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課題本 2004年度

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書名 著者名 出版者 コメント
君たちはどう生きるか 吉野源三郎 岩波新書 これだけ読むのが苦痛な本は、今までなかった。とにかく文体が古く、中学生の生活も今とは違っている。自分が中学のときでさえこのようではなかったので、全く入り込めない。
古い文体は嫌いではないのだが、「古い文体で書かれた物語」が好きなのであって、このように道徳的な内容はもっと大人向けの文体でないと気恥ずかしくて読めない。
P170〜「石段の思い出」のエピソードには感じるものがあった。勇気が無くてふみだせなかったことは幾度もある。身に沁みた出来事があっても、気を抜くとやはり「何もしない」方に流れてしまう。時々思い返しては、活を入れている。
ウエズレーの国 ポールフライシュマン あすなろ書房 絵は刺激が強すぎ、「こんな便利な植物があるはずない」とは思ったが、読み終わって開放された感じがした。主人公がいじめっこ達に媚びていないところがいい。
ぼくのつくったまほうのくすり ロアルド・ダール 評論社 ダールの作品は基本的に苦手だ。「チョコレート工場の秘密」は大好きだったが、女の子が紫色にふくれあがるシーンは気味が悪くていやだった。この毒の部分が後の作品になるほど強くなる感じ。
この作品も「ウェー」と思う分部はあるけれど、ほんとはやってみたいのにできないことを代わりにやってくれるって、スカッとした感じがあるのかな。
「スターガール」 ジェリースピネッリ 理論社 とにかく読み進めなかった。訳のせいだろうかテンポが悪い。ポーロックに「しっかりしてよ」と思いながらも無視されるというのは、やはり耐えられないだろうなと思う。でも、だからといって、スターガールを「普通」にしようというのは無理なことだった。「本物」だったんだから。
全体的に重苦しい印象だが、なんだか最後の章に救われた感じ。それぞれの人のなかにスターガールが生きていて。
「火のくつと風のサンダル」 ウルズラ・ウェルフェル 童話館 どうしても古いと思ってしまうけれども、お金をかせぎながら旅をするというのはいいな。徒歩旅というのは、今の人には、もう本当のファンタジーなんだろうか。自分は、一日中歩くという日が学校行事のなかにあったけれど。
風のサンダルが話す物語が、実は息子を主人公にしたものだとわかると「なーんだ」というひねくれた気持ちになるし、素直に聞ける火のくつも「ありえない」と思ってしまう。
「かけぬけてテッサ!」 K.N.テイトン 徳間書店 最初のうち、なかなか読み進めなかった。ハラハラドキドキさせてくれたものの、やはりできすぎた話しと思う。しかし、子どもたちには、このように未来を信じる力をつけてあげることが必要でろう。どんな環境でも夢や目標がある人は強い。
こんなのありか?と思った部分は次のところだ。1.実父と再会したとき、テッサがあまり抵抗無く(ように見えた)受け入れたこと。2.勤め先の厩舎を首になることもなく、義兄がよい方向に向いたこと。3.学校の先生と家庭教師が、テッサの頭の良さを認めていたこと。4.最後のレースでテッサに追い抜かれながら、他の騎手がテッサに応援の声をかけたこと。
「名前のない人」 C.V.オールズバーグ 
村上春樹訳
河出書房新社 絵本は何とコメントしていいかわからない。
まず、興味をひかれたのは訳者が村上春樹だということ。 この本の内容ではハードボイルドの味は出しにくいように思うが、この作者の本を訳したシリーズがあるということは評判がいいということか?
絵の表情がいい。最近はやりの写実的な細密な絵というのはあまり好きではないが、この人の絵は驚いた顔や笑った顔がいい。
「ネルソンさん あなたは人を殺しましたか」 アレン ネルソン 講談社 戦争で人を殺したことを認めたネルソン氏に対して、少女の反応がすばらしい。厳しい環境に生きるハーレムの子だからなのか?
「祈祷師の娘」 中脇初枝 福音館 不思議な話しは好きだが、これは能力を持った娘の話ではなかった。最初はなかなか読み進めなかった。最後の方で「(能力を持たないが、能力を拒否するわけでもない主人公の)存在が救いである」という、この文のために書かれた本ではないかと思う。
「大好きなことを仕事にしよう」 中村修二 ワニブックス '93年青色発光ダイオード発明。
入社して10年は会社の言いなりに売れない商品を作っていたそうだ。なぜ売れないのか分析できているところがすごい。著者は研究者になったが、経営手腕もあったのではないだろうか。
大学のカリキュラムを見て目の前が真っ暗になったというところは、私の高校時代と同じ。どん底を味わうと成功の予感がするところも共感する。なりふりかまわなくなるから。ウンウン、そうそうとうなづくことが多かった。自分の道を進むには勇気が必要だ。