平標山・仙ノ倉山( 仙ノ倉山:2,026m ) 1999.7.10 登山


 仙ノ倉山との道より平標山( 1999.7.10 )

【平標山・仙ノ倉山登山記録】

【平標山・仙ノ倉山登山データ】

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再登山


平標山・仙ノ倉山登山記録

本当に久々の登山である。
梅雨に入っているので 土日が雨になってしまうことが多く、 また、 たまに晴れたとしても 自分や家族の都合が悪かったりで、 かれこれもう 1ヶ月半近くも山に行っていない状態になっている。

こうなると多少無理をしてでも山に行こうという気になってくるもので、この土曜日も天気予報では関東地方は雨となっていたものの 新潟県や長野県は晴れの予報であったので、 距離的にはつらいものがあったけれど 頑張って新潟県の平標山まで行ってみるにことにした。

山の雑記帳にも書いたように、この山は 10年ほど前、谷川岳に登るために購入した 山と渓谷社のアルペンガイド 『谷川岳、上越の山』 を当時何回も読見返しているうちに (当時はガイドブックを読みながら 登山コースなどを考えるのが大変楽しみだった) 登ってみたい山の一つに数え上げていた山だったのである。 ただ、 登山口として紹介されていた元橋に行くには あまりにも交通費が高くつくため 敬遠せざるを得なかったのであるが、 車ならば この山のさらに先にある 巻機山まで日帰りで行ったこともあることから、 十分に登山対象となりうるのである。

という訳で、急遽平標山に登ることにしたのだが如何せん遠い。
なるべく早く現地に着きたい ということで 3時半起きを目論んでいたのだが、 日頃の疲れからか、 気がついたら 4時半になっており、 慌てて家を出発したのが 5時10分過ぎであった。

横浜ICから用賀ICまで東名高速道を使い、そのまま環状 8号線を北上して、今度は練馬ICから関越自動車道に入って 月夜野ICまで進み、 そこから国道 17号線を北上して 平標山登山口に着いたのは 7時50分過ぎであった。

7時58分 駐車場を出発。 道標に導かれて駐車場にあるトイレの裏手から林の中に入った。
このまま山道へと続くのかと思っていたら、 すぐに舗装道路に飛び出すことになり、 そこにあった道標には、 右 林道を経て平元新道経由平標山、 左 松手山経由の平標山と標されていた。

無論、久々の登山で身体が鈍っているとは言え、私にもそれなりのプライドがあることから、登りがきついと言われている 松手山コースを選んだのは言うまでもない。

舗装道を左に進んで橋を渡ると、すぐに平標山への取り付き口が現れ、久々の登山にはやや手応えのある登りが始まった。
樹林帯の中を登っていくと 湿った土の臭いが鼻を刺激し、 何か忘れていたものを思い出させてくれるとともに 懐かしさを覚えたのだが、 それほど山から遠ざかっていた訳ではないのに どうしたことであろう。

樹林帯の中をジグザグに進んでいく登り道はやや堪えたものの、一汗かくと身体も軽くなり、しかも樹林帯はすぐに終わりとなって 展望の良い尾根道へと変わってくれたので、 心浮き立つ思いであった。

振り返れば国道 17号線を挟んでスキー場のある筍山や大黒山、赤湯山 (だと思う) などの山々が見えたが、お目当ての苗場山 雲の中だったのは残念であった。

天候は快晴とまでは言わないまでもまあまあの状態で、時々差す日差しはカッとして肌を焼きつけるような感覚を覚え、 もう真夏の太陽そのものである。

登る先を見れば、山の向こうに送電線の鉄塔が見え、ひとまずはそこを目指すことになるのだが、それがはるか先に思えて うんざりさせられた。 やはり体調が不十分なのかもしれない。

しかし、再び樹林の中の急登を続けていくと、先ほどはるか山の向こうに見えた鉄塔がかなり大きく見えるようになり、 やがて視界が開けて 大きな鉄塔が立つ小さな広場へと飛び出たのであった。
鉄塔の下には多くの人たちが憩っており、 その人数の多さにはびっくりさせられた。
そういえば 広い第一駐車場は満車状態で、 しかも大きなバスまで止まっていたことから、 大勢の人がこの山に入っていることは間違いない。

鉄塔からは再び樹林帯の中の急登となり、やや喘ぎが出てきたが、それでもすぐに視界が開けるようになって涼しい風が吹き抜ける場所に出たので 元気が出るようになった。
目の前には松手山が見え、 右手には平標山へと続く 気持ちよさそうな尾根が続いているのが見える。
もうここからは森林限界のようで、 背の高い木は一本も見えず、 笹原を中心とした世界である。

登山道は多くの人々が憩っている松手山頂上を越え、一旦下ってから長い登り斜面を登ることになっており、その先には 形の良い山が聳えていた。
その登りを見た瞬間は少し尻込みさせられたが、 登ってみると傾斜は緩やかで、 松手山までの登りに比べたら楽勝である。 それに視界も良いので大変気持ちが良い。

ところで、事前の下調べをほとんどしてこなかった私は、てっきりこの登りついた先が平標山だと思い込んでいたのであるが、 実はこれは一ノ肩と呼ばれるピークで、 平標山はまだまだ先であった。
こういう時が一番疲れる訳で、 この後 いくつかのピークが続いたのを、 これまたその都度勝手に平標山と思い込み、 その度に裏切られては疲れがドッと出る といったことの繰り返しであった。

しかし、登山道自体は気持ちの良い尾根歩きが続いており、生憎ガスに囲まれてしまったことであまり視界は得られなかったものの、 前回登った巻機山を彷彿とさせる 素晴らしい景観であった。

いくつかのピークに騙され続けながら進み、大きなケルンのある場所を過ぎて、これまたいくつかのピークの右側を巻いて行くと、 目の前に形の良いピークが見えるようになり、 その頂上に大勢の人々が立っているのが見えた。 どうやら今度こそ本物の平標山らしい。

ようやく目指す本物の頂上だと思うと元気が出てきて、斜面の右側を早足で登り、最後は左に曲がって行くと、 そこは思った通り平標山の頂上であった (10時8分着)

頂上には三角点と立派な標識が置かれており、早速三角点を踏ませてもらった。
しかしである、 ようやく着いた頂上は もはや立錐の余地のないくらい多くの先客に占領されており、 想像していたとはいえ、 その人数の余りの多さに 登頂の喜びも半減してしまったのであった。

平標山は周囲から抜きん出た突起となっているため展望も素晴らしく、東には仙ノ倉山方面へと続く気持ちの良い草原が広がっているのが見え、 また南には 赤い屋根をした平標山ノ家へと続く木道が連なっているのが見えた。
また、 土樽へと続く平標新道方面は 草原の中に 一筋の道がつけられており、 道の脇には池塘も見え、 なかなか気持ちの良さそうな感じであった。
しかし見えるのはそこまでで、 さらに遠くの山々はガスの中で見ることができず、 やがて仙ノ倉山方面も ガスの中に消えてしまったのであった。

渋谷のように人で賑わう山頂の一角にどうにか場所を見つけて食事をとったのだが、 あまり食欲がわかない。 久々の登山で身体が鈍っている上に、 何回も頂上と思って裏切られたことで 身体がバテていたのかもしれない。
それでも30分ほど休憩し チョコボールを口にすると元気も出てきたので、 今度は仙ノ倉岳へと向かった。

ここからの道は左右にロープが張られており、草原の中に人々が入らないようにしてあった。 これは植物保護のために致し方ないのであろうが、 木道や木の階段とともにやや興ざめである。

また、地図では仙ノ倉山への道の途中から平標山ノ家へと続く巻道が記されているのであるが、どうやら植生保護のために その道も通行禁止となったようで、 ケルンと指導標だけが残っていた。

草原上の道は気持ちが良かったものの、高山植物の方はまだ時期が早かったのであろうか、ヨツバシオガマや ニッコウキスゲといった花が時々見られただけであった。

仙ノ倉山への道は緩やかで、これまた立派なピークに仙ノ倉山と騙されながら登下降を続けると、やがて道を仕切るロープもなくなり、 最後の急登を登り切ったところが 仙ノ倉山頂上であった。

山頂は平標山よりも狭かったものの、一等三角点や標柱の他、壊れてはいたが方位盤まで置かれていた。
ここも満員状態で、 しかも生憎ガスが出てきて視界が利かない状態だったため、 記念写真を撮ってすぐに引き返すことにした。

平標山ノ家に向かうには、先に述べた巻道がなくなっていることからもう一度平標山に登り返さねばならなかったのだが、 これが結構つらく、 いかに身体が鈍っていたかを思い知らされたのであった。

ようやく着いた平標山頂からは、先に述べたように木道及び木の階段を下っていくことになっており、これが規則正しい足の動きを強いることになり、 返って苦痛であった。
この道を登りに使ったらもっと苦労させられたことは必死で、 松手山のコースをとって正解であった。

嬉しいことに、 平標山ノ家に着く頃にはそれまでガスの中であった 仙ノ倉山方面も晴れて、 中腹に雪渓を残した優美な山の形をとらえることができ、 その緑に囲まれた景色に 山の良さを改めて確認したのであった。

山ノ家からはまっすぐ駐車場まで下ったのであるが、もう少し元気であったのなら大源太山 (河内沢ノ頭) を往復したかったところである。 駐車場に戻ったのが 13時27分であるから、 時間的には余裕があったのであるが、 本日の体力・気力ではそれは無理というものであった。

この下りに使った平元新道経由の道は、林道に下り着いてからが長く、延々と林道歩きを強いられるので、登りには余りお勧めできない。
ガイドブックには楽なコースとして紹介されているが、 林道を 1時間も歩いてから山に登るのは 私は勘弁願いたいところである。

今回は本当に久々の登山であったが、 山は素晴らしいということを改めて実感させられ、 大変満足であった。
身体が鈍っていることを考え、 やや一般向けコースである平標山を選んだのだが、 この伸びやかな草原状の山は 山に対する意欲を燃やしてくれるに最適の山であった。


平標山・仙ノ倉山登山データ

上記登山のデータ登山日:1999.7.10 天候:晴時々曇り単独行日帰り
登山路:平標山登山口−鉄塔−松手山−一ノ肩−平標山−仙ノ倉山−平標山− 平標山ノ家−平元新道登山口−ゲート−平標山登山口
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名自動車道)−用賀IC−谷原−練馬IC−(関越自動車道)−月夜野IC−三国峠−平標山登山口(車にて)
交通復路:平標山登山口−三国峠−月夜野IC−(関越自動車道)−練馬IC−谷原−用賀IC−(東名自動車道)−横浜IC−瀬谷(車にて)


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