音楽を楽しんだり、作ったりするための道具
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【Vocaloid】
 Vocaloidについていろいろ書いたのですが、実際の進行の方が早くて。
 近々にまとめようとは思っていますが、とりあえず百読は一聴に如かず。
 曲はボサノバの名曲『イパネマの娘』。DTMを始めた初期にアレンジの練習として作ったものですが、ボーカルを入れた後に全く別アレンジにしてしまいました。多分、こんな感じのオリジナル曲が次のアルバムに入るでしょう。
 とりあえずさわりの部分だけですが、かなり自然な感じに編集できたと自負しています。伴奏も従来よりモダンな感じにしたつもりです。
Ipanema2009v

【090325】
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【Logic ---- 使用ソフトを乗り換え】

 これまでメインで使用してきたCubaseについて触れないうちに、Logicに乗り換えた。Free Styleの兄貴分であるDigital Performerと合わせて、世間では3大DAWソフトと呼ばれている。今の今、3社の製品全部に手を出しちゃったのねと気がついて苦笑い。

 Cubaseに不満はなかった。むしろひじょうに使い勝手の良いソフトと言える。問題はソフト音源で、メインで使用してきたサンプラーの使い勝手が悪いうえに(理由は皆目不明で)急にOSレベルでのクラッシュを引き起こすようになってしまった。(Cubase単体でクラッシュしたことはない)
 そして2度続けてのクラッシュに休日をつぶされ、ついにブチ切れた。
(他の音源はピアノとドラムだけが使用目的と好みに合っていたものの、いくら何でもそれだけでは……)

 Cubaseで使える総合ソフト音源の購入もしばらく前から考えていたが、選んだのはLogic Studio。
 音楽ソフト(世間的にはDigital Audio Workstation=DAW)はそれぞれにクセがあって乗り換えが大変なのは経験済み。しかし「アツモノに懲りて」しまったのである。Appleのソフトであることが選択理由に占めた割合は大きい。Logicなら言わば純正であり、OSとの相性の問題なども発生……しなくはないけど、対処は早いだろう。甘いかなぁ。

 もうひとつの大きな理由が大幅に下げられた価格で、購入予定だったサンプラー+音源とほぼ同じ。それでバンドルソフトやオマケがてんこ盛りなのである。何たって付属のDVDが8枚、全部インストールすると約50GB。桁ではなく、単位が違う。
 バンドルされたSoundtrack Proは以前に単体売りされていて、導入を考えたこともあるソフト。同じくオマケのJamPackもGarageBand用に導入を考えていたもので、単品売り1万円以上のパックが4つ。これだけで元が取れたというか(笑)、ソフト音源を買ったらLogic本体がオマケで付いてきたような感じだな。

 目当ての音源は総数40。その半数以上が、言わばバーチャルの楽器。つまり、いきなりシンセサイザーやらオルガンやらサンプラーやらを20台以上与えられたようなもので、すぐに使えるサウンドライブラリーもサンプラー用だけで1300種。総数は……豊富を通り越して、膨大!
「ピアノ」だって、スタインウェイ、ベーゼンドルファー、ヤマハから選べるのだ。

 実際に使ったLogicは不思議なソフトで(Appleに買収される前の)E-Magic時代の名残を感じるマニュアルを読んでいると、やっぱり頭が痛くなってくる。まじめにやろうとすると、いつまでたっても使えない。せめて用語ぐらい統一してくれよ!
 しかも本体のマニュアルだけで1000ページを超え、音源とエフェクトのマニュアルも600ページ強。他に3冊。さらにPDFも加わり……。

 しかし、そんなもん知らんと適当に遊んでみたら、2日で1曲できてしまった。勝手に直感操作していると、意外にも使えてしまうのだ。ま、これでいいか。
【080127】
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【MC cartridge (Audio-technica AT33PTG)】

mc33ptg
 遅れに遅れてアナログからデジタルへ移行したというのに、オーディオテクニカのMCカートリッジを買ってしまった。
 これまで常用していたテクニクスの205C-2Hは音楽評論にも使われたほどのMM型の名機。特に問題があったわけではないのだが、どうしても遥か昔に使ったMC型の音の記憶と比較してしまう。何しろ、デノン、シュアー、ビクター、ソニー、オルトフォン等々のカートリッジを使った末にたどり着いたのが先代のATH32Eだったのだ。
 あの音には心底惚れ込んでいた。

 一度アナログディスクの音をデジタル化したら、その音を聞き続けることになる。もっと良い音が[あった]はずの迷いは躊躇の条件としては十分すぎるだろう。だけど、それは20年も前の話。美化された記憶かも知れない。

 ネックになっていたのは価格。一般的なMM型と違って針交換ができないMC型は本体丸ごとの交換になるため、早い話が使い捨ての消耗品。でもって、定価4万円。たかがレコード針である。安売り店のミニコンポ一式が買える値段ではないか。しかも、現在プリとして使っているヤマハのAVアンプにはMCポジションがなく、昇圧トランスなども追加で必要になるとなると……。

 こんな感じでうだうだして、キャプチャリングに積極的になれない状態が続いていた。で、最後はヤケクソというか発作というかプッツン切れちゃったのである。世の中には50万円近くするカートリッジもあるんだぞぉ。出力が低くてもアンプのS/Nが高いからボリュームを上げて聴けばいいじゃないか。(笑)

 最初にガトー・バルビエリのアルバムを聴いてみる。
 ああ、この音。この音が欲しかったのだ。
 いや、記憶以上の音の鮮明さだ。
 出てくる音の質やバランスは言わずもがな、音の定位感、奥行き、まるでCDを聴いているかのような透明感。楽器と楽器の中間が全くの無音。わずかにハイ上がりの、きらめくようなサウンド。
 カートリッジも進化を続けていたのだ。

 もっとも、最初にノイズを判別しちゃった時には焦った。
 高価な昇圧トランスをさらに買わなくちゃダメなのか?
 が、これが何とレコードに収録されていた録音時のテープヒス。はからずも録音状態まで判別できるカートリッジの分解能とS/N比の高さを知ることになった。

 これこそ一生もんのカートリッジを手に入れたわけで、もうこれ以上は望まない(つもり)。
 値段や(当時の)評論家先生や世間の評価ではさらに上のカートリッジがあることも知っているが、そもそもテクニカのMCは「好きな人は好き」的な個性を持っていたはず。マニアの定番だったデノンのDL-103の音も自分にとっては魅力的に感じられなかったし……、オルトフォンも強い印象は残っていないし……。今のところ自分にとってこれ以上はないわけだ。

 それにしても覚えていたとおりの個性。音の記憶とは恐ろしい。
【071027】

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【CD player(Pioneer PD-T06)】

pdt06
 昨年になりますが、iPodに始まったオーディオ熱再燃の締めくくりは「ついにCDプレーヤの購入」で一段落しました。なかなかアナログからデジタルへ移行できなかった我が家ですが、スピーカの項で書いたように「希少品の真空管式CDプレーヤよりもMacのCDドライブを使ってデジタル出力したほうが音が良いとわかり」、大いにへこんだのが理由です。

 ちょうど秋葉原でオーディオ販売をしていた時ですから、CDプレーヤの1号機は最も早く試聴した一人です。その時に決心したのは「小手先の細工で劇的に音質が向上するアナログに比べ、デジタル機器は再生機器で音質が決まってしまう。だから最高の品を手に入れなければ」と。
 で、ここでもオーディオの公式は生きていました。専業メーカーはほとんど撤退して、現在まともな民生用国産高級機は皆無に等しいと。選択できるのは海外の業務用か、格安になった中古。こうなれば、結論は出たも同然です。高級機と呼べるかどうかは別にして、やっと自分の納得できる品を見つけて入手することができ、めでたく我が家のCD元年となりました。

 PD-T06最大のウリであるレガートリンクコンバージョン回路は、CDには入っていない20KHz以上の高音を付加する機能です。実はこの仕組みはかなり昔から自分でも考えていて「高域の多くは倍音成分だから、一定以上の周波数を取り出して、それを加工して加えれば単純に40KHzまで伸びるじゃん」と自作するつもりでいました。ま、理屈は単純でも自然なつながりを実現するには複雑な計算と回路設計が必要で、ぐずぐずしている間にメーカーが作っちゃったといういつものパターンなんですが……。
 もうひとつのウリはディスク全体を安定保持するためのターンテーブル構造で、要するにアナログプレーヤみたいになっています。そのため、CDは裏表逆にセットする必要があります。

 音は比較対象があまりにも非力なので、難しいことは言わないでおきます。ただ、最近の普及機や昔の高級の特徴であるメリハリの強すぎる(いわゆるデジタル臭い)音とは正反対で、繊細で柔らかい音がオーディオシステム全体のトーンにマッチしていて、選択は大正解でした。

 入手したのは今回もインターネットオークションですが、実際に手元に届くまで紆余曲折が……。
 我が家に届けられたのは冬の日で、梱包された段バール箱はひんやりしていました。早速セットしましたが、本体もひんやり。外は寒いんだなぁと思いつつ、ディスクをセットして……げっ、動かない! 青くなってディスクを取り出すと、何と一面結露しているではありませんか。わずかな時間で結露。まるで冷凍庫に入れたように……。そう、何を勘違いしたのかクロブタトマト(仮名)はクール宅急便で配達に来たのでありました。

 ゴム製のターンテーブルシートも冷えてカチカチ。触ったら、ポロリと割れるじゃありませんか。とにかく音を聞きたいので、ネジを緩めて天板を外して、内部を暖めなくちゃ。
 開けてびっくり。
 当然、内部も全面結露しまくり。クール宅急便と確信したのはこの時です。それも冷蔵じゃなくて冷凍でなければ、ここまで冷えるはずありません。おいおい、オーディオ機器だよ、精密機器だよ、マニュアルにも使用温度が記されているんだよ。それを冷やしてどうするの。
 さらに驚いたのが、大改造された内部。やり取りから前のオーナーがマニアだったとは思えません。多分その前のオーナーが超マニアックな方で、ほとんどのパーツが銅箔で覆われています。まるでピューリタンみたいな潔癖主義。凄すぎる……。

 で、翌朝まで待ってテストしても動かないのでクロブタトマト(仮名)へクレームの電話。それからいろいろありまして、半月以上待たされたでしょうか。サービスから帰ってきた(と言うのかな)PD-T06は修理プラス全面メンテナンスを受けたわけで、テーブルシートも新品に交換されていました。
 中古品、それも保証のないオークションでの購入はリスクが伴いますが、今回はオマヌケなクロブタトマト(仮名)のおかげで新品同様のCDプレーヤを入手することができました。ラッキー。
【070722】

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【Speaker (JVC SX-511)】

  インターネット・オークションで出品者に申し訳なくなるほどの安値でスピーカを入手しました。

 オーディオ機器の中でもカートリッジやスピーカの駆動系は消耗品としての性格が強いものです。わかっていながら中古を選んだのには、それなりの理由があります。
 SX-511が発売された87年はオーディオブームがひとつのピークを迎えた年です。各社が最新技術と物量を惜しげもなく投入した製品が市場にあふれていました。しかも、キーワードは高剛性。重くて頑丈な品を作ることにメーカーは血眼になっていました。「それなら、へたれも少ないはず」と踏んだのです。
 実際、新品同様の響きをしたのには、期待通りだったとは言え、嬉しかったですね。
[詳しく知りたい方は 
http://page.freett.com/knisi/sx-511.html

 この1週間は残業続きでじっくりセッティングする時間が持てませんでしたが、家具の移動を2度おこなって何とか落ち着きました。(さすが30kgのスピーカは重かったです)
 はっきりわかった違いはピアノや生ギターの音がよりリアルに、そして最も改善したかったパーカッシブな高域も汚れることなく鳴ってくれること。音場が前に出るのではなく奥に広がるタイプだったのは、狭い部屋でサラウンド再生するには好都合です。正に当初の計画では同じビクターのSX-3Ⅲをリアスピーカにして音のトーンを揃え、贅沢なサラウンドシステムにするつもりだったのですが‥‥。

 やっぱり最後は真空管とトランジスタのせめぎ合いになりました。真空管の高音は絶品で、ビクターのキャラクターである繊細で柔らかい音とベストマッチング。特長は過剰な刺激がないことで、聴いているうちに何度も眠くなってしまいました。
 しかし、ただでさえ薄い低音に加えて非力なパワーは30センチのウーハーを駆動するには荷が重すぎたようで‥‥泣く泣く全体のバランスを考えてヤマハのAVアンプDSP-A3090につなぐことにしました。これも悪くないのですが、まだ眠くなったことはありませんねぇ。
 パワーのある真空管アンプが欲しくなります。

 というか、スピーカを変えたことで再生機器の違いがはっきり出るようになり‥‥希少品の真空管式CDプレーヤよりもMacのCDドライブを使ってデジタル出力したほうが音が良いとわかりました。いくら何でもそりゃないっしょ。かなりへこみました。
 ちなみにチェックに使ったCDは『セレンディピティ』です。録音(CDの場合は焼く?)までの行程が少ないために、下手な市販品より音が良かったのは意外な発見。(笑)

【060730】
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【真空管のアンプ】

 近所に中古オーディオの店を見つけました。
 古道具屋はよく冷やかしますが、良いオーディオ製品に出会えることはめったにありません。さすが専門店は違いました。質も量も雲泥の差です。しかもオーディオ全盛期の名器に値ごろ感があります。もっとも、多くのメーカーが真剣に競って開発していたのは約20年前のことですから、時間とともに劣化する電気製品としては相応の値段とも言えるのですが。

 今、まともな品をまともな値段で買おうとしたら、中古しかないと言っても過言ではありません。多くのメーカーが消えるかオーディオから撤退してしまいました。少数生き残った単品は別にして、売れ筋セットもののスピーカは「作られた音」ばかり。ロック系はド派手に鳴らせても、はたして小編成の室内楽なんかはどうなんでしょ。

 何はともあれ、宝の山の中から「今ではとても作れない」逸品を見つけ、我が家のメインスピーカにしたくなりました。現在のメインスピーカはサブスピーカに降格です。でも、その前に「今までご苦労様」の気持ちを込めてきちんと鳴らしてあげましょう。
 サラウンドは、そんな言葉がなかった頃から20年以上続けています。前方スピーカは4本使って音を上下に分けていますから、メインスピーカは本来のセッティングよりも低くなります。それをきちんとステレオ再生させるには、スタンドに載せてツィーターの位置を耳と同じ高さにして‥‥、ついでにAVアンプのプリ部分だけを使い、自作真空管アンプとつないで‥‥さすが、知らないうちに音質はかなり落ちて高音は全然伸びないし、きめの細かさもないし‥‥と思ったのは私のうっかり。むしろアホ、粗忽。

 30分ほどして真空管が暖まるにつれて、音がとてつもなく変化してきました。
(いつもは気をつけているのに、何でこんな初歩的なことを‥‥)
 各楽器がぴたりと位置し、ボーカルや弦の音は艶やか。高域が伸びていると言うより「奇麗な高域が響いている」という印象です。オーディオ的な表現を忘れさせるほど、音ではなく音楽を聴かせてくれます。とにかく聴いていて気持ちがいい。

 サブスピーカ用に使っていたアンプはエレキットのTU-870。6BM8真空管ステレオパワーアンプというとかっこいいですが、プラモデル感覚で3時間もあれば完成する入門用自作キット。2Wの低出力で、これ以下はないというほど安い品です。
(グレードアップオプションを追加しても、正価で2万円を少し超す程度。ちなみに我が家のCDプレーヤも真空管を使ったエレキットの自作キットです)
 正直、あまり期待はしていませんでした。中古のパワーアンプを買うより、自分で作ったほうがおもしろい程度の選択理由です。これまで脇役としてサラウンドのサブスピーカを鳴らしていました。
 ところが、老兵ビクターのSX−3Ⅲと相性がぴったりだったんですね。これは驚きでした。

 調べてみるとTU-870はN響の演奏者の間でも評判がいいとか。理由は同じ。値段からは考えられないほど音楽を聴かせてくれるアンプだからだそうです。常人よりも耳の肥えた人に評価されるのですから、これは本物でしょう。
 最近のミニコンポに満足できない人にTU-870はお勧めです。

 聴いているうちに面白いなと思ったのは、完全無欠の万能選手ではないこと。意外と得手不得手がはっきりしています。音楽や録音の質によっては、一般的なアンプのカチッとした音のほうが向いているでしょう。ボーカルなら少し古めのじっくり‥‥むしろしっとりと聴かせるタイプは絶品です。生楽器の音も良いです。総じて、私好みの音楽には向いていると言うか。語弊があるかもしれませんが、測定器みたいな正確な音を出すのではなく、楽器みたいに個性のある音と言うか。

 さて、困ったことになりました。これからどうしましょう。
 オーディオシステムのステップアップは白紙になりました。と言うか、知らないうちに予想外の方向にステップアップしちゃいました。レコードだけでなく、インターネットラジオですら良い音で鳴ってくれます。とにかくいろいろなメディアのいろいろな音楽を聴いています。
 今のところ、タマのアンプからイシのアンプに戻る気にはなれません。このシステムを中心にサラウンド再生をやってみたい気もします。そうなるとアンプは全部真空管になりそうですし、スピーカの選択も変わってくるでしょう。やっぱり違った個性のスピーカも鳴らしたいような‥‥。
 パンドラの函を開けちゃったのかなぁ。
【060701】