法律事務所/弁護士の探し方、選び方
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Last update 2024.4.1 mf
1.弁護士を探す
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知人に弁護士を紹介してもらう
- 知人に依頼し、知っている弁護士を紹介してもらう方法が安全です。事件処理を依頼した経験がある、信頼できる知人の紹介が最適です。
懲戒処分歴のある弁護士、サラ金など業者と 提携した弁護士 など、問題のある弁護士を避けることができますし、 弁護士に対するクレーム 、弁護士とのトラブルも、その知人を通して伝え、知人を通して解決することができます。
弁護士は、事件を引受ける場合、紹介があることを基本にしています。紹介者がいない場合は受任しない弁護士は多いです。
法律により、医師は、診療義務 がありますが、弁護士には受任義務はありません。
しかし、国家から、免許を与えられている弁護士がこのような(紹介者のいない依頼は断わる)姿勢でいることは、適切ではありません。
そこで、
そのような知人がいない場合、次の方法で弁護士による法律相談、事件の依頼ができます。
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弁護士会で紹介してもらう
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各 弁護士会 では有料の法律相談を開いています。弁護士会が遠い場合は、近くに、支部、あるいは、法律相談センターがないか、弁護士会で確かめて下さい。相談料は30分以内5000円前後です。
事件を依頼する場合は、法律相談を受けてから弁護士を斡旋してもらいます。
第二東京弁護士会の場合、
通常は、法律相談を受けた担当弁護士が、事件を受任しますが、弁護士あるいは相談者の希望で他の人にすることもできます。
弁護士費用( 着手金、成功報酬)は、少額事件を除き、弁護士会の委員が、弁護士報酬会規 (平成16年3月31日に廃止)に基づき決めます。
第二東京弁護士会の場合、弁護士会から紹介を受けた事件については、弁護士は弁護士会に対して事件処理について報告書を提出する義務があります。弁護士法(31条)に基づき、弁護士会は所属弁護士を指導、監督します。従って、弁護士もいいかげんな事件処理はできないでしょう。弁護士に不都合なことがあれば、依頼者は、弁護士会に相談できます。
弁護士会に弁護士を紹介してもらう方法は、次善の策ですが、依頼者の立場からは比較的安全な弁護士選任方法といえます。
ただし、弁護士会、法テラスを含め、法律相談所における相談の場合、担当する弁護士が、「自分が引き受けた事件」として自覚がない、知識がない、経験が乏しいなどの理由で、回答が適切でない場合があります。そのような場合は、その弁護士を選ぶのは適切ではありません。
質問をし、
経験年数を尋ね、弁護士としての能力を確認しましょう。
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法テラス
で弁護士を紹介してもらう
弁護士による法律相談、紹介を受けることができます。
一定の要件を満たせば、法律扶助(無料法律相談、弁護士紹介、弁護士費用の立替え)を受けることができます。保全処分(仮差押、仮処分)の保証金を立て替える制度もあります。
要件
1.収入が下記基準以下、この基準を超えても、家賃、住宅ローン、医療費などの出費がある場合は、考慮されます。
月収(手取り、賞与含む)、東京23区内、多摩地区市部
- 単身者 200,200円以下
- 2人家族 276,100円以下
- 3人家族 299,200円以下
- 4人家族 328,900円以下
2.勝訴の見込みがあること
3.請求に社会的妥当性があること(権利の濫用的訴訟でないこと)・・・嫌がらせ目的などの訴訟でないこと
法テラスから紹介を受けた事件については、弁護士は法テラスに対して事件処理について報告書を提出する義務があります。従って、弁護士もいいかげんな事件処理はできないでしょう。弁護士に不都合なことがあれば、法テラスに相談できます。
手続きとしては、次の2つがあります。- 法テラスに行き、相談をし、その弁護士に依頼する。この
方法では、弁護士を選べないおそれがあります。
- 法テラスと契約している法律事務所(多くの事務所が契約しています)で相談(相談費用も法テラスで立替え可能)し、弁護士費用については、法テラスに立替えてもらう。この方法だと弁護士を選べます。
仕事内容はともかく、弁護士費用を節約したい人は、法テラスが良いでしょう。
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その他の法律相談所で弁護士を捜す
それぞれ、無料で30分前後の法律相談ができます。弁護士紹介システムがあります。
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インターネットなどで探す。
2000年10月1日以降、弁護士は広告を出すことが許されました
(弁護士の業務広告に関する規程を参照)。
これも新しい選択肢です。WEB 上で 取扱い事件など、詳しい弁護士情報を公開している 弁護士会 もあります。
日本弁護士連合会 の会員情報検索(弁護士情報検索)でも名前、事務所所在地など、若干の情報を知ることができます。
2.弁護士を選ぶ
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上記方法で弁護士に会って相談し、弁護士が(あなたに不利な点を含めて)事件の見通しについてわかり易く説明し、あなたが「信頼できる」と感じたら、その弁護士に依頼をする。
その際、考慮する基準は以下の通りです。
- 相互理解
基本的に、何でも話ができ、相互理解し易い弁護士を選ぶとよい。何でも相談できるとは言っても、無駄に時間をつぶすような相談は避ける。
- 正直
正直な説明をする弁護士であること:質問に対する回答が誠実であり、正確であること。
すぐ回答できない場合もあるし、判例などがなく、正確に回答できない場合も含めて判断してください。
「判例を調べないとわからない」など、わからない点は、はっきりと、「わからない」と、言う弁護士が良い。何でもできるような態度の弁護士は避ける。
- 弁護士費用が適正
弁護士費用が適正であること。高過ぎても困るが、弁護士費用が安過ぎる場合は、手抜きなど、無理な事件処理になる危険がある。弁護士は安い費用で引受けても、通常の事件処理をする必要があります。弁護士にこの心構えがないと、依頼者がクレームを出します。弁護士会に対する苦情のケースでも、弁護士が安い費用で引受け、依頼者が過剰な要求をするケースがあります。
安いことを第1に選ぶ依頼者が多いですが、これは危険です。
当初、弁護士費用をたたいて、安くして、契約してから多くを要求する依頼者。これも、相互の信頼関係を破壊する原因となります。止めるべきでしょう。
弁護士の立場から見ると、
安い費用で引き受けた場合、依頼者が「費用が安いからどうでもいい」と考え、弁護士との連絡を怠りがちになります。
費用が高すぎると、依頼者が「費用が高いから弁護士は何でもやってくれるのが当然」と考え、やはり弁護士との連絡を怠りがちになります。
- 連絡
連絡が密にできる弁護士であること。極端に忙しく、話しができない弁護士は避ける。
- 研究(準備)熱心
研究熱心であること。事実関係についての調査(事情聴取)、法律の調査、判例の調査に熱心な弁護士であること。調査をしない弁護士は避ける。弁護士にとって一番大切なことは、調査し、準備することです。
- 良い評判(懲戒処分歴のないこと)
評判の良い弁護士であること。懲戒歴のある弁護士は避ける。懲戒処分が軽い「戒告」でも、避けた方がよいでしょう。それが、氷山の一角であったりします。わざわざ、懲戒処分歴のある弁護士を選ぶ必要はないからです。
第二東京弁護士会など一部の弁護士会、および、日弁連では、インターネット上で、業務停止の懲戒処分を公開しています。名前を入力すると、現在業務停止の懲戒処分を受けていることはだけはわかります。しかし、戒告、および(過去の)懲戒処分歴はわかりません。
日弁連 に開示請求すると、日弁連は弁護士の過去3年以内の懲戒処分歴を回答してくれます。また、ネット でも懲戒処分は調べることができます。
さらに、依頼者から預り金返還訴訟を提起され、敗訴したとの法律事務所がありますが、このあたりになると、論外です。
- 肩書、有名
大学教授とか、元弁護士会会長とか、元検事、元裁判官などの肩書きが付いた弁護士、有名な弁護士がいますが、これも、弁護士を選ぶ基準にはならないでしょう。
これは、好みの問題です。肩書きの好きな方は、肩書きで選ぶとよいでしょう。
- 弁護士としての経験
紹介者がいない場合、弁護士の得意分野、経験年数を含め経歴がわかりません。経験年数がなくともよいとの考えなら、問題ないです。しかし、依頼者が、経験豊かな弁護士に依頼したいのなら、率直に弁護士に対し、経験年数などを尋ねてください。所属弁護士会や日弁連の弁護士検索から、ある程度、調べることもできます。
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弁護士選びに失敗した例 をお読みください。
3.法律事務所(弁護士事務所)
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法律事務所(弁護士事務所) が賃料の高いビルにあれば、その賃料も弁護士費用に含まれ、弁護士費用も高いことを覚悟すべきです。官庁が立派なビルに入っていれば、税金が高くなるのと同じ理屈です。
外国人は、立派な建物にある事務所、弁護士が大勢いる事務所を好みます。日本語を十分理解できないから、外観で選ぶことはやむをえないでしょう。似たような日本人もいますが、さすがに大企業の法務担当者は、そうではありません。彼らは、法律の知識も豊富で、弁護士の能力を判断できるからです。
法律事務所がある建物が立派だと、依頼者も高い費用を支払う気持ちにもなります。弁護士も、この気持ちをよく理解しています。
昔からある笑い話ですが、地方では、依頼者は、自分の弁護士の自宅と、相手の弁護士の自宅を見に行き、比較するそうです。自分の弁護士の自宅の方が大きく、立派ならば、依頼者は安心するそうです。
人間を服装などで評価することはよく行われます。弁護士の能力を、法律事務所のある建物で評価するのも、同じ発想に基づいています。
- あくまで弁護士を選ぶ基準は弁護士個人です。法律事務所ではありません。法律事務所が大きいとか、弁護士の数が多いとかは、弁護士を選ぶ基準ではありません。
市に設けられた法律事務所の所長弁護士に、債務整理を委任したが、回収した過払金の金額や事件処理の説明を十分に受けないまま放置されたため、依頼人はホームレス生活を余儀なくされ、精神的苦痛を受けたとして、損害賠償等を請求した事案で、裁判所が弁護士の説明義務違反を認め、約176万円の損害賠償請求権を認容した例がありました(鹿児島地方裁判所名瀬支部平成22年3月23日判決)。
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先進国には賢い納税者が多く、政府にたいする意見も的確です。大きな金額の問題を抱えた依頼者は、自分でも研究し、弁護士選びも真剣ですし、的確です。
弁護士の持つ法律に関する能力を選ぶか、法律事務所がある建物 を選ぶかは、依頼者は、自分で選択できます。選んだ結果については依頼者自ら覚悟すべきでしょう。
4.法律家の急激な増員
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日本において、法律家を増員し、2010年頃には、司法試験の合格者は3000人になる予定でした(司法試験合格者の質が低いこと、司法修習生の就職先がないなどの理由から、2010年現在、新司法試験合格者の数は約2074人、旧司法試験合格者59人程度です)。
2011年から、予備試験(法科大学院を卒業しなくとも、司法試験を受けることができる資格)が、始まり、同年における受験者
6447人、合格者116人でした。予備試験を極端に難しくして、法科大学院を卒業しないと、司法試験を受けられないようにしています。
法科大学院し卒業するには、200万円(国立)〜400万円(私立)の学費が必要なことを考えると、金持ちしか、法律家になれないシステムになってきています。
- 法律家は、数が多くなり、医師と同じような状況に近づいています。こうなると、弁護士へのアクセスは容易になり、選択の幅は広がります。その場合、ますます、弁護士選びが重要になります。「よい法律家を選ぶのは依頼者であり、その結果については依頼者が責任を負う」時代になります。
5.法律:医師法第19条:医師の診療義務
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診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
- 診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があった場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。