買主が借入れをしない場合、ローン条項で解除できるか

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2015.11.27mf更新

相談

不動産業者に一戸建てを紹介され、売買契約を締結しました。買主は私と妻です。 代金5000万円のうち、3000万円を金融機関からの借り入れをすることにしました。 手付は1000万円です。契約書にはローン条項を入れ、 「契約日から2月以内にローンが実行されないときには、買主は契約を解除できる」と書いてあります。
ローンは私が借りることになりました。ところが、その後、妻は家を買うことに反対するようになり、 借入れも、私の連帯保証人になることを拒み、金融機関から借入ができなくなりました。妻をいくら説得しても、 妻は言うことを聞きません。
この場合ローン条項に基づいて、売買契約の解除ができますか。
相談者は、勤務先の会社の顧問弁護士に相談しました。

回答

不動産売買 契約書にローン条項が入っていれば、融資がされない場合には、買主は契約を解除できます。その場合、解除をした当事者が損害賠償責任、あるいは、債務不履行責任を負うことはありません。
しかし、これはローンの申込者が借入できるように誠実に努力した結果、借入ができなかった場合です。あなたが、ことさら、細工をして融資が実行されないようにしたり、あなたの側の人間が融資の実行を妨害した場合は、それはあなたの責任です。条件成就を妨げたと考えられるからです( 民法130条 )。本件では、あなたの側の妻の協力が得られいことが理由ですので、これは、あなたの責任となり、ローン条項に基づく解除はできないでしょう。
従って、あなたの側に債務不履行があるとして、損害賠償を取られるおそれがあります。通常、手付金 は違約金(損害賠償の予定)を兼ねている場合が多いので、1000万円を没収されるおそれがあります。あなたのケースと同様の例が 判例となっています。
これを回避するには妻を説得してローンを可能にするか、他から金銭を調達するしかありません。

民法第130条

第130条 (条件成就の妨害)
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、 その条件が成就したものとみなすことができる。

判例


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