「まず...」青木・政治部長が、口を切った。「今回の<2007・参議院選挙>...は、
マスコミでも言われていることですが、争点が非常に低レベルです...国家が未曾有の
大混乱の状況下...国民がまさに路頭をさまよっている真只中で、政治は“明確な国家
の将来像”を提示していません。こうした中でも、ともかく、“天王山の戦い”の、幕が切っ
て落とされました...
私たちは、ポスト・小泉政権が争点になった折...《ポスト・小泉政権》...《時代を
読む!》...の各ページで、“自民党の中では、やはり加藤紘一!”ということで、加藤
紘一、山崎托、与謝野馨の、各氏を予想していました。
国家というものを、真剣に考えるなら、当然こういう結論になるという、“強烈な要望”で
もありました。また、来る参院選挙では、より高いレベルでの、“まっとうな参院選挙”をし
て欲しいという、切実な提唱でもありました...
しかし、自民党は、小泉・政権を継承する阿部・政権を誕生させました...はたして、
その結果、まさに、悪い予感が的中してしまいました...しかも、予想以上の、非常に
低レベルの...<2007・参議院選挙>となってしまいました...自民党の、戦略眼の
なさ...時代を読む力量の欠如が、露呈された形です...
1人1人はともかく、衆愚政治と化している現状が露呈されました...しかして、国家
全体が、衆愚国家と化していたわけです...ここに、“壮大なモラルハザード国家”の現
状があるわけです...」
「そうですねえ...」津田・編集長が、頭に手を当てた。「自民党は、この事態が、本当
に予測できなかったのでしょうか...信じられない気持です...
マチコさんによると...阿部さんは“夏野菜/長ナス”の人物評価でした...しか
し、自民党は、あえて“長ナス”を選択し...かつ、国民を大シケの海に投げ込んでしま
ったわけです...
これでは、一体...誰のための政治...何のための政治か...と言われてしまいま
すし、現にそうなっているわけです...自民党政治全体が、フワフワとした“根無し草”
なのを感じます...
折しも、時代は...“ポスト・資本主義時代/脱・経済至上主義時代”が...いよい
よ、人類文明の視界に入って来ました。私たちは、その新しいパラダイムが、〔人間の
巣のパラダイム〕だと、予測しているわけですが...いよいよ、新時代が、大きく動き出
してきましたねえ、」
「そうですね...」茜が、肩の力を抜き、顎に手をかけた。「ともかく...自民党の、戦略
的敗北が濃厚ですわ...この程度の判断も、できない衆愚政党になってしまったという
ことです...
政治に素人(しろうと)の、マチコさんにも、分かることでした...何故、そんな明確なこと
で、“時代的判断”を、誤ってしまったのでしょうか...さらに、“憲法改正/憲法9条改
変”も壮大な時代錯誤ですわ...
“地球温暖化”の現在、《世界中の軍産複合体の昇華》こそ、急務です...戦争を
する余地など無い、深刻な現状ですわ...」
....詳しくは、こちらへ 《ポスト・小泉政権》、《時代を読む!》、《世界中の軍産複合体の昇華》
「小泉さんは...」青木が言った。「こうした意味でも...まさに、“自民党を破壊”してし
まいましたねえ...
マチコさんが、いみじくも指摘したように...阿部さんは、いかにもまだ“早過ぎた観”
があります。阿部さんが、“友情に厚く”、“いい人”だということは、国民にもしだいに理
解されて来たと思います...しかし、いかにも、“まだ早い”という観があります...」
「うーむ...」津田が、大きく腕組みをした。「マチコさんの、“長ナス”の評価は、まさに
正鵠(せいこく/弓の的の中央の黒ぼし)を射たものでしたねえ...」
「しかし...」青木が、国会議事堂の画像を眺めた。「それが、分かっていて...プロ・
政治集団の自民党は...あえて、この路線を選択してきたわけですねえ...パチンコ
台を選ぶような感覚で...1発当て込んだわけでしょうか...
それとも...サンディーサイレンス産駒(/競争馬の血統)ということで...その血統に賭
けたということでしょうか...まあ、政治家としては立派な意見も言うわけですが...結
果を集計すれば、いかにも、衆愚政治/烏合の衆だったということです...それが、“壮
大なモラルハザード社会”を体現してしまったわけです...勲章なんかを、首にぶら下げ
ていますがね...」
「まだ、選挙の真っ最中ですが...」津田が、椅子の背に体を引いた。「あながち、的外
れな話ではないでしょう...
それぐらい、国民とは乖離した所に、政治の実態があったということでしょう...盤石
なはずの国家の信用システムが、浮草のようにフワフワと浮いてしまっています...勲
章も、軽くなってしまったものですねえ...」
「それは...」茜が、体を乗り出した。「野党にも、言えることですわ...自民党だけで
はありませんわ...」
「そう...」津田が、うなづいた。「結局、野党にも言えますし...特に、官僚はひどい状
況です...社会保険庁の実態は、まさに言葉を失います...」
「はい!」茜が、強くうなづいた。「その意味では、マスメディアも、同レベルで腐敗してい
ますわ!
官僚体質の、NHKはもちろんですが...マスメディア全体が、“衆愚メディア”になっ
ていますわ!この国で、長年醸成されてきた“社会的慣習法”を、あえて、踏みにじる行
為を推し進めていますわ!文部省の褒賞(ほうしょう)もデタラメですし...」
「そうですねえ...」津田が、体をグラグラと揺らした。
「まあ...」青木が、手を上げた。「政治の話に戻りましょう...
自民党は...どうやら、学級崩壊を起こしているようです。この程度の選択さえも、ま
ともにできない政党の現状では、とても“大艱難の時代”へ乗り出す、日本丸の舵取り”
は任せられません。阿部・政権も、自民党も、その“能力の無さ”を露呈しています...」
「それで...」茜が言った。「民主党は、どうなのでしょうか...
津田・編集長も、青木さんも...ずっと、民主党を応援してきたわけですが、十分に、
国民の期待を受け止めているのでしょうか?」
「うーむ...」津田が、体を揺らした。「こんな選挙になってしまったのは...自民党の責
任が大きいわけです...そして、自民党に代わりうる政権としては...民主党しかない
わけです。そういう選択の、選挙になってしまいました...まあ、民主党に期待するとい
うことでしょう。国民が、支え、育てて行くということです...」
「はい、」
「私たちとしては...」青木が言った。「より高いレベルでの、“まっとうな参院選挙”を提
唱して来たわけですが...ともかく、自民党が、最悪のシナリオを選択したということで
しょう。小泉・前政権もそうですが、“壮大な時代錯誤”なことをやっています。戦前へ回
帰するようなことをして、どうしようというのでしょうか...
また、与党には、それ以前の問題として...“格差社会を創出”し、“建国以来の未曾
有の国家大混乱を惹起(じゃっき)”したという失政があります...この責任も、本来、免れ
得るものではありません...」
「はい!」茜が、唇を結んだ。
「この勝負は...」津田が、顔を和ませた。「小沢・民主党党首の勝ちということでしょ
う...
私たちは、〔人間の巣〕を提唱していますが、<2007・参議院選挙>は、勝敗というも
のが重要なカギになって来ました。まあ、これは、予想していたことですが、国民の怒り
は、想像を超えた大きな波に成長しつつあります...
それが、形となって、<2007・参議院選挙>に表れて行く勢いです...これは、民主
主義社会としては、健全な形です...いよいよ、国民が、大挙して動く、ということでしょ
う...」
「はい!」
「ここは、小沢さんに大勝してもらい...民主党にも、腰をしっかりと据えてもらいたいと
思います...そして、この国家の現状の中で...希望の旗印を、しっかりと掲げてもら
いたいと思います」
「そうです!」青木が、コブシでテーブルを打った。「ともかく、野党勢力が、“怒涛の大
勝!”をすることが、時代を大きく動かして行くと思います!
この“淀んだ社会の空気”に、“新風”を導きいれることが大事です!ここは、中途半
端なことではなく、投票率も上げ、“津波のような国民の意思”を、政治の場に反映させ
ることが重要です!」
「はい!」茜が、大きくうなづいた。