定期借地権の種類/事業用借地権

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update 2012.8.22mf

2008年1月1日改正法施行

相談:不動産
ファミリーレストランが、私の所有している土地に目を付け、不動産業者を通して、「店舗用地として借りることができないか」と申し入れてきました。
私は、将来(10年ないし15年後)は、この土地を利用して店を開く計画をしています。そこで、15年くらいしたら、返してもらいたいと考えています。一定期間後には返してもらえる、更新のない定期借地権契約があると聞きました。どのような契約ですか。

回答
建物所有目的の通常の土地 賃貸借契約 は、期間満了に際し、賃借人が希望すれば更新されます。
更新のない、一定期間経過後に必ず土地を返還してもらえる契約は下記の通りの色々あります。この中から、選ぶとよいでしょう。
あなたのケースでは、事業用借地権の賃貸借契約をすればよいでしょう。
普通の建物所有目的の賃貸借契約(普通の借地権)では、借地人保護のための期間満了に際し、契約は更新され、更新しない場合は借主は貸主に対し建物買取を請求できます。ところが、もっぱら事業用の建物(ディスカウントストア、ファミリーレストラン、郊外型大型店など)を所有する目的で、存続期間を10年以上50年未満として借地権を設定する場合、更新の規定や、建物買取請求の規定が適用されません(借地借家法23条1項)。
事業者は、短期間のうちに投下した資本を回収することができ、また、保護の必要性が少ないから、このような制度が作られました。
この場合、土地賃貸借契約は公正証書にする必要があります(借地借家法23条2項)。契約内容が決まったら、貸主と借主、または代理人が公証役場に行き、公証人に公正証書を作成してもらう必要があります。
土地の賃貸借形態として、弁護士は次のような表を書いてくれました。下記のうち、一般定期借地権、建物譲渡権利付借地権、事業用定期借地権が、いわゆる、定期借地権です。
定期借地権契約では、期間内の中途解約はできません(特約があれば別)。途中で、解約したい場合は、借地権の譲渡をするしかありません。もちろん、通常の借地権と同様に、地主の承諾、あるいは、裁判所の許可が必要です。

普通借地権 一時使用目的借地権 一般定期借地権 建物譲渡権利付借地権 事業用定期借地権
存続期間 30年以上 短期(臨時) 50年以上 30年以上 10年以上50年未満
借地の利用目的 制限ない 臨時使用 制限ない 制限ない 事業用
契約の形式 制限なし 制限なし 書面 事実上書面 公正証書
特徴 貸主に正当事由がない限り更新を拒絶できない 臨時使用 期間満了で、契約消滅し、建物買取請求もできない
更地にして返す
期間満了で、契約消滅し、貸主は建物を買取 期間満了で、契約消滅し、建物買取請求もできない
更地にして返す
根拠条文 借地借家法3条 借地借家法25条 借地借家法22条 借地借家法24条 借地借家法23条
2004.10.21
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