「草野球の窓」

第76章
「バッティング練習」

 野球の練習で最も楽しいのがバッティング練習で、つらいのが守備や走塁の練習であろう。だからどのチームもバッティング練習に時間をかける。しかし、バッティング練習はやり方次第で実効があがったり、無駄だったりする。

 バッティング練習には、マシーンを使った練習と投手の投げる球を打つ練習の二通りがある。マシーン練習では同じスピードで同じコースに球が来るから、自分の打撃フォームを矯正したり、タイミングを取る練習には好都合である。バッティングセンターに行けば、一人でも練習できる。したがって、オフシーズンや春先などの練習に向いている。バント練習、流し打ちの練習、ゴロを打つ練習にもマシーンは有効である。人数にゆとりがあり、場所さえあれば、バッティング練習の横で、マシーンを使ったバント練習をするのもよい。

 しかし、シーズン中は実際に投手が投げる球を打たないと、実戦では役に立たない。スピードもコースも一球毎に違う球に対して、瞬時にタイミングとミートポイントを変えなければならないからだ。いい当たりが打てないのは、このタイミングとポイントの捕らえ方が合っていないためだ。だから、打席ではこの2点を中心に打つように心掛ける。

 自分が打っていない時は絶好の守備練習である。ノックと違い、生きた打球を処理できる。それも、ただ捕球して、返球しているだけではだめだ。ゲッツーの練習や外野からの中継を必ず入れるようにする。内野ゴロの場合には必ずゲッツー処理をし、外野への打球はバックホームする。間を抜かれたら懸命に追いかけ、内野の中継を経てバックホームする。
 もし、人数にゆとりがあるなら、走者を付けるのもよい。走者を付けてゲッツーやバックホームの練習をすれば臨場感にあふれ、尚一層効果が上がる。このようなバッティング練習をすれば、ダラダラ時間をかけなくても効率的な練習ができる。

 ところが、現実には参加人数が7〜8名で、このような練習をしようにもできないことが多い。結局、バッティング練習の時に守備についても自分のポジション以外で球拾い的な守備に終わってしまう。だから、別にたっぷり時間をとって守備練習をする必要が生じる。
 練習でただ漫然と打つだけならやらない方がいい。いい当たりを連発すれば気持ちがいいし、試合でも打てそうな気分になる。しかし、試合で打つ球はバッティング練習のそれとは違う。練習で打てたからといって、大振りしたのでは相手バッテリーの術中にはまってしまう。

 考えながら、あるいは工夫をしながら練習した成果が試合で徐々に現れるのだ。

これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。  (平成10年9月14日掲載)


【幹事補足】
 バッティングセンターは我々草野球人にとってはなくてはならない存在ですが、師のおっしゃるように、なるべく考えながら、工夫をしながら利用したいものです。確かにバッティングセンターはお金を払ってる以上、ガンガン打ってスカッとしたい欲求にかられます。それはそれでいいのですが、例えば、立つ位置を変えて内角球や外角球にするだけでも有効度はグッと増すでしょう。勇気を出し、思い切ってバント練習のみに使うのもいずれ考えてはいかがでしょうか。考えてみれば、20〜25球もバント練習ができる機会など、チーム内ではほとんどないのが現状でしょう。バッティングセンターでのみそれが可能です。
 ときにマシーンは制球を乱すことがありますが、利用者の心理からか、なんでも手を出さずにはいられなくなります。ボール球を見逃す勇気も必要でしょう。この時、「損をした」と思うのではなく、「選球の練習になった」と前向きの意識を持ちましょう。
 バッティングセンターは利用の仕方次第で薬にも毒にもなり得ます。ガンガン打つだけでは、実戦でボール球に手を出してしまいますし、変化球への対応も疎かになります。お金を払っているのですから、自分に薬になるような利用を常に心掛けたいものです。



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