魔王ダンテ
〜週刊ぼくらマガジン 1971.1/1(1)〜6/1(23)号連載〜


現行版:講談社コミックス全2巻(加筆新編成版)


(3)神と魔編

メドッサ。その眼に映した生ける者全てを石に変える魔女。彼女の初登場で明らかにされる魔力もしかし、人間の愚かしい行動によって引き起こされている。そして永井キャラ中1、2を争うサディスト・ナイスガイ、大柴壮介の口からは意外な事実が。宇津木康介の息子であるが故に、涼は神に近いというのだ。

先だって引かれていた伏線、神の教団のリーダーこそ涼の父・宇津木康介だったのである。では、涼は神の子故にダンテに魅入られたのだろうか...。やはり神の側に立って悪魔を狩り続けるべきなのか?

だが...大柴壮介の悪魔狩りを目の当たりにし、いたたまれなく逃げ出す涼の前にメドッサが現れる。メドッサの口から語られる神の侵略劇。それこそは地獄の風景だった。残りのページ数全てを使って明かされるダンテ誕生のひみつと神=人間の正体。復讐を改めて誓うダンテ。悪魔軍団は孤島に集結、高らかな悪魔復活を唱えて物語は突如集結する。

さて、まだ語られていないコトが残っている。
(1)ダンテが飛ばした魂の先。それは宇津木涼だった。コレは神の子と意識してのことだったのだろうか?
(2)サタニストたちはダンテ復活の際全滅したのか?それとも彼らの真の姿こそ、悪魔たちだったのか?
(3)ダンテは、神の子の力を必要として涼を選んだのか。妹・沙織でなかった理由はあったのか?
(4)今際の際にダンテが呟いた「アダムとイブ」とは結局いかなる存在だったのか?
これらは、掲載誌「ぼくらマガジン」の休刊という外的要因にて永遠に封印されてしまった。

ココから先は俺・ふりーく北波の個人的な妄想だ。
アダムとイブとは涼と沙織なのではないか。神の中でも最強の力を持ったまま、代々生きてきた宇津木一族。初めて神と合体した人間の末裔。だが魔王ダンテは神として涼が目覚める前にその魂を乗っ取った。涼の中の神と悪魔が対決すると言うインナーなシチュエーションも考えられる。

神としての力に覚醒する前の人間たちを徹底的に虐殺する悪魔軍団を前に、神の教団も立ち上がる。そして闘いは、涼と沙織の直接対決を持ってピークを迎える。...と言う展開が待っていたんだったら...。

そう考えられる証左はないわけではない。それこそ次作『デビルマン』に現れた不動明対飛鳥了だったのではないか。ただし、物語の骨子が異なるため、より神話的象徴的に洗練されていたが。まあ、「if」の話だ。


上記(2)に関しては、後の作品『デビルマンレディー』にて改めて描かれた。やはりダンテを召還し自らが望む世界を求めて立ち上がったサタニストたちは悪魔軍団だった。地獄に封印されていた悪魔の群をも、ダンテは呼び起こしたのだ。


(1)魔王誕生編 (2)悪魔人間編 (4)魔神編

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