魔王ダンテ
〜週刊ぼくらマガジン 1971.1/1(1)〜6/1(23)号連載〜


現行版:講談社コミックス全2巻(加筆新編成版)


(4)魔神編

さて、一方で『デビルマン』に移行した要素を多々持つ『魔王ダンテ』であるが、元々の連載のきっかけとなった「ゴジラの目線」「巨大な肉体を手にした人間の戸惑い」もまた、その後の永井豪作品に継承されている。

そのタイトルは『マジンガーZ』

『マジンガーZ』の冒頭を読むとそのことがはっきりする。兜甲児は、地下に隠され、機械に制御された巨大な魔神の封印を解くのだ。自宅地下とヒマラヤと言う違いこそあれ、意外なほど絵的な構図はそっくりである。

更に「神々にも悪魔にもなれる」という人間を遥かに越えた力を持って、自分の意志とは無関係ながら、街を人々の暮らしを破壊する冒頭の展開はまさに『ダンテ』の発展型であることが分かる。


 

あえて似たアングルで模写してみたが、デザイン的にも近しいモノがある。

五角形の眼、眉間に集中したキャラクターの意識、裂けたような口。
顔のパーツだけに純化してみると、尚のことモチーフが共通していることに気付くだろう。
更に、ちょうど眼の横から両耳を出した形で描くと、両方とも「決まる」。


後半のヒーロー性こそ『デビルマン』であり、「魔界」というモチーフはその後のダイナミックマンガというジャンルさえ決定づけた本作であるが、また当初の「巨大怪獣の目線を手にしたら?」というテーマも、このように展開していたのである。そういう眼で『マジンガーZ』を読んでみると、テレビアニメ版とはまた違う世界観が見えてこないだろうか。

都市を破壊し、自衛隊に攻撃され、自らの意志に反しながらもガレキを築いていくマジンガーの姿はある種のカタルシスを持っている。その破壊の中、どうにか自分の指揮下にZを置くことの出来た兜甲児は、あるいは悩み苦しんだ挙げ句、悪魔の力をてなづけた宇津木涼の姿なのかも知れない。


(1)魔王誕生編 (2)悪魔人間編 (3)神と魔編

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