HeNeヘテロダイン光源   
    (FS−HNL)
ヘテロダイン計測装置の光源です

<< 特徴 >>
   
ヘテロダイン計測の基準光源
<< 仕様>>
使用レーザ 周波数安定化HeNeレーザ
出射光数量 2チャンネル
出射光量 各チャンネルとも250μW以上
出射光偏光特性 両チャンネルとも直線偏光
ビート周波数 25,50,100,500kHz,1,5,10MHz
ビート周波数安定度 1ppm
出射光取り出しコネクタ FCコネクタ(定偏波ファイバーを用いて接続してください)
*空間伝幡のタイプもあります。
大きさ 430W×150H×320D(参考値〉
用途に合わせて設計します。
電源 AC100V、2A


<< 構成 >>
ヘテロダイン計測する際の光源としては次のことが必要です。
1.光周波数のふらつきが小さいこと。(理由は次の項目を参照してください)
2.ビート周波数が測定対象にあわせて設定できること
3.ビート周波数が安定であること。
です。これらの性能を本光源は満たしています。

<< ビート周波数の設定 >>
ヘテロダイン計測ではわずかに異なる光波長の二つの光を用います。この光周波数の差は、電気信号処理できる周波数領域です。その点では問題ありません。設定の際に気をつけなければならない点は、ドップラーシフト量です。つまり、被測定物が移動する場合、ドップラー効果が起こり、光周波数が僅かに移動します。そのシフト量以上にビート周波数を設定してください。ドップラーシフト量D(Hz)は被測定物の移動速度V(m/s)と次の関係にあります。

ここでλは光波長です。HeNeレーザの場合、1m/sの速度に対して、ドップラーシフトは3.15MHzになります。このような速度を計測する場合にはこの周波数以上のビート周波数を選択してください。5MHz、10MHzから選んでください.切り替えはコネクタ一つで行います.


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<< 光周波数の絶対値よりふらつきの小さいことが必要な理由 >>
  HeNeレーザは理科年表でも示されているように、光周波数(波長)が他のレーザに比べ安定しています。更にヨー素吸収を利用した基準レーザも作られています。絶対値も10桁は安定しているヨー素線吸収HeNeレーザも市販されています。この高い絶対値を有するレーザは長さの基準的レーザとなります。精密に時間計測し、かつ干渉縞を求めて絶対距離を求める際には必要となります。
  しかしながら、変位量計測する際に、絶対値が本当に必要でしょうか。〈以下は理想環境で考えます〉
  絶対値が得られる利点は、たとえば干渉をさせる場合、干渉距離に応じた干渉縞が生じ、その干渉縞が動かないことにつながります。干渉させる二つの光の移動距離の相違が問題にならないからです。絶対値が異なれば別の干渉縞になりますが、同じように固定されます。理想的にはこの距離差が極めて大きくても問題になりません。また、この移動距離差が微小に変化した場合も、干渉縞の移動となって現れ、干渉縞の移動で微小の変化量を、その波長(光周波数〉を用いて、極めて正確に測定できます。絶対値を基準にしてレーザ測定する素晴らしい点です。
  そこで、絶対値としてある桁まで知れているが、それ以下の桁ではふらつきのある通常のレーザを考察します。絶対値の安定性が理想からずれてくると、静止していた干渉縞はふらつきます。このふらつきを、距離差の微小な変動として認識してしまいます。ではどのくらいが必要なのでしょうか。距離差を3m(片方の光路を3.05m、片方を5cm)としてみます。この距離を光は10nsで通過します。この10nsの間に632.991399nmから632.991398nmへ波長が変化した場合(以下@の場合と呼ぶ)と、632.990000nmから632.990001nmへ波長が変化した場合〈以下Aの場合と呼ぶ)を考えます。すると632.991399nmの絶対値のままふらつかない干渉縞に対して、@の場合で約0.0001×2πラジアン、Aの場合で約1300×2πラジアン、の位相ずれを起こします。極めて大きな相違になります。波長の絶対値が異なると、位相値は大きく異なることがわかります。しかし、この位相値は2πの整数倍は干渉縞の上では認識できません。(たとえ、絶対値が知れていても)。
   認識できるのは、"位相がどのように動いたか"です。
物体が3mから316nm移動した場合にどのように位相が変化するでしょうか。次の4つのケースを考えてみます。
@の場合、Aの場合は上記のまま、316nm移動中もゆらぎがないとします。Bの場合として、316nm移動中に632.991399nmから632.991389nmへ変化した場合、Cの場合として316nm移動中に632.990000nmより632.990010nmへ変化した場合を考えます。
結果として
   @の場合 位相差=0.99843378×2π
   Aの場合 位相差=0.99843599×2π 
   Bの場合 位相差=0.99841382×2π
   Cの場合 位相差=0.99845845×2π
      @A間の差  0.00000221×2π
      @B間の差  0.00001996×2π
      AC間の差  0.00002246×2π
となります。(反射で干渉を起こすと想定しましたので、移動量の2倍が光路長の差です〉。移動の結果として、干渉縞の位相差が異なり、逆に、この位相差より、移動量を認識しますので、位相差が異なることは正確な値からのずれ〈誤差〉を意味します。この結果より知れることは、@A間の差よりも、@B間、AC間の差が1桁大きいことです。(変化の正負方向が反対なのは、ゆらぎの正負を逆にしているためです〉。@A間の差は光周波数の絶対値が上位6桁目で異なる場合の測定です。@B間の差は波長の絶対値を632.991399nm付近において、ゆらぎが0.00001nmある場合とない場合の測定の差です。AC間の差は波長の絶対値を632.990000nm付近において、ゆらぎが0.00001nmある場合とない場合の測定の差です。
  つまり、波長(光周波数)は5桁以上正確であることよりも、ゆらぎが8桁程度で抑えることの方が大きな問題であることを示しています。
  以上が、変位計測において、光波長の絶対値を問題にするよりも、その波長の安定性を問題にすることが重要である理由です。
ちなみに、通常のHeNeレーザの波長は特別な処理を施さなくても5桁は安定しています。

      光で物理量を高精度に計測


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