白砂山( 白砂山:2,140m ) 2006.11.03 登山


  堂岩山頂上付近より白砂山 ( 2006.11.03 )

【白砂山登山記録】

【白砂山登山データ】

フォト


白砂山登山記録

3連休の初日である 11月3日、白砂山に登ってきた。
この 3日、晴天の予報が出ている地域が新潟、長野の県境付近に集中していたため、その周辺で登る山を探したところ、 岩菅山と白砂山が候補に挙がり、最終的に かつて秘峰と呼ばれていたというキャッチに惹かれてこの山を選んだという次第である。
実際 30数年前までは秘峰、秘境の地と呼ばれていたようで、確かにこの山へのアプローチは遠い。

カーナビで、目的地を野尻湖キャンプ場にセットし、家を 4時15分に出発。
見上げると空は曇り。これは天気予報通りなのであまり気にはならない。
東名高速道、環状八号線、関越自動車道と進んで、渋川伊香保ICで高速を降り、国道353号線を西へと進む。
中之条町に入ってから四万温泉に向かう 353号線と別れ、日本ロマンチック街道に入って暮坂峠を越えて六合村へと入り、 そこからは国道405号線をひたすら北上するだけであったが、この暮坂峠を越えて六合村に入るまでの間は舗装はされてはいるものの 結構狭くてクネクネした山道が続き、ナビの指示とは言え先行きに若干の不安を覚えながらのドライブであった。
これは、ナビに頼り切って事前に道順を全く確認しなかったためだが、事前に確認していたら中之条町からは 145号線に入り、 長野原から 405号線に進む道を選んだことであろう。このルートはバスも通る道である。

白砂山登山口に隣接する駐車場に着いたのは 7時32分。空は晴れているもののかなり風が強く寒い。
7時40分に駐車場を出発する。駐車場の東側奥に 「白砂山登山口」 と書かれた立派な標識があり、 そこから山に取り付く。
暫くは抉られたような轍跡のある林道のような道が続くが、すぐに道は狭くなって登山道らしくなってくる。
但し、傾斜はほとんどなく平坦に近い道なのでペースが上がる。
やがて道はハンノキ沢に向かって下るようになり、沢を渡ったところで左に曲がって小さな沢に沿って進むことになる。
緩やかに登っていくと、水の取水口と思われるトンネルが現れ、そのすぐ先、小さな沢を渡ったところから尾根に取り付くことになる。

道はそれほど急ということもなく、また上空には青い空は広がっており気持ちが良い。
また、この頃になると風は全く感じられず、ポカポカした日差しに出発時の寒さが嘘のようである。
道は時々樹林を抜け出して周囲の山々が見えるようになるのだが、如何せんお馴染みの山がなく、山の名前が分からないのが辛い。
コメツガやシラビソの樹林の中を登り、壊れたプレハブ小屋を左に見るとやがて地蔵峠で、ここで切明温泉への道を分けることになる。
後で地図を見たところ、この道は切明温泉を通り秋山郷から国道405号線につながっている。
野反湖に来るまでの道も国道405号線であるから、この山道も国道ということになるのだろうか。

この地蔵峠からは右の尾根を登ることになる。緩やかな登りの中、樹林越しに野反湖が見え隠れする。
緩やかな登り下りがいくつか続いた後、辿り着いた樹林の中の小さな広場が堂岩の泊場で、右に下れば水場との標識がある。
ここは南西方面が開けており、野反湖がよく見え、野反湖の後方には
草津白根山 や、 白煙をたなびかせた ?浅間山 の姿も見え、気持ちが良い。
ただ、天気のほうだが、晴れてはいるものの何故かスカッとしておらず、浅間山 などはもう霞み始めた感じである。

ここまで比較的緩やかであった道も、この泊場からはやや急登となる。
かといって、このところ山行頻度が上がっている我が身にとってはさほど厳しいものではない。
展望を得られない樹林の中をひたすら登り続けるといった感じであるが、足は順調に進む。
途中、尾根からやや離れ、溝のようになった谷状の中を進むことになるが、道は湿っており、樹林が両側から迫っていて、 おまけに日が当たらないから何となく薄気味が悪い。
近頃、熊出没のニュースを結構聞いているので、いきなり熊と遭遇するのではないかとの不安がよぎり、 なるべくザックの熊鈴を鳴らすようにしながら進む。

堂岩の泊場から 20分弱登ったであろうか、ようやく傾斜が緩くなると周囲の視界も開け始め、 右手には再び野反湖、浅間山 などが見えるようになってくる。
さらに 2、3分ほど進むと、今度は左側の視界が大きく開けた場所があり、そこから白砂山の姿を初めて見ることができたのであった。
まずは、斜面をササで覆われた猟師の頭と呼ばれる (と思う)ピークが目に入り、 そのササの斜面を縫うように付けられた登山道が登高意欲をかき立ててくれる。
そして猟師の頭の後ろには白砂山が穏やかな姿を横たえており、そのスッキリとした三角錐は、周囲の山々とは違う威厳のようなものさえ感じさせてくれる。
思わず 「オー」 という声を上げてしまったが、そう言わせる何かをこの白砂山は持っている。
登山口では全くその姿を見ることできず、視界があまり利かない中をひたすら登った後に初めて姿を現し、 しかもその姿が美しいというシチュエーションは、この山の価値をグッと上げている感じである。

なお白砂山が見えたこの場所は、後から思えば堂岩山だったらしいが、白砂山の秀麗な姿に見とれてしまったためか、 何のチェックもせずに通り過ぎてしまったのであった。
一旦ササの斜面を下ると、八間山からの道と合流する。ここからは気持ちの良い山岳プロムナードである。
ササとハイマツ、シャクナゲの斜面に付けられた登山道が白砂山の山頂まで続いているのがハッキリ見え、 その白砂山は青い空に美しい三角錐を突き出している。
しかも、その登山道は山腹を巻いたりせず、稜線上に付けられているから嬉しい。理想的なラインである。

と思ったものの、遠くから見るのと現実は大違い。
道の途中まではきちんとササが刈り込まれ、自転車でも走れるような状態なのだが、斜面がきつくなるとササが伸び放題。
しかも朝露というか、朝方降りた霜が溶け始めたというか、濡れたササがズボンを濡らして冷たいことこの上ない。
さらにはササが地面を隠している中、下の岩が濡れていたり、道が急に落ち込んでいたりという状態であるから、結構手強いところもあったのであった。

猟師の頭を越え、その後 2つほどピークを越えると (1つは巻く) 白砂山の鞍部で、 そこからほぼ一直線の道が頂上へと続いている。
この登りが結構手強い。急斜面に加え、登り着いたと思ったらさらに先があるという状態が何回か続くのである。
早く頂上に着きたいという逸る心がペースを上げさせるため、ややバテ始めた頃、ようやく頂上に飛び出すことができたのであった。

あまり広くない頂上には、三等三角点の他、黄色のスプレーでぞんざいに白砂山と書かれたブリキの看板、 柄の部分が無くなって文字部分だけ置かれた標識、木に括り付けられた小さなプレートなどがある。
その他目立つものとして 「この先危険」 と書かれた標識があったが、これは白砂山より先、 佐武流山への足の踏み入れを警告しているものである。

ところで、インターネットで白砂山を調べていたら、上述したブリキの看板に本来書かれていたはずの文を見つけることができた。
以下の通りである。

「白砂山 標高 2139.7m: 深い渓谷と樹林帯が広がる、静寂につつまれた山です。山頂から見える山々の眺望が特にすばらしく、 北から西には苗場山、岩菅山、南転すると白根山、浅間山、榛名山と上毛の名山が望め、天気の良い日には秩父連峰の彼方に富士山も見ることができます。 環境庁、草津営林署、群馬県、六合村」

実際、360度遮るものがないだけに展望は見事であるが、この頃になると雲が多く出始め、 もともとやや霞み気味であったこともあって展望はかなり減じられた状態であった。
それでも岩菅山や 草津白根山浅間山苗場山 が見え、苗場山の左手には佐武流山、 そのさらに左後ろには鳥甲山を見ることができる。
また 苗場山の右方には 谷川連峰も見ることができたのであった。
但し、谷川連峰方面は残念ながら霞んでおり、1つ1つの山を同定することは困難であった。

最初は独り占めであった頂上も、やがて後から 4人ほどやってきて (実際は私が途中で抜いた人たち) 混み始めたのを機に下山を始める。
下りは快調で、堂岩山と八間山との分岐まで一気に戻った後は、八間山への道を取る。
ここから八間山まではササ原の道が続き、途中いくつかのピークはあるものの、それほど厳しい登り下りはないことから快適である。
振り返れば先ほどまで頂上にいた白砂山が横に大きく翼を広げているのが見える。
しかもこの頃になると、かなり多くなった雲によって白砂山の一部にだけに日が当たっている状況を作り出しており、その様子がなかなか面白い。

とは言え、快適な道も長ければそれなりに疲れも出てくる訳で、いくつも現れるピークに、 今度こそ八間山ではないかと期待しては裏切られる状態が続き、ややバテ気味であった。
それでもようやく彼方の高みの頂上に小屋らしきものが見えてきたので、間違いなく八間山と知り、俄然 元気が出始めたのであった。
こうなると最後の長い登りも何のその、足はリズム良く進み、白砂山頂上を立ってから 2時間強、ササに囲まれた八間山頂上に立ったのであった。

しかし、この山は野反湖からのハイキングコースになっているらしく、頂上では小さい子供を連れた家族が憩っており、 少々場違いな気分である。
壊れかけた小屋の後ろに見える白砂山を写真に収めた後は、駐車場に向けてひたすら下る。
20分ほど下ったであろうか、道はササ原と白樺林からなる平坦で気持ちの良い道となり、やがて車道に飛び出すこととなる。
ただ、ここはゴールではなく、ここから少し先で再び車道を離れ、散策路のような道に入ることになる。
公園内の道のように整備された道を緩やかに登っていくとベンチの置かれた池の峠となり、ここからの野反湖の眺めはなかなかである。
この池の峠から駐車場は近く、7分ほどで駐車場に戻ることができたのであった。
途中眼下に見える野反湖は静寂を湛え、人工湖とは思えない美しさであった。


白砂山登山データ

上記登山のデータ登山日:2006.11.03 天候:晴れ時々曇り単独行日帰り
登山路:白砂山登山口−地蔵峠−堂岩の泊場−堂岩山−八間山分岐−猟師の頭−白砂山−猟師の頭−八間山分岐−八間山−駐車場−池の峠−白砂山登山口
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名高速道路)−用賀IC−練馬IC−(関越自動車道路)−渋川伊香保IC−中之条町−暮坂峠−六合村−白砂山登山口 (車にて)
交通復路:白砂山登山口−六合村−暮坂峠−中之条町−渋川伊香保IC−(関越自動車道路)−練馬IC−用賀IC−(東名自動車道路)−横浜IC−瀬谷 (車にて)


百名山以外の山のページに戻る   ホームページに戻る