和歌入門附録 和歌のための文語文法

活用表 動詞についての留意点 助動詞の種類と機能 助詞の種類と機能 2011.5.10更新  仮名遣

活用表 動詞 形容詞 助動詞

用言(動詞・形容詞・形容動詞)及び助動詞が他の語に接続する場合の語形変化を活用と呼び、未然・連用・終止・連体・已然・命令の六活用形があります。

未然形には助詞「ば」が付いて未然(まだそうならない状態)の条件節を作ります。例えば「吹く」の未然形「吹か」に助詞「ば」が付いた「吹かば」は、「もし吹いたならば」といった意味です。未然形には、打消(否定)の助動詞「ず」、未来推量の助動詞「む」なども付きます。

連用形は、文を中止する場合(風吹き、花散る)や、動詞につなげる場合(風吹きしきる)の活用形です。「て」「つつ」などの助詞や「たり」「けり」などの助動詞も連用形に接続します(例:風吹きて…。風吹きけり)。また、「流れ」「恋ひ」などのように、連用形は体言としてはたらくことがあります。

終止形は、普通、文の終りに用いる活用形です。また、「らむ」「らし」「べし」などの助動詞や、助詞「と」「とも」などが接続します。例:風、吹く。風吹くらむ。風吹くと知る。

連体形は、「吹く風」のように、体言(名詞・代名詞)につながる活用形です。また「秋風の吹くは悲し」のように、下に付く「こと」「もの」などの語を省略し体言として用いることもできます。四段活用などの動詞では終止形・連体形は同じ形になりますが、上二段活用下二段活用では異なります。

已然(いぜん)には助詞「ば」が付いて已然(既にそうなった状態)の条件節を作ります。「風吹けば」は文語文法では「風が吹くので」「風が吹いたので」といった意味になります。また、逆接の已然条件を示す助詞「ど」「ども」なども已然形に接続します。

命令形は、「風よ吹け」のように命令・許容・勧誘などの意をあらわす活用形です。四段活用とラ行変格活用では已然形・命令形は同じですが、他の活用型では異なります。

文語の活用表は古語辞書などの附録に必ず載っているので、今更という気もしますが、電子テキストにすれば検索の便もあると思い、各種辞書・参考書をもとに新たに作成してみました。おおよそ平安時代の用法を基準としています。
※検索する時は、語幹(「奉る」なら「奉」または「たてまつ」)で検索してみて下さい。

動詞活用表

四段 上一段 上二段 下一段 下二段 変格(カ変・サ変・ラ変・ナ変)

四段活用

五十音図の母音の列で言うと、ア・イ・ウ・ウ・エ・エの形式で活用する。動詞ではこのタイプが最も多い。なお《他例》の(自)は自動詞、(他)は他動詞をあらわす。(自動詞と他動詞については、自動詞と他動詞を参照されたい)

基本形 語幹 未然形
(〜ず)
連用形
(〜て)
終止形 連体形
(〜こと)
已然形
(〜ども)
命令形 他例
吹く (ふ) (あ)(自) 飽く 欺く 生く(自)※1 行く 色づく 置く 驚く 書く 潜(かづ)(自) 乾く 聞く 砕く(他)(こ)く 咲く 敷く 頻(し)く 如(し)く 堰く 背く(自) たなびく 付く/着く(自) 突く 貫く 解く(他) 届く(自) 泣く/鳴く 嘆く 抜く 引く ひらく 巻く 招く 向く(他) 焼く(他) 分く(他)※2(よ)※3
漕ぐ (こ) 仰ぐ 泳ぐ 嗅ぐ さやぐ 騒ぐ 凌ぐ 削ぐ そよぐ 継ぐ 脱ぐ(他) 揺るぐ
成す (な) (おく)らす 生(おほ)す 翳す 挿頭(かざ)す 貸す 交はす 返す/帰す 暮らす/暗す 消す 越す 差す 冷ます/覚ます/褪ます 散らす 尽くす 照らす 通す 靡かす 均す 残す 伏す(自) 増す 惑はす 委す 生(む)す 申す 渡す
待つ (ま) 打つ 託(かこ)つ 消(け)つ 毀(こぼ)つ 育つ(自) そぼつ※4(たぎ)つ/激つ 立つ(自) 経つ 絶つ/断つ/裁つ 隔つ(自) 満つ(自)※5 持つ
言ふ (い) 合ふ(自) 祝ふ 歌ふ うつろふ 思ふ 交(か)(自) 通ふ 食ふ 誘ふ 添ふ(自) 慕ふ 候ふ たぐふ(自) 伝ふ(自) とぶらふ 習ふ 匂ふ 縫ふ 這ふ 払ふ/掃ふ※6 紛ふ 惑ふ 舞ふ 結ふ 横たふ(自)※7 笑ふ
呼ぶ (よ) 浮ぶ(自) 選ぶ 叫ぶ 偲ぶ※8 すさぶ※9 飛ぶ 並ぶ(自) 結ぶ 喜ぶ
生む (う) (うづ)※10 惜しむ 押し並む 霞む 沈む(自) しぼむ(自) すさむ(自) 住む 澄む 染む(自) 頼む※11 包む つぼむ(自) 摘む 積む 富む とよむ(自) 慰む(自)(な)(自) 盗む 読む 笑む
取る (と) 当たる 天霧(あまぎ)る 誤る いろどる 至る 移る/映る/写る 送る/贈る 劣る 掛かる 駆ける 翔る 重なる 語る 変はる 帰る 刈る 狩る 借る 切る(他) 霧る 括る 燻(くす/ふす)ぶる 曇る 削る 籠る 凍る/氷る 離(さか)る 盛(さか)る 探る 囀る 去る 繁る 霑(しほ)る 知る(他)(しを)る/萎る(他) 枝折(しを)る 擦る/磨る/摩る(他) 添はる 滾(たぎ)る 奉(たてまつ)る 辿る 溜る 賜はる 足る 契る 散る 綴る 積もる 照る 成る 濁る 乗る 走る 張る 降(ふ)る 隔たる 増さる まじる 纏(まつ)はる※12 回る 盛(も)る 漏る/洩る※13 宿る 遣る 寄る 横たはる 分かる/解(わか)※14 折る(他)

※1 自動詞の「生く」は元来は四段活用。のち上二段活用も併用された。「活用のまぎらわしい動詞」参照。
※2「分く」は四段・下二段両方ある。元来は四段活用であったらしい。
※3「避(よ)く」は元来は上二段活用であるが平安時代には四段活用も。のち下二段活用となる。
※4「そぼつ(古くは「そほつ」)」は上二段にも活用する。
※5「満つ」(自動詞)は奈良・平安時代は四段活用。その後上二段にも活用する。
※6 災厄などを除き去る意味の「祓ふ」は下二段にも活用する。
※7「横たふ」の自動詞形は普通「横たはる」を用いるが、芭蕉の「荒海や佐渡に横たふ天の川」のように四段活用の自動詞的用法も稀に見られる。
※8「偲ぶ」は平安時代以後、「忍ぶ」と混同され上二段活用もされた。
※9「すさぶ」は奈良時代は上二段活用、平安以後は多く四段活用。
※10「埋む」は室町時代頃から下二段活用も見られる。
※11「(人に)期待させる」「あてにさせる」意の「頼む」は下二段活用。
※12「纏(まつ)はる」は下二段にも活用する。
※13「漏る(洩る)」は下二段にも活用する。
※14「理解できる」「判明する」などの意の「わかる」(解る・判る)は四段活用。「別(わか)る」は四段・下二段両方ある。

上一段活用

イ・イ・イル・イル・イレ・イヨの形式で活用する。複合動詞を除けば十数例しかない。

基本形 語幹 未然形
(〜ず)
連用形
(〜て)
終止形 連体形
(〜こと)
已然形
(〜ども)
命令形 他例
着る (着) きる きる きれ きよ ――
似る (似) にる にる にれ によ 煮る
干る (干) ひる ひる ひれ ひよ (ひ)
見る (見) みる みる みれ みよ 顧みる 鑑みる 試みる 廻(み)
射る (射) いる いる いれ いよ ――
(ゐ) (居) ゐる ゐる ゐれ ゐよ (ゐ)る 率(ひき)ゐる 用ゐる

上二段活用

イ・イ・ウ・ウル・ウレ・イヨの形式で活用する。終止形と連体形が異なる点、特に注意が必要。

基本形 語幹 未然形
(〜ず)
連用形
(〜て)
終止形 連体形
(〜こと)
已然形
(〜ども)
命令形 他例
尽く (つ) くる くれ きよ 生く(自) 起く 避(よ)※1
過ぐ (す) ぐる ぐれ ぎよ (な)
落つ (お) つる つれ ちよ 朽つ そぼつ※2 満つ(自)※3
閉づ (と) づる づれ ちよ (お)づ 恥づ 漬(ひ)(自)※4 紅葉(もみ)※5(よ)
恋ふ ※6 (こ) ふる ふれ ひよ (お)ふ 強(し)
帯ぶ (お) ぶる ぶれ びよ 浴ぶ 荒(あら)ぶ 神さぶ 媚ぶ 錆ぶ 忍ぶ 伸ぶ(自) 滅ぶ 侘ぶ
恨む ※7 (うら) むる むれ みよ (し)む 夢む とよむ(他)
悔ゆ (く) ゆる ゆれ いよ 老ゆ 臥(こ)ゆ 報ゆ
古る (ふ) るる るれ りよ (お)る 懲る

※1 「避(よ)く」は元来は上二段活用であるが平安時代には四段活用も。のち下二段活用となる。
※2「そぼつ(古くは「そほつ」)」は四段にも活用する。
※3「満つ」(自動詞)は奈良・平安時代は四段活用であったが、その後上二段にも活用するようになった。
※4 自動詞の「漬づ(古くは「ひつ」)」は本来四段活用であったが、平安中期頃から上二段活用に変化したという。
※5「紅葉(もみ)づ」は奈良時代には「もみつ」で四段活用。平安以後、濁音化し上二段活用に転じた。
※6「恋ふ」は室町頃から四段活用も見られる。
※7「恨む」は江戸時代には四段活用となった。

下一段活用

活用語尾の全てにエ列の音が入る。文語では「蹴る」の一語のみ。

基本形 語幹 未然形
(〜ず)
連用形
(〜て)
終止形 連体形
(〜こと)
已然形
(〜ども)
命令形 他例
蹴る (蹴) ける ける けれ けよ ――

下二段活用

エ・エ・ウ・ウル・ウレ・エヨの形式で活用する。四段活用の次に多いタイプ。上二段動詞と同じく、終止形と連体形が異なるなど、口語とは活用の仕方が大きく異なるので、特に注意が必要。誤用の頻度が最も高い活用型と思われるため、語例をなるべく多く入れた。

基本形 語幹 未然形
(〜ず)
連用形
(〜て)
終止形 連体形
(〜こと)
已然形
(〜ども)
命令形 他例
(う) (得) うる うれ えよ ――
更く (ふ) くる くれ けよ 明く 生く(他) 受く 思ひ掛く 掛く 駆く 潜(かづ)(他)(く) 砕く(自)(さ)く/放く 授く 背く(他) 助く 長(た)く/闌く 手向(たむ)く 付く/着く(他) 解く(自) 届く(他) 泣く※1 ふりさく 負く 向く(他) 焼く(自)(よ)※2 分く(他)
告ぐ (つ) ぐる ぐれ げよ (あ)ぐ 掲(かか)ぐ 下(さ)ぐ 捧ぐ 妨(さまた)ぐ 投ぐ 逃ぐ 脱ぐ(自)
痩す (や) する すれ せよ (あ)す 失(う)す 負(おほ)す 寝す 馳す 伏す(他)
交ず (ま) ずる ずれ ぜよ (は)
捨つ (す) つる つれ てよ 当つ 凍(い)つ 企つ 育つ(他) 立つ(他)(つ)つ 泊(は)つ 果つ 隔つ(他) 満つ(他)
出づ (い) づる づれ でよ 奏づ 撫づ 漬(ひ)(他)(め)づ 詣(まう)
(ぬ) (寝) ぬる ぬれ ねよ (い)ぬ 重ぬ 兼ぬ 尋ぬ 訪ぬ 跳ぬ 撥ぬ 刎ぬ 委ぬ
(ふ) (経) ふる ふれ へよ 合ふ(他) 敢ふ 与ふ 訴ふ 憂ふ(愁ふ) 狼狽ふ 終(を)ふ 教ふ 衰ふ 抱ふ 数ふ 変ふ/替ふ/換ふ/代ふ 交(か)(他) 加ふ 答ふ 障(さ)ふ 備ふ 添ふ(他) たくはふ(蓄ふ・貯ふ)※3 たぐふ(他) 称ふ 仕ふ 伝ふ(他) ながらふ(永らふ・存ふ) 祓ふ 纏(まと)はる 横たふ(他)(よそ)
述ぶ (の) ぶる ぶれ べよ 浮ぶ(他) 押しなぶ 調ぶ 統(す)ぶ 食ぶ 並ぶ(他) 伸ぶ(他)
眺む (なが) むる むれ めよ (あが)む 諦む 集む 改(あらた)む 諌む 掠む 決む 浄む 極む 籠む 定む 冷む/覚む/褪む 認(したた/みと)む 沈む(他) しぼむ(他) 占む 染む(他) すさむ(他) 勧む 責む 初(そ)む 頼む※4 つぼむ(他)(と/や)む 咎む 慰む(他) 宥む 並(な)(他) 始む 秘む 求む 弱む
消ゆ (き) ゆる ゆれ えよ 甘ゆ 癒ゆ 脅ゆ 覚ゆ 思ほゆ 聞こゆ 崩(く)ゆ 凍(こご)ゆ 越ゆ 肥ゆ 冴ゆ 栄ゆ 萎(しな/な)ゆ 絶ゆ 煮ゆ 生(は)ゆ 映(は)ゆ 冷ゆ 増ゆ 吠ゆ 見ゆ 萌ゆ 燃ゆ
濡る (ぬ) るる るれ れよ (あくが/あこが)る 荒る 暴る 溢る 現(あらは)る 生(あ)る 熟る 埋もる うらぶる 遅る/後る 恐る 訪る 溺る 隠る 枯る 離(か)る 切る(自) 崩る 暮る 穢る 焦(こが)る 零(こぼ)る 壊る 寂る 時雨(しぐ)る 知る(自)(しを)る/萎る(自) 擦る/磨る/摩る(自)(たはむ/たは)る 倒(たふ)る 黄昏る 垂る 疲る 潰る 連る 流る 慣る/馴る 外る 離(はな)る 晴る 触(ふ)る 乱る 結ぼる 群る 窶る 分かる/別る 忘る 折る(自)
植う (う) うる うれ ゑよ 餓う 据う

※1「泣く」は普通四段動詞であるが、「自然と泣ける」意の場合下二段活用となる。
※2「避(よ)く」は元来は上二段活用であるが平安時代には四段活用も。のち下二段活用となる。
※3「たくはふ(蓄ふ・貯ふ)」は奈良時代には四段活用。
※4「頼む」は「(人に)期待させる」といった意味で用いるとき下二段活用。「(人を)頼みとする」などの意で用いる時は四段活用。

変格活用

上掲の形式に当てはまらないもの。

種類 基本形 語幹 未然形
(〜ず)
連用形
(〜て)
終止形 連体形
(〜こと)
已然形
(〜ども)
命令形 他例
カ変 (く) (来) くる くれ こよ ――
サ変 (す) する すれ せよ 愛す 臆す 恋す 死す 接す 達す 発す 欲す 全うす 魅す 嘉す
同上 通ず (つう) ずる ずれ ぜよ 案ず 甘んず 映ず 応ず 感ず 興ず 献ず 生ず 命ず 論ず
ラ変 有り (あ) いまそがり 居(を)り 来(け)り 侍り 持たり
ナ変 死ぬ (し) ぬる ぬれ (い)

動詞についての留意点(自動詞と他動詞活用のまぎらわしい動詞


形容詞活用表

ク活用・シク活用、二種類の活用の形式がある。現代口語で語尾が「〜しい」に変化した形容詞がシク活用する。但し「いちじるし」「うまし」など例外はある。

種類 基本形 語幹 未然形
(〜ず)
連用形
(〜て)
終止形 連体形
(〜こと)
已然形
(〜ども)
命令形 他例
ク活用 早し (はや) (け)※1
から

かり


かる
けれ

かれ
青し 赤し 明(あか)し 明るし あぢきなし 暑し あやなし 著(いちじる)※2 憂し うしろめたし 薄し うたてし うまし※3 多し おぼつかなし 面白し 難し 清し 寒し さやけし 繁し 著(しる)し 少なし 高し 弛(たゆ)し 露けし 辛し つれなし 遠し 疾(と)し 無し 長し 妬(ねた)し のどけし はかなし 遥けし 低し 深し 短し めでたし 易し 良し 弱し
シク活用 美し (うつく) (しけ)
※1
しから
しく
しかり
※4
しき
しかる
しけれ

しかれ
(あ)し 新し 怪し 愛(いと)し 忙し 美(うま)※3 恨めし 嬉し 恐ろし 悲し かまびすし 苦し 恋し 寂し 親(した)し 涼し 正し 楽し 乏し 長々し なつかし 妬まし 正(まさ)し 未(まだ)し むつかし 睦まし むなし 珍し 侘し ゆかし 惜し

※1万葉集などには「はやけば」「こひしけば」など語尾に「け」が来る未然形活用が見られる。例「恋しけば袖も振らむを武蔵野のうけらが花の色に出づなゆめ」(巻十四)。
※2「いちじるし」(古くは「いちしるし」「いちしろし」)は近世以降シク活用もされるようになる。
※3「美味い」「上手い」などの意味の「うまし」はク活用であるが、「満ち足りて心地よい」という意味の「うまし」にはシク活用が見られる(「うましき世」など)。
※4 シク活用の形容詞の場合、「かなし妹」「ながながし夜」のように終止形で体言に接続する用法もあった。



助動詞活用表 各助動詞につき詳しくは助動詞の種類と機能」を参照のこと

過去・完了 推量 打消 自発・可能・受身・尊敬
使役・尊敬 丁寧 指定 比況 希求

過去・完了 種類と機能

未然形
連用形
終止形 連体形
已然形
命令形 接続
(上にくる語の活用形)
意味
つる つれ てよ 連用形 完了
ぬる ぬれ 連用形 完了
命令形(四段・サ変※1) 完了・存続
たり たら たり たり たる たれ たれ 連用形 完了・存続
(せ) しか 連用形(カ変・サ変は例外※2) 過去・回想
けり (けら) けり ける けれ 連用形 過去・回想・詠嘆

※1 サ変動詞の場合、命令形「せよ」の「よ」を取った「せ」に接続すると説明される。
なお上一段・上二段・下二段動詞には「たり」を用い、「り」は用いない。
※2 カ変動詞は未然形・連用形いずれにも付く(来(こ)し方、来(き)し方、いずれも可)。サ変動詞の場合、終止形「き」は連用形に、連体形「し」・已然形「しか」は未然形に付く(詳しくは「助動詞の種類と機能」参照)。

推量 種類と機能

未然形
連用形
終止形 連体形
已然形
命令形 接続
(上にくる語の活用形)
意味
未然形 未来推量・意志
むず※1 むず むずる むずれ 未然形 未来推量・意志
らむ らむ らむ らめ 終止形(ラ変は連体形) 現在推量
けむ けむ けむ けめ 連用形 過去推量
らし らし らし
らしき
らし 終止形(ラ変は連体形) 現在推量
めり めり めり める めれ 終止形 推量・婉曲
なり なり なり なる なれ 終止形(ラ変は連体形) 伝聞・推定
まし ませ まし まし ましか 未然形 反実仮想・意志
べし べく べし べき べけれ 終止形(ラ変は連体形) 当然・推量・意志・可能
べかり※2 べから べかり べかる 終止形(ラ変は連体形) 「べし」に同じ
べらなり べらに べらなり べらなる べらなれ 終止形(ラ変は連体形) 推量

※1「むず」は助動詞「む」助詞「と」動詞「す」からなる「むとす」の転。
※2 「べかり」は、助動詞「べし」と動詞「あり」からなる「べくあり」の約。

打消 種類と機能

未然形
連用形
終止形 連体形
已然形
命令形 接続
(上にくる語の活用形)
意味

(に)
未然形 打消
ざり※1 ざら ざり ざる ざれ ざれ 未然形 打消
未然形 打消推量
まじ まじく まじ まじき まじけれ 終止形(ラ変は連体形) 打消推量
ましじ※2 ましじ ましじき 終止形 打消推量
まじかり※3 まじから まじかり まじかる 終止形(ラ変は連体形) 打消推量

※1「ざり」は、助動詞「ず」と動詞「あり」からなる「ずあり」の約。
※2「ましじ」は「まじ」の古形で奈良時代に用いられた。
※3「まじかり」は、助動詞「まじ」の連用形「まじく」と動詞「あり」からなる「まじくあり」の約。

自発・可能・受身・尊敬 種類と機能

未然形
連用形
終止形 連体形
已然形
命令形 接続
(上にくる語の活用形)
るる るれ れよ 未然形(四段・ナ変・ラ変)
らる られ られ らる らるる らるれ られよ 未然形(上一・上二・下一・下二・カ変・サ変)
ゆる ゆれ えよ 未然形(四段・ナ変・ラ変)
らゆ らえ らえ らゆ らゆる らゆれ らえよ 未然形(上一・上二・下一・下二・カ変・サ変)

使役・尊敬 種類と機能

未然形
連用形
終止形 連体形
已然形
命令形 接続
(上にくる語の活用形)
意味
する すれ せよ 未然形(四段・ナ変・ラ変) 使役・尊敬
さす させ させ さす さする さすれ させよ 未然形(上一・上二・下一・下二・カ変・サ変) 使役・尊敬
しむ しめ しめ しむ しむる しむれ しめよ 未然形 使役・尊敬
未然形 尊敬・親愛

丁寧

未然形
連用形
終止形 連体形
已然形
命令形 接続
(上にくる語の活用形)
はべり はべら はべり はべり はべる はべれ はべれ 連用形
候ふ さうらは さうらひ さうらふ さうらふ さうらへ さうらへ 連用形
ます まさ
ませ
まし
まし
ます
ます
ます
まする
ませ
ますれ
ませ
ませよ
連用形

指定(断定) 種類と機能

未然形
連用形
終止形 連体形
已然形
命令形 接続
(上にくる語の活用形)
なり なら なり
(に)
なり なる なれ なれ 連体形・体言
たり たら たり
(と)
たり たる たれ たれ 体言

比況 機能

未然形
連用形
終止形 連体形
已然形
命令形 接続
(上にくる語の活用形)
ごとし ごとく ごとし ごとき 連体形・助詞「が」「の」

希求(希望) 種類と機能

未然形
連用形
終止形 連体形
已然形
命令形 接続
(上にくる語の活用形)
まほし
まほしから
まほしく
まほしかり
まほし まほしき
まほしかる
まほしけれ 未然形
たし たく
たかり
たし たき たけれ 連用形

動詞 形容詞 助動詞


公開日:平成19年01月20日
最終更新日:平成21年09月04日

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