■ その2・定期点検と記録簿 ■ |
(1).事前予約と必要書類 / (2).定期点検と記録簿 / (3).出発前の最終確認
(4-1).ユーザー車検体験記・受付 / (4-2).ユーザー車検体験記・検査ライン / (4-3).ユーザー車検体験記・費用
(5).ユーザー車検Q&A / (参考).レガシィ88ナンバー取得記(前編) / (参考).レガシィ88ナンバー取得記(後編)
前ページでは、事前予約と必要書類について述べました。
このページでは、自分で定期点検を行ったり、記録簿に
記入する際の注意点について解説します。
●1998-08-17 新製 ●1998-10-18
加筆 ●1999-03-11 加筆
以下は、私が実際にユーザー車検を受けるにあたり、文献で内容を確認できたものです。
そのベースとなっているのは、平成6年7月4日に公布された
「道路運送車両法の一部
を改正する法律(法律第86号)」
および、その具体的な実施内容を規定した 「平成7年
2月28日運輸省令第8号」
です。このページが多少でも皆さんのお役に立てば幸いです。
【その1】 点検整備について |
■ 日常点検基準
■ 定期点検項目
車両の点検には大きく分けて2つあり、一つは運行前に行う
「日常点検」 、もう一つは
一定期間ごとに行う 「定期点検」
があります。前者については、改正車両法の第1条
に関係する点検内容であり、具体的な内容は以下の通りです。
ユーザー車検を受けようと考える人にとっては、特に難しい内容ではないハズです。
というよりも、本来はすべてのドライバーが自主的に実施していなければなりません。
自家用乗用自動車等の日常点検基準 |
||
No. | 点 検 個 所 |
点 検 内 容 |
1 | ブレーキ | ●ブレーキペダルの踏みしろが適当で、ブレーキのききが充分か。 ●ブレーキの液量が適当であるか。 ●パーキングブレーキの引きしろ(踏みしろ)が適当であるか。 |
2 | タイヤ | ●タイヤの空気圧が適当であるか。 ●亀裂および損傷がないか。 ●異常な摩耗がないか。 ●溝の深さが十分であるか。 |
3 | バッテリ | ●液量が適当であるか。 |
4 | 原動機 | ●冷却水の量が適当であるか。 ●エンジンオイルの量が適当であるか。 ●原動機のかかり具合が不良でなく、かつ、異音がないか。 ●低速および加速の状態が適当であるか。 |
5 | 灯火装置及び方向指示器 | ●点灯または点滅具合の不良や、汚れおよび損傷がないか。 |
6 | ウィンド・ウォッシャ 及びワイパー |
●ウィンド・ウォッシャの液量が適当で、噴射状態が不良でないか。 |
7 | 運行において異常が 認められた個所 |
●該当個所に異常がないか。 |
【その2】 定期点検項目について |
定期点検項目については、自家用自動車の場合、次の点検箇所が定められています。
●かじ取り装置●制動装置●走行装置●緩衝装置●動力伝達装置●電気装置
●原動機●ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置●灯火装置
及び方向指示器●警音器、窓拭器、洗浄液噴射装置、デフロスタ及び施錠装置
●計器●エグゾースト・パイプ及びマフラ●車枠及び車体
これらの個所には、さらにまた具体的な点検項目が定められています。皆さんのお車
にも、「整備ノート」とか「メンテナンス記録簿」などといった名称で、これらの定期点検
項目を具体的に記載した冊子が付属しているはずです。グローブBOXの中の車検証
入れをチェックしてみましょう。
付属していない(=中古車などの)場合は、冊子自体をディーラーで入手したり、ある
いは大型書店や車検場近くの整備振興会などで点検用紙を購入できると思います。
それでは次に、私のBGレガシィを例にとって、具体的な点検項目と定期点検記録簿
について見てみましょう。
各種記号の記入例 | |||||||||
該当なし | / | 異常なし | ∨ | 交換 | × | 締め付け | T | 清掃 | C |
調整 | A | 修理 | △ | 分解 | ○ | 給油 | L | 省略 | P |
注:「*」印の付いた項目は、走行距離によって省略できます。 |
エンジンルーム点検 | |||
パワステベルトの緩み、損傷 | ファンベルトの緩み、損傷 | ||
パワステオイルのもれ、量 | 冷却水のもれ | ||
* |
パワステの取り付けの緩み | メターリングバルブの状態 | |
スパークプラグの状態 | ブローバイガス還元装置の配管の損傷 | ||
点火時期 | 燃料蒸発ガス排出抑止装置の配管等の損傷 | ||
デスビのキャップの状態 | 同上装置のチェックバルブの機能 | ||
バッテリターミナルの緩み、腐食 | チャコールキャニスタの詰まり、損傷 | ||
電気配線の接続部の緩み、損傷 | 触媒等の排出ガス減少装置の取り付けの緩み、損傷 | ||
排気ガスの状態 | 二次空気供給装置の機能 | ||
* |
エアクリエレメントの汚れ、詰まり | 排気ガス再循環装置の機能 | |
燃料もれ | 減速時排気ガス減少装置の機能 | ||
燃料装置のリンク機構の状態 | CO等発散防止装置の配管の損傷、取付状態 | ||
スロットルバルブ、チョークバルブの作動 | |||
室内点検 | |||
ハンドルの操作具合 | パーキングブレーキの引きしろ(踏みしろ) | ||
ブレーキペダルの遊び、踏みしろ(床とのすき間) | パーキングブレーキのきき具合 | ||
ブレーキのきき具合 | クラッチペダルの遊び、切れしろ(床とのすき間) | ||
足廻り点検 | |||
* |
ホイールアライメント | ショックアブソーバーの損傷、オイルの漏れ | |
ブレーキのマスタシリンダ、ホイールシリンダ、 ディスクキャリパの機能、摩耗、損傷 |
ブレーキのマスタシリンダ、ホイールシリンダ、 ディスクキャリパの液漏れ |
||
* |
ブレーキドラムとライニングとのすき間 | タイヤの溝の深さ、異常な摩耗 | |
* |
ブレーキシューの摺動部分、ライニングの摩耗 | * |
ホイールのボルト、ナットの緩み |
ブレーキドラムの摩耗、損傷 | * | フロントホイールベアリングのがた | |
* |
ブレーキディスクとパッドとのすき間 | * | リヤホイールベアリングのがた |
* |
ブレーキパッドの摩耗 | サスペンションの取付部、連結部の緩み、がた、損傷 | |
ブレーキディスクの摩耗、損傷 | |||
下廻り点検 |
|||
* |
ステアリングギヤボックスの取付の緩み | トランスミッション、トランスファのオイルの漏れ、量 | |
ロッド、アーム類のボールジョイントの ダストブーツの亀裂、損傷 |
* |
プロペラシャフト、ドライブシャフトの連結部の緩み | |
* | ステアリングのロッド、アーム類の緩み、 がた、損傷 |
ドライブシャフトのユニバーサルジョイント部の ダストブーツの亀裂、損傷 |
|
* | ブレーキのロッド、ケーブル類の緩み、 がた、損傷 |
エキゾーストパイプ、マフラの取付けの緩み、損傷 | |
ブレーキホース、パイプの漏れ、損傷、取付状態 | 熱害防止装置の遮熱板の取付けの緩み、損傷 | ||
エンジンオイルの漏れ | マフラの機能 | ||
* |
デファレンシャルのオイルの漏れ、量 | ||
外廻り点検 |
|||
フレーム、ボデーの緩み、損傷 | |||
その他 必要となった点検整備の内容、及び主な交換部品 | |||
|
【その3】 記録簿の記入について |
前ページ(usk11.htm)
で述べたように、継続検査の際には、申請書類とともに定期点検
整備記録簿が必要です。「記録簿」と言うと、あたかもこれまで受けてきた点検整備のログ
(=履歴)全体を指しているかのように思われる方もいるかも知れませんが、実際に対象と
されるのは、車検の直前に実施された点検整備の記録です。
さて、その記録簿(記入用紙)ですが、現在では特に書式が定められていません。前節で
示したように点検項目が定められているだけです。これは、通常は一回の入庫で点検整備
が行われる際、その記録内容は複雑ではなく、特に様式を定めなくても機能するとの判断
により自由化されたためだと思われます。
従来の「前整備→後検査」方式に加え、現在では法規上「前検査→後検査」方式でも車検
(=継続検査)を受けることができますから、記録簿の記入に当たっては次の点に注意すれ
ば良いでしょう。
■注意点1.
自分の車に関係のない点検項目には、チェック「∨」を入れない
■注意点2.
自分で点検できない項目は、素直に空欄にしておく
前者は、例えば「オレの車は四輪ディスクブレーキだから、ブレーキドラムの摩耗は関係が
ない」と言って、関係ないことをチェックした証拠として「∨」を記入してしまうような場合です。
「該当無し」の「/」
を記入するか、いっそのこと「無記入」のままが良いでしょう。誤記入は、
車検場での検査官の印象を悪くしてしまうことがあります。
後者は、例えばCO濃度など、専用測定器がないと点検できないような項目のことです。
ユーザー車検とは言え、業者に依頼すべき項目は空欄のままにしておきましょう。
すでに依頼して点検済みである場合には、チェックを入れても良いですが、その場合は
記録簿の 「点検依頼者の欄」
を自分の名前に、「点検実施者(=分解整備事業者)の
欄」
を業者の名前にすることになるでしょう。
■ユーザー車検 INDEX■
(目次を確認する)
↑
BACK ← その2・定期点検と記録簿 → NEXT
(前のページに戻る) (このページ:2/7ページ) (次のページに進む)