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2015.11.27更新
弁護士河原崎弘

死因贈与と贈与の優劣/弁護士の法律相談

相談

私の母は82歳です。私の兄弟姉妹は3人です。父は、8年前に亡くなりました。
母は、「自宅を私(独身)に相続させる」と遺言に書きました。でも、弟が、家を狙っていて、母親に、「自宅を弟に与える」との書類を書かせ、持っています。
これは、有効なんですか。私は、どうしたら、よいですか。

回答

担当の弁護士は次のように回答しました。
現状では、母親と弟の贈与契約は有効です。 母が弟への贈与契約を履行すると、今の遺言は、その部分(家を相続させる部分)は、無効になります(民法996条)。

不動産の場合、誰が勝つか(権利を取得するか)は、登記で決まります。登記が早い方が勝ちます。
弟が、贈与契約に基づき弟名義に登記する前に、あなたが、同様に贈与契約をし、登記をすれば、あなたが勝ちます(所有権を取得します)。あるいは、死因贈与契約をして、仮登記しても、いいです。遺言による相続、遺贈では仮登記はできません。
ただし、死因贈与には、 遺贈に関する規定が準用されます(民法554条)。従って、贈与者がいつでも撤回できます。 死因贈与の受贈者の地位は、若干、弱いです。
死因贈与は、母親とあなたの契約(遺言とは違う)ですが、「死亡を条件として効力が生ずる」との条項が入ります。

贈与税は高いですが、死因贈与は相続税の対象ですので、税金は安く、節税になります。

判決

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