磐梯山( 磐梯山:1,819m ) 2005.05.21 登山


  沼ノ平から見上げる磐梯山 ( 2005.05.21 )

【磐梯山再登山記録】

【磐梯山再登山データ】

フォト

初回登山


磐梯山再登山記録

5月に入って3回目の登山となる。
まあ人から見れば驚くに値する数値ではないのだが、 このところの自分の状況を考えると驚異のペースと言っても良い。
登った山は
磐梯山 1990年に登って以来だから 15年ぶりということになる。

前回は新幹線やらタクシーを駆使したちょっと贅沢な山行であったのだが、今回も種々の事情により車を使わず同じく一般交通機関を使うことにした。表向きの理由はピストン登山を避けるためであるが、 実は先日の高原山登山 那須岳登山崩れ) の帰りにスピード違反で捕まり、 車使用は少々自粛しているというのが本当のところである。
6時12分発の東北新幹線やまびこにて東京駅を出発。 7時56分には郡山着であるからやはり新幹線は速い。 郡山で磐越西線に乗り換えて、猪苗代を目指す。 車窓から磐梯山の形の良い姿が見えてくると心も躍り出す。 天候も快晴で、先日の那須岳 (最終的には高原山) のようなことはなさそうであり、金をかけてここまで来た甲斐があったというものである。

猪苗代駅からタクシーで猪苗代スキー場へと向かう。
本日登るコースは前回と同じ表尾根コースであり、 磐梯山の表の顔から裏の顔への変化が楽しみである。 問題は下山ルートであるが、 前回と同じく川上温泉に下山したのではその後の交通機関が苦しい。 いろいろ検討した結果、押立温泉へと表側を下ることにした。
さて、 この昔懐かしき猪苗代スキー場のコース、 確か 15年前は何人かがパラグライダーをやる中、 スキー場のゲレンデをそのまま登っていった記憶があるのだが、 今回登山道はゲレンデをはずれてゲレンデ手前の林道のようになっている道を登るようになっていた。 これが結構キツイ。 ゲレンデを直登してもキツさは変わらないと思うが、 林道歩きと広々としたゲレンデ歩きとでは気分が全然違うのである。 それでも高度を上げて振り返ると、 眼下に広がる猪苗代湖の姿が見えてきたので気分も高まり、 元気が出てきたから不思議なものである。

猪苗代湖は、沖の方に一部水蒸気のようにモヤッた幕が帯のように広がっており不思議な感じである。さらに、湖岸では田植えの時期なのであろう、水を張った水田が湖岸から山の麓まで広がっており、 まるで猪苗代湖が増水して町を水没させてしまったように見えて、 大変面白い。
キツイ林道歩きも、 やがて左手上方にリフト用の建物が見えてくると終わりに近づき、 登り着いたところを右に折れるとゲレンデの上部へと出たのであった。 広々としたゲレンデの広がりと、 その先に見える猪苗代湖が素晴らしい。

ここからはようやく登山道らしくなり、ジグザグに道を登ることとなって、登り着いたところが天の庭と呼ばれる場所であった。
ここからは灌木帯を進む岩場の道となり、山に入り込んだと実感させる。 左手にはこれから登る磐梯山の姿がはっきり見えるようになり、 左へと伸びた緑の斜面の優美さと、 一方で上方にある鬼の角のような形をした火山であることを感じさせる焦げ茶色の山肌のコントラストが面白い。 頂上付近はまだ多くの雪を抱いていて、 そういえば、タクシーの運転手から聞いたところによれば、 明日が山開きなのだが、 あまりに昨冬は雪が多かったため 2週間ほど遅らせての開催とのことであった。

岩場の道を登るにつれ、磐梯山の裏側へと進む形となり、山の様相がドンドン変わっていくのが大変面白い。キツイ登りが暫く続いた後、道はほぼ平らに近くなると、やがて前方に草木の全くない、 焦げた土のかたまりのような櫛ヶ岳の姿が見えてきた。 ここからは本当に、この山一帯が火山であることを感じさせる光景の連続である。
まず硫黄の臭いが漂い出し、 見上げれば磐梯山は先ほどまでの新緑をまとった表の姿ではなく、 焦げ茶色の岩肌むき出しの姿を見せ、 また火山活動でできたと思われるいくつかの池が 登山道の左右に連続して現れることになるのである。

やがて登山道に多量の残雪が現れ始め、沼ノ平手前では完全に雪の上を歩くこととなった。5月も末のこの時期にこの雪の多さは少々ビックリである。
沼ノ平では、 道筋に1本生えている木の下で磐梯山の荒々しい姿を見ながら休憩をとった。 目の前には沼ノ平というその名の通り平らな草原が広がり、 その後ろには鬼の角のように 2つの峰を抱いた磐梯山が焦げた岩の色を見せている。 木々は左斜面に少しあるだけで、 その上を鷹であろうか、ゆっくりと鳥が旋回していて、 なかなか良い風情である。 いつまでもここでノンビリしていたいが、まだまだ先は長い。
硫黄の臭いの漂う小川を越えると再び雪の原が広がり、 前方右手には櫛ヶ岳、 左手には磐梯山に通じる残雪の斜面が見えてきた。
残雪の斜面はさすがにこの時期 色が茶色ぽい。 この斜面の登り、先行者のステップ跡を辿るので歩行に問題ないが、 ザラメ状の雪は結構滑りやすい。
息を切らせながら斜面を登り切ると視界はグッと開け、 檜原湖の青い水がまず目に飛び込んでくる。 そしてその右手には蝶々を思わせる形をした雪のゲレンデ ? を山腹に抱く西吾妻山の姿、 そしてその右手前には荒々しい櫛ヶ岳の偉容が見え、 吹き渡る涼しい風とともにここまでの疲れを癒してくれたのであった。

道はそこから左に折れる。左下には先ほどまで辿ってきたルートが広がっている。
岩場の登りに息を切らせながら登りつくと、そこは小広い火口上部で、 人々が憩っている。 ここには黄金清水といった名水 ? が斜面からコンコンと湧き出している。 これが本当に冷たくてうまいのである。
黄金清水で喉を潤した後は、またまた岩場の斜面が待っていて、本当に息が切れる。 後ろの人に抜かれまいとしたが、本日の体調ではとても無理で、 少々平らなところで写真を撮って数人を抜かせることにした。 いやはやもう年かもしれない。

岩場を登り終えると、2軒の茶屋が立つ磐梯山の四合目に辿り着いた。ここは先ほどの黄金清水以上に人が多くおり、磐梯山の人気のほどを伺わせる。
ここにも弘法清水と呼ばれる美味しい水が湧き出る水場がある。 水筒に入っていた横浜の水道水を捨て、この冷たい水に詰め替え、 いよいよ最後の登りである。
15年前は、ここから雪の急斜面にステップを切りながら登った記憶があるが、 今回はその斜面の右端にキチンとした登山道が設けられていた。 やはり 15年も経てば、人工的に手が入れられる部分も増え、 状況が大きく変わってしまうのも致し方ないところであろう。

ここの登りも長く辛い。おまけに多くの人々が後に続いてきたものだから、途中で抜かせるのも癪と思い、少々無理をしてしまった。岩が多く歩きにくいのに加え、雪が残り、そして雪解け水にぬかるんだ道を 息を切らせながら登る。 後ろの若い男女に煽られて (勝手な思いこみに過ぎないが・・・) 自分のペースが乱れ、 もう一杯一杯かと思った頃、 ようやく傾斜が緩み、岩場となって頂上も見えてきたのであった。

頂上には多くの人が憩っており、天気も良いせいか皆表情も明るい。
頂上の一番の高みにはケルンのように岩を積み上げて作った土台があり、 その上に真新しい祠が置かれている。 また、その祠の下には磐梯明神と刻まれた石碑があった。 祠は 15年前とは代替わりしてしまっているが、 この石碑は同じような気がする。
眼下には猪苗代湖が広がり、 その反対側は小野川湖、秋元湖を足下に従えた吾妻連峰の山並みが印象的である。 また東には 安達太良山 がその特徴ある山頂の突起を見せ、 北西にはまだ山の上半分以上が真っ白な飯豊連峰が見える。
頂上直下の岩場で駅弁を広げ、 この 360度遮るもののない景色を堪能しながら暫し至福の時を味わったのであった。 これだから登山は止められない。

さて、下山は先にも述べたように今回は押立温泉を目指す。
前回はもう一泊し、 安達太良山に登るつもりであったので川上温泉の方に下ったのであるが、 今回は日帰りであり、鉄道の駅に近い方に下りるに越したことはない。
この押立温泉への登山路は、 真下に見えるスキー場をずっと見ながら下りるようになっており、 あまり味わいのあるものではない。 登りに使うにしても、あまり変化はなく、つまらないような気がする。 やはりこの山に登るのであれば、往路に使ったコースが変化に富んでいて一番素晴らしい気がする。

崩れやすい岩場をジグザグに下り、それが終わると今度は笹や灌木の中の下りとなった。単調な足運びが続く。
途中、小さな祠があり、 振り返れば磐梯山の姿を見ることができるようになっていた。 ここを遙拝所として、磐梯山に登らずに山を崇めることができるということであろうか。
やがて、道は舗装道路に出てスキー場の広い斜面を横切ることになる。 どう進むか迷うところであるが、舗装道路を離れ、 スキー場の斜面を下ることにした。
途中、山菜採りをやっている方に、押立温泉への行き方を聞いたところ、 かなり車道歩きがあるとのことであった。 それでも何とかなるかと思い、スキー場の斜面終点にある車道を右に進む。 振り返れば草の斜面の向こうに磐梯山が形の良い姿を見せている。

車道を 15分ほど歩いただろうか、先ほどの山菜採りの方が車を走らせて追いついてきて、私を乗せてくれた。
これは本当にありがたい。 先ほど声を掛けなければこのような親切には巡り会わなかったはずで、 良い人に声を掛けた幸運に心から感謝した次第である。 この親切な方は郡山の人で、 山菜採りを趣味としており、先日は八幡平の方まで車で行ってきたとか。 車の中で話がはずんだのは良いが、 連れて行ってくれたホテル不動滝の遠いこと遠いこと。 あのまま歩き続けたら大変なことになっていた (ただ、このホテルの温泉は押立温泉ではないようだ。 押立温泉はもっと近かったのだろうか ?)

温泉で汗を流してさっぱりした後は、タクシーで猪苗代駅へと向かった。
途中仰ぎ見る磐梯山の立派なこと、素晴らしい。 多くの人が田植えをする中、その後ろに立つ磐梯山は優しい顔をしていた。 その光景に磐梯山がいかにも生活の一部になっているのが見て取れ、 この山がますます好きになったのであった。


磐梯山再登山データ

上記登山のデータ登山日:2005.05.21 天候:快晴単独行日帰り
登山路:猪苗代スキー場−天の庭−沼ノ平−弘法清水−磐梯山−祠−猪苗代リゾートスキー場
交通往路:瀬谷−(相鉄線)−横浜−(東海道本線)−東京−(東北新幹線)−郡山−(磐越西線)−猪苗代
交通復路:猪苗代−(磐越西線)−郡山−(東北新幹線)−東京−(東海道本線)−横浜−(相鉄線)−瀬谷


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