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2015.7.13mf
弁護士河原崎弘

相続開始前の相続放棄の効力/弁護士の法律相談

相談:母の生前に相続放棄しました

私は32年前にアメリカ人と結婚し、アメリカに住んでいます。
2006年父が亡くなりました。その後、母と兄と姉が日本から私を呼びますので、帰国すると、相続の話でした。母と兄と姉が私に現金で1500万円をくれ、一切の遺産を母が相続する旨の遺産分割協議書に署名させられました。
同時に、「今後の相続(母の遺産の相続のこと)につき、一切相続権を主張しない」旨の念書にもサインするよう求められ、私は、サインしました。
2008年、母が亡くなりました。この場合、私には相続権がないのでしょうか。2006年のときは、財産として何があるか、一切説明のないままサインを迫られました。このような行為は、法的に効力がないのではないでしょうか。

回答:被相続人の生前の相続放棄は無効

お父さんの 相続 については父が亡くなった後ですから、遺産分割協議は有効です。その結果、全ての遺産は、お母さんの所有となります。
「今後の相続につき一切相続権を主張しない」旨の念書に法的効力があるかを検討します。相続開始前(母死亡前)の相続の放棄は効力ありません。さらに、相続開始前の、遺産分割協議も無効です。
これは、将来の相続人間で契約しても、あるいは将来の被相続人(母親)と相続人(相談者)間で契約をしても無効です。 判例 もあります。従って、この念書は無効です。お母さんの相続については、相談者は相続権を主張できます。

処理

相談者は、アメリカから日本の弁護士に委任状を郵送し、日本の弁護士に、(念書の無効を前提として)遺産の分割協議を依頼しました。
弁護士は、相談者の兄と姉に連絡し、話し合いをしました。相談者がアメリカ人と結婚した際に家族が反対したことが、互いに、疎遠になった原因であり、そのため、他の兄弟は、「相談者には相続させたくない」と思っていたようでした。
念書の効力も問題になりましたが、兄と姉も、専門家に相談し、無効であることは認めてくれました。遺産としては兄が居住している自宅とアパートがありました。半年ほど話し合いをしましたが、まとまりませんでした。

調停

1999年3月、相談者の弁護士は、相手方の住所地を管轄する東京家庭裁判所に遺産分割の調停を申立てました。
1999年12月、調停が成立し、相談者は3000万円を取得しました。これは、姉よりも1500万円低い金額でした。父の相続のときの取得分を考慮したためです。このお金は、兄が負担しました。
相談者は日本に1度も来ることもなく、事件は解決できました。
弁護士との(日米間の)連絡方法は、主にメールでした。メールだけですと、微妙な気持ちが伝わりませんので、時々、電話でも、話しました。
*今ではスカイプで無料で国際通話ができます。

判例

登録 August 2, 2000


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