呼吸器内科の通院であるが高い高い注射を打たない。血液検査の結果は良好で――もちろん病人にしてはのハナシ――何よりだ。
現状おれがなるべく動きたくない体力なので,この通院にあれこれ用事を詰めこんでウチから出掛けるイベントを減らすことに傾注している。
- 保険会社に出す入院証明書の申請を追加する。
- 投薬を院内処方にしてもらう(町の薬局に寄らなくて済む)。
- 書きためた郵便物を院内のポストに投函させてもらう。
- 振込用紙による支払を院内の売店で処理する。
病院の往来ともタクシーを奢る。前回のように JAPAN TAXI を最寄りに呼んで少しでもラクをしたいところであるが,数十分まつ間に歩いたらふつうのタクシー乗り場に着く可能性が高く,動きたくないとは言えリハビリとして運動量を日び増していく必要はあり,流しのタクシーはみな中央車線を走っており,けっきょく駅前の乗り場まで歩きとおすことになるのだった。いやー,キビしい。タクシーの後部座席に滑りこんでの数分間はハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハア息切れの音で運ちゃんを不安がらせて申しわけない。
そして#1,今回ターゲットの入院は3科に跨がっており,おれが保険会社から送ってもらってきた枚数では足りないと判明し――だって入院費の請求書は呼吸器内科一科に纏まってたんだもんよ――保険会社にとの請求からの追加作業が発生した。また,それを提出するためのもういちど余計に来院しなければならない。
#2。一部のクスリの在庫がなくて,もういちど受けとりに来院しなければならない。
#3。これは成功。
#4。今月末が期限の振込があって最重要案件である。と,院内の売店がきょうから閉店していた。ええー。来月ファミマにリニューアルするってあーた,いや,きょう,ここで処理できないとだな……。今どき振込用紙を郵送してきてこれしか入金手段がないというのはどうなのよ。そんな店ほろびてしまえと矛先を支払先に向けて虚しい。
病院からは正面玄関前のタクシー乗り場からシュッと帰るハズだったのに,どうでもコンビニか郵便局に行かねばならなくなった。病院の最寄りで言えばどちらも大差ない距離にあり,健康な脚にはラクショーで,おれには西遊記みたいな道のりである。折り悪しくお昼どきであって,超スローモーなおれがレジで振込用紙を出したら背後の行列から呪い殺されること火を見るより明らかである。郵便局にしよう。郵便局なら待合の椅子があって充分やすめるしな。のろのろと秒速1フィートで歩みを進め,信号待ちで立ったまま休憩し,すれ違う人をびびらせながら一応バリアフリーな郵便局に辿りつく。郵便局に来たということで#3でわざわざ院内ポストを使ったのが無駄とは言わんが不確実性を高めただけの行為となった。順番待ちのカードを取る前に待合に坐りこんでハアハアする。やっとカードを取って順番が来れば最も遠い窓口で呼ばれる。用が済んでも待合に居残ってハアハアし――喋るのはものすごくパワーが要るのだ――さてここからタクシーを拾うのをどうしよう。
流しのタクシーはおれみたいな如何にも手間の掛かりそうな客はシカトウするのだ。病院に戻るか駅地下のタクシー乗り場を目指すか。位置エネルギーの関係から後者を選び,秒速1フィートで踏破する。それにしてもこの街には坐るところがない。
どうやらウチに帰れた。きょうはリハビリ的には上出来だろう。時間を掛けさえすれば,そして好天に恵まれれば可能な行動半径の目安がついた。あとは区役所への往還が課題であるが,何とかなりそうな気になってきているよ。