Weekly Journal第2編集室大川・平和戦略研究所核弾頭の安全性と核ジャック

                                                                                     【大川・平和戦略研究所】    

  新・核弾頭 本当に必要なのか?

                核爆弾の安全性//核ジャック対策・・・

          核戦略を超え・・・子孫に残す・・・〔人間の巣/千年都市〕/ 極楽浄土〕 

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プロローグ            ・・・・・・・ 2008.4.26
No.1 〔1〕RRW安全性と、核ジャック対策・・・ 2008.4.26
No.2      <核兵器の安定性・・・・・> 2008.4.26
No.3      <RRW1は、地球にやさしい核弾頭とは...?> 2008.5.27
No.4 〔2〕文明の折り返し/・・・武器よさらば・・・ 2008.5.27
No.5      “四川大地震”における、“プラント・821”の様相は・・・> 2008.5.27
No.6      核戦略を超えて...

          子孫に残す・・・〔千年都市〕・・・〔極楽浄土〕・・・>

2008.5.27
No.7      新しい危機の形態・・・自衛隊の再編成は、> 2008.5.27
No.8      <根本的な解決策は・・・ 〔人間の巣のパラダイム〕 2008.5.27
     

  

   参考文献:  日経サイエンス 2008/02

                スペシャルリポート・・・変貌する核の脅威

                   増える核保有国 M.フィシェッティ (SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

                   議論を呼ぶ核弾頭更新計画 D.ビエッロ (SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

 

  プロローグ       wpe56.jpg (9977 バイト)    house5.114.2.jpg (1340 バイト)

 

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My Weekly Journal》//第2編集室北原和也です...

  4月も末になると、すっかり春らしくなりますね...《核弾頭は更新せず、廃棄を

のページが長くなりましたので、新しく当ページを立ち上げました。よろしくお願いします。

 

  ええ...核兵器及び核戦略体系は、“文明の折り返し”を提唱している私たちとして

は、乗り越えて行かなければならない“旧・20世紀のパラダイム”です。しかし現在、未

だに、“核兵器の拡散”“原子力発電所の拡散”が進んでいます。これらの混乱要因

は、排除し行かなければなりません。

  さらに、“グローバル化の進展/・・・グローバル・ゲーム”は、人類文明にとって、核兵

器以上の脅威となっています。これは、確実に地球環境を沈没させて行くからです。私

たちは、このための方策として、〔人間の巣のパラダイム〕を提唱しています。

  ともかく、この核兵器の脅威を超えて行くためにも、まず核兵器そのものについて、よく

考察をして置かなければなりません。どうぞ、引き続き、よろしくお願いします」

 

  〔1〕 RRW安全性と、核ジャック対策・・・ 

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  北原が、冷めたお茶を一口飲み...時計を見て、茶碗を脇の方へ押しやった。

「ええ...さて、始めましょうか...

  前のページで考察してきたように...アメリカが保有する核弾頭が、製造からかなり

の年月が経過し、劣化しつつあると言われます。これらの老朽化・核弾頭を、新設計

RRW(Reliable Replacement Warhead)/高信頼性代替核弾頭に総入れ替えするという、25

カ年計画が、アメリカで進行しています...

  東西冷戦構造20世紀で終結している現在...そして、世界の脅威の対象が、テロ

による大量破壊兵器に変遷して来ている現在...旧・戦略体系ICBM(大陸間弾道ミサイ

ル)SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)核弾頭を、新開発のRRWに更新することが、果たし

て必要なのかということです。

  これは、全人類にとって、≪文明の選択/文明の大きな岐路≫になります。当然の

ことですが...こうした新開発の核弾頭を、もし使用したら...“地球温暖化対策”どこ

ろの話ではありません。地球生態系は、核戦争の果てに、“種の大量絶滅”へ追い込ま

れるのは確実です。こんなことをする権利は、むろんアメリカにはありません。

  つまり、RRWは...“絶対に使えない”...“覇権のため”の、“無駄な新型核弾頭”

という事になります...“非常に危険な”...“誰も望んでいない大量破壊兵器”の、

性的な開発という事になります」

  北原は、ポケットに手を突っ込み、モニターをのぞいている大川を見た。

「さて、大川さん...いったい、どうしたものでしょうか...

  アメリカのことではありますが、その標的になるのは、まさにアメリカ以外の国という事

になるわけです...日本としても、同盟関係にあるとはいえ、他人事では済まされませ

ん」

「ま...」大川が、手を伸ばし、冷めたお茶をゴクリとやった。「えてして...

  こうした無意味な、ロクでもない事をやっている時に...予想外の大事故というのは

起こるものです...そのことは、重ねて警告しておきましょう。

  その必要がなく...目標もなく...“漫然と危険物を扱っている時”ほど、危険きわま

りない状況はありませんな。また、こうした“不要な危険物”というものは、将来に、とんで

もない禍根を残すことになる予感がします」

「はい、」

「ま...

  “その程度のシロモノ/・・・覇権のためだけの玩具”なら、ここでキッチリと廃棄してお

くべきでしょう。それが、人類文明の叡智です。人類は今、あらゆる分野で、こうした知的

生命体としての叡智が試されています。アメリカが、好き勝手にやっていいという状況で

はありません。

  まず、この峠を越えなければ、知的種族として、生命潮流の最先端を進む道は、閉ざ

されるかも知れません...これが、限界という事です...つまり、ホモサピエンスは、次

新人類に入れ替わって行くのかも知れませんな...

  まあ、それは...“種の大量絶滅”の後、何十万年も後の...地球生態系の風景が

一変した後のことかも知れませんが...しかし、そうした数十万年後の世界というのも、

確実にやってくるわけです。

  その時、仮に新人類が出現しているとして...私たちの文明の遺物をどう思うでしょう

か...私たちは、そうした広い視野の中で、“文明の舵”を切って行かなければならない

という事です」

「はい...

  ともかく...核兵器の生産や、“覇権競争”をしているようでは、“地球温暖化”はくい

止められませんね。それが分かっていて、なかなか舵を切るという事ができませんね。

メリカは、それでもなお、“ガキ大将の地位”を確保したいのでしょうか...?」

「そういう事ですなあ...

  それぞれの既得権を越えて行くことが、何よりも必要な時に来ています...日本も、

独自の戦略が必要な時代になりました」

<核兵器の安定性・・・・・>          

                  house5.114.2.jpg (1340 バイト)    

「さて...」北原が、肩を回し、スクリーン・ボードを見た。「具体的な話に入りましょう」

  大川も、スクリーン・ボードを眺めた。

「大川さん...

  アメリカは、まずオハイオ級・戦略原潜の...トライデント型・SLBM(潜水艦発射弾道ミサイ

ル)W76核弾頭/100キロトンを、新設計RW1に入れ替えるという事ですね。

これはいったいどのように変わるのでしょうか。具体的には、何が変わるのでしょうか?」

「そうですな...いずれにしても、最高レベルの軍事機密です。しかし、公表されている

事はいくつかあります。その範囲で考えてみましょう」

「はい」

東西冷戦時代には...

  ともかく、最大の威力を得るために、MIRV(マーブ: 複数個別誘導再突入体/多弾頭独立目標再突入ミ

サイル)され、1基のミサイルに複数の核弾頭を詰め込んで来ました。そのためには、

発の核弾頭は、軽くすることが追及されて来たわけです。

  核弾頭ウラン容器肉厚を、できるだけ薄くしたというのも、その1つでしょう。その

ために、プライマリーの核爆発で、セカンダリーの核融合に火をつける、十分なマージン

を確保できるかという事に、不安があったというわけです。

  しかし、新型ではMIRVはなくなるわけで、ウラン容器肉厚も、それなりに厚くできる

という事でしょう。ここが、改善の1つになるようですな。まあ、そうなのか、といったところ

でしょう」

「はい...」北原がうなづいた。

「それから...

  何か不測に事態に、誤って爆発しないようにする、安定性も付加されるようです。それ

には、衝撃の影響を受けにくい、“安定な高性能爆薬”が採用されるようです。つま

り、適切に起爆された時以外に、“絶対に誤って爆発しない”ことが求められるわけです

な、」

プライマリーの、核爆発を起爆する火薬ですね...これも、当然なことですね、」

「まあ...

  兵器武器として安定し、進化してくれば当然のことです...開発当初の、しかも

戦態勢下では、そうした事は後回しになることが多いわけです。一連の核兵器にしても、

そうした事は言えるわけですな...

  RRW1では、そうした“安定な高性能爆薬”として...“トリアミノトリニトロベンゼン/

TATB”などの爆薬を採用するようです。この爆薬は、鉄筋コンクリートのブロックに、マッ

ハ4の速度で打ち込んでも、全く爆発は起こりそうになく、安定していると言います」

「そんな爆薬があるのですか?」

「うーむ...

  科学技術の進歩でしょう。この種の爆薬は、“燃えているガソリンの火を消すこともでき

る”し...“ガスバーナーの火を当てたとしても、ボロボロになるだけだ”と言います」

「油田の火災なども、こうした爆薬で吹き消すのでしょうか?」

「うーむ...そうかも知れません...

  ところでアメリカ軍では...これまで、そのような安全措置というものは、“必要なし”

してきたようです。米海軍1990年代初頭トライデント弾頭の1部を、こうした爆薬

置き換えるという提案に、“必要ない”として“ノー”を出しています。

  要するに、“既存の核弾頭”を、自分たちの手で“安全に管理”できるという、大きな自

負があったのでしょうな、」

「そうですか...アメリカ軍の空気というものを感じることができますね...」

  大川は、うなづき、髪をなでつけた。

「この他では...」大川が言った。「システムとしての安全性が挙げられています...

  RW1では、PAL(パーミッシブ・アクション・リンク)新たに搭載されるようです。これは、

兵器を作動させる際に、認証を要求するコンピューターシステムです...また、核弾頭

の内にも、同様のシステム実装することも可能です。

  ただ、この実装には、新たな核実験が必要でしょう。核爆弾本体の問題になります」

新たな核実験をやるわけですか?」

「いや...

  RWは、核実験をしないで新たな核弾頭を開発するものですから、核実験はない

でしょう。もっとも、兵器として組み込んだことのないプライマリー(核分裂ピット)の、“SKUA

9”を使うわけですから、こっちの方も、我々には判断ができません...

  もし、核実験なしに組み込むとすれば、そうした意味では別の不安材料が積み重なっ

ていくわけですな...」

「そうなりますね...まあ、“使う必要のない核兵器”なら、それもいいのではないでしょ

うか、」

「ともかく...」大川が、ほくそ笑み、腕を組んだ。「PAL(パーミッシブ・アクション・リンク)を新たに

搭載するには、それなりのコストがかかるようです。

  こうしたコストのかかる改良には、それが必要かどうか、“議論の余地がある”という事

でしょう...戦略・原潜搭載SLBMは、戦略・原潜そのものが、厳重な管理下にある

わけで、そんな必要はないという意見もあるのでしょう」

「しかし、大川さん...私は、アメリカ映画で、そのSLBM核ジャックされるのを見た

ことがありますが、」

「それは、微妙な映画ですねえ...

  ある種の警告の意味があるのかも知れませんな。ともかく、あらゆることが想定される

わけです。PALを新たに搭載するのであれば、それに越したことはないでしょう...

  B61・投下型核爆弾などの、他の核爆弾“寿命延長計画”では、安全装備を新規

開発するのではなく、暗号を複雑化するなどの措置が取られたようですがね」

「うーむ...B2/ステルス戦略爆撃機などから、投下する核爆弾ですね?」

「そうです...

  前にも言いましたが...B2には、B61−7B61−11B83−13種類の核

爆弾が搭載されます。合計800発が配備されています...その他に、予備がいくらか

あるはずですな...」

「そうか...予備弾というのもあるわけですね、」

「そうです...

  現在あるものは、1960年代〜1970年代にかけて設計された核兵器だと言われま

す。それらは、最初に配備された頃には、安全機能などはなかったと言います...そう

した機能は、徐々に付け加えられてきたわけでしょう。

  まさに、戦略爆撃機/B52のように、本体はそのままに、改良によって機能強化し、

兵器として進化させてきたわけです。ものによっては、まったく新しいものをつくり出すの

ではなく、その方がいい場合もあるわけです。

  しかし、あまりそれをくり返すと、そっくり新型に入れ替える必要も出てくるというわけで

すな...しかし、いずれにしても、“壮大な20世紀の遺物”です...」

「はい」

 

アメリカは...

  “2001.9.11/同時多発テロ”以降、数百万ドルを、“核兵器庫の安全性確保”

注ぎ込んだと言われます...それほど、あのテロは、アメリカにとって大きな衝撃だった

のでしょう。

  ところで、面白いのは...PALのような、コンピューターシステム・認証機能が...

“銃(ガン)、警備(ガード)、出入管理(ゲート)に頼る現状を...大幅に改善すると信じるに足る

根拠はない”...というのが、RRW計画を評価するために召集された、専門家会議の

見解のようです...」

「そうですか...そういう空気があるわけですね?」

「まあ、それに対し...

  所管のNNSA(エネルギー省/国家核安全保障局)は...短時間ではあるが、“核兵器をトラッ

クで輸送する際に乗っ取られる危険”に備えて、この新機能は必要だ...と主張してい

るようです...」

「まあ...」北原が、体を揺らした。「もちろん、そうした不測の事態は避けてもらいたい

ものですが...そもそも、核兵器そのものが、必要のないものですね...地球の衝突

コースに入った、地球近傍天体を排除する事ぐらいでしょう...」

アメリカは...今は必要なくても、この核兵器製造技術というものを、維持しておきたい

ようですな...それが、RRW計画真の狙いだという話も、聞こえてくるようです...」

「再び必要とする時が...果たしてくるのでしょうか?」

「さて、」大川が、ズボンのポケットに両手を突っ込み、スクリーン・ボードを眺めた。「そう

した危険以上に...こうした“危険物を持っていること自体”、非常に危険な事でしょう。

まさに、トラブルの種になります」

「はい...」

<RRW1/地球にやさしい核弾頭とは・・・・・?>    house5.114.2.jpg (1340 バイト)

                 

「さて、大川さん...」北原が、モニターから目を離して言った。「アメリカでは...

  トライデント型・SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)W76核弾頭/100キロトンを、新設計

RW1に入れ替えて行くという事ですね...RW1は、“地球にやさしい核弾頭”

いうことですが...これは何とも傲慢な話ですね、」

「うーむ...」大川が、タバコの煙を吐きながら笑った。

W76は...

  港湾軍事基地兵站(へいたん)軍需産業等を含む都市などを標的とする、ソフト・タ

ーゲット核弾頭ですね。いわゆる、相手の核兵器を標的とする、ハード・ターゲット

弾頭よりも小型のものですが、人的被害という点では比較になりません。

  いわゆる、ヒロシマナガサキのようになるわけですね。そんな大量殺人兵器が、“地

球にやさしい”とは、まさに傲慢でしょう...地球にやさしくても、人間には少しも優しく

はない...笑い話にもなりませんが...」

「まあ...」大川が、タバコを持った手を灰皿に運んだ。「そういうことになります...

  イラク戦争でも...最初は、トマホーク巡航ミサイルなどのGPS精密誘導兵器で、

事目標だけを破壊していました。それが今では、泥沼化しています。戦争とは、そういう

ものだという事です」

「しかも、人が集中した所で、自爆テロが頻発していますね」

ベトナム戦争のようにジャングルがない分、砂漠での戦争は、民衆ジャングルになっ

ているわけですな...非常に多くの、無辜(むこ/罪のない)を巻き込んでいます...」

「そうですね...」北原が、両腕を組み、大きく肩を傾げた。「自爆テロは、社会を非常に

不安定にします...恐怖と同時に、人間不信を増幅させますね...」

 

「さて...

  その欺瞞的な、“地球にやさしい核弾頭”ですが...それについて説明しましょう。何

故、地球にやさしいのかということです」

「はい。一体、どの程度、地球にやさしいのでしょうか?」

W76・核弾頭に入れ替える、RW1・核弾頭では...

  プライマリー(核分裂ピット/核融合を引き起こすための核爆弾)の、ベリリウム/Be(原子番号:4)など

有毒物質使用量を、減らせるということらしいですな...ベリリウムというのは、もろ

くて、発ガン性のある物質です。緑柱石として産出されますが、それそのものは、銀白色

の金属です...

  性質は、まあ、マグネシウムやアルミニウムに似ています。通常は、軽合金に利用さ

れますな。この元素はW76・核弾頭では、プライマリー核爆発によって放射される、

中性子をはね返し、連鎖熱核反応を起こさせるのに使われています...つまり、ほんの

一瞬、中性子を閉じ込めておくわけです...」

「はい...」北原が、両手を組んだ。

複数弾頭を詰め込む、ミサイルのMIRV(マーブ: 複数個別誘導再突入体)がなくなり、ミサイルの

重量制限も緩みました。そこで、多少重くても、“地球環境に害が少ない物質”を使うこと

ができる、ということですな...まあ、これはこじつけで、理由は他にもあるのでしょう」

「ともかく、大量破壊兵器でありながら...ほんのチョッピリ環境にやさしくなるというこ

とですね...それで、“地球にやさしい核弾頭”ですか、」

「その程度に、環境に配慮したというわけです...ともかく、ベリリウムの代わりに、

が食べても安全なぐらいな、非常に人に優しい物質を採用するそうです。デザートにでも

出せるぐらいな、」

「御冗談を...」

「はは...

  その代替えの物質は、実際、人体に埋め込む人工装具にも使用されているそうです。

およそ考え得る限りの...もっとも人にやさしい物質...だということです。しかし、そ

の物質が何なのかは、詳細は機密事項になるそうです」

「そうではあっても...

  プライマリー本体は、猛毒のプルトニウムの塊ですし、それで核爆発を起こすことに変

わりはありませんね。そこに使うベリリウムが、人体には無害な物質に替えられるという

だけのことでしょう...発ガン性などは、何の意味もありませんね、」

「その通りです。せめて、そんなことを言いたいわけでしょう...

  さて...RRW/新・核弾頭を製造することになれば...テキサス州/アマリロ/パ

テックス工場...ミズーリ州/カンザスシティー工場...テネシー州/オークリッジ/

Y−12工場など...アメリカ国内の、核兵器製造工場刷新が必要だと言われます。

  これは、実は、莫大な費用のかかる問題なのです...果たして、それだけの価値

あるのかという事ですな...」

生産ラインの刷新ですか...産業構造の問題になりますね?」

「そうです...

  もともと、これらの工場は相当に古いようですな。1940年代から稼働している工場

あるようです。ヒロシマ原爆が投下されたのは、1945年8月6日のですから、その時

代の工場もあるのでしょう。被爆国としては、非常に遺恨のある工場ですな...

  ブッシュ政権では、新・核弾頭の全部品を、1つの施設で製造するプランを、2007年4

に公表しています。それは、“コンプレックス2030”と命名されているようです。2030

というのは、プログラムの完了を目指す年だということですな、」

「すると...アメリカは、やはりRW計画を、最後まで推進するつもりなのですね?」

「さて、それは、どうですかな...

  “コンプレックス2030計画”が、仮に縮小されたとしても...RRW計画を遂行する

には、最新の設備の導入が必要だ”と言っています...まあ、我々のスタンスから言え

ば、全てが“時代錯誤の無駄な事業”という事ですがね...」

「はい、」

「しかし...

  アメリカは、それで半世紀以上もの間...地球を武力支配してきた実績があるわけで

す。経済支配背後には、武力支配バックアップがあったわけです。これは、なかな

か、手放せないという事でしょう...

  現在も、支持期待が衰えているとはいえ、最強/アメリカ軍の世界展開が、世界秩

序の重石になっているわけです。そして、その衰えた力を、日本にも連帯負担させようと

いうのが...アメリカ軍〔自衛隊〕の、指揮系統の一体化なのです。日本をも、この

“覇権体制”に組み込もうというわけです。まあ、小泉・政権が、強力に推進した事です。

  MD(Missile Defense/ミサイル防衛 )構想の推進は、その象徴でしょう...スタンダード・ミ

や、PACK・3で、慣性誘導/弾道弾ミサイルを、迎撃しようというやつですな。この

アメリカMD構想に参加しているのは、日本だけなのです...

  これは、実質的に、核弾頭ミサイルを迎撃するミサイル・システムであり、日本アメリ

核戦略体系の中に、完全に組み込まれるという事なのです...核兵器そのものを

保有していなくても、その迎撃システムの中に戦略的に組み込まれてしまえば、実質的

に同じ事ですな...むろん、我々は...これに“断固反対”をしているわけです...」

「うーむ...

  そういう事ですね。MD構想は、このまま進んでいけば大変な事になりますね。国民の

知らない間に、いつの間にか、“覇権体制”に組み込まれているわけですね。これは、

法違反ではないでしょうか?」

「まあ、集団的自衛権のあたりに抵触するのでしょう。このあたりは、野党各党の言って

いる事に、耳を傾けて欲しいと思います...

  ともかく、新たな“覇権体制”に、ガッチリと組み込まれてしまえば、そこから抜け出せ

なくなります。その上、今後、その核戦略体系の中で、経済的負担無制限で跳ね上が

ります。止めるなら、今のうちでしょう。

  それとは別に、MD構想というのは、その効果そのものが、非常に疑問視されている

ものです。ミサイルを空中で相殺するアクロバットのような戦略が、どれだけ有効なのか

という事です。条件のそろった時だけ、有効というものでしょう」

「これは、東西・連戦構造時代の戦略を引きずっていますね?」

「その通りです...しかし、やがて、このアクロバットのような戦略を、レーザー砲が可能

にするでしょう...もう少し先の話になりますが...

  まあ、我々のスタンスは、このレーザー砲に対し、〔人間の巣〕“万能型・防護力”

で、〔世界市民〕を守っていけると考えています。〔人間の巣〕万能性は、ここでも発揮

されるわけです...」

「はい。それにしても、一度手に入れた武力は、なかなか手放せないという事ですね」

 

「そうですねえ...ともかく...

  アメリカは、RW計画を推進するには...ロスアラモス/TA−55施設での、プルト

ニウム・ピットの生産量を、“大幅に増やさなければならない”と言っています。

  このTA−55施設では、2007年7月に、18年ぶりとなる新たなプライマリーの生産を

開始しているようです...NNSA(米エネルギー省/国家核安全保障局)製造担当補佐官/シェ

ンバウアーは、“私たちは、ピットを生産する能力はあるが、1年に1個〜2個を作るの

やっとだ”と言っています...

  まあ...こうした言葉だけ拾ってみても、何のことかは分からないと思いますが...

要するに、TA−55施設だけでは、生産能力が足りないということでしょう。RW計画

遂行している当局が、どんな雰囲気かは、かすかに伝わってくると思います...」

「はい...」

「ええ...つまり...

  RW計画では...新型・核弾頭そのものに加えて、製造設備の更新にも莫大な費

がかかるという事です。そして、果たして、それだけの価値があるものかという事です

な。何も生み出さない...“冷戦構造時代の核戦略体制を維持”...することが、“テロ

が脅威の時代”に、どのような戦略的位置付けになるかということです...」

「それは...」北原が、首をひねった。「まるで...

  日本国土交通省や、道路族のような...“時代錯誤の感覚”と似ていますね。“脱・

社会 〜 急速な人口減少社会”の中で、ただ惰性的に、無用な道路血税を流し込ん

でいるような...“時代の空気をまるで読めないというか...」

「はは...どこも同じですな...」

「それ自体が、まるで、“地球温暖化対策”に逆行していますね...

  道路もそうですが、無駄なRWを開発・製造するなら、〔人間の巣/未来都市/千

年都市〕を、展開して行くべきでしょう...大型ハリケーン/カトリーナの例もあります

し、竜巻では毎年のように町が破壊され、死者が出ています。〔人間の巣〕なら、これら

を完全に克服して行けます...」

「その通りです...

  アメリカでも、こんな使いもしない核弾頭に、莫大な税金を注ぎ込んでいますな。しか

も、日本と違って、めに議論されています...しかし怖いのは、それで実際に、

型・核弾頭が、開発・製造・配備されて行くということです」

「はい、そうですね...」

「そして、それが...

  人類社会の頭上に、文明の自爆装置として、セットされることが大問題です。誰が最

に、その大量破壊のボタンを押すかは問題ではありません。ともかく、それで人類文

泥沼化し...全生態系が沈没するという事です...

  〔世界市民〕としても、他人事では済まされません。アメリカにも、ロシアにも、そして

中国にも、そんな権利はないという事です」

「はい...

  日本道路建設もそうですが...核弾頭ミサイルもまた...旧パラダイムの遺物

という事ですね...20世紀の遺物/“文明の第2ステージ/エネルギー・産業革命”

の、暴走の残滓(ざんし/残りかす)だという事になりますね、」

「まさに、暴走の残滓でしょう...

  RW計画は、その暴走の残滓/負の遺産を、改良・継続しようというものです。こん

なことをしていては、“地球温暖化対策”どころの話ではありませんなあ...」

「そうですね...

  アメリカも、日本もそうですが、いよいよ構造的な不況局面に入って来ています。その

上に、気候変動で、社会インフラ全体根本的な大改造を必要としています。両国とも、

こんな事をしている余裕はないと思います」

「中国もそうですなあ...

  “四川・大地震”で、まさに大震災被害の真只中にあります...こうした中で、北京オ

リンピックを迎えるわけです...世界には、気候変動があり、サブプライム問題あり、

糧危機・飢餓があり、“地球温暖化”があり...世界中が騒然として来ました...

  いずれ、“覇権競争”どころではなくなるでしょう。その以前に、気候変動や、食糧危機

で、世界経済の大混乱がやって来るでしょう。こうした問題は、いずれも、武力では解決

のできない問題です」

「はい...

  気候変動による大災害は、世界中で顕在化しています。それに加え、“新型インフル

エンザ”パンデミック(世界的大流行)という、“時限爆弾”を抱えています。あえて、新型・核

弾頭などを開発しなくても、21世紀の人類文明は、十分に危機的な状況にあります」

「そうですな...非常に危機的な状況に突入して来ました...」

 

  〔2〕 文明の折り返し/・・・武器よさらば・・・

         

  “四川大地震”における、“プラント・821”の様相は・・・> 

 

「さて...」北原が、インターネット情報をのぞきながら言った。「中国“四川大地震”

被害の実態が、少しづつ明らかになって来ています...

  5月25日時点で...死者が6万人を超えています...さらに、行方不明者が推定2

万人以上...犠牲者は8万人を超えることは確実のようです...

  被災民も1200万人と言われていたのですが、現在は4500万人という報道に跳ね

上がっています。また、今日/5月25日にも、最大の余震/M6.4が発生しています

ね。新たな死者多数出ているようです。まさに中国は、四川省を中心に、

混乱の様相です。

  ええ...ともかく...

 

*******************************************************

  犠牲となられた方々、被災された方々、および関係者に、心よりの

哀悼の意と、お見舞いを申し上げます...

*******************************************************

 

  大震災は...日本でも、“首都/東京直下型地震“東海地震”“東南海地震”

“南海地震”等が予測され、他人事ではありません...こうした大災害には、互いに協

力し合い巨大危機を乗り越えていくことが必要な時代になって来ました。“新型インフル

エンザ”に関しては、特に国際協力が不可欠になります...

  当ホームページでも、大震災対策として...【災害救助船隊構想】【対震災・空

機動師団構想】【メガロポリスに、人間の巣型・災害対策拠点の展開を】等で、

本的対策を考察しています...」

「そうですな...」大川が言った。「道路建設よりも、はるかに優先順位が高いでしょう。

行政の、大規模な、敏速な対応が求められます。大震災が起こる前に、十分な備えが欲

しいですな...後になって、批判が起こらないような、真剣な対策をお願いします...」

「はい...ええ...

  こうした中で、私たちの課題は...“中国版/ロスアラモス(マンハッタン計画で、オッペンハイマ

ーが率いたロスアラモス)と言われる、中国/四川省に存在する“核兵器製造施設”ですね。

としては、あまり明らかにしたくない情報だと思います。しかし、こうした情報が、少し

ずつ流れ出してきていますね。これは情報開示という意味で、いいことだと思います。

  それから、5月20日に...中国当局の、周生賢・環境保護相が...“地震で32個の

放射性物質がガレキに埋もれ、そのうち30個を回収した”と公表しています...この

式発表と、放射性物質というのは、非常に微妙なタイミングです...

  また、2個が未回収となっているという事ですが、これは、大川さん、心配ですね?」

「そうですな...」大川が、ポケットに手を入れた。「まあ...

  その場所は、公表されていませんな...医療用だという話も伝わって来ています。果

たしてどうなのかは不明ですが、一応は、額面どうりに受け取っておきましょう...しか

し、この情報は、注目して行く必要がありそうです」

「はい、そうですね...やはり、何かがあったのかも知れませんね。それにしても、依然

として2個が未回収というのは、どういう事でしょうか?」

放射能漏れは確認されていないようですし...ひとまずは、大丈夫なのでしょう...」

「そうですね...

  あ、“核兵器製造施設”の話をする前に...震源地汶川(ぶんせん)から1000キロメ

ートル以内に、4つ“原発施設”があるようですね...

  ええと...“嶺澳”“大亜湾”...この2つの“原発”は、フランス/PWR製のようで

す。そして、“秦山”“原発”は...中国製カナダ/CANDU製が混在しているようで

す。それから、“田湾”のものは、ロシア/VVER製のようですね...

  ええ、大川さん...中国の“原発情報”というのは、私たちはあまり耳にすることはな

いわけですが...フランスロシアカナダなどが入っている様です...これらは核兵器

の開発とは、直接的な関係はないわけですね...今回は、地震による被害は無かった

ようですが...」

「そうですな...

  中国には現在、10基“原発”があります。まあ、核兵器直接的な関係があるかな

いかは分かりません。日本などとは、国家体制が違いますからねえ...

  ともかく中国は、経済発展における猛烈なエネルギー事情から、将来的には“原発大

国”を目指していると言われています。北京などの大気汚染状況も、早急にクリーンにし

て行くという、さしせまった事情もあるわけです...日本“原発の売り込み攻勢”など

も、相当なものがある様ですな...

  しかし、ともかく、現在までの所...“地震による原発被害”は伝わって来ません。

では“中越沖地震”による、“新潟県/刈羽原発”で、大被害があったわけですな。とも

かく、そうした被害情報は伝わって来ていませんな、」

「はい...」

 

「さて...」大川が、ポケットに手を突っ込みながら、モニターをのぞいた。「問題の、“中

国版/ロスアラモス”と言われる“核兵器製造施設”ですが、アメリカの暗号名“821”

です...

  四川省広元から綿陽にかけて...密林を切り開いた広大ながあるようですな。

この“プラント・821/Plant・821”は、まさに、中国核弾頭組み立て製造基地になっ

ているようです」

「はい...ええと...」北原が、インターネットのページをクリックした。「これが...偵察

衛星から見た“プラント・821の拡大画像です...日本の国際緊急援助隊が派遣され

た、青川に近いようです...」

「うむ...」大川も肩を寄せ、拡大画像をのぞいた。「うーむ...“四川大地震”以後、

メリカは、この“プラント・821”監視態勢に入っているようです。もちろん、各国の偵察

衛星も、ここに集中していますな。今のところ、“プラント821”無事だった様子です」

「そうですね、」

地震直後アメリカは...

  “5月16日午後4時現在、放射能漏れはない”...と、関係者が、匿名を条件に、こ

重要情報“NYタイムズ”リークしています...アメリカが、最も心配したのは、チェ

ルノブイリ型の大惨事だったということです」

「はい...そんなニュースを聞いています、」

中国の保有する核弾頭は...かつては200発と言われていましたが、現在は300〜

400発と推定されていますな。ともかく、この方面でも、軍備増強の方向にあるのでしょ

う。ともかく、中国の核弾頭に関しては、厚いベールに包まれているようです...」

アメリカは...」北原が、口に手を当てた。「何を持って...チェルノブイリ型の大惨事

を想定したのでしょうか...?」

「うーむ...」大川が、頭を傾げた。

“チェルノブイリ原発事故” は、1986年でしたね...

  ええと、あれは...旧・ソビエト連邦 (現/ウクライナ )の、 チェルノブイリ原発/4号炉

起こした事故でした。“メルトダウン”の後、“爆発”を起こし、放射性降下物が広い地域を

汚染しました。それは、日本でも観測されていますね。“最大の原発事故”ですが...」

「今回...何故、アメリカチェルノブイリの参事を心配したのか、詳しい事情は我々に

は分かりません。

  いずれにしても、核兵器“核兵器製造施設”が、こうした大震災下では、“非常に厄

介なもの”になるということですな、」

アメリカロシアについても言えることですね、」

「そうです...

  しかし、より脆弱な施設が想像されるのは、後発国ででしょう...インドパキスタン

核弾頭や、“核兵器製造施設”です。まあ、それでなくても、“新潟県/刈羽原発”のよ

うな事態もあります。

  “原発”も、巨大な核爆弾という側面を持つわけですな...ただ、必死にその暴走を

抑え...ゆっくりと爆発させているだけなのです...事故を起こしたら、その規模は、核

兵器の比ではありません。まあ、爆弾としてセットされているわけではありませんがね、」

「はい...“核廃絶”は、いよいよ“人類文明の至上命題”になって来ました」

「そうですな...

  “目的があいまいな危険物”が...漫然と存在していること自体...“最も危険な状

態”です...いい事は何もなく、悪い事だけが起こり得るわけですな...核弾頭などと

いうものは、何の意味のありませんな...」

「はい!」

 

核戦略を超えて・・・

       子孫に残す・・・ 〔千年都市〕 ・・・ 〔極楽浄土〕 ・・・  

              house5.114.2.jpg (1340 バイト)

「ええ...最後になりますが、大川さん...

  人類文明を発展させた、新石器時代から約1万年...世界4大文明が発祥してか

ら数千年...キリストが誕生した西暦/紀元で、2008年...ようやく、21世紀に突入

しています...

  また、地球が誕生してからおよそ46億年...それから、40億年前後の生命進化の

歴史があり...それから見れば、わずか1万年というのは、まるで蚊が飛んでいるよう

な風景ですね...

  しかし、その蚊の飛んでいるような存在の人類の文明は...恐るべき、核分裂エネル

ギーと、融合エネルギーを引き出しました。まさに我々は、その最先端にいるわけで

す...

  しかし、その莫大な核エネルギーは...まず、同胞の殺人兵器として開発されたわ

けですね。この時点で、すでに人類文明は、袋小路に入ってしまったのだと思います。し

かし、まだ、遅くはありませんね...

  核戦略下冷戦時代を乗り越え...共産主義〜資本主義超越し...文明の分散

化・多様性を、〔人間の巣のパラダイム〕で実現できる可能性が出てきました...〔人

間の巣/未来型都市〕は、その“開放系の小単位”で、あらゆる社会体制が可能です。

  資本主義/社会主義/宗教/芸術/学術〔理想郷〕が実現できます。それこそ、

〔極楽浄土/理想郷〕に、最も接近できる王道ではないでしょうか。そして、まさに今、

そこへを切る、“文明のターニングポイント”だと思いますが、」

「そうですねえ...

  60年ほど前に...“リトルボーイ”“ファットマン”という、2発原子爆弾/核分裂

爆弾が、爆撃機から日本の2つの都市に投下されました...しかし、今、我々が問題に

している核弾頭ミサイルは、ただの1度も、使用されたことはないわけです。

  その第2次世界大戦時2発にとどめ...人類が、核戦略下/冷戦構造時代を乗り

越えたということは、やはり人類の叡智として、評価していいでしょう。しかし、いまだに

その核弾頭を保持し、さらに開発・製造をしようとしているのは、人類文明に対する犯罪

行為でしょう。アメリカは、そのことをしっかりと考えて欲しいですねえ...」

「はい...」

「今後は、核兵器のコントロールは、これまでのように、うまくは行かないでしょう...

  核兵器が拡散して行けば、必ずそれは暴走します。管理・抑制が効かない中で、それ

必ず使用され、大量破壊テロの時代を招来します...人類文明が泥沼化して行くこと

になりますな...

  ともかく、こうした泥沼化を救う方法は...〔人間の巣のパラダイム〕という、新しい

文明形態です。〔人間の巣〕は、大量破壊兵器を無力化し、“究極的な地球温暖化対

策”を提供し...〔世界市民の生活基盤〕を、安定化させます...」

「はい...

  まだ実現していませんが、“衛星搭載のレーザー砲”に対しても、最大の防御力を発

揮しますね。宇宙空間から、都市が防護されることは、非常に大きいと思います。まさ

に、非常に強力“万能型・防護力”です...もちろん、そんな事態にならないことを望

んでいますが...」

  大川がうなづいた。

「まあ...〔人間の巣〕“万能型・防護力”は、今後、様々に注目されて行くでしょう。

それで、“覇権競争の時代”が、終息してくれることを望みます」

「そうですね、」

“原発”も含め、完全な核廃絶”をして行くべきでしょう...〔人間の巣のパラダイム〕

によって、それは可能です。〔世界市民〕が、心を一つにし、〔極楽浄土/理想郷〕の建

設へ、を切って行くべきでしょう」

「はい!」

新しい危機の形態・・・自衛隊の再編成は、> wpe6B.jpg (8881 バイト)

 house5.114.2.jpg (1340 バイト)   wpe12.jpg (16005 バイト)wpe67.jpg (34558 バイト)    

「ええと...」北原が、モニターをマウスでクリックした。「くり返しになりますが...

  “リトルボーイ/・・・ウラン型/ガンバレル式”は、ヒロシマに投下されたわけですね。

爆撃機は“B29/エノラゲイ”でした...そして、“ファットマン/・・・プルトニウム型/爆

縮レンズ式”は、ナガサキに投下され、爆撃機は“B29/ボックスカー”でした...

  この2例以後...世界中で、数万発核爆弾・核弾頭が製造されたわけですが、た

だの1度も、都市攻撃に使われたことはないわけですね。なんとか、第3次世界大戦/

偶発戦争は避けられたわけです。私たちは、今こそ、“核廃絶”を切って行くべきだ

と思います」

「そうですな...」大川が顎をなでた。「人類が発明した道具、あるいは武器の中で

れが1度も使われずに、廃絶されつつあるのは、おそらく核弾頭ミサイルが初めてでしょ

う。さて、それが、うまくいくといいですねえ、」

「はい、」

21世紀に入り...

  人類の社会規範/人間の精神性が、一段と脆弱(ぜいじゃく)になって来ています。これ

科学技術が、物質主義優勢にしたことも一因でしょう。また、いわゆる、ギャンブル

資本主義”が、人々の夢を奪い始めていますな...そうした中で、大量破壊兵器による

テロの危険性が増大しています」

「そうですね...

  世界構造が、壮大なギャンブルになってしまいました。これでは、落ち着いた豊かな文

...勤勉な努力による夢は描けませんね...まさに日本も、努力が認められず、

差社会・身分格差が進行しています」

「そうですなあ...

  ともかく...大量破壊テロの最右翼にあるのが核物質です。いわゆる、テロなどに使

用される類の、小型核爆弾や、核廃棄物/高濃度・核廃棄物をまき散らす“汚い爆弾”

です。それから、神経ガスなどの化学兵器...そして、細菌兵器ですな...

  こうしたものは、兵器として開発されていますが、いずれも比較的簡単に製造できる時

代になりました。日本での“地下鉄サリン事件”は、その象徴的でなものでしょう。非常に

危険な事態になりつつあります」

「はい...」北原が、強くうなづいた。「核物質も、ソビエト連邦の崩壊や、“原発”世界

的拡散で、管理そのものが非常に難しくなって来ています。核廃棄物の問題も、将来へ

の積み残しということでは困りますね、」

「それと...科学技術の進展ですな...

  特に、生物兵器は、個人レベルの研究までは、管理しきれないものがあります。遺伝

子テロ科学技術の暴走科学技術クラッシュということも...今後の、“新しい危機の

1つの分野”になると、考えられます」

“新しい危機の形態”ですね、」

「そうですな、」

「それで...〔自衛隊の再編成〕でも、こうした“真の危機”に対応した、新しい部隊

が必要だということですね...惰性的“戦争ゴッコ”ではなく...大震災や、科学技

術クラッシ感染症パンデミックなどが...いわゆる“真の危機”になるわけでしょうか」

「そうです」

“戦争ゴッコ”などは...現状では、2の次、3の次の問題なのではないでしょうか。こ

れは、スポーツの試合のように、相手/敵戦力が存在しなくては戦争になりませんね。

まさに、〔自衛隊〕には、日本上陸してくるような、敵戦力が見当たりませんね...来

るとしても、せいぜい難民でしょう...」

「そうですな...まあ、災害にしてもそうですが、想定外のことが起こるものです。それ

に、備えておくことは大事でしょう。

  しかし、実際の所...人間どうしでは、“話し合えば解り合える時代”になりました。そ

うした意味で、戦争の時代は過ぎ去ったということでしょう...今でも“覇権競争”で騒い

でいる人々は...それを職業とし、あるいはそこに、様々な既得権を持った人たちだけ

でしょう」

「はい。だいたい、そうだと思います」

「社会にとって、“真の危機”は、全く別の所シフトしましたな...

  そのことを、〔自衛隊〕は、もっと深く認識して欲しいと思います。ミサイル戦闘機

戦車等は...現状では全く必要がないとは言いませんが...戦略的には〔人間の巣〕

/“万能型・防護力”で、対処できるでしょう...

  これからは、文明の操作するエネルギー形態も、“文明の第2ステージ/エネルギー・

業革命型”の、<粗野な熱運搬型・巨大エネルギー>から、“文明の第3ステージ

/意識・情報革命型”<微細な情報運搬型・稠密エネルギー>へシフトして行くよう

ですな、」

高杉・塾長が、そんな事を言っていますね...生態系の本質は、本来、<情報運搬

型・稠密エネルギー>の方で動いていると言っています...」

「それが、生命潮流/進化のベクトルでしょうな、」

「はい...」

 

「まあ...ともかく...

  “旧来の古典的な敵”よりも...21世紀文明の足元を洗い始めた...文明社会の防

御ラインは大丈夫かという事です...大震災気候変動科学技術クラッシ感染症

パンデミックの方が...桁違いの犠牲者を出すという事ですな。そうした、“真の危機”

への備えを、万全にして欲しいという事です。

  現在進行中の、中国/四川の大震災を見ても、それは理解できると思います...基

地内にゴルフ場を造って、コソコソと遊んでいる時ではないでしょう。やることは、山ほど

あります。“新しい形態の危機”に、全力で対処して欲しいという事です。

  それこそが、今後の〔自衛隊〕“真にやるべき仕事”だという事です。そして、何より

も、“国民と一体”となって、“国民の信頼”を得て、歩んでいくことが求められます...」

「はい。そうした意味では...

  〔自衛隊〕は、その6割・7割までが、いわゆる“戦争ゴッコ”をしていると考えていい

のでしょうか...ミサイル防衛しかり...戦闘訓練しかり...汚職構造しかり...あ、

それと、ゴルフの練習しかりですね...

  様々な訓練/厳しい訓練は確かに必要ですが...“真の危機に対応した訓練”をし

て欲しいですね。国民に迫っている“真の危機”は、武力で排除できる性質のものではな

くなって来ているという事です。

  本当に怖いのは、“新型インフルエンザのパンデミック”や、“大震災・火山爆発”など

災害の方だと思います。こうした“真の危機”に対処する、大機動力資材を調達して

おいて欲しいものです。そして、そのための訓練とすね。また、その事を国民に知ってお

いてもらう事も大事です...それが、真の〔国家の防人(さきもり)だと思います...」

「まさに、北原さんの言う通りでしょう...

  そうした意味では...原子爆弾開発・製造した“マンハッタン計画”も、そうした危機

の部類に入るものです...あれは、“人類文明の危機/文明の袋小路”を承知で、故意

に開発したものです...そして、そのミッションは...アメリカRW計画で、現在も

進行というわけです...」

「うーむ...そうですね...」

「また、少し視点が変わりますが...

  生物技術/生命技術では...意図とは別に、“非常に危険なもの”が生み出される

可能性が大きくなって来ました。あるいは、生命技術管理面等で、“非常に危険な事

になり得る事例”が、すでに出始めています...

  遺伝子の操作や、発生の操作が、すでに展開していますが、こうしたものが、“生態系

を大きく狂わせて行く可能性”があります。短期的な成果が、長期的生態系を狂わせ

て行く可能性が出てきました。

  沈黙の春(レイチェル・カーソンの著書)以上に、劇的地球生態系擾乱していく可能性

ありますねえ...また、そうした生物技術が、テロに使われる可能性もあります。科学

技術が、テロのような犯罪に、非常に大きな力を与える事になりますな...」

 

「ええ...」北原が、背広の前ボタンを外した。「いずれにしても...

  テロが...“新たな脅威になる時代”ですね...そうした犯罪心理は、千差万別にあ

りますから、防ぐのは難しいですね。そうした大量破壊テロから、社会を守るのには、どう

したらいいでしょうか?」

「そうですな...」大川が、背中を伸ばして腰に手を当て、天井を見上げた。「これも、

本主義の暴走/グローバル化の弊害でしょう...

  実は、大量破壊テロが存在すること自体が、人類文明の極度の集中から来る、構造

的な危機なのです。人類文明は、全生態系を凌駕し、その存在が異常に過密になり、か

つ、異常に巨大になりました。それゆえに、大量破壊テロが起こり得るのです...

  改めて言うまでもありませんが、これは非常に歪(いびつ)な状態です。しかも、危機的状

です。そうした中で、人類自身自爆テロをやるのが、大量破壊テロであり、新・核弾

開発・製造ですな...」

「うーむ...そういう事ですねえ...」

 

根本的な解決策は・・・ 人間の巣のパラダイム

                    house5.114.2.jpg (1340 バイト)  

「さて...」大川が言った。「重複しますが...

  大量破壊テロに対しても...〔人間の巣のパラダイム〕が、根本的な解決策を与える

ことになるでしょうな...また、パラダイムとは別に、大量破壊テロそのものも...何度

も言ってきているように、“万能型・防護力”〔人間の巣〕が、その物理的な万能性を発

揮します

  パラダイムについて言えば...〔人間の巣〕が展開すれば、大量破壊テロそのもの

が、大量破壊という意味において、不可能になりますなあ...人類文明は、分散化・自

給自足化した上に、“万能型・防護力”という、“強力な殻を獲得”することになるわけで

す。これは、“種としての構造的な進化”につながって行くようですな」

高杉・塾長は...この“構造的進化”は、“私たちの想像を絶する”と言っています

ね。そうした所まで、進化して行く可能性がある、と言っていますね、」

「そう言っていますねえ...

  “新陳代謝”/・・・“生命システムの永遠性”を、そのに取り込んでいくという事のよ

うですな...単細胞生物には、そもそも多細胞生物のような、寿命というものがないと言

います。実際に、36億年も生き続けている個体が、存在する可能性があるといいますな

あ...“新陳代謝”によって、それが可能なのですかねえ...」

「はい...そのあたりは、よく理解できませんね、」

「まあ、いずれにしても...そうした進化は、遠い将来のことでしょう...それに、現在

のままの形態では、そうした事は起こらないでしょうな...進化とは、そうした想像を絶

したものなのでしょう...」

「はい...ええ、話を戻しますが...

  〔人間の巣〕小単位で...それぞれ第一級“耐核シェルター”になれば...核戦

そのものが成立しなくなりますね...核の脅しが、効かなくなります...核弾頭も、

〔人間の巣〕に対しては、通常弾のような威力になってしまいます。

  それから、この“万能型・防護力”は、化学テロ細菌テロに対しても、究極的防護力

を発揮しますね。“地球温暖化対策”や、自然災害気候変動克服ばかりでなく...」

「そうですな...

  いずれにしても、肝心なのは、〔人間の巣のパラダイム〕による、“文明の折り返し”

でしょう。グローバル化ではなく、文明の分散化・多様化を切って行く時です。そし

て、そのこと自体が、“資本主義の縮小”を意味することになるでしょう。“ギャンブル資

主義”に、歯止めをかける事になりますな、」

「はい、」

【開発・発展型の経済原理/・・・市場主義/資本主義】は、もはや明確な限界が見

えて来ました...また、人類文明が存続して行くためには...【エコ/文明の存続】

いうパラダイムが、まさに“文明の焦点”になって来ましたな...」

「はい...このパラダイム・シフトは、早いほどいいわけですね」

「そうです。時代錯誤の、新型・核弾頭を配備している時ではないということです」

「はい!」北原が、大きくうなづいた。

         

             house5.114.2.jpg (1340 バイト)

「ええ、北原和也です。長い間、ご静聴ありがとうございました...

  今、人類文明は、文明の拡大/グローバル化から文明の縮小/分散化・

多様化という、“文明の折り返し点”にあります。様々な構造的危機は、この

“文明の折り返し”によって解決されます。時代的不安は、打開に向けて、

むべき方向と、その手段が、しだいに明確になりつつあります。

 

  【開発・発展型の経済原理】から、【エコ/文明の存続】へのシフトは必至

です。また、プログラムとしては、〔人間の巣のパラダイム〕で、人類文明が

軟着陸できる可能性が開けてきました。この文明の折り返し”は、早いほど

いいわけです。“巨大危機”が、輻輳(ふくそう)してやって来ています。一刻も、

い決断が必要です。早いほど、それだけ混乱は回避されます...

  “北海道/洞爺湖サミット”で、この方向性を打ち出して欲しいですね...」