今回、私が SE のインストールで散々悩んだ最大の原因は、FIC 製のマザーボード PA-2013 Rev.1.1 の BIOS です。このマザーボードは VIA 製の MVP3 というチップセットを搭載しています。このチップセットがかなりの曲者で、PCI Routing Miniport Driver という VIA が提供するドライバをインストールしないと PCIバスのリソースを正常に認識しないという問題点があるのです。それは BIOS バージョン1.15JF31 以降を使った場合、私のマザーボードにもしっかりと当てはまります。しかし、このマザーボードの不思議なところはバージョン1.13JF12以前の BIOSを使った場合、特別な事をしなくても PCIバスのリソースを完全ではないにしろ認識できることです。
インストールの時にどういう事が起こるか具体的に書いてみます。
まず、最新版の BIOS 1.15JF32を使った場合。
インストーラを起動してから、ユーザーが指定する初期設定が終わった後、ファイルのコピーが始まり、その後、インストールが完了するまでに3回再起動します。2度目の再起動後、CD-ROMのアクセスランプが点灯したあたりでハングアップしてしまうのです。この場合、強制的に再起動しセーフモードで立ち上げて前述のドライバをインストールすれば、再起動後インストールが再開され、一見無事に完了します。「デバイス マネージャ」の「PCIバスのプロパティ」から「IRQステアリング」の情報を確認しても「IRQルーティングの状態」は正常です。ただし、この方法を取ると本来行われるはずだったアプリケーション関係の設定をパスしてしまうらしいのです。例えば、チャンネルを表示させると番組が一つも入っていない真っ黒なウィンドウだったり・・・。
チャンネルくらいだったら実用上差し支えないのですが、他に重要な設定が行われていないのではという不安が残ります。
バージョン1.13JF12の BIOSを使った場合。
特に何事も起こらず、あっさりとインストールが完了します。しかし、例のドライバをインストールしても「IRQルーティングの状態」は「IRQステアリングが使用不可能になりました」というメッセージが表示されます。実際この状態だと、空き IRQを無視して?複数のデバイスに特定の場所を共有させるなど奇妙な割り当てを行います。実際困るのがビデオカードに IRQ 9を割り当ててしまう事で、NumberNine Revolution IVは IRQ 9だと正常に動作しないのです。
以上の事を前提として Windows98SE Upgrade版のインストール法をいくつか考えてみました。
そのまんまじゃないかと思われるかもしれませんが、普通はこれですんなり行くはずです。Windows98をインストールする過程で前記のドライバが組み込まれているのだから、その設定とかドライバはそのまま SEに引き継がれるはずだからです。ところが、SE のインストーラはアップデートする段階で以前のハード的な設定を書き換えてしまうようです。Windows98 の時と全く同じ状況でハングアップしてしまいました。
ここで小休止しました。自分の乏しい知識と経験だけであれこれやるのは時間の無駄、ともかくも情報収集!! Microsoft 、FIC と VIAのサイトに行ってみました。
Microsoft のサイトには新しい Windows98 の素晴らしさを謳った文章がごっそりありましたが、トラブル事例は一つも無し。
続いて行った FIC のサイトでは SE に関する情報は見当たりませんでした。BIOS やドライバなども更新されていないようです。
一方、VIAのサイトには AGP、MiniportDriver共に新バージョンがあったので即ダウンロード。ところが、SEのインストールについて「PCI Routing Miniport Driverは SEに含まれているので必要ない。AGPドライバだけをインストールしろ。」などと書かれていたのです。
それを読んで疑念が浮かびました。Microsoftは、Winodws98 インストール時に Tekram製 SCSIカードを使った場合と同じ事をやっているのではないか。動作確認をろくにしていないドライバを組み込んでいるのではないか、と。
取敢えず、自己責任でいろいろやってみるしかないようです。
当然、ハードディスクにはリアルモードの SCSI、CD-ROMドライバを設定しておきます。インストールの過程で再起動するたびに「Command Prompt Only」で立ち上げて、Windows98SEのインストーラが CONFIG.SYSと AUTOEXEC.BATを勝手に書き換えていないか確認します。Windows95の場合ですが、セーフモードかノーマルモードで起動しない限り、インストール作業を端折らないようです。
と考えたのですが、この方法で前記の問題を回避できるかどうかはやってみないと判りません。もっと簡単な方法で試すことにしました。
一番、簡単で確実だと思ったのですが、だめでした。見事にハングアップしました。CD-ROMにアクセスできなくっても問題ないと気楽に考えたのですが・・・。 PCIバスのリソースが正常に認識できないというハードウェアの根本的な部分からくる問題だけに小手先の手段では回避できないようです。うーん、2は試さなくて正解かも知れません。
これができればすべて問題解決だったのですが、VIAはプロテクトモードで動作するインストーラしか作らなかったようです。。肝心のドライバは CAB形式の圧縮ファイルだし、改めて読んだ readmeには Window98上からのインストール法が簡潔・明瞭に書いてあるだけでした。
結論が見えてきたようです。インストール中にセーフモードで立ち上げてVIAのドライバをインストールするか、危険度が高いけれど BIOSのバージョンを落として Windows98 > Winodws98SEのインストールがすべて終わってから BIOSを戻す。選択肢はこの二つしかないことがはっきりしました。こういう場合、私の性癖として必ずリスクの大きい方へ向かうのです。困ったもんだ。