フリーマンの随想

その85. 8020(ハチマルニイマル)の達成


*一生健康な自分の歯を持ち続けるための努力*
(May 21, 2012)



 ちょうど14年前に、このホームページに 「 歯の健康について 」 という一文を掲載しました。 そして今、めでたく 「 8020 」 を余裕をもって達成した歓びを味わっています。

 80歳の誕生日を迎えた私は、現在自分の歯を28本中26本持っています ( 「 親知らず 」 を除き成人の歯の総数は28本です。 私の親知らずは4本中3本が抜かれ、1本残っていますがこれは番外です )。 無くなってしまった2本 ( 右下の大臼歯 ) ですが、残念ながら17年ほど前、在米中に、それまでの不節制の結果腐ってしまい、抜歯されてしまったのです。

 しかしその抜かれた跡には、上記の 「 歯の健康について 」 に書いたような経緯で、当時は米国でも珍しかったインプラント方式で義歯を2本植え、これは17年後の現在もなお、全く問題なくあたかも自分の歯のように使用しています。  それは、このインプラントを作ってくれた歯科医が、当時米国でも30人ほどしかいなかったという、難しい研修を受けて高度なインプラント手術の技量を取得した歯周医療専門の歯科医師 ( Periodontist ) であったためだろうと思います。

 彼は私に対する半年以上にわたる慎重で丁寧なインプラント人工歯根装着作業が終わった後、私に向って、「 もしあなたが、今から私の言う通りに毎日の歯の手入れを励行するならば、あなたは死ぬまで自分の歯をすべて失わず、それを使って十分な咀嚼が出来るはずです 」 と言いました。

 あれから17年、当初は半信半疑でしたが 「 ひとつ挑戦してみよう 」 と考え、私は本気で彼の言った事を直ちに励行し始め、それを続けてきました。 その結果、「 彼の言った事が実際に本当だった 」 と現在実感しています。 とにかく、この17年間、私は一度も歯が痛くなって歯医者に行く事などなしに過ごせたのです ( 年に1回ほど、補修と清掃に行くだけです )。 それ以前の毎月の様に頻繁な歯医者通いに比べたら天と地の差です。

 歯の丈夫さは遺伝だという人もおり、私もそれを否定はしません。 私の両親は歯が余り丈夫でなく、60歳台で2人とも半分以上が入れ歯になっていました。 私も、子供のころから歯医者にばかり通っていました。中年になると、長時間のフライトなどで疲れるたびに歯茎が化膿して痛むのが常で、50歳くらいで半数以上の歯が虫歯になり、しょっちゅう歯医者に行き治療を繰り返していました。

 それが、上記のように63歳のときに遂に右下の2本の大臼歯が腐って抜かれる羽目になりました。 その後、紹介されて上記の米人歯科医に出会い、抜いた後にインプラントを入れてもらった時、彼から指導された毎日の歯の手入れを励行し始めたら、それ以降、一度も歯が痛くなることなく、虫歯の進行もなく、今日に至っているのです。

 その指導内容の詳細については上記のページを見て頂くとして、簡単に申しますと、毎食後5分以内に電動歯ブラシと歯間ブラシで数分間、丁寧に歯間と歯茎 ( 正確にはポケット周辺 ) の手入れを欠かさず行うというだけのことです ( 最後にマウスウオッシュで洗浄 )。

 それだけのことと言いましたが、実はそれは凄い根気と熱意を必要とし、継続励行が非常に難しい事なのです。 旅行中も外出時も励行するのです。 たとえばゴルフ場での昼食後だって道具持参で必ず実行してきたのです。

 私は間食はしませんからこの歯の手入れは1日3回だけです。起床後や就寝前にも歯磨きはしません。 それでも80歳になろうとする現在、インプラント2本以外は入れ歯は1本も無いのです。 何でもバリバリ噛めますし、歯茎から血が出るなどという事も全くありません。

 私は一体何歳まで生きられるのか分かりませんから、17年前あの歯科医が言った 「 もしあなたが、今から私の言う通りの毎日の歯の手入れを励行するならば、あなたは死ぬまで自分の歯をすべて失わず、それを使って十分な咀嚼が出来るはずです 」 という保証が最終的に本当かどうかは分かりません。 あの歯科医も私が80歳くらい迄には死ぬだろうと当時は考えてそう言ったのかも知れません。 しかし、今の私には、私の26本の歯は、少なくともあと5年以上は今のまますべて健全に保たれるだろうという確信があります。

******************************

 本論からは脱線ですが・・・最近時代劇や終戦直後の社会を描いたドラマをTVで観ていると、しばしば違和感を覚えます。 それは、俳優たちの歯並びの美しさと歯の真っ白さに対してです。

 昭和20〜30年代、ほとんどの人々の歯は、私同様、虫歯だらけだったと思います。 それに、現在の様な歯列矯正などは殆ど誰もしなかったというか、出来なかった時代ですから、人々は乱杭歯、八重歯、出っ歯、そして虫歯だらけでした。 中年になると口を大きく開ければ金色や銀色のクラウンを被せた臼歯や額縁を被せた門歯の行列。 ですから出てくる俳優たちがボロを身にまとい、戦禍の焼跡の街を舞台に一生懸命に演技していても、歯並びの良い真っ白な歯の人達ばかりだと、「 あれはウソ 」 「 あんな人は当時めったにいなかった 」 と思い、強い違和感を覚えるのです。

 そう言えば、1990年代、米国に住んでいた時、ある米国人から、「 歯並びを見れば、その人が幼い時に豊かな家に育ったか、貧しい家に育ったかが分かる 」 と教えられました。 子供の歯列矯正には大金を必要とするからです。

 

ご感想、ご意見、ご質問などがあれば まで。