このページの構成位置 : HOME > 8ナンバー登録 INDEX > 13.レガシィの8ナンバー取得記(後編)

13.レガシィの8ナンバー取得記(後編)

前のページでは、レガシィを「放送宣伝車」として仕立てるまでの様子に
ついて述べました。このページでは、いよいよ陸運支局に出向いて構造
変更の審査を受け、8ナンバーを取得するまでの顛末を紹介します。 
※このページは、平成13年10月1日以前に有効だった旧・構造要件に基づいた内容です。

 
●1998-02-06:新製 ●1998-03-29:写真追加 ●1998-08-14:「検査ラインの巻」に一部加筆
●1998-11-12:全面変更&加筆 ●1998-11-28:WEB内リンク表追加&一部加筆       
●1999-03-28:本文や背景など全面見直し ●1999-04-28:ページ追加による内部リンクの追加
●2002-01-12:更新(表記統一、レイアウト変更など)           
                

■ 後編その1:「いざ出陣!」の巻 ■
さあ、ここから先はいよいよ登録手続きについての説明です。この日は会社の休暇を取りました。私は、私の担当セールス氏とともに陸運支局へ出向きました。基本的にはディーラーから新車を購入するわけですから、もともと新車登録する際に必要な書類一式(販売証明書など)は、ディーラーのセールス氏が用意しています。私が自分で用意したものは、印鑑証明と車庫証明くらいです。

その他には、前々ページに記述した 「構造要件の条文」 のコピーも念のために用意しておきました。 これは万が一、現場で何かを聞かれたときでも、すぐに答えるようにするためです。実際に、あとでそのコピーが大いに役に立つ(!)場面に遭遇するのですが・・・(後述します)。一方、担当セールス氏の方では、レガシィを特種用途自動車として登録するのは初めてのことであり、事前にどんな書類が必要であるのか? を本社の相談室(登録業務のベテラン)に問い合わせたとのこと。相談を受けたその部署でも、初めは「・・・???・・・?」だったらしい。そりゃそーだ。こんなことを個人で思い立って実行するような変わり者ユーザーは、他にはまずいないだろう。皆さんの中で、特種用途での登録を検討されている方がおりましたら、どんな書類が必要になるかについては陸運支局が教えてくれますので、係員に思い切って問い合わせて確認されるのが最も確実だと思います。

陸運支局へ向かう途中の広い場所で、いったん微速走行しながらパーキングブレーキのレバーを強めに引いて、ブレーキの 「当たり」 をつけておきました。意外に思われるかも知れませんが、新車では継続検査の車よりもパーキングブレーキNGで再検査となる例があるそうです。これで、私たちが事前に確認できることはすべて行ったことになります。念のため重要項目の再確認をすると、


●審査を受ける車自体が、構造要件を満たす車両であるか。
→ (KAZ):条文に照らし、OK
●必要とされる器材などを、所定の方法で搭載しているか。 
→ (KAZ):条文に照らし、OK
 ●排ガス、ブレーキ、ライト、メーターなどの検査基準はどうか。
 → (ディーラー):調整済み、OK
●登録に必要な書類一式や、印かんなどはそろっているか。
→ (KAZ):車庫証明など、OK
 → (ディーラー):他の書類、OK

考えられる条件はすべて満たしている(と思われる)ので、あとは臆することなく、堂々と審査を受ければ良いハズ・・・だ・・(と自分に言い聞かせます)。「レガシィ8ナンバー化計画」の発案者である、この私がビクビクしていても何にも良いことはないですからね。
 

■ 後編その2:「いきなり鬼門」の巻 ■
〜陸運支局(多摩自動車登録検査事務所)にて〜

さて、いよいよやって来ました、多摩自動車検査登録事務所。 我々の決戦の舞台です。窓口で所定の申請用紙を購入し、必要事項を記入の上、構造要件変更検査の受付を済ませます。ラインでの検査項目として、排気ガスの濃度測定、スピードメーター指示値やブレーキの作動具合、ヘッドライトの光軸検査などについては、通常の登録の場合とまったく同様です。レガシィは4WDなので、四駆用の検査ラインに並んで順番が来るのを待ちます。今のところ、ここまで順調な滑り出しです。   

ところが我々が受検するこの日の時間帯(朝10時頃)は、たまたま4WD車の検査台数が少ない時間帯であったため、検査員の指示により 急きょ構造変更の内容(特種用途自動車=放送宣伝車としての適法性)から先に審査されることになりました。「・・・え? 構造変更の内容から先に審査?」
「一般の検査は後回しにして下さいだって?」「ゼロ番ライン(!)に並び直して下さい?・・・」

おいおい、いきなり本日のハイライトかよ・・・ってな感じです(もう内心ドキドキ)。でも、ここまで来たらもう 「開き直る」 しかありません。セールス氏と自分を信じ、いったん並んだ列を離れ、今度は構造変更用の検査ライン(=ゼロ番ライン)にクルマを並べ直します。ここでは怪しい車(?)が、いるはいるは・・・!!   ボンネットフードの中央が盛り上がったアメリカンピックアップ(←一体どんなエンジンが入っているんだ?)とか、エンジンがかからずに再整備している古いカマロ(←せっかくここまで来たんだから、ガンバレ・・・!)とか、思わず「どこから来たんだこの車たちは?」 というような風景が楽しめます。他にはアストロのコンバージョンモデルもいましたが、ここではそれが妙にマ・ト・モに見えてしまいます(失礼!)。                  

私のGT−Bは、エンジンをいじるわけでなし、車高をダウンするわけでなし、また外観もほとんどノーマル然としていますから(おまけに発売直後の新車だ)、そのような群れの中にあっては、かえって目立ってしまいます。 実際、検査員も遠くの方で 「??」 のような顔をして、こちらをながめていました。
   

■ 後編その3:「トラブル発生?」の巻 ■
そうこうしているうちに、ついに我々の順番になりました。必要書類を窓口に提出します。まずは車両総重量の計測からです。スペアタイヤと工具を取り出します。ああっ!! 何とスペアタイヤ(テンパータイヤ)は荷台のいちばん下にあるため、固定設置してあるサブウーハーなどボード一式をいったん降ろさなければなりません。これは誤算でした・・・。 ターンバックルをゆるめ、せっかく固定したSPを降ろし、重量計測が終わると再び急いで荷台に固定設置します。我々の後ろには、あのイカツイ車たちが控えているので、焦りまくりです。

それでも何とか重量計測を終わらせて、次のステップに進みます。係員に 「放送宣伝車です」 と告げて、構造要件のチェック・・・  になるはずでしたが、ここで予期せぬトラブル(?)発生!! 何と、検査員はレガシィを見ただけで 「8ナンバー登録は不可だ」 と言い張るのです。曰く、「レガシィはもともとワゴン(5&7ナンバー)のみの設定で、商用のバン(4ナンバー)の設定が無いからダメだ!」 と。要するに、4ナンバーのバンが88ナンバーを取ることは出来ても(例:日産アベニール)、乗用車ベースのクルマから 88ナンバーへの構造変更 はできないのだ(キャンピングカー登録を除く)、と言うのです。

やはり、ここが本日のハイライトであった。調布市のKAZさん、いきなりピーンチ!! これを乗り切らないと、KAZの明日はやって来ない。スバリストミーティングにも参加できない(おいおい)。我々のやってきたことは、大間違いだったのか?否!検査員が、これまでの経験から単に誤解しているだけに違いない。我々には、あの【放送宣伝車の構造要件】の条文のコピーがあるではないか! それを検査員に見ていただき、我々の主張が正しいことを丁寧に説明すれば良いのだ。・・・私はそのように確信した。

そこで私は、「万が一の時のために」用意していた条文の控えを取り出した。言わば、 切り札 の登場である。トランプの 「大貧民」 で言うところのエース(オールマイティ)の登場だ。水戸黄門で言うところの 「印籠」 の登場だ。魔法のプリンセス・ミンキーモモで言うところの 「変身ステッキ」 の登場だ。ビーロボ 「カブタック」 で言うところの 「スーパーモード」 の登場だ。ええっと、他には・・・バキバキバキバキ!!(ええかげんにせぇよ、の意味の読者のツッコミ音です。)

カブタック
ノーマルモード
(変身前)
カブタック
スーパーモード
(変身後)
Kabu_nor.jpg (2081 バイト) Kabu_sup.jpg (1897 バイト)

・・・話しを元に戻します・・・。
まず、取り出した条文の控えを係員に手渡した。するとその係員は、初めはその場で黙読していたが、すぐにその用紙を持ったまま カウンターの奥へと引っ込んでいってしまった。やがて、他の係員も一人二人・・・と カウンターの奥に集まって来た。ゼロ番ラインの検査員、全員集合状態である。
   

■ 後編その4:「人事を尽くして天命を待つ」の巻 ■
カウンターの奥から、途切れ途切れに検査員たちの声が聞こえてくる。「ダメだよ、このクルマはレガシィだろう?」「いや、レガシィでも荷室の半分以上を・・・」どうやら全員で条文の内容について協議しているようである。折りしも、つい数ヶ月前に「キャンピングカーの構造要件」の法改訂があったばかりである。改訂からまだ日が浅かったので、現場ではまだ 8ナンバーの構造要件に対する多少の混乱があるのかも知れない。しかもレガシィで放送宣伝車の登録だなんて、彼らにとっても初めて、いや、きっと想定外の事例であるに違いない。

4〜5分経っただろうか。一人の検査員が、意を決したように私の所へやって来た。「これから放送宣伝車としてのチェックに入ります。ほんとに放送宣伝車なんですか?」 係員たちはまだ半信半疑のようであるが、ここでひるんではいけない。 「はい、条文に定められた通りの”構造要件”を満たしております。」 とハッキリ答えておいた。そして同行していたセールス氏の
見守る中、実際の寸法チェックが始まった。

  係員:「前席を、設計標準位置にして下さい。」
  私  :(運転席を最後端にスライドさせ、リクライニング角度を調整する)
 
  係員:「その状態で、シート後端から荷室後端までの長さはいくらですか?」
  私  :(はい、○○○cmです。
←あらかじめ持参したメジャーで実測する
 
  係員:「荷室の横方向の長さはいくらですか?」
  私  :(はい、○○○cmです。
←あらかじめ持参したメジャーで実測する
 
  係員:「装置の縦方向の長さはいくらですか?」
  私  :(はい、○○○cmです。
←あらかじめ持参したメジャーで、
      スピーカーボードの縦方向の長さを実測する

 
  係員:「装置の横方向の長さはいくらですか?」
  私  :(はい、○○○cmです。
←あらかじめ持参したメジャーで、
      スピーカーボードの横方向の長さを実測する

  係員:(メモにそれらの寸法を書いて計算する)
 
  係員:「音声装置は?」
  私  :(はい、これとこれです。
←荷室内のサブウーハーと、ルーフ
      レールに設置した外部スピーカーなど一式を示す

  私  :(FMチューナーの周波数を合わせ、マイクを通した自分の
      声がスピーカーから出ていることをアピールする)
 
  係員:「そのままお待ち下さい。」

また待たされるのかと思いましたが、今度は違うようです。用紙に検査印を押され、すぐに次の工程に進むよう指示されました。そうです、最大の難所(ですよね!?)である、構造要件のチェックを、我々はついに乗り切ったのです!!ヤッタぁ〜〜! 条文の控えを用意しておいて、ほんとうに良かったです。これが無かったら、どんな苦労がさらに待ち受けていたか分かりません。備えあれば、憂い無しといったところでしょうか。このように、万が一の場合(最悪状態)を想定した対処法を考慮しておくことは、今回の事例に限らず大切なことだと思います。
   

■ 後編その5:「検査ライン」の巻 ■

さて、ここから先は通常の車検と同様の検査です。検査ラインに一列に並びます。テスターに載せる前に、まずは検査員による外観機能チェックからです。

  係員 :「ボンネット。」
  私たち:(ボンネットを開けて車台番号をチェックしてもらう)
  係員 :「スモール。」
  私たち:(スモールライトを点灯させる)
  係員 :「ヘッドライト。」
  私たち:(ヘッドライトのロービームとハイビームを交互に点灯させる)
  係員 :「右。」
  私たち:(右ウインカーを点灯させる)
  係員 :「左。」
  私たち:(左ウインカーを点灯させる)
  係員 :「非常灯。」
  私たち:(ハザードを点灯させる)
  係員 :「ブレーキ。」
  私たち:(ブレーキペダルを数回踏む)
  係員 :「バック。」
  私たち:(ギヤをリバースに入れる)
  係員 :「ホーン。」
  私たち:(ホーンを1〜2回鳴らす)
  係員 :(ホイールの締め付けボルトをたたいて まわる)

言葉で書くと上のようになりますが、実際には係員の指示を一つ一つ待ってから作動させるというよりも、私たちが上記の一連の動作を 流れ作業的 に行い、それを検査員が連続して確認していくといった感じです。外観機能のチェック後は、検査ラインに載せてサイドスリップ、スピードメーター、ブレーキ、ヘッドライト光軸、排気ガス、下回りなどのチェックです。検査を受ける車に2人以上乗ったままのテストはできないそうで、今回は私が車から降りて、慣れた担当セールス氏に操作をお願いすることにします。

各検査工程が終了するたびに、チェックシートを機械に挿入して 結果を記録させます。GT-Bは新車なので、もちろん各項目ともクリアです。こうして最後に検査ライン終端の窓口へ、すべての結果が記録済みとなっているチェックシートや自賠責保険などの必要書類一式を提出します。保険関係を含めた書類チェックが終了する頃には、もうすっかり夕方になってしまいました。やはり最初の構造要件の検査に、予想以上の時間がかかってしまったためです。あとはナンバープレートの交付を受けるだけですが、へたをすると即日交付に間に合わなくなってしまう恐れが出てきました。(検査ライン、プレートの申請窓口、交付窓口、収入印紙購入窓口などは、それぞれ隣接はしているものの、建物自体が異なっているので歩き回らされる)。

ほんとに間に合うかどうかの瀬戸際になってしまったので、セールス氏と二人で窓口へのダッシュを繰り返しました。やはり、同じように窓口間を走っている他のセールス氏も ちらほら 見受けられます。ダッシュの甲斐あって、私たちもギリギリセーフで 即日交付 に間に合いました。係員にリヤプレートを封印してもらい、すべての手続きが終了です。
   

■ 後編その6:終わりに ■
こうして、ついに88ナンバーレガシィが誕生したのです。長く、苦労に満ちた、しかし充実した一日が終わろうとしています。 ここまで来るには、それなりの努力が必要ですが、「素人でもやればできる、必ずできます。」・・・というのが私の素直な感想です。

個人でも8ナンバーが取れました。
ついに個人で8ナンバーを取得

帰路、ナンバープレートを装着したばかりの車の中で、何とも言えぬ達成感を味わいながら、陸運支局を後にしました。皆さんもドレスアップなどの際には、ご自分なりの信念を持って実行に移されるのが良いと思います。最後になりますが、今回の登録に際し、ご協力していただいた東京スバルの方々や担当セールス氏のSさんには、この場を借りて心よりお礼申し上げます。
    

 
このページの構成位置 : HOME > 8ナンバー登録 INDEX > 13.レガシィの8ナンバー取得記(後編)

次のページは、「フォトギャラリー(1)/放送宣伝車の車外スピーカー」 です。


レガシィの88ナンバー取得記(前編)に戻るBACK     ←   8ナンバー取得記(後編)       NEXT「フォトギャラリー(1)車外スピーカー」に進む
 (レガシィの8ナンバー取得記・前編)    (このページ:13/20ページ)      (放送宣伝車の車外スピーカー) 


(参考)レガシィ8ナンバーのユーザー車検体験記 その1 ・ その2 ・ その3