'97年6月


「悪魔たち・天使たち」- Steal Big,Steal Little -

 アンディ・ガルシアが一卵性双生児の二役、監督は「逃亡者」のアンドリュー・デイビス。

 性格がまったく異なる一卵性双生児が主役、広大な土地を遺産相続した弟はその自然や労働者を守りたがるが、兄はその土地をレジャーランドにしようと争いが始まる。
 アンディ・ガルシアが出てるからといって、スターで客が集まるほどでも無いし、脇で出ているとんねるずの石橋貴明を表に押し出すなど宣伝も苦労している様子(^^;)。

 ストーリもそれほど悪くないんだけど、ちょっと構成に雑な面が見えてしまうのが残念。まあまあ、楽しめましたが。


「KOKKURI/こっくりさん」

 ピンク四天王の一人(と言っても知らないんだけど)の瀬々敬久が監督。この映画が一般向けの第一作で、次が「雷魚」。「雷魚」は観て無いんですが、一般映画はこの2本だけかな?

 深夜ラジオの影響からこっくりさんを始める3人の高校生。そこから、過去への記憶が目覚めてくる、オカルトっぽくて、サイコ・ドラマ。
 映像的なこだわりが強く、特に今回は水がテーマだと思うのだけど、そういう面では面白かった。タルコフスキーが「ストーカー」で水にこだわった程の美しさは無かったけど。

 全体的にストーリが未消化な部分もあるし、テンポは悪い気もするけど、まあ、楽しめました。

 監督と、脚本の井上紀州、青山真治(「Helpless」の監督)のトークショーがありました。


「香港大夜総会 タッチ&マギー」

 監督が渡邊孝好、脚本一色伸幸。

 SMAPの香取慎吾がカメラマン、岸谷五郎がルポライター。香港の黒社会の取材中に見つかってしまい、逃げ回るはめに。二人はナイトクラブに逃げ込むがそこでの歌手がヒロインのアニタ・ユン。
 アニタ・ユン自体、それほど好きじゃないんだけど、ほとんど活かされて無いのが可哀想(;_;)。女装、ゲイなどなど、状況モノのスラップスティック・コメディも、ほとんど面白くない。黒社会との追っかけっこも、まるで緊張が無い。監督も脚本も、両方ともよく無いんでしょう。もうちょっとどうにかなったと思うんだけど。

 SMAPの香取慎吾は、「シュート!」ではあまり目立たない役だったので今度が初主演という事でしょうか。


「ピエタ」

 3億円事件の犯人という男が大沢樹生、当時の姿そのままで現在の日本に戻ってくる。かつての仲間、撮影所の女性が絡み、新たな事件を計画する。

 しかし、3億円事件の犯人が当時の姿のまま戻ってくるなんて、わくわくする設定を作っておきながら、ストーリの面白さは活きて来ない。展開もまどろっこしいし、それぞれのキャラクタの魅力も薄い。あんまり面白くなかった。


「タイム・リープ」☆

 監督が今関あきよし、主演が佐藤藍子。監修が大林宣彦。
 面白かった。今関あきよしは、前作の「すももももも」があまりに詰まらなかったので見る気はあまりなかったのだけど、監修が大林宣彦というのが気になってました。で、観たのですが、期待を遥かに上回る面白さ。新宿ジョイシネマ3みたいなロクでも無いところでしかやってないのが残念。こんなに面白いのに。

 原作は読んでないのですが、ストーリがいいです。昔のNHKの少年ドラマシリーズを彷彿とさせるSF的世界観。一週間の時間を自分の意志と無関係に行き来する主人公、それを助けるクラスメイト、殺人事件…時間の交錯の仕方やタイム・パラドックスの使い方、殺人事件の解決、ラブ・ストーリ、それぞれの微妙な関係が実に見事で、ほとんど目が離せない面白さでした。

 主演の佐藤藍子は、土曜深夜の「HEN」に出ている頃はマイナー新人で先行き短いなと思ってたけど、今や随分とメジャーになりました。でも、私はほとんど魅力を感じないんだけど。


「イゴールの約束」- La Promesse -

 前評判は色々聞いていたんだけど…、ケン・ローチを継ぐものとか、ネロリアリズムの再来だとかなんとか。
 本邦初公開のダルデンヌ兄弟が監督。

 違法な海外労働者相手の商売の父親、イゴールは15歳。事故で死んだ労働者相手の約束が、タイトルの意味。その約束と、父親との狭間での葛藤からストーリが展開していく。

 ストーリ的にも、表現的にもそれなりにいいものはあったけど、カメラの不安定さや、映像の未熟さがちょっと疲れる。あんまり馴染めない映画だった。


「われらの歪んだ英雄」- Our Twinsted Hiro -

 韓国映画。監督はパク・ジャンウォン。

 予告編では思わなかったけど、最初の数分で、これは篠田正浩の「少年時代」か、と思いました。凄く設定が似ている。都会から田舎へ引っ越す、田舎の学校は優等生と思われている少年の独裁する世界、反抗するがやがて体制に取り入れられてしまう、しかし少年の独裁もやがて終わる日が…。

 「祝祭」が「お葬式」の完全なパクリだと思うと、「少年時代」のパクリの可能性も高いと思うのだけど、この位の似方はありうるかもしれない。でも、「少年時代」の方が、人間関係や思いが複雑で、私は好きだったけど。

 「われらの歪んだ英雄」は、あくまでも田舎の少年の社会を今の韓国の社会の投影しているだけかもしれません。そう言った社会性という面で映画を見ると、あまりに直接的で面白くない気もします。


「トレインスポッティング」 - Trainspotting - ☆

 すでにロングランが30週間を越えるのは驚異的。半年は遥かに越えている。最初の頃は、あまりに混雑していて観られなかったけど、やっと観てきました。

 ドラッグ、それもヘロイン浸かりの青春映画、見方によっては「アメリカン・グラフティ」的な爽快さも持っているのが奇妙(^^;)。音楽もファッションもイカしているし。

 なかなか楽しかった。しかし、30週目を越えるというのに、まだ満席状態なのは凄い。


「ロスト・ハイウェイ」- Lost Highway -

 デビット・リンチ監督、「ツイン・ピークス」以来実に5年ぶりの作品。

 ストーリの説明は不要、というか不可能(^^;)。それぞれの解釈で観るべき映画でしょう。個人的には、あんまり面白くなかった。40分はほとんど展開もなくて退屈。40分過ぎあたりから、おお面白くなりそうだ、とワクワクしたけど、まあ、リンチ流の思わせ振りな演出が続くだけでした(^^;)。

 好きな人は好きかもしれないけど、私はダメ。


「レリック」- The Relic -

 期待していただけに、この映画には落胆(;_;)。

 ブラジルからの謎の生命体、進化生物学の博士、博物館に閉じ込められるVIPたち…面白い設定なのにまるで活かされてない。特に博物館という非常に面白い場の扱い方の陳腐さには参りました。ラストもひどい。

 スリリングな展開をしているつもりだろうけど、怪物も人間も右往左往しているだけで、まるでサスペンスが無いです。

 時間の無駄です。
 監督は「タイムコップ」のピーター・ハイアムズ。


「目撃」- Absolute Power -

 クリント・イーストウッド主演、監督、制作。

 イーストウッド演ずる大泥棒が、ジーン・ハックマン演ずる米大統領の殺人現場を目撃してしまう。これだけでわくわくしてしまう設定で、予告を観て期待していたけど、予想以上に面白かったです。

 イーストウッドにアクションを期待はしていなかったけど、逆にアクションを押さえた地味な展開がよかった。ただただひたすら走って逃げるシーンだけでも、非常にうまく緊張感を出していた。

 イーストウッドは、「シークレット・サービス」で自ら盾になって大統領の命を救う役を演じたというのに、今度は大統領から命を狙われるという皮肉がなかなか面白い(^^)。
 刑事役にエド・ハリス。


「スター・ウォーズ特別編」☆

 もう20年たつのかという感慨の方が大きいけど、きちんと見直してみると今でも十分面白いので、ヘンな感動を覚えました。
 追加部分など、ある程度情報があったので、ちゃんと判りますが違和感はまるで無かったです。「ジュラシック・パーク」的な怪物のリアルさが妙だったけど。

 ちゃんとTHX館で観たので、音響はルーカスの望んだ通りだったでしょう(^^)。


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