原作、主演は「グッド・ウィル・ハンディング」のマット・ディイモン、クレア・デーンズ。
 いかにもグリシャムなストーリの展開、ぐいぐいと物語に引っ張り込まれる。

 何よりも裁判劇としても面白さが強い。証人、証拠品の追及の仕方もいいし、判決の出し方の心憎さ、賠償金のオチと、裁判のすべてが素晴らしく出来ている。

→ 「The Rainmaker」 Official Website


「コレクター」- Kiss The Girls -

 ゲイリー・フレダー監督、モーガン・フリーマン、アシュレイ・ジャッド、ケリー・エルウェス。 1965年の「コレクター」のリメイクとは言えないが、また面白さを持っていた。結果的に楽しめた。

 モーガン・フリーマンの犯罪心理学者が、理屈っぽくならずにさらりといい味を出しているのがいい。


「大いなる遺産」- Great Expectations -

 アルフォンソ・キュアロン監督。イーサン・ホーク、グウィネス・バルトロウ、ロバート・デ・ニーロ。
 期待はしてなかっただけに、楽しめた。17世紀を舞台にするディケンズの原作を現代に移しただけでなく、随分と設定を変えている。ディケンズ的な単純さをより、現代で複雑にしているけれど、構成はしっかりして成功している。

 イーサン・ホークは「ガタカ」に続いて、いい演技をしている。

→ 「Great Expectaions」Official Website


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