登山NO.0075 至  仏  山( 至仏山:2,228m ) 1998.8.15登山


 非常に立派な至仏山頂の標柱( 1998.8.15 )

【至仏山登山記録】

【至仏山登山データ】

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再登山


NO.75 至仏山登山記録

「山の雑記帳:至仏山の木道」に書いたように、 8月15日 (終戦の日) に至仏山に登ってきた。
そこまでのアプローチは、前日に水上高原にあるホテルに入り、翌日ホテルの送迎バスにて鳩待峠まで送ってもらったものであり、 個人で行く場合には戸倉の駐車場に車を止め、そこから鳩待峠まで乗合タクシーかマイクロバスを使うことになる。
水上高原にあるホテルから鳩待峠までの道は、ロックヒル式の立派な奈良俣ダムの横を通って、奥利根湯けむり街道を津奈木橋・鳩待峠を目指して進み、 途中見事な滝が多く見られる照葉峡を進行方向右手に見ながらの小 1時間の旅であった。

天候の方は朝方雨がパラついていて、一応ホテルを出発する際には止んでくれていたのだが、 空は暗く、いつまた降り出してもおかしくないような状況であった。
さらに鳩待峠に近づくにつれてガスがかなり出始め、今日の山登りは視界が期待できないことを覚悟せねばならなかった。
先の 「山の雑記帳」 にも書いたように、送迎のマイクロバスは鳩待峠出発 14時とのことで (集合が13時50分)、歩行時間は正味 4時間50分ほどとなっており、 従って私の家族 (妻と子供2人) を含めて乗客全員が尾瀬ヶ原の散策へと向かったのだが、 私はと言えば、家族をほったらかしにして 至仏山登山口へと向かい、 登山口にいた係の人に促されて登山届けを書いた後 (一応登山届けには至仏山往復と書いた)、 一人山へと向かったのであった (午前9時出発)

その時、係の人が、至仏山往復の場合は健脚の人で頂上での休みを入れて 5時間と言っていたのに発奮し、 それならもっと早くなるように頑張ってみるかと、最初からスピードを上げる。
ありがたいことに、傾斜もさほど急ではなく、また周囲がガスに囲まれて視界をほとんど得られなかったことも手伝って、 かなりのハイペースで進むことができたのだった。
さらには、途中までぬかるみの道が続いていたが、途中から木道歩きに変わったことで、足をしっかり確保できて滑ったりしなくなったことから、 さらにペースが上がった様な気がする。

やがて、左側の斜面を進むようになって左手の視界が開けるようになったが、 本来なら見えるであろう 武尊山もガスの中で全く見えずじまいであった。
至仏山は山全体がかなりの水分を含んでいるかのように、 至る所から水が湧き出しているような印象を受け、それが山中の湿原となったり、沢となったり、 はたまたぬかるみの道を作りだしているようであった。
そのためか、登山道もドンドン削り取られていくようで、それを防ぐために木道が敷かれており、 また木道のない所にも木道敷設のための木材が道脇に多く積まれていた。
1年も経てば登山道の 50%近くは木道に取って代わるに違いない。

木道の緩やかな登りを進み、木の梯子を登って岩場を越えると、再び下り道となったが、 先にも述べたように足場が木道のためしっかりしていることから、滑ってエネルギーをロスすることもなく、快調に進んでいくことができた。
やがて、木道はオヤマ沢田代湿原を横切るようになったが、ガスのために視界は得られない状況で、 今度は右側が開けていたことから本来 尾瀬ヶ原方面が見えたかもしれないのに、全く残念なことであった。
途中、左手に笠ヶ岳方面の道を分けると (午前9時55分)、やがて道は岩場へと変わる。 笹原や湿原が頂上まで続くのかと思っていただけに、これには少々驚かされた。

ハイマツなども周辺に見られるようになり、完全にアルペンムード (?) が漂うといった風情となって気分良く岩場を進んでいくと、 右手上の岩場に 「小至仏山」 と彫られた立派な石柱を認めることができた。
記念写真を撮るべく三脚の用意をしていると、都合良く女性登山者が 至仏山方面から下りてきたので、 お互いに記念写真を撮り合うことにしたが、聞けば、至仏山頂上では誰もおらずに記念写真を撮り損なったとのことで、 本日は天候もあまり良くないことから登山者が少ないようである。

小至仏山からは完全に岩場歩きとなり、暫くはガスの中、 前方にボヤッと見える高みに 「至仏山頂上か?」 という期待を抱かせられては裏切られることが続く。
それでも、やがて高みの上に人々が憩っているのが見え、実はそれはハイマツの見間違いだったのだが、頂上であったことには間違いなく、 最後は意外と呆気なく頂上に飛び出すことができたのであった (午前10時38分)

頂上には 小至仏山のさらに上を行く、 墓石のように立派な石の標柱が立っており、その傍らには何と三角点を示す石柱が引っこ抜かれて置かれていた。
展望の方はガスのため当然の如く得られず、かろうじて周辺の岩が見える程度で、覚悟していたとは言え大変残念であった。
また、頂上には石柱の近くに 7人程のグループが車座になって食事をしており、他に 2、3人いた人達は頂上標識から遠いところで休んでいたので、 写真を撮ってくれとは頼みづらく、三脚を出そうかと思っていたところ、車座の中の若い人が 「撮ってやりましょうか?」 と言ってくれたので、 言葉に甘えて記念写真を撮って貰うことにした。
食事を中断して写真をわざわざ撮ってくれた親切も嬉しかったが、それよりも嬉しかったのが 「撮ってやりましょうか?」 という言葉を聞いたことである。
「撮ってやる」 という言葉をそのまま受け取れば、標準語では大変尊大な、 失礼な言い方だと思うのだが、この言い方は両親の出身地である長岡や栃尾に昔よく遊びに行っていた時に聞いた言い回しであり、 懐かしさがこみ上げてきたという次第である。

頂上の視界はいつまで経っても回復しそうになかったので、20分程休んで下山することにしたが、 意外と早く頂上に着いたことから下山には山ノ鼻経由のルートをとることにした。
このルートは 1年程前に再開されたものであり、それまでは自然保護のため 8年もの長い間通行禁止となっていたものである。
こちら側は高天ヶ原と呼ばれており、昔登った 早池峰山の小田越コースを彷彿とさせる、 広い岩場の斜面で、ガスの中でも明るく気持ちよく歩くことができた。

やがて、前方のガスが晴れ始め、眼下に尾瀬ヶ原がうすらボンヤリではあるが見え始めたので、 思わず快哉を叫んでしまった。
緑の原の真ん中に木道が走っており、その周囲に白く見えるのが池塘、そしてその先に茶色く見えるのが山ノ鼻の建物らしく、 そしてさらにその先を目で追っていくと、木道の左に多くの池塘を認めることができた。
しかし、そのさらに先はガスとなっており、お目当ての 燧ヶ岳は左側の斜面がホンの少しだけ見えただけであった。

登山道は蛇紋岩と呼ばれる岩がゴロゴロしており、下り始めた頃は木道が敷かれていたので問題なかったものの、 途中、沢の中を歩くようになってからは岩がかなり滑りやすく、バランスをとるのに苦労させられた。
しかし、荒廃・裸地化を防ぐためにこのように高い所まで立派な木道を設置し、また登山道に石をきれいに敷き詰めたりするなど、 この登山道を整備された方々の努力には頭が下がる思いである。
眼下に広がる尾瀬ヶ原の風景を楽しみながらドンドン下ると、やがて樹林帯に入ることとなったが、 ここも人工的に作られた沢の中を下るようになっていて滑りやすく、結構慎重さが要求された。

周囲の木も背が高くなり、木の梯子や木道が現れるとやがて樹林を抜けることになって、 目の前に山ノ鼻田代の湿原の広がりが現れた。
湿原には木道が一直線につけられ、周囲には池塘も見られたが、あまり花などは見ることができなかったのが残念であり、 また、振り返れば 至仏山が中腹まで姿を見せていたものの、 上の方は完全にガスで隠れている状況で、最後まで 至仏山の姿を拝むことはできなかったのだった。

木道を進んで再び樹林帯に入ると、そこは多くの人々で賑わう山ノ鼻で、山小屋の他、資料館などもあった。
時間を見ると 12時5分であり、私の家族は恐らくもう鳩待峠に向かっているだろうと推測されたので、 休むことなく鳩待峠に向かったのだが、ここで後悔することしきりなのが、時間的には十分に余裕があったにも拘わらず尾瀬ヶ原を見ずに鳩待峠に向かってしまったということである。
私は、尾瀬ヶ原というのは鳩待峠−山ノ鼻間も含まれるのかと思っていたのだが、これはよく下調べをしなかった報いであろう。
これでは徒然草にある、下社しか見ずに石清水八幡に詣でた気になった人と変わらないということであり、悔やまれることしきりである。

山ノ鼻 − 鳩待峠間は木道が敷かれているものの、周囲は湿原ではなく樹林帯で、 スピードを上げて進んで行くと、鳩待峠近くの緩やかな登りの所で妻に追いつくことができた (子供達はもっと先に行っているとのことで、結局 鳩待峠まで追いつくことはできなかった)
そして、12時45分に鳩待峠に戻ることができたのだが、時間に余裕があったため入浴などして時間を潰していたところ、 急に激しい雨が降り出して多くの人達がびしょ濡れになって戻ってきたので、尾瀬ヶ原に行って時間ギリギリになってしまわなくて良かったと、 自分を納得させたのであった。

至仏山は樹林帯が続く山だと思い込んでいたところ、 意外にもアルペンムードを味わうことができ、さらに急いで登った甲斐があって山ノ鼻ルートも通ることができたので、 ガスに展望は妨げられたものの、なかなか儲かった気分にさせてくれた山であった。


至仏山登山データ

上記登山のデータ登山日:1998.8.15 天候:曇り(&ガス)単独行日帰り(旅行の途中:前日泊)
登山路:鳩待峠−オヤマ沢田代−笠ヶ岳分岐−小至仏山−至仏山−高天ヶ原−山ノ鼻田代− 山ノ鼻−鳩待峠
交通往路(前日ホテル泊)−水上高原−(奥利根湯けむり街道)−津奈木橋−鳩待峠(ホテルの送迎バスにて)
交通復路:鳩待峠−津奈木橋−(奥利根湯けむり街道)−水上温泉−(ホテル泊)(ホテルの送迎バスにて)
その他の
至仏山
登山
(1) 鳩待峠−オヤマ沢田代−笠ヶ岳分岐−小至仏山−至仏山−小至仏山−笠ヶ岳分岐−笠ヶ岳−笠ヶ岳分岐−オヤマ沢田代− 鳩待峠  ( 2002.10.12:快晴 )
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