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Last updated 2011.5.11mf
河原崎法律事務所
弁護士河原崎弘

生活保護基準方式による婚姻費用の計算式(平成15年3月まで)

従来の婚姻費用計算、生活保持義務に従い、生活保護基準方式の説明は下記の通りです。
夫婦が別居した場合、経済力がある配偶者(通常夫)が他方(通常妻)に支払う婚姻費用(婚費)の算定の説明です。

過去分の婚姻費用は、請求の意思表示をした以後の分を請求できます(過去に遡って請求できるとの考えもあります)。そこで、裁判所に申立するのは後にしても、まず、内容証明郵便などで請求の意思表示だけはしておきましょう。

東京家庭裁判所など多くの裁判所は生活保護基準方式により生活費を計算し、負担能力(扶養余力)比率に応じて父の分担額(婚姻費用)を算定していました。婚姻費用計算機 で自動計算できます。生活保護基準 は、ほぼ、毎年変わります。

具体的金額は、家庭裁判所 での調停、あるいは、審判で決めます。不払いの場合、調停調書、審判書、公正証書があると、給料差押え(差押申立書)などの強制執行ができます。

2003年6月24日、改正民事執行法 が衆議院を通過し、7月25日、参議院通過、8月1日、公布されました。
この法律によると、将来の(期限がまだ来ていない)婚姻費用を請求して、相手が将来受取る給与等を差押できます。これを利用すれば、毎月、婚姻費用を給料から天引きしてもらえます。
差押えの対象は給料等(継続的給付にかかる)債権、限度は、通常は、給与等の 1/4までですが、この場合は、1/2までできます。
この法律は、2004年4月1日、施行されました。

婚姻費用の算定式(夫の収入が妻の収入より多いことが前提)

妻の基礎収入=収入ー(職業費+税金等+住居費等)
妻の最低生活費 = 妻の1類費+2類費(1人)+冬季加算額
妻の分担余力=基礎収入ー 妻の最低生活費
妻と子の最低生活費 = 妻の1類費+子の1類費+2類費(2人)+冬季加算額(2人)

夫の基礎収入=収入ー(職業費+税金等+住居費等)
夫の最低生活費 = 夫の1類費+2類費(1人)+冬季加算額
夫の分担余力 = 基礎収入ー 夫の最低生活費

申立人(妻)と子の必要生活費 =
( 夫の基礎収入 + 妻の基礎収入 )× 妻と子の最低生活費 ÷( 夫の最低生活費 + 妻と子の最低生活費 )
夫の分担額 = 申立人と子の生活費 ー 妻の基礎収入

職業費は、収入を得るために必要な経費です:給与生活者の場合、総収入の10%-20%。職種により、割合は異なる。東京家裁では15%が多い。自営業者は原則として考慮しない。
冬季加算額が認められるのは11月から3月までの5か月間ですので、月平均額は下表の金額に12分の5を乗じます。
一旦婚姻費用の額を決めても、その後の事情変更で増減請求できます。

計算例
妻(29歳)の収入26万円(給与)、税金社会保険料2万円、住居費8万円、3歳の子を養育中
夫(32歳)の収入50万円(給与)、税金社会保険料6万円、住居費9万円

妻の基礎収入 = 妻の収入 - 職業費:15% + 税金社会保険料 + 住居費 )
121,000=260,000-(39,000+20,000+80,000)
      
妻の最低生活費=妻の1類費 + 2類費(1人) 冬季加算額
85,624= 40,410 + 43,910 1,304

妻の分担余力=基礎収入 - 妻の最低生活費
35,376(分担余力あり)= 121,000 - 85,624

妻と子の最低生活費=妻の1類費 + 子の1類費 + 2類費(2人)冬季加算額(2人)
117,952= 40,410 + 27,250 + 48,6001,692

夫の基礎収入=父の収入-職業費:15% + 税金社会保険料 + 住居費)
275,000 = 500,000 - 75,000 + 60,000 + 90,000 )

夫の最低生活費=夫の1類費 + 2類費(1人) 冬季加算額
85,624= 40,410 + 43,910 1,304

夫の分担余力=基礎収入- 夫の最低生活費
189,376(分担余力あり)= 275,000 - 85,624

申立人(妻)と子の必要生活費
=(妻の基礎収入 + 夫の基礎収入) × 妻と子の最低生活費 ÷ ( 夫の最低生活費 + 妻と子の最低生活費 )
229,248
=(121,000 + 275,000) × 117,952 ÷ ( 85,624 + 117,952 )

夫の分担額=申立人(妻)と子の必要生活費 - 妻の基礎収入
108,248=229,248- 121,000


注 冬季加算額の計算
(1人)= 3,130 × 5 ÷ 12 = 1,304
(2人)= 4,060 × 5 ÷ 12 = 1,692
保護の基準(平成14年度)
1級地ー1(東京都23区、大部分の市、大阪市、横浜市など)


居宅(第1類)

年齢区分 基準額
0歳 15,140円
1歳ー2歳 22,030円
3歳ー5歳 27,250円
6歳ー8歳 32,380円
9歳ー11歳 36,850円
12歳ー14歳 44,500円
15歳ー17歳 47,830円
18歳ー19歳 42,470円
20歳ー40歳 40,410円
41歳ー59歳 38,610円
60歳ー69歳 36,500円
70歳以上 32,690円

居宅(第2類)

基準額及び加算額 世帯人員別
1人 2人 3人 4人 5人以上1人
増すごとに
加算する額
基準額 43,780円 48,460円 53,720円 58,450円 440円
地区別冬季
加算額
(11月-3月)
T区 24,620円 31,890円 38,050円 43,150円 1,640円
U区 17,600円 22,790円 27,200円 30,840円 1,170円
V区 11,680円 15,130円 18,060円 20,480円 780円
W区 8,920円 11,550円 13,780円 15,630円 590円
X区 6,220円 8,060円 9,620円 10,910円 410円
Y区 3,130円 4,060円 4,840円 5,490円 200円
以下、省略

参考

家庭裁判所の 婚姻費用請求手続き、書式
登録 Mar. 16, 2001