周波数安定化HeNeレーザ (FS1M)


周波数を安定化させた光ヘテロダイン変位計の光源です


<< 特徴 >>
1.高い周波数安定性
2.アイソレータ組み込みにより戻り光に強い

<< 周波数安定化レーザとヘテロダイン計測 >>
ヘテロダイン計測の光干渉を利用しての高精度計測においては周波数が安定化されたレーザが必要です。
ここでは何故周波数安定化レーザが必要なのかを説明します。
通常のHeNeレーザでは、周波数は6桁安定していると言われます。これで問題がないように思えます。しかし、光干渉を基本とする測定では問題になることが知れます。
測定条件として、プローブの先30cmに反射ミラーを設置し、そのミラーの変動を測定する場合を扱います。測定光(周波数f0+f1)はミラーで反射し、干渉をさせるための参照光(周波数f0+f2)はプローブ内で反射するとします。f0はレーザ波長であり、f1,f2は光干渉を電気信号処理するためにブラッグ回折によりシフトさせた周波数です。
往復60cmの間に2nsの時間が経過します。この時間のズレの間にレーザ波長f0が僅かに変わります。それをΔf0とします。干渉結果として電気信号は
               |f1−f2−Δf0|
の周波数の信号を発生します。この信号の位相を検出して変位量を求めますので、位相検出精度以上に周波数が安定していなければ、被測定物体が動いていないにもかかわらず変位していると観測されてしまいます。この周波数の安定度を阻害する要因がΔf0の存在です。
           0.95<|f1−f2−Δf0|/|f1−f2|<1.05
が望ましい条件です。|f1−f2|を10MHzとするとΔf0は500kHz程度が要求されます。
ちなみに、f1−f2の安定性は数十Hz程度ですので問題はありません。
問題は2nsの間にレーザ波長は100kHz変動するか否かです。残念ながら、このような短時間内での波長変動を調べる方法はありません。従って、仮定が入ります。
(現在はヨウ素吸収線波長を基準波長としており、その基準光と被測定光源を光干渉させ、その干渉結果の電気信号の揺らぎを被測定光源の揺らぎ量としています。しかし、電気信号に変換しているため、光検出器、増幅器等の周波数特性が直接この揺らぎ量測定の信頼性を支配します。現在最高の周波数特性を用いても5GHz程度でしょうか。また、この時間間隔内に光検出器に入射する光量は大変少ないのです。つまり、ヨウ素吸収レーザでは1mW程度ですので1ns時間内には1pW相当の光しか入射しません。この光量でSN比高く計測するためには未だ時間が必要です。つまり、2nsでどの程度周波数変動するかの実験は不十分です。)
そこで”6桁安定している”とはどの様な意味なのかが疑問となります。
安定性は、ある一定時間間隔(ゲート時間)内に入射したヨウ素吸収レーザとの干渉光の電気信号のゲート時間内での時間平均値を求め、その平均値をそのゲート時間内の周波数とし、その平均値の時間変動をもって表現しています。(弊社ヘテロダイン変位計では100nsが最短のゲート時間としています。)
通常ゲート時間は2nsより長いのですが、ここでは信号処理回路の周波数帯域特性より、ゲート時間と同じ周波数安定性を有していると仮定します。逆に光検出器、増幅器、測定器の特性から2nsは現実問題として問題とならず、ゲート時間が問題となります。この意味で6桁の安定性とは
          8       −9   −6                           
      3×10 /633×10  ×10  〜500MHz
の程度の周波数揺らぎが存在することを示します。要求されるΔf0と3桁異なります。但しこの揺らぎは大きく見積もりすぎです。いずれにせよ、この相違が通常のHeNeレーザでは精度高くヘテロダイン計測できない理由です。
従って、変位量を測定するためには、光ヘテロダイン計測の光干渉を利用するためには9桁(実質では8桁)の安定性が必要となります。そこで周波数安定化HeNeレーザが必要となります。
但し、ここで注意が必要です。8桁の安定性は連続する第1,第2,第3・・のゲート時間間での変動において必要なのであって、長い時間の間には必要ありません。なぜなら、長い時間の間には振動、揺らぎなど外部要因による測定変位量の変動要因が大きなウエイトを占めるからです。周波数安定化レーザの長い時間の間における周波数変動の最大要因は温度変動です。(研究室の冷暖房の切り替え、空調のON/OFFが影響を与えます。)つまり、高精度計測には温度制御も必要です。

また、高精度測定用レーザには光周波数(波長)の絶対値が知れていることよりも、ふらつきがどの程度であることが知れていることが重要です.(通常のHeNeレーザとしては5桁はその値が知れています)。なぜ、”絶対値が知れているよりも、周波数のふらつきが抑えられているか否か”の情報が重要であるかは、HeNeヘテロダイン光源の項目<<光周波数の絶対値よりもふらつきの小さいことが必要な理由>>、をご覧ください.

<< 仕様 >>

光出力 > 0.8mW
縦横モード 共にシングルモード
偏光性 直線偏光光(消光比25dB)
ビーム径 0.5〜0.8mm
ビーム広がり 1.3mrad以下
周波数安定性 ±2MHz以下(1時間計測)
温度安定性 0.5MHz/℃以下
使用温度範囲 10−40℃
ウオームアップ時間 40分
コントローラサイズ W213×H88×D300(突起部を除く)
ヘッドサイズ φ40×L370(シャッターの突起を除く)
重量 ヘッド1Kg,コントローラ2.5Kg
消費電力 100W(100V,50/60Hz)

仕様値に対する特性値の例を特性データ(例)のページでご覧ください。

<< 外観写真 >>
単独で周波数安定化レーザを使用される場合
レーザヘッドとコントローラから構成されます。コントローラの外観寸法を次のページで示します。<参照 コントローラ外観図
アイソレータを組み込まないタイプもあります。


レーザ機器に組み込まれる場合

レーザヘッドと、2種の信号処理ボート及び高圧電源から構成されます。

形状などの情報は取扱説明書をご覧ください。
カタログ(PDFファイル)


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