「目で見るクスリの作用学」 (講演録と補足)  99/7/3
〜薬の作用、副作用がひとめでわかります〜
 
                                    東大病院アレルギー膠原病内科     萩原清文


1. 「からだ」の中は、まるで入れる構造になっています。

すなわちそれぞれの仕事をになった臓器同士が相互作用していて、その臓器の中ではそれぞれ専門の仕事を担った細胞同士が相互に作用し更に細胞の中では、、と言った具合です。

2. 細胞と細胞のやりとり(相互作用)に分子が使われています。


3. 細胞は情報を受け止めると(入力)それに応答します(出力)。
入力から出力にいたる経路を細胞内情報伝達と言います。
それはとても複雑な課程でテレビとは比べものにはなりませんが、概念を理解するためにテレビで考えてみましょう。

4, 例えばステロイドホルモンは細胞にはたらきかけて炎症にかかわる分子がでるのをじゃましたり、炎症を抑える分子を出させます。

またアセテルコリンという物質が心臓の細胞にはたらきかけると、心臓のリズムが遅くなり、アドレナリンと言う物質が働きかけると心臓のリズムが早くなります。

5. さて、クスリが作用するときにも「受容体」を介することが多いです。
(機能するタンパクを邪魔するクスリもあります。)

作用ABC….の全てで望ましい結果ならよいのですが、中には望ましくない結果がでてしまうこともあります。


6. クスリのの量と作用の関係(その1)
クスリの量を増やせば効果も増えると考えがちですが、限度というものがあります。
下図は薬の量を10倍にしても効果は必ずしも10倍にはならないことを示す図です。

7. クスリの量と作用の関係(その2)
不思議な事ですが、「クスリによって効果が全く異なる」ということもあります。例えば「小児用バファリンには抗血小板効果があるが、成人用バファリンには抗血小板効果がない」という具合。ですから、服用方法を間違えると予想だにつかない副作用があらわれるおそれがあるのです。

まとめ 
@ クスリは「受容体」を介したり機能タンパクを邪魔することで作用を発揮 
  します。
A クスリの量と作用は必ずしも比例関係になるとは限りません。
B クスリの量によっては全く異なる作用を発揮することがあります。

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