「草野球の窓」

第47章
「二人目の投手」

 先日、Japan Times 紙に日本の高校野球に対する改革案が載っていた。10項目の非常に興味ある提案がなされていたが、高野連の反応はイマイチのようである。
 提案の一つに、「1試合で100球以上投げた投手は連投してはならない」というものがあった。一般の高校では、満足に投げられる投手は一人しかいないことが多く、連投が禁止されれば不利になるという反対論が主流を占めているらしい。しかし、以前書いたように、投手を育成するのがコーチの仕事だし、監督は選手を信頼し、投げる経験を積ませないといけない。さもないと、万が一エースが故障した場合、投げられる者が一人もいない状態になってしまう。

 草野球でも同様である。事実上一人しか投手がいないチームでは、早急に二人目の投手を育成すべきだ。投手育成の基本は前にも書いたようにキャッチボールにある。相手の胸にキチンと投げられるようになった者をバッティング投手として投げさせる。次いで、練習試合でも投げさせて、経験を積ませる。しかし、野球は勝たないと面白くないので、どうしても未熟な投手ではなく、安心して見ていれる投手に投げさせることになる。そうこうするうちに、肩や肘に負担がきて、気づいたときには肩や肘をこわし、次の投手もいないことになってしまう。

 戦術的には当然最も信頼の置ける投手に投げさせるべきである。だが、戦略的には、シーズンを通じて二人目の投手を育成させるために、交代で投げさせることも重要である。二人目の投手、三人目の投手が育ってくれば、試合運びは楽になる。戦術的にも選択の幅が広がる。ダブルヘッダーも可能になるし、土曜日、日曜日の連戦も可能になる。年間試合数が増えればチーム全体の試合経験も豊富になり、全体的なチーム力も向上する。連盟戦でも上位まで勝ち残れるようになり、強いチームと対戦する機会も増え、ますますチーム力が向上する。また、先発投手の調子が悪ければ、すぐにリリーフ投手を送り込むことができるし、プロ野球並みに抑え専門の投手を作ることも可能になる。結局、投手一人当たりの負担が少なくなる。

 野球は、特に草野球の勝敗の9割は投手の出来に依存している。また、投手がいなければ野球が出来ない。他の守備位置は何とかなっても投手だけはそうはいかない。だから、各チームとも投手の育成を最優先して考えるべきだ。

 投手をやってみたい者はまずキャッチボールをしっかりやること。創意工夫をしながら投げること。

 これ、ゆめゆめわすれることなかれ。

(平成10年3月7日掲載)


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