大室山、加入道山、畦ヶ丸( 大室山:1,588m ) 1999.3.13 登山


   雪とガスの大室山西の肩( 1999.3.13 )

【大室山、加入道山、畦ヶ丸登山記録】

【大室山、加入道山、畦ヶ丸登山データ】

再登山


大室山、加入道山、畦ヶ丸登山記録

大室山 (大群山) は 10年ぶりの登山である。
当時は登山を始めたばかりで、丹沢全山を踏破してやろうなどという意気に燃えていたことから、早くにこの大室山も登ってしまったのである。
しかし、いかんせん登るだけでカメラを持参しておらず、結局 大室山の状況を伝えるものは何も残っていない状況となっている。

当時歩いたコースは、箒沢のバス終点 (当時は箒沢まで) から用木沢 (陽木沢) 出合を経て犬越路へ至り、 そこから大室山、加入道山に登って白石峠から再び用木沢出合まで戻ってくるものであり、 帰りのバスまで余りに時間があったため、延々中川温泉まで歩いてしまったのであった。

この山の印象は薄く、山の雑記帳に書いたように 頂上にあるベンチでゴロ寝したこと、 中川温泉近くの飲食店で出されたピーナッツのおつまみに驚かされたことくらいしか思い出せず、 展望もなく寂しい山だったような記憶がある。
従って、もう 2度と登ることはないと思っていたのであったが、 たまたま 『勝手に 神奈川二十五名山』 を選んでしまい、 その中に大室山も入っていたことから、責任上再度登らねばならないようなことになってしまった次第である。

登山コースとしてはやはり前回と同じ西丹沢から登るのが良いようなので早速検討したのだが、 前回のコースと全く同じでは間違いなく物足りなさを感じると思われたので、前回のコースに少し色を付けて、 畦ヶ丸をも含めたルートにすることにした。
前回は小田急小田原線新松田駅からバスを利用したのであるが、今回は車ということで、多少時間に無理がきくということもコース拡大の理由である。

車の場合、東名高速道横浜ICから乗ればアッという間に大井松田ICで、西丹沢自然教室前の駐車場に車を止めたのは午前 6時18分、 およそ 1時間のアプローチであった (こんなに丹沢が家から交通至便の地であるとは気がつかなかった)

6時22分に西丹沢自然教室前を出発し、中川川左岸沿いの道を進んだ。
檜洞丸への登山道を右に見過ごして、さらに進むと道路周辺にキャンプ場などが整備されていたので驚かされる。 10年前は廃屋や工事用のプレハブが建ち並んでいた気がする。
6時44分に用木沢出合に到着。 車が 3台ほど止まっていた。
ここまで車で来ても良いのだが、それでは白石峠からの下山になってしまう。

右に道を折れ、用木沢右岸沿いに進む。
やがて立派な橋が見え左岸に渡るが、この後左岸と右岸を行ったり来たりすることになる。
道は良く踏まれているが、10年前に通った時は結構荒れていた記憶があり、特に周辺の草が結構伸びていてそれが朝露を含んでおり、 ズボンがビショビショになってしまって難儀したのであった。
伏流水になっているのか、水のない河原を歩いていると、谷の先に三角形をした山が現れた。
形の良さに加えて全体がまだ雪に覆われていることから、なかなか風格のある山に見えたが、あれが檜洞丸であろうか。

そうそう言い忘れたが天候は曇り、時々日が射すが概ね雲に覆われていて何となく全体が暗く感じられる。
やがて用木沢から離れて支流の谷を詰めていくことになったが、ここからようやく登りもキツくなり登山らしくなった。
ジグザグに登って行き、ササ原の中を詰めていくと、やがて犬越路で、ここだけはかなり開けていて明るい感じがする (7時44分着)
この犬越路は西丹沢に幾つかある武田信玄伝説の 1つに関連しており、信玄が小田原城を攻めた時にイヌを先頭にしてここを越えたとの言い伝えがあり、 それがこの地名に残っているようである。
この犬越路には避難小屋もあり、大室山や檜洞丸、神ノ川との分岐点になっている要衝の地であり、 展望はなかなかのものであるが、この日は檜洞丸上部はガスに覆われていてあまり良く見ることができず、 また山中を切り裂いている林道が興ざめであった。

犬越路で暫く休んだ後、避難小屋の後ろを通って北西に向かう (7時52分発)
いきなりの急登になるがそれも長くは続かず、いつのまにか 1,169mの大杉丸を越えると平らな道が続くようになった。
この辺から雪が登山道に現れだしたが、凍っている訳でもなく、歩行には全く問題はない。
私が進む方向についている足跡は全くなかったので、本日の登山者第一号が私になるようであったが、 先ほど用木沢に止まっていた車の人たちは檜洞丸へと向かったのだろうか ?

展望はガスのためにほとんど得られず、本来見えるはずの大室山、加入道山は全く見えない。
平坦な道も徐々に登りがきつくなるに連れて、周囲はガスと雪の世界となり、木々には昨日降った雪がかなり積もっていた。
そして、風が吹くたびに木の上の雪がサラサラと舞い、まるで降雪の中を歩いているようであった。温度が低いために、 木の上の雪がパリパリに凍っているようである。
アイゼンは全く不要であったが、それでも結構滑って時間をロスしたらしく、ようやく大室山の西の肩に着いたのは 9時12分であった。
肩は平らな土地の周囲に杭を打っており、その杭に囲まれた中に大きなブナの木とベンチがあるだけであった。
肩から大室山へはほぼ平らな道を5分ほど行けば良く、9時17分大室山頂上に立つことができた。

頂上には例の 「山梨百名山」 の標柱があって意外な気がしたが、 ここは神奈川県と山梨県との県境であった。それにしても 「山梨百名山」 にはある種の執念を感じる。
ベンチで昼食を取った後、再び肩へと戻って、今度は加入道山、白石峠方面へと向かう (9時57分発)
いきなり列車の線路のようになった木道が現れて戸惑うが、これも檜洞丸山頂直下と同様自然保護のためなのであろう、 仕方がない気がする。
しかし、片側 1本ですれ違えるのに、それが 2本も作られていたのは少し過剰のような気がした。

ガスに囲まれた原生林の中をドンドン下っていくと、やがて真下に両側を木枠で囲まれた場所が見えてきたが、 これが破風口で、ここを底にしてまた登り返すようになり、ややキツイ傾斜の雪道を滑らないように登って行くと、 加入道山頂上に続く平らな道となった (10時38分着)
ここにも避難小屋があり、試しに覗いてみると、中がキチンと整理されていて気持ちの良い小屋であった。

加入道山で 1人記念写真を撮った後、再びドンドン下っていくと、着いたところが白石峠で、 ここから用木沢出合に下山することもできるし、さらに先のモロクボ沢の頭、畦ヶ丸へも行けることができるようになっている。
時刻を見ると 11時丁度であったので、これは当初の予定通り畦ヶ丸を目指すしかなく、 再び登り返す畦ヶ丸への道をとった。
この道を進むのは些か不安ではあったが、以前に何人も通ったことがあるようで、雪道はしっかり踏まれており、 何も心配することはない道であった。
ただ、私の持っている 「ヤマケイ登山地図帳 丹沢」 では、白石峠からモロクボ沢の頭まで 1時間と書かれていたにもかかわらず、 幾つかのピークを越えてもなかなか着かず、白石峠から 45分で横浜市野外活動センターへの下山路があるピーク (名前を失念) となり、 ようやくモロクボ沢の頭に着いたのが 12時15分であった (1時間15分かかってしまった)

ここからは完全に多くの踏み跡があるポピュラーコースとなり、鎖場を越えて登り着いた所にこれまた避難小屋があり、 そこからすぐの所が畦ヶ丸頂上であった (12時37分着)
ここも大室山、加入道山と同様展望が利かず、昭和38年に白石峠を補修した記念に建てられたというコンクリートで固めたケルンが印象的であった。
下山は善六のタワを経由しての下山であったが、この道はキチンと整備されてはいるものの、谷の相があまり良くなく、 全体に暗い感じがしたのは私だけであろうか。
この道を逆に登ってくる気にはあまりなれない。

道の最後は西丹沢自然教室手前に架かる立派な吊り橋を渡れば良く、到着が 14時22分であった。
全体的には、どうしても暗いイメージをぬぐい去ることができない西丹沢の山であったが、静かな山旅を楽しむということであればお勧めのコースである。
大きな変化、驚くほどの展望は期待できないものの、原生林に囲まれた深山の雰囲気を満喫したい向きには最適かも知れない。


大室山、加入道山、畦ヶ丸登山データ

上記登山のデータ 登山日:1999.3.13 天候:曇 り 単独行 日帰り
登山路:西丹沢自然教室−用木沢出合−犬越路−大杉丸−大室山肩−大室山−大室山肩−破風口−加入道山−白石峠−水晶沢ノ頭−モロクボ沢の頭−畦ヶ丸−善六のタワ−下棚沢出合−西丹沢自然教室
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名自動車道)−大井松田IC−丹沢湖−中川温泉−西丹沢自然教室
交通復路:西丹沢自然教室−中川温泉−丹沢湖−大井松田IC−(東名自動車道)−横浜IC−瀬谷
その他の
大室山登山
加入道山 登山口駐車場−加入道山 室久保川登山口−あづまや−1,345m分岐 −加入道山−馬場峠−前大室−破風口−大室山・犬越路分岐−大室山 (往路を戻る)
 (2021年02月03日 : 快晴)    こ こをクリック

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