菅原道真母 すがわらのみちざねのはは 生年未詳〜貞観十四(-872)

伴氏出身。承和十二年(845)、菅原是善との間に道真を産む。

菅原の大臣かうぶりし侍りける夜、母の詠みはべりける

久方の月の桂も折るばかり家の風をも吹かせてしがな(拾遺473)

【通釈】こうして元服した上は、月に生えているという桂の木も折るばかりに――大いに才名を上げて、学問の家としての我が一族の名を高めてほしいものです。

【語釈】詞書の「かうぶり」は元服のこと。「月の桂も折る」とは、漢語「折桂」に由り、官吏登用試験に及第して才名をあげること。道真十五歳、貞観元年(859)の作。

【主な派生歌】
月もいかにあはれとや思ふわれ昔桂をりてし一もとゆゑに(藤原範光)
家の風吹き伝へずはこのもとにあたら紅葉のくちやはてまし(藤原顕輔[玉葉])
かたみとてかへすも世々の家の風吹き伝へよと思ふとをしれ(後二条院[玉葉])
家の風ふきぞつたへん春日山末葉の藤もかげなびくまで(三条公秀[新拾遺])
世にしげき言の葉ぐさを吹きわけて家の風をも伝へてしがな(荷田春満)


更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成15年03月21日