オルガン・ハーモニウムのための作品       
Organ,Harmonium
S259−S268  S669−S676  S378/1,S504,S−  S List
システィナ礼拝堂の喚起
アルカデルト〜リスト アヴェ・マリア
バッハ〜リスト コラール編曲”深き苦しみの淵より、われ汝を呼ぶ”BWV38
バッハ〜リスト 導入部とフーガ カンタータ”わが心に憂い多かりき”BWV21
バッハ〜リスト ヴァイオリンソナタ第4番BWV1017より”アダージョ”
ショパン〜リスト 前奏曲 作品28/4
ショパン〜リスト 前奏曲 作品28/9
ラッスス〜リスト モテット”レジナ・チェリ・ラエターレ”
汝はペテロなり
S658
S659
S660/1
S660/2
S661
S662/1
S662/2
S663
S664
“聖フランチェスコ”〜アッシジの聖フランチェスコの”太陽賛歌”への前奏曲
エクセルシオール!(より高く)
オッフェルトリウム
スラヴィモ・スラヴノ・スラヴェニ
S665
S666
S667
S668
システィナ礼拝堂の喚起                       S658     1862年
A・W・ゴットシャルクに献呈されました。ピアノ独奏曲版もある、アレグリの“ミゼレーレ”と、モーツァルトの“アヴェ・ヴェルム・コルプス”を合わせた編曲です。オルガン版には“Evocation(喚起)”という単語が、タイトルに加えられています。ピアノ独奏曲版とほぼ同時に作曲されているのだと思います。オルガン版の方が、響きに宗教色が強く、より神秘的です。

Evocation a la Chapelle Sixtine
(16:52 ARTENOVA 74321 59199 2)
アルカデルト〜リスト アヴェ・マリア                         S659   1862年
変ロ長調のアヴェ・マリアは、ジャック・アルカデルト(1505−1568)作曲の主題を使っています。アルカデルトは始めシャンソンとして“男たちは愛を徳となすと見ゆ”を作曲しましたが、1845年にP・ルイ・ディーチュによって“アヴェ・マリア”という名で編曲され、その後“アヴェ・マリア”という題名が定着しました。

1846年にリストはオルガン伴奏による混成合唱曲“アヴェ・マリア T”(S20/1)を作曲し、その第2稿を1852年に、そしてその後1862年にピアノ独奏曲(S183/2)に編曲しました。オルガン版は、ピアノ独奏と同じスコアになるのだと思います。オルガン版は奥ゆかしさに、神秘的な感じが加わったような曲となりました。

Ave Maria (Arcadelt)
(6:47 HUNGAROTON HCD12562)
バッハ〜リスト コラール編曲”深き苦しみの淵より、われ汝を呼ぶ”BWV38   S660/1
1724年にライプツィヒで初演されたコラールの編曲です。このコラールは全6曲からなるのですが、リストが編曲した部分がどこか、ちょっとわかりません。複雑な低音部の上に伸びやかな高音の旋律が鳴るところなど、明らかに合唱曲の編曲という感じがします。

Three Bach Arrangements〜Chorale Arrangements“Aus tiefer Not schrei ich zu Dir”BWV38
(5:44 ARTENOVA 74321 59199 2)
バッハ〜リスト 導入部とフーガ カンタータ”わが心に憂い多かりき”BWV21   S660/2
バッハの原曲は1714年以前に作曲され1723年に改訂されているものです。これは小規模オーケストラのカンタータ導入部の編曲になると思います。教会音楽らしい壮大な響きの喜びに満ちたオルガン作品です。

Introduction and Fugue from the Cantata “Ich hatte viel Bekummernis”
(4:06 ARTENOVA 74321 59199 2)
バッハ〜リスト ヴァイオリンソナタ第4番BWV1017より”アダージョ”  S661
リストはピアノ独奏曲に編曲したバッハ作品“6つの前奏曲とフーガ(S462)”に続いて、今度はオルガンへの編曲も試みていました。ですが全曲は完成しなかったとのこと。バッハが1717年〜23年にかけて作曲した6つのヴァイオリン・ソナタの第4番ハ短調より緩徐楽章の編曲です。原曲を聴いたことがないのですが、元がヴァイオリン曲であることを感じさせない自然な美しいオルガン曲となっています。

Three Bach Arrangements 〜 Adagio from Violin Sonata No.4 BWV1017
(5:00 ARTENOVA 74321 59199 2)
ショパン〜リスト 前奏曲 作品28/4  ホ短調                S662/1  ?年
ショパンは“24の前奏曲 作品28”を1836年頃から作曲をはじめ、全曲を1839年に完成させました。第4番は24曲の中でも格別、深く沈みこむように悲しみと憂いを持った作品です。オルガンにとても向いており、自然に聞えます。これはゴットシャルクの“レパートリウム”というオルガン曲集から、とられているとのこと。リストはゴットシャルクの“レパートリウム”を校訂しています。

ブライヒャーによるCDライナーではショパンが死んだ時、パリのマドレーヌ寺院での葬儀において、このS662の2曲のオルガン版は演奏された、と書いてあるのですが、どうなのでしょうか?どの資料でもショパンの葬儀ではモーツァルトの“レクイエム”“ピアノソナタ”そして“前奏曲 作品28/4”のオルガン版が演奏された、となっています。リストのオルガン作品は、だいたいが1860年代のもので、ニコライ〜リストの“コラール われらが神はかたき砦”による教会祝典序曲(S675)も1852年の作品です。ゴットシャルクと出会うのはその後ですから、ショパンの葬儀で演奏された作品28/4とは別だと思います。

ですが、S662の2曲は、ショパンの死を意識して後年に書かれた編曲であることは、間違いないと思います。おそらくリストは、ショパンを葬送したこの作品28/4を、ショパンのことを回想しながら自分でも編曲してみたのでしょう。

Prelude Op.28/4 E minor
(2:24 ARTENOVA 74321 59199 2)
ショパン〜リスト 前奏曲 作品28/9  ホ長調                S662/2   ?年
こちらは第9番の編曲です。同じく和音による進行を中心とした作品であるためオルガンに向いています。第4番が実直な編曲であったのに対し、こちらは曲の後半が壮大な響きのアレンジで演奏されます。

作品28/9の編曲は、まるでショパンの死の悲しみ(作品28/4の編曲)を、友人を失った悲しみを乗り越えるかのような、輝かしい響きを持っています。そして後半、壮大なアレンジの部分は、パリ時代の2人のライバルを、輝かしく華やかな素晴らしい青春時代を回顧し、その栄華を称えるかのようです。2曲ともリストのショパンに対する深い尊敬と愛着に満ちており、聴く者にとても強い感動を促す作品となりました。

Prelude Op.28/9 E major
(2:24 ARTENOVA 74321 59199 2)
ラッスス〜リスト モテット”レジナ・チェリ”                       S663    ?年
原曲はラッスス1604年作曲の7声のモテット“レジナ・チェリ・ラエターレ”です。ラッススはイタリア語名ラッソで、パレストリーナ に匹敵するルネサンス期の大作曲家です。リストはオルガン曲“アルカデルトのアヴェ・マリア”と、この“レジナ・チェリ”をいっしょに出版する希望があったとのこと。曲は素朴で明るい喜びに満ちた、おだやかな曲です。

Regina coeli laetare
(3:52 ARTENOVA 74321 59199 2)
汝はペテロなり                             S664     1867年
1862年から1866年作曲されたオラトリオ“キリスト”の教会建立の場面、第8曲“汝はペテロなり”(S3)から編曲されました。この曲の後半は、もともとはオルガン曲の“ピウス9世 教皇讃歌”(S261)です。合唱曲も最初が男声合唱、後半が混声合唱(女声をメイン)として、力強い導入と、美しく感動的な後半、という構成で、オルガン曲もそのとおりに編曲されています。合唱版に比べ、ちょうど“汝はペテロなり”と歌い出すイントロのブロックが、オルガン独奏用らしく自由に編曲されています。

Tu es Petrus
(2:47 DABRINGHAUS UND GRIMM  MDG6060567-2)
“聖フランチェスコ”〜アッシジの聖フランチェスコの”太陽賛歌”への前奏曲
 S665      1880年
この曲はピアノ独奏版もありますが、オルガンがオリジナルとのこと。タイトルどおり、合唱曲の“アッシジの聖フランシスの太陽賛歌”のための前奏曲として作曲されたのだと思います。力強い合唱曲にふさわしい前奏曲です。

“San Francesco” Preludio per il Cantico del Sol di San Francesco
(5:27 ARTENOVA 74321 59199 2)
エクセルシオール!(より高く)              S666             1874年 
“シュトラスブルク大聖堂の鐘(S6)”から第1曲目の編曲です。ピアノ独奏曲版(S500)も作られています。またこの主題はその後、室内楽曲“リヒャルト・ワーグナーの墓に”に使用されています。冒頭の単音の旋律は、やはり伸びやかなオルガンの方が、ピアノよりも効果的です。最初の導入部が終った後のメロディアスな部分も、オルガンだと非常に壮大です。

このオルガン版は任意にヴォーカルを入れる編成でもよいとのこと。

Excelsior!-Preludio (to The Bells of Strasburg Cathedral)
(2:31 ARTENOVA 74321 59199 2)
オッフェルトリウム                      S667            1867年頃
“ハンガリー戴冠ミサ曲(S11)”の5曲目です。S11の方でも、“オッフェルトリウム”のみ器楽のみの曲でした。室内楽版とピアノ独奏曲版もあります。合唱曲版、室内楽版に比べて短い曲となっています。室内楽版ではヴァイオリン独奏の後に壮大なオルガンパートがあったのですが、オルガン独奏では前半だけで終ってしまいます。

Offertorium (aus der Ungarischen Kronungsmesse)
(2:42 ARTENOVA 74321 59199 2)


HOME

SITE TOP