登山NO.0052 草津白根山( 本白根山:2,165m ) 1995.8.12登山


 本白根山への途中の火口原( 1995.8.12 )

【草津白根山登山記録】

【草津白根山登山データ】

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NO.52 草津白根山登山記録


将来 私が百名山完登した時に、登ったことは登ったものの登頂に絶対的な自信を持てない山は、 浅間山焼岳、そしてこの草津白根山になると思われる。
最初の 2つは活火山であり、頂上あるいは山そのものへの立ち入りが禁止されているのだから仕方がないとしても、 草津白根山についてはその山を構成する 白根山、逢ノ峰、本白根山のうち、本白根山一つしか登っていないことに 少々後ろめたさを感じるためである (白根山は立ち入りを禁止されている)
白根山は無理だとしても、逢ノ峰は登りたかったと後悔することしきりであったが、 これは後に述べるように十分な下調べをしていなかったことが原因で登ることができず、今回は悪い見本のような登山であった。

この年は、3月に四国剣山に登って以来、途中で宮崎からの転勤 (単身赴任解消) があったり、 台湾への出張が続いたりで、忙しくて山に登る暇が無く、ゴールデンウィーク、7月末の夏休みも結局どこへも行けない状態が続いていたのであった。
さすがに妻も可哀想と思ったのか、休暇をとっての家族旅行に草津を選んでくれて、草津白根山への登山が実現する運びとなったのだが、 車で行って気軽に登れる (こういう登山は不本意なのですがやむを得ない) とタカをくくっていたのが間違いのもとであった。

草津に 2泊して横浜へ帰る朝、天候も晴れだったので寝ている家族をホテルに残して車を飛ばし、白根火山バスターミナルへと向かう。
草津白根山なら、家族がホテルをチェックアウトするまでにホテルに戻ることができると踏んでの登山であったが、 時間に制約があるのは結構キツイものがあることにその時は気づいていなかったのである。
バスターミナルの駐車場に車を止め、まずは駐車場の北側にあるコンクリートで固められた道を 10分ほど登って、 湯釜の方へ行ってみる。
今から 10年近く前に会社の同僚とここへ来たことがあって、その時は湯釜のすぐフチまで行けた覚えがあったのだが、 今は周囲に柵がはりめぐらされていて湖面までは行けないようになっており、少々残念である。
これも火山活動の活発なためらしく、仕方がない。

しかし、柵の手前から見ても、白とエメラルドグリーンとが混ざり合ったような色をした湯釜はとても素晴らしく、 折しも登ってくる朝日が湖面と周囲の岸壁を明るく照らし始めるところだったため、なお一層神秘的なものを感じさせてくれたのだった。
周囲の岸壁を朝日が全部照らすまで見ていたかったが、先を急ぐので湯釜から一旦駐車場へ戻り、道路を渡って弓池へと向かう。
弓池は湯釜と違ってごく一般的な池であったが、木道を通って進むと湿原があり、普段なら観光客でごった返しているであろう池の周囲は誰もいなかったために、 静かで楽しい散策ができたのだった。

湿原から林道に出て、逢ノ峰 (と思う) の裾に沿って左に大きく曲がっていくと、 やがて本白根スキー場となり、そのスキー場のなだらかな斜面の下部を斜めに横切って登山道がつけられている。
スキー場を横切って樹林帯に入ると道はすぐに歩きやすい木道となって、しかも傾斜は緩やかであったことから、結構ペースを上げることができる。
灌木帯の中を暫く登ると、急に視界が開けて噴火口跡が目に飛び込んできたが、深田久弥氏はここを古代ローマの円形劇場 (コロシアム) と形容しており、なるほどと思わず頷いてしまう程ピッタリの表現であった。
また、この光景を見て突然、10年程前この場所にも来たことを思い出したが、今の今まで湯釜に行ったことしか覚えておらず、 人間の記憶の曖昧さを改めて認識した次第であった。

噴火口跡のまわりをグルッと回ていくと分岐点があり、右は万座温泉への道となっていたが、 ここで私は草津白根山に登ることが決まった時にサッと目を通した " 山と渓谷社 " 発刊の " 日本百名山登山ガイド " を思い出し、左に道をとって噴火口跡の周囲の中で一番高い場所へと登り、 それによって頂上に着いたと思ってしまったのである。
確かにそこは頂上らしい体裁になっており、本白根山と書かれた標識 (その下に書かれた文字はよく読めなかった) と方位盤が置いてあり、またそこからの展望もなかなかのもので、白根山方面やその反対側には 浅間山の姿も見ることができたのであった。

セルフタイマーにて記念写真を撮ってから頂上を下って先に進み、再び樹林帯に入っていくと、 やがて木の間越しに鏡池が見えるようになり、またしても昔ここにも来て遊んだことを思い出したが、昔はもっと池が大きかったような気がしたがどうだったのだろうか。
先を急いでいたこともあって、池の方には下りずに道を進む。その後若干の登り下りはあってもそれ程キツイことはなく、 やがて山腹を巻くようになってからひと登りでロープウェイの山頂駅に着いたのであった。
誰もいない山頂駅には、大きな地図が書かれた看板が設置されていて、その地図を見るとどうも本白根山の位置が先ほどの頂上とは違うようで、 何となくイヤな予感がする。
悩みながら今朝ほどの本白根スキー場の前まで戻ったが、そういえば同じ " 山と渓谷社 " から出ている " 東京周辺の山 " では、本白根山頂上は登り始めたスキー場から鏡池を経てこのロープウェイ山頂駅までの周遊コースから 少しはずれた所にあるように書いてあったことを思い出す。
どうするか少々迷ったものの、折角来たのだからと、またもう一度同じコースを登って確かめてみることにする。

駆け足に近いようなペースで進んで先ほどの分岐点に着いてからは、今度は万座温泉への道をとり、 広いが何となく荒涼とした感じの平地の中を進んでいく。その後右の方に大きくカーブしながら登って行くと、やがて " 本白根探勝道最高点(2,150m)" と書かれた標識のある所に到着。
この先も道は続いていたが、本白根山の頂上があるという保証はなく、もう少し先に行ってみて何もなければ戻ろうと考えながら進んでみる。
すると、これまでの登山道から外れて左に入る道があったため、ここではないかと検討をつけて進んでみたところ、 嬉しいことに本白根山頂上にたどり着くことができたのであった。

この辺は硫黄の臭いが立ちこめており、さらには右下を見ると、 谷になっている部分が白茶けて草木一本生えていない状態になっているのが見え、ここが活火山であったことを思い出させてくれたのであった。
待望の本白根山頂上は、腰まで伸びたササの中にあり、枯れた木に小さな標識がくくりつけられているだけの寂しい所で、 当然 三角点もササの中に埋もれ気味である。

ここでもう一度記念写真を撮り、急いで来た道を戻ったが、帰りに登るはずであった逢ノ峰は、 時間の都合で割愛せざるを得ない状況になってしまう。ということで、冒頭述べたように本白根山頂上を踏んだだけとなり、最後まで悔やしい思いが残ったのだった。
疲れ果てて車の所まで戻ると、駐車場の人が料金を徴収に来たので、その管理体制のよさに驚かされてしまったが、 その分、指導標をキチンとつけて欲しいと思った次第である。

車を飛ばし、急いでホテルへと戻ると、丁度 妻と子供達がチェックアウトするところで、 急いで温泉に入って汗を流し、家族と合流したのだった。
その後、今度は家族で殺生河原へ行き、ロープウェイにて山頂まで登って、弓池と湯釜の散策を楽しんだが、 もうその頃には多くの観光客が見物に来ており、湯釜、弓池、弓池の周りの湿地帯も今朝ほどの雰囲気とは全く違う、 いわゆる俗化した草津白根山に変わっていたのだった。
" 山と渓谷社 " を恨むわけではないが、ガイドブックはもう少ししっかりさせて欲しいと思った次第である。


草 津 白 根 山 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1995.8.12 天候:晴れ単独行前日泊
登山路:白根火山バスターミナル−湯釜−白根山バスターミナル −弓池−本白根山登山口−万座・鏡池分岐−本白根山展望台−鏡池入口−ケーブル駅−本白根山登山口−万座・鏡池分岐 −本白根山遊歩道最高点−本白根山−本白根山遊歩道最高点−万座・鏡池分岐−本白根山登山口−弓池− 白根火山バスターミナル
交通往路:草津温泉()から白根山バスターミナルまで車にて。家族旅行のついで。
交通復路:白根山バスターミナルから草津温泉まで車にて。
温 泉:草津温泉
その他:家族旅行にて草津に行った際、早朝ホテル出発前に登山。
8月11日草津温泉泊。翌12日草津白根山登山。
下山後ホテルに寄ってから帰宅。


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