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課題本 2001年度

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書名 著者名 出版者 コメント
肩甲骨は翼のなごり デイヴィット・アーモンド
山田順子訳
東京創元社 スケリングとの出会いの描写は、正直、気味の悪いものである。 わたしはスプラッタは嫌いなので、吐き気を押さえつつ読んでいくと、 生まれた妹が病弱だとか、引っ越してきたばかりだとかいった事情がこの情景にピッタリのような気がしてくる。 天使とおぼしきスケリングが、実は肉食で、猛禽類に近いというのがいっそ痛快な気がする。
弟が未熟児で生まれたときの長女の気持ちって、マイケルのようだったのかな。
シカゴよりこわい町 リチャード・ペック
斎藤倫子訳
東京創元社 舞台は開拓時代のものが、もう100年記念になる時代である。 でも、開拓者魂は残っていて・・・。 テーマがどうとかいうより、痛快さを楽しむための本だと思う。 おばあちゃん、本当に策士だねぇ。
ヒロシマから帰った兄 アリアン・D・バウアー
久米穣訳 
(株)佑学社 戦後日本はアメリカの豊かさに驚いたというけれど、アメリカの一般市民も不自由に耐えていたんだよね。 戦争に突き進んで行く過程は、表立たずわかりにくい。でも、日常生活の中にもファッショ的なことって ころがっている。戦争について「語り続けなければいけない」というのはそうだけれど、 語り方を工夫しなけれならないだろう。作家・早乙女勝元氏の娘さんが、父の手法に異を唱えたように。
レモネードを作ろう バージニア・ユウワー・ウルフ 徳間書店 主役の少女達、人種は書いていないけれど、一目瞭然なんですって?ここに登場する「蒸気教室」のようなものに、私も通っています。ただ話すだけ、聞いてもらうだけで大分気持ちが整理できるものです。
スパイになりたいハリエットのいじめ解決法 ルイーズ・フィッツヒュー 講談社 半分ぐらいまでなかなか読み進めめなかった。60年台のオールドな雰囲気の本。私にとってはこれだけ読みにくかった本は、めずらしい。
鬼の橋 伊藤遊 福音館 おもしろかった。
「民話を題材にした創作」という分野はもともと好きだけれど、久々に時間を忘れて読みました。
ところで、作者は女性か男性かという話題になったのですが、皆さんどちらだと思いますか?
はちうえはぼくにまかせて 夏休みなのに、なかなか休暇がとれなかったお父さんのとがった表情が、最後のページでは一変していて、 苦笑いしてしまった。
桃子  江国香織 いいのかずよし 絵の効果で不気味さが増している。江国香織の作品は乾いた印象だが、いいの氏の絵のせいで 湿度が増している気がする。
ゆうかんな女の子ラモーナ クリアリー 学研 真面目でいいこちゃんだった私にとっては、好き勝手をしているラモーナみたいな子は 嫉妬の対象。はらがたってくるので、ヘンリーくんシリーズのほうが好きです。
まねっこしいの女の子、なんていう名前だったかしら。あの子の気持ちの方がわかるなぁ。 ラモーナのおかあさんが言ったように、自分に創造力が無いということは自覚していて、 ラモーナをうらやんでいると思うの。私は、小学校1年で初めての作文の時間、 何をどう書いていいかわからなくて、隣の子の作文を写して提出しました。 今じゃ読ませる相手に合わせて、硬い文柔らかい文、 書き分けちゃったりするぐらいになりましたけれど。 周りの大人の対応が大事ですよ、やっぱり。
狼とくらした少女ジュリー ジーン・クレイグヘッド・ジョージ
西郷容子
徳間書店 小学校時代夢中で読んだ、シートン動物記を思い出した。親から教えられたことを子どもは 生真面目に守るのに、親(大人)の方はあっさり主義を変えたりする。
森のなかの海賊船 岡田 淳 理論社 感想と言われても困るような本だ。登場人物があまり好みではないせいか。 挿絵を見ると人間離れしているし、かといってファンタジー性も思ったより弱いし。
ウーヌグーヌがきた イリーナ・コルシュノウ著
松沢あさか訳
さえら書房 最初のうちはただの空想冒険物語かと思ったが、そのうち、 ウーヌグーヌの要求の仕方に「なんか覚えがあるぞ」と思えてきた。 ウーヌグーヌはあちこちにいるのだ。あとがきにもあるように、 自分の目で確かめることなく、常識ではこうだとか、大人になったんだからこうとか、 本当は自分で自分の首を絞めるようなことをしている。この少年みたいに、 先入観にとらわれずに行動できたら・・・。
聞き書き 里山の暮らし 宍塚の自然と歴史の
宍塚の自然と歴史の
すぐ近所の宍塚大池に菱の実があったとは。アイヌ語でペカンべ。 少なくなっているそうだが、今でもあるのだろうか?
マツの木の王子 キャロル・ジェイムズ著
猪熊葉子訳
フェリシモ出版 昔の児童書特有の教訓話で古いという印象。これを子どものころ読んだ世代がなつかしがって買うのだろう。 今の子ども達が読んで、おもしろいかどうか。
言葉は昔のまま復刻させたようだ。
みち子のダラダラ日記 佐野洋子 理論社 みち子は何年生?作者はこの年頃のことをよく覚えているなという感じ。「100万べんいきたねこ」でもそうだが、佐野洋子の書いたものは「怖い」という印象がある。 私の好きな怖さではない。ドロドロとした怖さだ。60過ぎてこの作品が書けるのはすごいことかも。
猫の帰還 ロバート・ウエストール著 徳間書店 ヨーロッパの得に戦闘物は苦手。著者は単なる戦闘機好きなのでは?
戦争が与える影響については、小説仕立てより、ノンフィクションとして読みたい。フィクションであれば、 どうしても現実離れしたものとして読んでしまう。
豚の死なない日 ロバート・ニュートン・パック著
金原瑞人訳
白水社 農場を運営していくということは、あまりに遠い話で想像がおよばない。年上の姉妹がいるのに、 男だからといって早く大人にならなければいけないというのは、考えてみればかわいそうな話だ。 女は差別されるけれど、男によりかかれば、寄りかかられる男の方もしんどいのでは? この本には宗教のことがよく出てくるが、アメリカの図書館や学校ではどのような扱いを受けているのだろうか。 学校では、クリスマスの行事さえやらないと聞いたが・・・。
ハリーポッターと賢者の石 ローリング著 青山社 作品自体より、出版までのいきさつの方が興味深かった。正直いうと、 なぜこの本がいまそんなに話題なのかわからない。 それだけ、最近は正統(?)なファンタジーが出ていないということだろうか。 登場人物の個性にはひきつけられる。