■ PROVA ステンレス・エキマニの装着 ■ |
プローバ製ステンレス・エキマニを装着しました。ノーマル・エキマニとの
比較(追い越し加速タイム)や、実際の使用感についてレポートします。
●2000-03-05 :
新製、 ●2002-02-17:レイアウト変更
このページでは、次の3項目について順に述べます。私的な考えも述べていますが、ご了承下さい。
「エキマニを交換する4つの理由」→「エキマニ交換作業風景の紹介」→「追い越し加速データの比較」
【図1】 ステンレス・エキマニ(プローバ製)を装着した状態
エキマニを交換する4つの理由 |
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私のクルマは、ECUがノーマルです。さらに吸気系も排気系もノーマル(純正)のままです。つまりエンジンコンピューターはもちろん、エアクリもマフラーさえも交換していない車両なのです。吸気ダクトこそBHレガシィ用のものを流用装着していますが、これは吸気の通路抵抗となるであろうエアクリーナー本体よりも上流部分での部品交換(→性能への影響度が小さい変更)であり、レゾネーターにも加工を一切加えていません。すなわちBGレガシィのターボ車にしては今どき珍しく(?)、ECUおよび吸気&排気系ともノーマル仕様のクルマ(GT−BのMT車)・・・なのです。そんな私が、なぜエキマニの交換をまっ先に思い立ったのでしょうか。主な理由は以下の4点です。
これら4つの理由について思うところや、その背景について、順に述べていくことにします。 |
「1.タービンの上流で通路抵抗を減らす」
について |
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排気系の効率アップを考える場合、最もお手軽で見栄えのする交換パーツはマフラーだと思います。確かに純正マフラーよりも市販の社外マフラーの方が、「抜け」
は良くなることでしょう。・・・ただ私が考えるに、マフラーを交換する場合は
「タービンの背圧を低下させる」
効果はあっても、「タービンの入口に向かう排気ガスの状態には、あまり変化が無い」
ような気がしてならないのです。もちろん、実際にはタービンより下流の背圧が低減されることにより、タービン上流側の排気ガスは
「より引っ張られて下流側に導かれる」
ことになりますから、タービンの仕事率はアップするように思います。これは
「フン詰まり」
を改善させることにより、アクセルのレスポンスアップを図るという手法と言えるでしょう。 でも私は、タービン下流側での改善よりも、タービンの「上流側」での改善の方を重要視したのです。私としては、やはりエンジンから出たばかりの排気ガスを積極的に活かすような改善、つまり、シリンダーヘッドから出たばかりの燃焼ガスの流速をなるべく殺さず、またその温度をなるべく低下させず、排気の持つエネルギーをなるべく活かしたまま積極的にタービン入り口へと導くことによるレスポンスアップの方を重要視したのです。ひとことで言うと
「排気系パーツのセッティング(選定)は、まず下流側よりも上流側を先に決めたい」
という考えからであり、その手段として (マフラーより先に)
エキマニ交換による通路抵抗の改善を選んだわけです。ターボの仕事量(効率)アップについては、背圧低下よりもタービンブレードへの入力エネルギー増大のほうが、より直接的かつ効果的であると、私は思うのです
(上流側を決めた後で、下流側をどうするかについては、その人の考え方次第ですね)。 |
「2.触媒の早期活性化でクリーンな排ガス」
について |
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ステンレス・エキマニに交換することで得られる効果の一つに、始動時の排気ガスのクリーン化があると思います。これは、ボクがエキマニを交換する大きな理由の一つです。なぜ、エキマニ交換で始動時の排気ガスがクリーンになるのか?・・・ボクは次のように思っています。 まず第一に、材質がノーマルの鋳鉄(ねずみ鋳鉄かな?)からステンレスに変更されることにより、排気系の熱容量が減り、低温始動時に触媒が活性化するまでに必要な時間が短縮されるからだと考えています。つまり触媒には、触媒として有効に機能するための最低温度があり、その温度を下回る領域では、排気ガスは全然クリーン化されません。これは、例えば冬の寒い朝、「始動直後の排気ガスは臭い」 が、「暖機が進むと臭わなくなる」ことからも理解できます。臭い排気ガス(→有毒でもある!)を防ぐには、触媒を早期に活性化させる必要があり、そのためには、なるべくシリンダーヘッドからの排気ガスを冷やさずに触媒まで導く必要があります。エキマニ交換は、ステンレスへの材質変更という手段により、始動時に排気ガスからの熱が奪われにくくなり、その点でノーマルエキマニよりも有利になると思っています(注:完全暖機後は、材質変更による有利さは無いと思いますが・・・)。 【図2〜3】 ステンレス・エキマニのパイプ溶接部 第二に、通路抵抗の減少が挙げられると思います。通路抵抗が減ると、排気ガスの流速低下が抑えられ、余計な温度低下が防げるため、触媒の早期活性化(←注:朝一番など、冷態時の始動における排気ガスのクリーン化効果を想定しています)が多少なりとも期待できると思います。低温始動時に触媒を早期に活性化させ、なるべく排気ガスをクリーンに(臭わなく)させるために、高価なステンレス・エキマニに交換しようと考える人は、ハッキリ言って皆無でしょう! でも他の人があまり考えない(?)ような環境面でも、ボクはボクなりの考えがあって今回のエキマニ交換に踏み切っています。 「排気ガスをよりクリーンにするために、エキマニを交換する」・・・こんな考えを持つ人が、レガシィユーザーに一人くらいはいても良いのではないでしょうか。皆さんのクルマには、(良い悪いは別として)触媒は付いていますか? 付いているなら、ステンレス・エキマニは高価ですがお勧めですよ。 |
「3.フロントオーバーハング部で重量低減」
について |
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重量低減により得られる効果については、紙面(画面?)の都合上、割愛します。ここでは、ノーマル・エキマニとステンレス・エキマニの重量差についてのみ、比較結果を以下に述べておきます
(調布市のKAZ調べ)。個人的には、約4.8kgの差は大きいと思っています。
※ステンレス・エキマニの重量には、耐熱布の重量を含む。
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「4.他車動向(特に最近のトヨタ車)」
について」 |
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先日、トヨタの
「WILL・Vi(←リヤウィンドウのクリフカットデザインが特徴の、中世ヨーロッパの馬車をイメージしたとされるクルマです)」
の整備解説書を見る機会がありました。奇抜なボディデザインに目が奪われがちですが、一体、エンジンにはどんな新しい技術が織り込まれているのだろうかと、興味があったのです。・・・見て驚きました! オフセットクランク、逆回転ラジエーターファンなど、地味ではあるが一つ一つの改良技術を確実に新型車で具現化していくトヨタの底力に驚いたのです。そして排気系に目を向けると・・・。その前方吸気・後方排気のエンジンレイアウトをよく見ていくと、何と、エキマニはステンレス製になっているではありませんか! その後、他の車種についても色々と調べてみました。例えば、V型6気筒の1MZ−FEエンジン。これはアバロンなどに搭載されているエンジンですが、世に出た当初(1995年5月)は鋳鉄製のエキマニでした。ところが年改を重ね、今度の新型エスティマ(2000年1月)に搭載されるときには、ステンレス製のエキマニに改良されていることが分かりました(エスティマでは、何とエキマニからテールパイプに至るまで、排気系すべてがステンレス化されています!)。このような中級クラスだけでなく、前述したように「WILL・Vi」や「bB」といったニューベーシックカーにさえ、ステンレス・エキマニが拡大採用されていたのです。 やはり、排気系でもトヨタはトレンドリーダーでした。その狙うところは、軽量化と出力性能の向上と排気ガスのクリーン化となっていましたから、ボクが個人レベルで
(=アフターパーツ入手で)
自分のレガシィに装着しようとしていたアイテムは、トヨタではメーカー自らの採用アイテムになっていたわけです。・・・ということで、今後は他メーカーも追従することが十分に予想され、ステンレス・エキマニが純正採用されるトレンドへと発展するのではないか、と、私は考えています。実際の普及までには相当時間がかかるでしょうけど、ステンレス・エキマニはきっと主流
(というか必須) になってくるように (心の中で私は勝手に)
思っています。このように考えていくと、もう交換するしかありませんね。 |
エキマニ交換作業風景の紹介 |
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当初、私は
「お持ち帰り」
前提でエキマニを購入し、自分で交換作業をする予定でしたが、今回は縁あってプローバ社で作業していただくことになりました。 【図4〜5】 プローバ社の作業ガレージに入ったレガシィ プローバ社に到着すると、耐熱布が巻かれたエキマニが用意されていました。部品としては、左バンク用・右バンク用・左右連結用の3ピース構成である点は純正と同様です。早速手に取ってみると、軽いこと軽いこと。純正は思わず両手で持ちたくなりますが、ステンレス・エキマニは片手でも充分に持てますね。低位置とは言え、クルマのフロント・オーバーハングにはこんなに重いもの (純正エキマニ) が付いていたんですねぇ。 【図6〜8】 耐熱布が巻かれたエキマニ。前から、下から、上から。 ここから作業開始です。工具以外に必要なものとしては、ウマ (リジッドラック) があれば良いでしょう。2柱リフトがあれば非常に便利ですが、クルマの下に潜り込めるだけのスペースがあればOKですので、個人で作業するぶんにはウマで大丈夫です。ただし、危険作業なので安全対策は必須です。例えばリフトアップ後に、万が一の事態に備えてサイドシルやタイヤの下にブロックなどを置いておく (クルマが落ちてきても下敷きにならないようにする) ・・・などといったことです。笑い事ではないですよ。 リフトアップが完了し、車体が安定していることが確認できれば、まずは純正エキマニの取り外しです。エキマニは排気ガスにさらされるだけあって、非常に高温となる部品です。ボルトやナットが(熱変形や劣化などにより)外れない恐れもあります。状況に応じて、事前にCRC(潤滑浸透材)を吹いておく必要があるかも知れません。実際、私の車も1ヶ所だけボルト〜ナットが緩まず、仕方無しにボルトの頭部をブチ切って(剪断させて)取り外し作業を進めました。ちなみにボルトが緩まなかった場所は、右バンクのエキマニと、エキマニを出て排気制御バルブへと続く排気管との間にある連結ボルトでした。 【図9〜11】 純正のエキマニ。全体構成、右バンク用、左バンク用。 純正のエキマニが無事に取り外し出来たら、今度はいよいよステンレス・エキマニの装着です。耐熱布の巻き方に不具合が無いかどうか、そして建て付け具合 (部品間のスキマなど) は良好かどうか、などを一通りチェックして、シリンダーヘッドに仮止めします。幸いにも (あるいは当然?)、ボクの場合はフィッティングは大丈夫でした。もしも装着がキツイ場合は、ボルト取り付け用の穴位置を楕円状に若干拡大するなどの措置が必要になるでしょう (でもステンレスなので削りにくいですね)。もしも逆にゆるい場合は、ガスケットの2枚合わせやシム追加などで調整することになるのでしょうか・・・。まぁ、万が一、製品に不具合があるようでしたら、購入店に相談するのがイチバンの解決法ですね。 【図12〜13】 純正のエキマニを取り外した状態(排気ポート部分) ここで、図12〜13は純正のエキマニを取り外した状態 (左バンク) を示したものです。画像中の(1)は排気ポート周辺を、(2)はオイルポンプに直付けしたエンジン油圧&油温センサー周辺を、(3)はクスコのロアアームバー(Ver.2)を示しています。ヘッドに接するフランジ部分のガスケットは新品に交換します。プローバのエキマニにはベローズ (蛇腹部分) が無いので、締め付けの際には、各部が均等に締まるよう注意します。最後に、排気ガスの漏れなどがないかどうかを慎重にチェックすれば、ほぼ完成です。 【図14〜16】 エキマニを仮装着した状態(水色の円柱はオイルフィルター) 個人的には、DIYで遮熱板を追加しておきたいですね。ただその際は、エキマニそのものをすっぽりと覆い被せるようなタイプではなく、単に(?)スリットの入った仕切り板タイプの遮熱板を追加したいところです。・・・というのも、過度にエキマニを保温すると、今度はエキマニそのものの耐久性が低下すると考えられるからです。トヨタの整備解説書を見ても、ある程度はエキマニに走行風を当てるようにしたほうが耐久性が向上する、と読み取れますから。 |
追い越し加速データの比較(純正エキマニ vs PROVAエキマニ) |
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それでは次に、読者の皆さんが最も興味があるであろう、エキマニ交換による性能アップ効果について述べます。まず最初に、装着しての第一印象について簡単に紹介し、次いで一定速度からアクセル全開にした場合の
「追い越し加速時間」
について、ノーマル・エキマニとのデータを比較検討します。 ●装着直後の第一印象 当初、エキマニの効果として、加速特性 (つまり過渡時) のみに変化が出る可能性を考えていました。つまり、いったん定常状態 (一定速度で巡行するような場合) に達してしまえば、ノーマルエキマニもプローバ社のエキマニも差は無いと思っていましたが、どうもそうではない印象です。一定速度で走行する場合は、車両を動かすために必要なエネルギーや排気ガス流量には変化が無いと考えられるため、エキマニ交換により定常状態でも変化があったとすると、排気ガスの (タービンまで到達するまでの) 温度および流速に変化があったのではないか、と考えます。たぶん、シリンダーヘッド出口部のパイプ形状 (径、集合部までの長さ、曲げR形状) や通路抵抗の減少が効いているのでしょうね。 ●追い越し加速時間について
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おわりに |
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以上、これまでのところで気づいた点
(個人的な感想)
と計測データについて書いてみました。燃費はノーマル状態と比較して悪くなっているようなことは無いようです。また、過給圧のオーバーシュートは全然気になりませんでした。これは、エキマニ以外のハード構成が、所詮は(?)ノーマルだからだと思っています。現時点でのボクのクルマに限っては、マップうんぬんを気にするような変化は現れていないように思いますし、そのようなクルマの使い方もしません。 排気音については、個人差が大きくあまり参考にはなりませんが、ボクの場合はエキマニ交換後でもマフラーはノーマルのため、ほとんど変化が無いか、多少乾いた音色になる程度です。少なくとも、うるさくなることはないですね。シーケンシャルターボを殺さない限りは、エキマニよりもマフラーの方が、排気音に与える影響は大きいのではないでしょうか。 今後は、継続使用中に問題点(経時変化)が発生しないか否か、や、燃費や排気ガスに与える影響の有無・・・などについて観察していく予定です。具体的には、熱変形、ガスケットからの排気漏れ、排気音、季節の変化に対して効果が変わるか否か、暖機途上(触媒活性化前)の排気ガスの「におい」の再確認などです。最後に、プローバ社のコメントによると、「エキマニ交換は車検には問題無い」そうですので、ここに付け加えておきます。 以上、長文ですが読んでいただき、ありがとうございました。 |
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