アブラコウモリは都市部の住宅地などでも見られる、数少ない野生の哺乳類のひとつです。日没の頃現われ、夕闇の中をひらひらと舞うように飛ぶ姿を目にした人も多いことと思います。無声で飛び交うように見えるこのコウモリも、実際には、常に独特の標定音を発しながら反響音をたよりに反響標定(エコロケーション)を行って飛行しています。ただ、残念なことにその音はわれわれの聞くことのできる振動数よりも高い超音波であるため、ほとんど全く聞こえないだけなのです。もし、彼らの声を聞くことができたら、きっと、もっと多くの興味深い現象を知ることができるようになることでしょう。そんな思いをもとに、コウモリの聞こえない声を聞く装置(コウモリ音翻訳器)を製作して観察を行いました。 |
コウモリ音翻訳器による記録波形と翻訳音声(5.5秒) コウモリの飛行は、次の2タイプに分けられます。
この記録では、約1.5秒から0.2秒間の音が急転回飛行時で、他のほとんどが直線水平飛行時の翻訳音です。この記録波形から、直線水平飛行時には、毎秒十数回の頻度でクリック音(持続時間の短い音)を発していることがわかります。クリック音の間の無音部で反響音をキャッチしているものと思われます。 |
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