夫と愛人に慰藉料を請求したい妻/請求権の時効は

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2015.7.1mf更新

相談

夫が不貞をしても離婚しない妻を読みました。
私の場合、夫は、毎日、家には帰って来ましたが、 8 年間 6 歳年下の女性と交際していました。夫は、外泊しなければ浮気がばれないと考えていたようです。私は、夫から 2 度ほど「離婚して欲しい」と、言われましたが、絶対に離婚する気はありませんでした。
最近、夫は彼女に捨てられ、気落ちしています。私は、夫を許そうと努めましたが、どうしてもできません。彼女に捨てられたので、私のところに帰ってくる男なんて、これからの私の人生に要らないと考えるようになりました。私は、私の受けた精神的な苦痛をどうしも晴らさなければ、とても、悔しくてなりません。
夫とは、離婚をし、そして、その彼女にも、慰謝料を請求したいと思っています。
可能でしょうか。
まだ時効になっていませんか。
相談者は、電話で予約をして弁護士会の有料法律相談を受けました。

回答

お子さんの有無、婚姻期間など詳しいことががわかりませんので、一般的な回答をします。
不法行為による損害賠償請求は、損害および加害者を知ってから 3 年で時効消滅します(民法 724 条)。知らない場合は、浮気(加害行為)のときより20年で消滅します。
そこで、夫の元愛人に対する慰藉料請求は、3 年以内なら可能です。 3 年の始期は浮気および相手(加害者)を知ったときです。浮気が継続している場合は知ってから最後3年分の浮気について請求できます。
夫に対する慰藉料と離婚請求も可能です。
裁判のことを考え、不動産の登記簿謄本、領収書、銀行、証券会社からの通知、手紙類などのコピーを取っておいてください。
しかし、結婚していれば妻は夫に対して生活費(婚姻費用の分担 )を請求できますし、夫が死んだ場合 相続権 もあります。ところが、離婚すると、子どもの 養育費 しか請求できません。 養育費を計算 しても、婚姻費用に比べてそれほど多くありません。

しかも、婚姻期間にもよりますが、離婚の慰藉料は 300 万円位(最高で 1000 万円位、1996年の家庭裁判所の調停事件における財産分与と慰謝料の平均額は 405 万円です)です。夫の愛人にも200万円ほどの慰謝料請求ができますが、夫と愛人は不真正連帯債務を負う関係です。合計500万円請求できるわけではありません。両者に対して最高で300万円請求できます。
夫から多額の財産分与が取れる可能性があれば別ですが、離婚後、経済的に自立できるかを十分考えから行動を起こすようにして下さい。簡単に妻の座を明け渡してはいけません。あなたから積極的に訴えを起こすか、(相手に愛人ができ)相手が、「籍を抜いて欲しい」と、言う機会を待つ2つの方法があります。

判例

最高裁平成6年1月20日判決(判例時報1503-75)
1 夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者との同せいにより第三者に対して取得する慰謝料請求権については、一方の配偶者が右の同せい関係を知った時から、 それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行すると解するのが相当である。けだし、右の場合に一方の配偶者が被る精神的苦痛は、同せい関係が解消されるまでの間、 これを不可分一体のものとして把握しなければならないものではなく、一方の配偶者は、同せい関係を知った時点で、第三者に慰謝料の支払を求めることを妨げられるも のではないからである。
2 これを本件についてみるのに、被上告人の請求は、上告人が一郎と同せい関係を継続した間、被上告人の妻としての権利が侵害されたことを理由に、その間の慰 謝料の支払を求めるものであるが、被上告人が上告人に対して本訴を提起したのは、記録上、昭和62年8月31日であることが明らかであるから、同日から3年前の昭 和59年8月31日より前に被上告人が上告人と一郎との同せい関係を知っていたのであれば、本訴請求に係る慰謝料請求権は、その一部が既に時効により消滅していた ものといわなければならない。

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