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  災害/救助船隊構想  

    
                                     
対震災/ 空中機動師団 構想 

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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード      担当 :  大川慶三郎/中西 卓/折原マチコ 

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プロローグ      <具体的に、何を準備するか> 2003.10.03
No.1 〔1〕 災害救助船隊の創設 2003.10.03
No.2      ≪マチコレポート  No.1≫ /メガフロート 2003.10.03
No.3 〔2〕 空中機動師団の創設 2003.10.03
No.4      ≪マチコレポート  No.2≫ / 2003.10.03

       

プロローグ                 room9.1292.jpg (1837 バイト)    

                          <具体的に、何を準備するか>


「大川慶三郎です。

  9月26日早朝、北海道で“2003年・十勝沖地震”が発生しました。一方、日本の

首都圏は、“関東大震災以来80年間の静寂”が続き、いよいよもって不気味さが増

幅しています...

 

  そんな折、政府の中央防災会議は、静岡県の駿河湾から、四国沖を震源域とす

る、<東海・東南海・南海>地震が同時に発生し、“超巨大地震”となった場合の、

被害想定を発表(/9月17日/地震・噴火掲示板に掲載しました。ここでは、M8.7、死者は最

悪の場合、2万8300人に達するとしています。阪神・淡路大震災の数倍の犠牲者

になります...

 

  さて、では私たちは、こうした被害想定に対して、どんな準備をしたら、被害を最小

限にくい止め、社会全体で弾力的に対応できるのでしょうか。地震の予知・被害想定

に対し、“具体的に何を準備するか?”...ここが、私たち国民にとって、最も大事

な所です...

 

  このページでは、私たちスタッフが、独自にその“戦略”及び“作戦”レベルの構想

探って行きたいと思います。いずれも未熟者ではありますが、ひとつ、よろしくお願

いします...」

 

                      index.1101.jpg (2487 バイト)             

「ええ、中西卓です...

  大川さんから言われ、幾つか、私なりに試案を用意しました。それは、“災害救助

船隊”を常設し、訓練をしておくという構想です。

  これに関しては、すでに津田・編集長が、“OPINION”で、国際・救助船構想

考察しています。今回は、それをさらに拡大し、“超巨大地震”に対応した規模の、

“緊急展開型・災害救助船隊”を構想しました。

  また、首都圏、東海、東南海、南海の大震災を想定し、本格的な物資の集積

仮設住宅の準備、その候補地の選定なども、事前に決定しておくことが求められま

す。東京都の三宅島では、噴火によって全島避難が行われ、すでに3年以上が経過

しています。こうした火山災害にも、機敏に展開できる大量移動手段や、大量の居

住施設があることが、国民にとって大きな安心になります。貴重な教訓とすべきで

す」

 

「日本は、細長い島国であり、世界有数の地震多発地帯です。しかし、ほとんど全て

の大震災や火山災害は、海からのアプローチが可能です。この、海からの、大規模な

災害救助作戦が展開できるのは、日本列島における自然災害の、大きな特徴では

ないでしょうか。

  それならば、海からの緊急展開型/災害救助船隊は、それこそ大きな助け船

になります。災害救助船隊には、病院船被災民収容船も加え、間髪をいれ

ずに被災地の海岸線に投入します。しかし、阪神・淡路大震災クラスの巨大な被害

になると、さらに大きな戦略的な構想が必要になります。

 

  それを、これから、私たち3人のスタッフで考察しようと思います。大川さんが言い

ましたが、いずれも未熟者です。批判や別の意見は、多々あろうかと思います。しか

し、まずは“叩き台”として、思い切ったプランを出してみました...

 

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「ええ...お久しぶりです!折原マチコです!

  中西さんと一緒に、陸上自衛隊の空中機動力の運用について考察しました。海か

ら強力な災害救助船隊がアプローチできても、実際には中型・大型船の接岸は難し

く、被災地も地震直後は大混乱です。また、余震の心配もあります。したがって、大震

災では、ヘリコプター部隊による、空中からの大規模な支援が不可欠です。

  私たちが構想した、“対災害・空中機動師団”の主力は、大型・中型輸送ヘリが中

心になります。規模は、500機から600機...それに、補給部隊などもつくわけで、

相当に大きな自己完結組織になります。

  うーん...もう一度言いますが、師団規模の“対災害・空中機動部隊”となると、

非常に大きな機械化部隊になります。また、地震の被害を想定すれば、分散して展

開することになり、実際の機動的運用は、もっと小さな部隊になます。でも、大震災で

の展開となると、膨大な数の輸送ヘリが集中することになり、空域管制も必要になる

と思います。

 

  日本には、これまで、この種の本格的な空中機動部隊というのはありませんでし

た。おそらく、世界にも無いと思います。でも、地震大国の日本であっても、首都圏の

大震災は、最大級の国難です。今後は、自衛隊の主要任務の1つとして、“大震災

対応”が大きくクローズアップしてくると思います。

  うーん...私は、軍事方面のことはよくは分らないのですが、自衛隊も“冷戦時代

型”から、21世紀対応の“ハイテク・対テロ・災害救助型”に転換すべきだと、大川さ

んが言っていました。戦車砲や自走榴弾砲の命中率を上げるよりも、差し迫った確実

な危機は、大震災の方にあると言っています。

  うーん...もう少し言い換えた方がいいかしら...ええ、こんな時代ですから、

“武威”というものはもちろん必要です。そして、軍隊というものは、一朝一夕に育つ

ものではありませんから、継続は必要です。また、こうした無用の長物にこそ、“価

値”があるのだと、大川さんは言っていました。でも、全体としては、時代に即したも

のに改変していってほしいということです。

  ええ...だいぶ前から、自衛隊の師団の再編が進んでいるわけですが、一部

は、普通科部隊も含めて、是非大震災対応型にシフトして欲しいと思います...

それから、“レスキュー隊”や救急車は、消防署の管轄になるわけですが、阪神・淡

路大震災を見ても分るように、とても消防署で対処できる状況ではないわけです。自

衛隊の出動が不可欠になります...」

                                   wpeA.jpg (42909 バイト)                    

 

 

 〔1〕 災害/救助船隊の創設        room9.1292.jpg (1837 バイト)

           < 海 援 隊    

 

「さて...」大川が、片手をポケットに突っ込み、作業テーブルの前で言った。「いよい

よ、首都圏・直下型地震をはじめ...東海・地震、東南海・地震、南海・地震...

るいはそれらが連動した“超巨大地震”の話が盛り上がってきたようです...

  では、“実際に、私たちは何をするのか?”、と考えた時、具体的なことは“ほとん

ど何も分らない”“どうしていいか分からない”...というのが実体ではないでしょう

か...1995年の阪神・淡路大震災はあまりにも無策でした。しかし、あれに水彩

絵具で色を付けたようなものでは、基本的には何も変らないわけです。このままだと、

おそらく、どうもそんなことになるような気がします...」

「はい」中西が言った。「今、起こったら、そうだと思います。防災の日などに、色々な

想定をして訓練をしていますが、直接参加していない大多数の国民には、どうも身が

入っていない気がします」

「うーむ...

  まあ、ここは、行政が率先して、“災害救助船隊”などを編成し、阪神・淡路大震災

の時とは根本的に違う、本格的な災害救援体制を敷いて欲しいね。まず、具体的

に、すぐ手に入る中古船を集め、“病院船”“被災者収容船”を、早急に準備して置

くことが必要です。

  ともかく、大量のケガ人や重傷者が出るわけです。また、おおぜいの病人が、病

院から放り出されるわけです。したがって、まず大量のケガ人や病人の収容を、真っ

先にやらないといけないわけだ...それから、何が必要かな?」

「そうですね...

  ともかく、緊急に必要なのは、衣・食・住です。それらを、被災地の海岸線まで持っ

て行くことです。そのために、病院船物資の補給船や、被災者収容船が必要にな

るわけです

  また、こうした“海上基地”と被災地とを結ぶ、小型船舶輸送ヘリなどの、緊急輸

送システムが必要になります。これらの輸送力で、食糧や水を被災地に運び込み、

ケガ人や病人、それから子供や老人などを優先し、順次、目と鼻の先にいる船に収

容していくことになります。船は、地震の揺れに対しては強いですから、安心です。

  あとは、基本的には、そのピストン輸送になります。船も、さらに大型のフェリーな

どを急行させ、安全な陸上へのピストン輸送になります。しかし、実際には被災地域

や被災状況によって大きく変わってきます。

  それから、陸上のライフラインが回復した後でも、病院船などは、半年とか1年と

かのスケールで、近くの港に留まることになると思います...」

「うーむ...“災害救助船隊”というのは、どんな編成で、どのぐらいの規模になりそ

うですか?もう少し詳しく言うと、」

「はい...即、被災地の海岸線へ急派できる、病院船被災者収容船は、小型・中

型船で、10隻程度は出動待機態勢にしておきたいですね。大震災や大津波で、そ

の何割かが被害を受けるかも知れません。しかし、分散配備しておけば、全滅する

ことは無いと思います。

  それから、被災地と海岸線近くの“海上基地”を結ぶ“働きバチ”が必要です。マチ

コさんも言いましたが、船が海から接近しただけでは、何の役にも立ちません。その

間を埋めるヘリ小型船水陸両用のホバークラフトがどうしても必要になります。大

型のホバークラフトだと、重機のクレーンブルドーザなどがまとめて運べるので、是

非、備えておきたい装備です。

  まあ、緊急展開ということなら、ヘリ空母があれば一番いいわけですね。それも、

軍事仕様というよりは、災害救助仕様で、大きい船がいいと思います。おそらく、救助

船団の中心になり、旗艦となるような船です。

  それから、3日から1週間後には、数万トンクラスの民間フェリーや、燃料補給の

ンカー、そして大型病院船も送り込める体制を敷きたいですね。まあ、大型病院船の

ようなものは、自衛隊の護衛艦のような体制で、何隻かは常備しておきたいですね」

「うむ...これらを、何処が管理するかによっても、即応体制が違ってくるだろうね、」

「はい。それで、名前を“船団”にするか、“船隊”にするか、考えたりしました。海上自

衛隊なら、“船隊”でしょうか...」

「うむ...自衛隊が一元管理するか、海上保安庁とか、自治体が一部管理するのが

いいか...」

「はい、」

「まあ、大震災対策を進めている都や県レベルでも、災害救助船を独自運用できれ

ば、多様な運用が可能になるねえ...ま、ともかく、住民と密着しているのは、自治

体なわけだから...」

「そうですね...

  さっき、マチコさんが陸上自衛隊のことを言っていましたが、海上自衛隊もまた、

変わる必要があるわけです。冷戦時代核ミサイルを搭載したソ連の原潜は、もう

港でスクラップになっているわけです。対戦哨戒機/P3Cオライオンの体制は、事実

上必要ないわけです。これを、災害救助船隊に転換して欲しいですね。大震災は、日

本にとって、最大級の国難ですから、」

「まあ、それは間違いない...」

「国家・国民を守る、海上自衛隊の新しい任務のひとつとして、“大震災・大噴火/被

災地への海上支援”に力点を移して欲しいと思います。そうなると、当然新たに建造

して欲しいのは、高速のミサイル巡洋艦(護衛艦)ではなく、ヘリコプター母艦型の災害

救助船ということになります。

  この種の船を、最初から戦闘艦仕様にしないのなら、かなり大型で、対災害装備

の充実した船ができると思います。病院施設被災民収容施設ホバークラフト

ンジン付きゴムボートなども、余裕を持って搭載できると思います」

「ふむ...」

「ミサイル護衛艦は、これまで実際の戦闘でその能力を発揮したことは無いわけで

す。しかし、災害救助船は現場への急行は多くなると思います。それから、体制に余

裕ができれば、津田・編集長が“OPINION”で言っていたように、海外の災害現場

への急派というような、国際貢献の道も開けてくるわけです」

「うむ...」大川は、大型スクリーンに映っている、海上自衛隊の新型・イージス艦を

見つめた。「...イージス艦で、北朝鮮のノドンテポドンを打ち落とすのも重要だ

が...予想される大震災から国民を守るのも、自衛隊の大事な任務の1つというわ

けだな」

「はい...国民を未曾有の大混乱から救う重大任務です。転換可能な予算、人員

配置、シミュレーションや訓練等を、“大震災型”にシフトして欲しいですね。非常に忙

しいことになると思います。

  また、国全体で、大震災の意識を高めるためにも、こうした目に見える形で、準備

を整えて行って欲しいですね」

「うむ。他に、何があるかね?」

「そうですねえ...

  “メガフロート”が、防災拠点として使われることが考えられます。ええと、マチコさ

ん、メガフロートの説明をしていただけますか、」

「あ、はい!」

  マチコが、作業テーブルの上のリモコンを取り上げ、壁面の液晶スクリーンを回復

した。大スクリーンに、“メガフロート”の実験モデルが表示された。

≪マチコレポート  No.1≫   

     【メガフロート】                 


「ええ...この“メガフロート”の“メガ”というのは、大きいという意味よね。

“フロート”というのは、浮き袋の意味です...それで、“メガフロート”を日

本語で言えば、“超大型・浮体式構物”ということになります...

  この“メガフロート”の研究は、1995年度から始まりました。そして、

1999年には、大型浮体モデルが、神奈川県の横須賀沖に完成していま

す。ここは、地図で見れば、東京湾の入り口になるかしら...

 

      全長1000m、幅60m(/1部は121m)、深さ3m

         ( 約3万7000トンの鋼材で出来ています/耐用年数100年 )

 

  ええと...この大型浮体モデルは、1999年の完成直後から、“防災拠

点”としての実証実験や、航空機の侵入実験なども行っています。もちろ

ん、これは実験モデルで、本格的なものは全長数キロメートルのものが構

想されています。

  今後、条件が整えは、“海上空港”、“物流基地”、“エネルギー基地”、

“レジャー施設”などへの展開が予想されます。また、海に浮いていること

から、地震にも強く、津波にも耐えられる規模で、“防災拠点”としても注目

されているわけです...

  是非、東京湾の奥にも、こうした“メガフロート”が欲しいですよね。通常

時は、“物流基地”などでもいいわけですが、非常時には“防災拠点”とし

ての機能を発揮して欲しいと思います。

  日本の首都・東京ですから、地震や津波の影響を受けない、巨大な防

災拠点があっていいと思います。万一の場合には、ここに政府等が移れる

ような施設も、しっかりと準備しておいて欲しいと思います...

  ええーと...こんな所で、いいかしら?」

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「はい、マチコさん、ありがとうございました!」中西が言った。「こういう方面でも、大

震災対策は...まあ、着々と進行しているということですね...」

「はい!」マチコが言った。「思い切った構想を、ジャンジャンとやって欲しいと思いま

す!そうすれば、日本人も日本の国も、アイデンティティーを回復し、元気になるので

はないでしょうか!」

 

 〔2〕 対震災/空中機動師団の創設   room9.1292.jpg (1837 バイト)    

      地震直後・・・対災害/空中機動部隊・・・数百機のヘリ・・・>

 

                              

 

「ええ、プロローグで...」中西卓が、言った。「マチコさんが、大震災対策として、“空

中機動師団”の創設について触れました。次はこの“空中機動師団”“緊急・空中

展開部隊”について、少し詳しく考察したいと思います...」

「はい!」マチコが、うなづいた。

  彼女は、スクリーンに、9月1日の防災訓練の様子を映し出した。3人で、しばらく

その様子を見ていた。

「さて、大川さん...」中西が言った。「まず、こうした空中支援の、現状というもの

は、どうなのでしょうか?どこまで、私たちは期待していいのでしょうか?」

「そうですねえ...

  あの阪神・淡路大震災以後、出動態勢は整ってきていると思います。ともかく、あ

の阪神大震災の時は、ヘリ部隊の出動要請は無く、空からの消火活動も無く、街は

ただ燃え続けるばかりでした...

  ヘリ部隊は可能な限りの準備を整え、今か今かと命令が下るの待っていたと聞

きます。しかし、当時の村山・総理大臣の命令は、ついに下りなかったわけです」

「はい。あの当時は、自民党と、社会党と、新党・さきがけが連立政権を組んでいま

した。そして、村山さんは社会党の委員長であり、かつ総理大臣という重責にあった

わけですね」

「そういうことです...」

「自衛隊を動かさなかったのは、長年にわたる社会党の大方針から、並々ならぬ抵

抗感があったからでしょうか?」

「まあ、直接聞いて見なければ、本当の所は分りません...」大川は、やや首をかし

げた。「しかし、あの状態で、ヘリの出動要請を断わりつづけたというのは、よほどの

理由があったからでしょう。しかし、その面子ために、多くの人命が失われたというこ

とがあるのなら、まさに言語道断です」

「そうですね、」

「まあ、しっかりと当時の実態を解明し、責任を明確にし、同じ過ちをくり返さないよう

にしなければなりません。そうしておかないと、そんなことが許され、また似たような

過ちが繰り返されることになるからです」

「はい」中西が、うなづいた。「今度は、自衛隊が、もう少し自発的に動けるようになっ

たようですが、それで大丈夫なのでしょうか?」

                                                

 

「うーむ...まだまだ、物足りないですねえ...

  そこで、今回、1個/普通科師団を、空中機動師団に改変するぐらいの規模で、

“対災害/緊急展開部隊”を創設できないかと、中西君に調査を依頼したわけです。

  まあ、各師団から中核になる輸送ヘリを集め、新師団を創設してもいいわけです。

いずれにしても、大量の各種ヘリとパイロットを集中しなければならないし、支援体制

も整えなければならないわけです」

「はい、」

「ともかく、いま緊急に日本の国に必要なのは、戦車や自走砲ではないし、それを使

いこなす訓練でもないわけです。むろん、必要ないとは言いません。しかし、より急を

要する危機は、首都圏の大震災に対処する、自衛隊の大機動力の訓練です...ま

た、そのための、システムの構築です」

「自衛隊も、現在、師団の再編成をやっていますね」

「そうです...」大川がうなづいた。「ま、首都圏の大震災に、機動的に備えること

が、国防上も最大級の任務になって来るはずです。そこで、日本で唯一、実践的な大

機動力を持つ自衛隊を、大震災対処型への改変することが、急務だと思います...

  首都圏には現在、都市ゲリラ対処型第1師団がいます。それから、千葉県の習

志野に、自衛隊唯一の空挺部隊である第1空挺団がいます。しかし、それとは別に、

本格的な大震災対処型空中機動師団が欲しいですね...まあ、このあたりの細

かな配置や編成替えについては、私は詳しいことは分りません。

  ともかく、日本の全人口の1割が集中している政治経済の中心地域に、確実に大

震災が予想されているわけです...こんな危険なことはありません。可能な限りの

対策をとらなければ、為政者の怠慢というものです」

「はい...

  それから、<東海・東南海・南海>地震や、それらが連動した“超巨大地震”に対

しても、十分な“空中機動部隊”の配備が必要です。危険なのは、首都圏だけではあ

りません」

「もちろん、そうです。ともかく、地震や津波、噴火の被害には、空からのアプローチが

最も有効です。何と言っても、足元の地面が不安定になるわけだからねえ。

  それから、空中機動師団の創設に伴い、各種装備の研究開発補給物資の集積

被災者の後方輸送体制なども、師団規模で調整訓練をしておく必要があります。

  まあ、この何割かは、災害救助船隊との共同作戦になるわけです...」

「はい。海岸線にまで、災害救助船隊がアプローチできても、実際には中型・大型船

の接岸は難しいですね。被災地も、地震直後は大混乱で、空中からの支援が中心に

なると思います。

  それから、地震の被害を想定すれば、空中機動部隊は、分散して展開し、リスクも

分散する必要があります。地震で、基地が壊滅したしまったのでは、何の意味もあり

ません。

  あの、“メガフロート”のような基地なら、水に浮いているわけで、空中機動師団の

中核基地としても、最適かもしれません。燃料の備蓄や各種支援体制なども考慮す

ると、東京湾の奥に浮かぶ“メガフロート”は、空中機動師団の威力を発揮するに

は、最適かもしれません。ともかく、地震や津波による被害は、相当に軽減できるは

ずです。

  それから、最大級の大震災ともなると、大量に輸送ヘリが集中することになり、

域管制も必要になると思います。また、大量の民間ヘリパイロットの活用も、事前

にしっかりと編成しておくべきです。

  そして、マスコミ等のヘリの活用も、しっかりと自主管理主体を儲け、事故の未然

防止に当って欲しいと思います。摩擦を避けるためには、大災害以前からの調整と、

信頼性の高い窓口が必要になります...」

「そうですねえ...

  実際に、大震災に対応して、“災害救助船隊”“空中機動師団”を創設して行くと

なると、様々な過程で、膨大な問題が出てくるだろうね。まあ、その各段階で、しっか

りと知恵を出して欲しいと思います」

 

  ≪マチコレポート  No.2               


【バーチャル空間座標.../バーチャル任務の設定】               

 

「ええ、これは、大震災想定域に、“バーチャル多目的地図”“バーチャル

空路”“バーチャル航路”を構築し、災害救助部隊を即応体制で全力投

入するためのシステムです...これは、中西さんと一緒に検討しました。

 

  このバーチャル空間座標は、もちろん、コンピューター内仮想空間に構

築し、進化させていくものです。まず、地上・地下の立体地図には、全情報

を最深度領域まで検索できるシステムを構築していきます。ここに、地震情

報をリアルタイムで入力し、この情報をインターネットで共有する体制にし

ます。

  空中機動師団の作戦は、この仮想都市の上空空間からアプローチする

ことになります。そこで、上空をまず、<下層・中層・上層>3層に分割しま

す。大雑把に言って、<下層>は、救助作業空間。そして<中層>は、輸

送回廊。そして、<上層>は情報収集空間とします。

  各層の厚さは、地形や都市の建造物によって違ってきます。また、<下

層>でも、補給基地周辺などでは、何本もの輸送回廊が下におりて来るこ

とになります。それから、立体地図の上空は、空中機動師団の作戦予想行

動によって、ブロックに色分けして分割しておきます。

  また、化学工場地帯や、人口密集地、海抜ゼロメートル地域、重要建造

物等は、立体地図上で地震のシミュレーションと重ね、対応を検討し、デー

タを蓄積しておきます。また、エリアやブロックの特殊性から、クレーンなど

の重機の投入空中消火作戦大量被災民のピストン輸送等、投入ヘリ

の種類や数も考慮し、行動計画全体を事前に予測し、準備しておきます。

もちろん、これらの作業は、自治体や管轄の消防署とタイアップし、機動力

として空中機動師団を使います。

  また、陸上車両で、神速な対処が可能な状況であれば、車両が中心に

なります。それから、あらかじめ配備した資材の使用が可能なら、ヘリで人

員を中心に送り込むことになります。つまり、全ては弾力的に、可能な限り

迅速に行うことが求められます。

  ええーと...師団規模になると、輸送ヘリを中心に、500機から600機

というような、膨大な空中機動力になります。また、航空自衛隊の、C−

130輸送機等の支援を仰ぐこともあると思います。被災地から遠い基地か

らの、機材の移動や、パラシュートよる直接投入などが考えられます。こ

れらも、非常時に備え、事前に準備しておいて欲しいと思います。

  阪神・淡路大震災の教訓から...空中からの消火作戦に必要な機材、

そしてクレーン、小型ブルドーザ、小型フォークリフト等は、師団が事前に

準備し、操作に熟練しておきます...大量の民間機材と人員の活用は、

それ以後の、復旧段階になると思います。

  ええ、ともかく...このバーチャル空間を使い、条件を変えてシミュレー

ションを重ね、より迅速な救出の形態へ進化させて欲しいと思います。もち

ろん、海岸線から接近する“災害救助船隊”も、このバーチャル空間に含

まれます。

  このシステムは、大震災以外にも、非常に広範囲な応用が考えられま

す。また、時代と共に、必然的に、日本全体へ拡大進化していくと思いま

す。

  しかし、ともかくここでは、大震災想定域の上空に、詳細な作業空間と

輸送回廊をしっかりと設定し、間違いのない空域管制を実現したいと思い

ます...」

                                              house5.114.2.jpg (1340 バイト)     

「マチコさん、ありがとうございます」中西が、小さく頭を下げた。

「はい、」マチコが、口に手をやった。

「うーむ...私の方から、一言、コメントを入れておきましょう」大川が言った。「それ

は、このように首都圏やその周辺で、大震災が発生した場合、航空自衛隊のF−

15戦闘機がスクランブルし、AWACS(空中早期警戒管制システム/ 自衛隊では、E-767機

E-2C(/ホークアイ)が上空に上がり、警戒態勢に入ると思われます。

  これは、日本の首都圏の大混乱に乗じ、外部からの侵略や、騒乱に備えるためで

す。また、海上自衛隊の自衛艦隊も緊急出動し、日本の周辺海域全体で警戒体制

につくことになります。

  さらに、神奈川県の横須賀に司令部を置くアメリカ第7艦隊も、状況に応じて動くこ

とが考えられます。この、東京直下型の大震災と、その後の動乱については、ボスが

人間の座標という小説で、かなり詳しく書いています。もっともこの小説は、ロシア

がまだソビエト連邦と呼ばれていた、冷戦構造時代が背景になっています...しか

し、ボスは戦争そのものを描きたかったわけではなく、その意味では、今でも十分に

面白い小説だと思います...」

「懐かしいですねえ...」中西が言った。「人間の座標ですか...ボスが若い

頃、ずいぶん苦労して書いた作品だと聞いていますが...」

「そう...ボスは、あの作品を書きながら、ずいぶん多くのことを学んだと言ってい

たな...」

                           wpe67.jpg (34558 バイト)              house5.114.2.jpg (1340 バイト)              

 

「ええ、マチコです!

  私たちも、“国全体の地震対策”をしっかりと知り、国や地方自治体、それから自

衛隊に対しても、思ったことをジャンジャン要求していきたいと思います。

 

  また、治安任務に当っている<大震災下の警察の対応>なども、どうなるのか、

知りたいと思います。その上で、私たち個人も、自分の身支度や、身の回りを整え、

サバイバルスタイルで行きたいと思います。

                            wpeA.jpg (42909 バイト)       house5.114.2.jpg (1340 バイト)