縮刷版97年12月下旬号


【12月31日】 起きたのが遅かったから寝るのも遅いってんで夜半過ぎまで「タイムリープ」のLDを見る。いやあ佐藤藍子さんが可愛くって可愛いくって・・・ってのは劇場で見た時にも言ったっけか、ともかくも今やCMに雑誌の表紙に大活躍の佐藤藍子さんが、あのギョロギョロとした目ん玉を冒頭のキスシーンでたっぷりと披露してくれていて、それから起こったり困ったりとクルクル代わる表情をモニターいっぱいに見せてくれていて、なるほどモデルとして笑顔で笑ってすましているだけじゃない、演技だって結構しっかりこなせる人なんだってことを再確認する。

 佐藤藍子さんと言えば目玉よりも目立つのが空だった飛べるし湖の水だって飲み干せちゃいそーな耳だけど、何故か「タイムリープ」」では髪をかぶせて隠してあって、時折髪の隙間から先っぽがチラチラと覗くくらいで、全体像については最後までほとんど拝むことができない。残念だけどあれほどの巨大な耳だ、モロ全体像を出していると、そっちに目がつい取られてしまって物語の流れが掴めなかったかもしれず、ただでさえ時勢がいったり来たりする難しい映画だったから、これは今関あきよし監督、SFチックな物語に慣れていない佐藤藍子ファンの観客に、配慮した上での役作りだったのかもしれないと、99%ウソだけど1%くらいは当たっているかもしれない勝手な理由など想像してみる。

 LDのみとゆー映像特典の今関監督と緒方恵美さんの対談を見つつ、ふーん緒方さんて喋るとちゃんと女性の声なんだってことを再認識する。いや少年物っていえばベテラン中のベテラン、野沢雅子さんがしゃべってもやぱり少年っぽい声だから、緒方さんも地声は結構少年っぽいのかと思っていたら、かの「吸血姫美夕」で御稚児さん人形を抱いた神魔を狩る少女・冷羽の役で、モロ女の子って声をあてていたらか本当はどっちなんだろーかと悩んでいた。

 おまけに「美夕」では1人2役で御稚児さん人形の声まであてているもんだから、混乱もさらに広がるってもの。結局はその中間ってな感じの声で、ただし時折シンジ君入るところを聞くと、やっぱり少女よりは少年っぽい方があっているのかもしれない。かといって「タイムリープ」のテーマソングは女声だし、うーんつまりはとっても芸域の広い人ってことなんだろー。緒方ファンは必見の映像特典ですね。

 荷造り。部屋に転がっていたトトロとミッキーのペアをズダ袋に詰め込んで甥っ子への土産とする。徳間書店がディズニー・グループと提携を発表した記者会見で配ったものだけど、発表から1年半が経ってとりあえず実現したのはビデオの発売ぐらいだったなーと振り返り、さて「もののけ姫」の全米公開はいつからどれくらいの規模でどんな具合に行われるのやらと思案しつつ、国内であれだけ大成功を収めた作品が米国じゃーさっぱりってことになったらタマらん物があるなーと心配する。

 ほら「もののけ姫」って作品の出来ももちろん大きな部分ではあるけれど、「流行ってるんなら」って部分で観客がつめかけたところもあるでしょ、ヒットとした理由として。あと宮崎監督の引退宣言ほかメディアでの大展開も。そーゆー先天的とゆーか潜在的な要素が効かない米国で、どれだけやれるかってのは実に興味のあるところ。まあ国内でのヒットを読み違えた身としては、あんまり予想なんてたてられたもんじゃないけど、大騒ぎしてコケるよりは、「Shall we ダンス?」みたく5館くらいでこっそりやって、いつの間にか全米拡大ロードショー、ってな構図が美しかったかもしれんなー。ここまで国内が燃えちゃうとそれも無理か。

 ってなもんで今年はこれで終わり。帰省しても2泊3日で戻ってくるから明けて2日から再開できます。まあ正月休刊ってことで。だいたい元旦に新聞出して、それも超特集号ばっかり付ける分厚い体裁で出したって嬉しがる人はそんなにいないよね、現実の新聞でもさ。おまけにそれが「環境特集」だった日にゃーおかしくっておかしくって涙が出てくるよあーゲショゲショ。とまれ1年間皆様ありがとうございまたまた来年もよろしくお願い申しあげます担当が代わる来年からはもう少し濃い内容をお届けできるかと思いますがそれもいつまで続くやら。会社あっての物だねだしなあ。あっ大晦日から暗い。


【12月30日】 2日でだいたい10キロは歩いたいかもしれないビッグサイトでの泡沫(うたかた)の日々に、痛む足をさすりながら夜中過ぎまでLD−BOXの「エコエコアザラク・ザ・セカンド」を見る。っても最初の1枚目のA面だけで手一杯、とりわけ「ファンゴリア」で佐伯日菜子様さま様が1番のお気に入りと話していた「復讐」を見つつ、シリーズ前半の傍観者的な立場から事件にコミットする黒井ミサが、家族とのやりとりを描いたインターミッションを経てセカンド・シリーズへと至り、圧倒的に主役としての座を主張して来ていたんだなーとゆーことを再確認する。

 思い返してみれば前半の、喪黒服造的”人の心のスキマお埋めしますただし命の保証はいたしません”な立場から、人々の憎しみが呼ぶ悪魔を退治しては街から街をさまよっていく物語も、それはそれで決して悪くはなかったし、後半の「愛と悲しみのスーパーヒロイン」(by梶研悟)な展開も、それはそれで面白かった。すべてが終わって半年が経ってみて、前半と後半の違いがあまりにも大きく見る人によってはとまどうことも多かったかもしれず、まら例の事件の影響で放送休止なんて残念なも起こったけれど、結構な数のファンを残し(俺もだ)、今また映画も作られるに至って、後世に語り次がれるTVシリーズになったんだ、良かったなあーってな感慨に耽る。

 強烈な眼差しの毒気にあてられてバッタリ。いろいろな夢を見たけれどとんと覚えておらず途中宅配便が某社のお歳暮を持ってやってきたのにハンコを押して頂いて、それからまた寝てしばらくたって、膨れ上がる膀胱の痛みに目を覚ましたらなんと午後の2時だった。前夜飲んだお酒も残って頭痛がズキズキ、お腹も空腹でグウグウとなり、これはタマランと起き出して駅前の立ち食いで天ぷらソバをかき込んで、百貨店で食材やらを買い込みつつ本屋をウロウロ。もちろん新刊なんかは出ていないけれど、CD−ROM出版のコーナーで新しい「ガスブック」を見つけてしばし爆笑する。

 前回はBOX仕様でアーマード・スーツか宇宙服かなんかを着た女の子が描いてあって、雑誌ではガンダムなんかを取りあげた広告を展開していてついつい惹かれて買ってしまったけど、今回はなんとビニールパックにTシャツを封入した装丁になっている。ちゃんとSサイズとMサイズもあるぞ。ここまで凝ったことをやってくれると、次はなんだろうってユーザー側の期待も高まる一方で、果たして編集側がそれに答えることが出来るのかが見物。さてどう出るか。1度発行元に取材に行ってみよーかな。来年からエンタメ系に復帰予定だし。

 今年最後の選択をしながらスパゲッティを茹でてミートソースを絡めてモシャモシャ。ソースは2週間ほど前に秋葉原デパートの2階で380円だかで仕入れたもので、このお店たまに寄るとディチェコやらパスタソースやら缶入りのソーセージやらランチョンミートやらが安く売っていてLDなんぞ漁ったかえりによく立ち寄ってはあれこれ買い込むのでありますが、しかし半分使い遺したソースを冷蔵庫で1週間くらい寝かせたもんだから、もしかしたらお腹にヤバいかもしれんなーと、膨らんだ胃をさすりながら思う。

 だったら食わなきゃいーのに食ってしまうのは人間の悲しい性癖。明日から実家に帰ろーと思っているのに、去年みたく寝込むなんて事態になったら大変だものなー、正露丸呑んで寝るか、百草丸の方が良いのか。しかし帰っても五月蝿くいわれる独身故の親のお小言、うーん半分このまま帰りたくないって思いもあるし。うーんうーん。ってな訳で1日、2日あたりは名古屋近辺に出没しますが、まあ見つけても解らないでしょう、面割れてないし。

 もしもどうしても面を知りたい方は「エコエコアザラク・ザ・セカンド」のLD−BOXを買いましょう。ビデオには入っていないLDだけの特典映像として、9月に徳間ホールで開かれたイベント「闇のエコケオ大祭」の模様が収められていて、そこになーんとなんとなんとなーんと、僕の姿が映っているではないですかこりゃまたどーしたことだ吃驚仰天。あの佐伯日菜子様さま様と同じ銀色の円盤の中に、自分の姿が収められているとゆーだけでこれはもう至福天国極楽ハライソ、時間が出来てLDを観賞していた時にこれを見つけたその瞬間、嬉しさのあまり踊りだしてしまったよ。今も嬉しくってうれしくってほら、筆も嬉しさに乱れているでしょ?

 モニターだから解らないって、まーいーけどともかくも映っているのは紛れもない僕自身、「エコエコ大祭」の会場となった徳間ホールの階段に並ぶ人々が映った次の場面、テーブル越しに何やらお買いものをしている人々が映った場面で、奥の方にいるキャップをかぶりジャケットを羽織ってジーンズをはいた丁髷頭が僕なのです。ちょうどTシャツを買ったところを映されていたんだな、お釣りを受け取ってフッと向こうに顔をやる瞬間まで、ほんの数秒だけど確認できますので、LD−BOXをお持ちの方は是非ぜひストップモーションかなんかで確かめてやって下さい。


【12月29日】 同じよーな時間帯で同じ電車に乗って有明へ。昨日は長蛇の列だった新木場での臨海線への乗り換えもスムーズで、有明についてからのビッグサイトまでの道にも行列がまったくできておらず、昨日にも増しての混雑を懸念した割には案外の空き具合に拍子抜けする。もちろん中に入れば普通の人普通じゃない人コスプレの人オタクの人ほか多数の人たちがひしめきあってるいつもの光景が広がって、決して人気が衰えたとかいったことじゃないと解る。何せ冬コミ初めてなもんで例年に比べてどれくらいの込みようなのか判断のしようがないけれど、感覚的にはまだまだ同人誌即売会、根強い人気を誇りかつ新しい人たちを吸収して拡大傾向にあるんじゃないかって気がしている。超カルトアニメなき来年のコミケがどーなるのか、作品傾向ともどもチェックの要ありか。ってやっぱり来年も行くのか?

 東館では「プチ・アップルパイ」の第1巻で見かけて以来気になる漫画家だったあびゅうきょさんの初期作品集が出ているとカタログで見ていたのでいの一番にゴー、新刊として登場したのはまさにその「プチパイ」に掲載されていた「海からの風」を巻頭に収めた作品集で、奥付にあった「プチパイ」の刊行年月日82年11月10日を見て、あれからもう15年も経過してしまったのかと重ねた時の厚さを妙に実感する。俺は変わってねえなあ。あびゅうきょさんの持ち味もそれがほとんど変わってなくって、細い線で緻密に仕上げる人やら物やら街やら何やらの不思議な(ブキミさもちょっとある)テイストを、エヴァ関連のアンソロジー&評論集で確認して嬉しくなる。単行本としてはやっぱり大昔になってしまうのかな、「彼女たちのカンプグルッペ」(大和書房、1600円)を持ってまして、以降商業出版の分野ではあまり目に触れることのなかったあびゅうきょさんが、今もしっかり活動していることに感謝しつつ、ブースを後にする。

 向かった先は青木光恵さんの本を出してる「うさぱら」のコーナー。大手なのか壁際に位置するブースには、列こそ並んではいなかったもののそれなりに人気らしく女の子女の子女の子がたくさん群がって次から次へと本を買っていった。いったん離れて午後の2時頃に再度寄るとご本人とおぼしき方とそれから担当してもらっている編集者の小形克宏さんが立っていたので近寄っていって「ピンクハウス」本など2冊を購入。もっとも普段は被らない帽子を被ってそれから10月以降伸ばし始めた髭面が禍したのか、自分だとゆーことを気づいてもらえず人間、変装ってのは意外と簡単に出来ちまうもんだなーってことを身を持って証明する。いや単に物覚えが悪くって小形さんだと確信が持てなかったんで挨拶できなかったんですよスイマセン。タートルネックに蒼いキャップで眼鏡髭面なおっさんが「金子系お洋服の本」と「ファッションドールズ」を買ったことを覚えておられたらそれが僕です。

 オタキング系の本とかを評論のコーナーで閲覧しつつどうやらとっても有名らしいきりん本舗のコーナーで新刊とゆー「珈琲番付」を購入する。つまりは缶コーヒーをすべてチェックして採点したご苦労な本で、胃とか痛めなかったんだろーかととりあえず心配しつつ、中に書かれている缶コーヒーの採点を読んで納得したり納得できなかったりする。「オリエンタル」ってそんなにバッドかなーってのが地元出身者としての感想で、山崎製パンのショート缶シリーズもそんなに酷くはないがなーと感じるも、根が味覚音痴なのでプロの舌にはやっぱり評価しがたいものがあるのかもしれんと考える。カネボウの「ベルミコーヒー」のロング缶に「なつかしい味の一品」とあってこれには納得、昔自転車で古本屋を巡ってすっとんでいた時代に夏場自動販売機で良く買って飲んでいたっけか「ベルミコーヒー」、キンキンに冷えたあの甘さが体に活力を与えてくれたなーとついつい遠い目になる。個人的には「UCC」のオリジナルより好きです。

 おお早くも登場だ「フォトン」本。LDの第2巻が発売されてからまだ幾らも経っていない今の時点で刊行できるのは流石コミケってな感じってとこ。とにかく本作のテイストを折り込みつつも筆者なりのテイストを味付けしたイラスト類が秀逸で、特にポチたちの姿かたち表情とか、キーネちゃんのメロンか西瓜ってな丸っこい大きな胸とか、実によく特徴をとらえている。第3巻以降が順調に発売されて作品が完結しかつ世界観も見えてきた段階でいかな本を作ってくれるのか、今からとっても楽しみ。頑張ってくださーい。その頃にはきっと「フォトン」本も沢山たくさん出て来ているとは期待するのだが、本当に人気あるんだろーか「フォトン」って。

 西館へと移動して特撮やらSFやらのコーナーを繰り返し散策。夏は悩殺な露出系だった開田あやさんも冬はさすがにコートかジャケットを着込んで肌の露出はなし。相対的にお値段の張る本が多かったので今回はパスして、「エコエコアザラク」関係の本を探すも見つからず、そうこうしているうちに「星界の紋章」関連のグッズを売っているブースに遭遇、帝国軍の紋章を型取ったピンバッチを800円也で購入してジャケットの胸につけて会場を練り歩く。結構真っ当な作りでお金もかかったんだろーなー。来年からこれつけて会社に行って取材先にもいって何だかんだ言われたら「無礼者」とかいって直らせる・・・訳にはいかんよな。でもなかなかしっかりした造りでした。

 SF関係では横浜市立大学SF研究会が出していた「TVアニメーション新番組クロスレビュー」を購入、だってコピーで安かったんだもん。「夢のクレヨン王国」にはじまって「さくらももこ劇場コジコジ」まで、1週間分の新番組を並べて4人が10点満点で採点する「ファミ通」方式のクロスレビュー、冒頭の「クレヨン王国」でいきなりの高得点が出てそれから「吸血姫美夕」も結構な点数で期待が高まるなか、続いて登場した「マスターモスキートン’99」が2点2点3点3点の最低得点をマークしてやっぱりと納得、安定した「剣風伝奇ベルセルク」「マーメノイド」あたりと比べつつ、これはなかなかの視巧者ばかりだなーと感じ入る。えっ誰が見たってそうなるって? まあ大部分的にはごもっとも。

 それでも評価に意図的なのか結果的なのかバラ付きの生じた作品もあって、例えば個人的にこの秋スタートで唯一最後まで見通した「VIRUS」が人によっては4点なのに別の人では8点だったり、今も続いている中では最高といえる「バトルアスリーテス大運動会」が最低2点、最高7点と大きく別れたりして、好みとはかように千差万別なものとゆーことを思い知らされる。年が明ければいよいよ冬の新番組が始まるけれど、果たして最後まできっちり見通すことのできる、それも安心してじゃなくハラハラドキドキしながらも知らず引き込まれてしまう作品が、どれだけ登場するだろうか。クロスレビュー来たいしてます。

 およそファンダムには疎い身の上、知っている人には一切あわずに適当な時間で切り上げて家路へと向かう。帰りがけに本屋で出版芸術社から発売されたコミケにも出てきた老舗同人誌「宇宙塵」の創刊40周年を記念する主宰・柴野拓美さんへのインタビューを中心にまとめた本「塵も積もれば」を購入。付録の会員一覧を見て有名人やら著名人やら居並ぶ名前の数々に、まこと偉大なグループだったことよと感心するが、個人的には一切の思い入れもないので懐かしいとかゆー気にはならない。ほとんど昔の社史あるいは自費出版ってなノリがするシンプルな表紙に、これを商業出版物として刊行した出版芸術社のフトコロの広さとゆーか気構えの鷹揚さにはほとほと感心する。福島正実さんの「未踏の時代」あたりとカップリングで読んで記録を相互補完するのも楽しいけれど、あっちはまさしく未刊で途切れてこっちは今も命脈を保っていて、それでも草創期に話の中心が集約されているためか、80年以降に起こったことが歴史としてあんまり記録されていない。80年以降のプロシーン、つまりは神林長平さんとか大原まり子さんとか岬兄悟さんとか火浦功さんとか草上仁さんとかがぞろぞろっと登場したプロシーンの状況を、今の時代への連続性を勘案しつつ誰か書いてくれないかなー。やっぱまだまだ生臭過ぎるのかな。


【12月28日】 休みだってーのに気が急いているのか6時半には目が覚める。ベッドの中でダラダラと9時半くらいまで寝たり起きたりを繰り返したものの、いよいよ居ても立ってもたまらずガサガサと起き出して身繕いをして10時過ぎには家を出て、総武線と武蔵野線を乗り継いで新木場の駅へと向かう。夏だったら同じ時間の総武線はその筋の人たちで満員だったのに、冬だからなのか大混雑とゆーほどには込んでいない電車でこれは楽勝と思っていたら甘かった。新木場駅で臨海線に乗るのに早速行列を作り、国際展示場駅についたらいつも入る西館へと向かう道にもすでに長蛇の列。案内に従って東館から入るルートを選択すべく、人々の後にゾラゾラと着いていったけどいつまで歩いても東館の行列の最後尾へと到着せず、これは結構しんどいことになるのかもしれんなと、不安に脅えつつPメールであれやこれやと状況解説の連絡を送る。

 と思っていたら行列の最後尾に着いてもそのまま止まる事なく行列はスムーズに場内へ。街中で買えなかったカタログをゲットしてバラバラと中を覗いて必要な場所をチェック、そうか今日はミステリーと音楽の日だったのかと理解して西館へと移動、音楽コーナーで今が旬も真っ盛りな明和電機本を探す。しかし結構な数あるもんだねえ明和本。最近雑誌や新聞なんかに出た明和絡みの記事を抜粋しているものやパロディコミック、さらには漫画「め組の大吾」と合体した内容のどーしてこーなるのか訳解んない本等々、それぞれに明和電機への傾注度合いがうかがわれる本ばっかりで、これだけの数こえだけの人が応援している限り、明和の未来は安泰だーとほっと胸をなでおろす。

 スキンを2コパックにした缶ケースなんかも売られていてどこが100ボルトなんだろーと悩むけれど、東方不敗ばりに「ここんとこが100ボルト」と自家発電に使えば使えないこともないと無理矢理自分を納得させる。そろいのツナギ服がよかったですね、サークルの女の子たち、やっぱり副社長のファンなんだろーか。関係ないけど思い起こせば表の新聞で明和電機を取りあげたのはかれこれ2年くらい前のことだったろーか。ファーストアルバムを発売する前、いよいよブレイクな時に取りあげたため編集局長に「本当の会社と間違えられるぞ紛らわしい」と起こられたこともあったっけ。2年たった今だって、やっぱり知っている人は会社の中にはいないんだけどね。

 同じ西館でスポーツ本のコーナーをうろうろしいて見つけたヨーロッパのサッカーをパロった同人誌を購入、ヨーロッパ・サッカーの選手たちが登場しているらしーんだけど、選手の名前も性向も解らないから面白さが半分も伝わらない。それでもなんとなくムヒムヒと来れることろがあるのは根がサッカーファンだからなのか。後は将棋本なんか購入して1階を後にして外階段を使って4階フロアへ。そこに咲くのはコスプレの花はな花、百花繚乱なキャラクターが入り乱れて切れ上がった小股に盛り上がったヒップ、のぞく胸元ともー目移りがして仕方がない。近作のキャラクターを探して「VIRUS」のエリカ知念を1人発見、あと美夕はたくさんたくさんおりまして、コミックの頃からの人気の根強さを再認識させられた。今日はそれなりに暖かかったからよかったけど、寒風吹きすさび雪もでチラホラした日にゃあ、いったいどーすんだろーね、露出系の方々は。そこを頑張るのがやっぱりコスプレ魂、なんだろーね。

 中に入って企業ブースをゾラゾラ。リーフはあまりの長蛇の列に最初からパスして、レックスエンタテインメントが大展開していた「パーフェクト・ブルー」のブースに寄って、「コミケ限定」の呼び声に釣られてカレンダーとCD−ROMのセットを3000円で購入してしまう。カレンダーなんて恥ずかしくってハズカシくって貼れやしないよ会社には、って当たり前か家にだったら貼れるのか? CD−ROMは短いけれど結構高いクオリティーのムービーがストーリーやメイキング、監督と声優さんへのインタビューと結構な数はいっていて、それから壁紙やらスクリーンセーバーやらマスコットやら使って使えないことのないオマケも幾つかはいっていて、これでカレンダー込み3000円なら悪くはないと無駄遣いじゃなかったことに安心する。「ラブ&ポップ」のおまけといー限定物CD−ROMも良くなったもんだ。昔は煮え湯、飲まされたもんなー。

 東館で3時に集合の案内あり。ミステリー関連のブースで時間まで高村薫さんの「レディ・ジョーカー」本を探すもののすでに売り切れ御免の状況で、やっぱり皆さんあのラストの衝撃を受けてこれまで積み上げて来たものが間違いのなかったことに半ば驚き半ば茫然としつつ、慌てて補完に走ったんだろーなーと推察する。明日分が幾つかのブースで出品されるみたいなので時間があって余裕があったら寄ろう。ってな具合にそぞろ歩いていると、すでに色の抜けた金色の頭が登場、大森望さんほかミステリー・サークル関係の人たちがいたのであれやこれやと挨拶とし、さいとうよしこさん所有の「デジタルモンスター」の新型(白&黒)を見せてもらう。その時にはまだこちらの「デジモン」がバトルモードに入れるほどに育ってなかったので初の他流試合はあきらめたけど、後で育った時に幾つか闘って買ったり負けたり。新型だからといって強くなっている訳でなないよーで、流行遅れにされなくって良かったと安心する。

 ぞろぞろ連れだってカレー食べてゆりかもめのって新橋へ。高田馬場へと抜ける大森さんを見送ってカラオケ番長他とセガカラ。噂の出版芸術社溝畑康史さんが番長とツインで繰り出すB級ロボットアニメの主題歌に懐かしい記憶がチョロ、知らないこれは流石に僕はとの反省の念がボロボロと吹き出す。結構な数出たB級ロボットアニメがいったいどんなアニメだったのかを確認するため、自宅に帰ってから先だって発売された「スーパーロボット画報」(竹書房、2400円)をベラベラ。そうだった「アスロトガンガー」は生きている金属で出来ていたんだ、とか「グロイザーX」はガイラー星人帝国が日本を襲ったんだ、とか「合身戦隊メカンダーロボ」はガニメデ星のヘドロン皇帝が次の生息地として地球を標的としたんだ、とか「超合体魔術ロボギンガイザー」はすべてが魔術というコンセプトに貫かれていたんだ、とかってことを理解する。見てなかったなー、とゆーよりまだ小学生だったから覚えてないなー。

 時間が来たので「超攻速ガルビオン」あたりを跳ばしながらそのまま終了、この作品については主題歌はともかく内容は鮮明に覚えているのは、かのたがみよしひささんがキャラ設定をやりながら、そのあまりにも独特のタッチをアニメにするのが難しかったのか、とんでもない絵に仕上がっていたから。、評判の悪さ故か視聴率の低さがためかたったの22話でスパッと終わってしまい、とても主題歌を覚えるヒマがなかった。そんな超レアな作品をいとも簡単に引っぱり出しては唄いきる溝畑&カラオケ番長の凄みたるや、せいぜいが週に5本くらいしかアニメを見ない中途半端な新聞野郎では足の指に生えている毛にも及ばない。これは早速勉強せねばと、まずは作品のおさらいをするために「スーパーロボット画報」を丸暗記する覚悟で読み直しはじめる。「星銃士ビスマルク」って何だ? これも唄っていたぞ溝畑さんは・・・・やっぱりかなわん。明日は評論とSFと特撮当たりをウロついてますんでどうもです。


【12月27日】 真夜中過ぎまでテレビをウダウダ。「TVブロス」見ておやっと思ってチャンネルを変えるとおおなんと。庵野秀明監督(新人)が藤井フミヤといっしょにおっしゃれーな番組に出演してあれやこれやと喋ってない。そう「新世紀エヴァンゲリオン」の話でフミヤが色々と話を振るんだけど、どーにも庵野監督(新人)ノリがよろしくなくって、「途中までしかテレビ見てなかったんで映画見て分からなかった」といえば「そりゃそうですね、一見さんおことわりですから」とスパッ、「使徒ってなんですか」と聞けば「わけのわからんもんです」とズバッ。これではいかなトークずれしたホストでも、話の接ぎ穂に困ってしまう。

 その癖自分の得意なアニメや特撮やSFの話になると途端に口が滑らかになる庵野監督(新人)。「ガンダムとか見てました」と振られた時なんか、「衝撃でしたね。ガンダムで一番好きなキャラはシャア。『Z』はクワトロ・バジーナであってシャアじゃない。子供に殴られて『これが若さか』なんて言ってるやつはシャアじゃない、あれはクワトロです。『逆襲のシャア』はシャアです」と喋り出すし、映画「ラブ&ポップ」の話になったら、「『ラブ&ポップ』のオーディションにルーズソックはいてきやがったんですよ、あれってモビルスーツのザクみたいですよね、スカートの長さとかも」なんて具合に、自分の得意な分野へと話を引っ張って行ってしまう。

 ほかにも「人間はコンピューターを作るために生まれてきたもので、コンピューターこそが人の次の世代だなんてSFもあるんですよ」と言ってみたり、「食欲物欲性欲ってありますか」と訪ねられて「うーん」と答え、「睡眠欲とか」とつけ加えられると「睡眠欲です」とそのまま返して「言わなきゃよかった」とフミヤをうならせる蒟蒻な問答ぶりのその後で、「物欲ってのもありますね、LDとか。『ウルトラマンレオ』なんて買った時点で終わってます。封も切らない」と喋ってしまう辺りとか。そんな庵野監督(新人)の姿に、共通言語を持たないコミュニティーのなかで悶々としていた経験を持つ人ならば、たとえ「エヴァ」が嫌いであっても、とってもシンパシーを感じただろー。心配しなくてもいーよ明日明後日は君たちの日だ。

 目が覚めるとまだ午前中だったので神保町を散策、すでにカタログは売り切れみたいで明日はいったい何が出るのかどこに行けば何があるのかさっぱり分からない状態ながらも、まあ行ってうろうろしていれば中古のカタログくらいは買えるかもしれんとあきらめて、代わりにコミック高岡で黒井ミサ様さま様が表紙の「ファンゴリア」を買って「エコエコアザラク3」公開を前にした佐伯日菜子様さま様のインタビューを読む。インタビュー中に撮られた写真の表情は目元は緩み口元も綻んでいて、とてもあのキッツーい目線とキッと結ばれた口元がブキミ度迫力度120%だった「黒井ミサ」と同一人物には見えない。もっともイベントで見たナマの佐伯さんは、どっちかってーと笑顔系のほのぼのした喋りなお方だったので、写真には素のままが出ていると思えばいーんだけど、何せ黒井ミサがあのインパクトありありな演技だったもで、どーしても本人までもがフトモモナイフなオソロシゲなお方なのかと思えてしまって仕方がない。早く次の作品に出てイメージとか払拭しないとなー。「ガラスの仮面」も凄かったけど、レギュラーでコメディーなんか見たいぞ。どっか作れ。

 まんま新宿へと移動して雑踏の中を歩いてさくらやホビー館まで。地下のキーチェーンゲーム売場に行って「ギガフレンドR2−D2」を1980円で買って早速プレイし始めるけれどいったい何がどーやればゲームとして成立するのかさっぱり分からない。何かあれこれプログラミングして動かせば良いみたいんなんだけど、それがどーゆー具合に得点に反映されるのか不明で何やら知らないうちに点数が下がって、間もなく1回目のゲームオーバーになってしまった。どーしてこれが人気になっているのか、教えておくれ「じゅげむ」他。ときどきアップになるトルーパーはそれなりに見えないこともないけれど、レイア姫はドット絵がデフォルメの極地でホイチョイが描く似顔絵みたい。C3−PO版とかって出ないのかな。

 銀座へと移動して東劇で「CURE」。初日の3回目上映ってのに長蛇の列が出来るでもなく、ドアが入ってのぞいた前回は舞台挨拶があったにも関わらず5分くらいの入りって程度で、自分たちの回はさらに少なく4分か3分の入りってところで、「もののけ姫」の大入りロングランや北野たけし監督のヴェネチア受賞だけを取りあげて、日本映画再来なんて憂かれ騒いでいるマスコミの言葉がいかに実態を反映していないかを身を持って実感した。映画の方はのっけから強烈な殺人のシーンが展開されて、けれども恐怖シーンでは「ドギャーン」とか「バイーン」とかいった効果音が一切なく、陰惨さとか残酷さとかが不思議と感じられない乾いた映像のなかで、訥々と話は進んで行く。なんとゆーか平井和正さんお得意な「虎」の物語なのかも知れないと思いつつも、目覚めさせる役を担った萩原聖人演じる間宮なる男の正体も、エンディング付近での役所浩司の行動もよく分からないま映画が終わってしまい、文庫での補完の必要性を強く感じた。たぶん秀作。「タオの月」よりは確実に。万人受けにはほど遠いけど。


【12月26日】 今日発売分で年内は打ち止めとなる怠惰な新聞社の怠惰な記者はもう仕事をするものかと決め込んで秋葉原を散策。無論表向きは来年からの仕事に向けての情報収集なのだが、裏向きには同人誌ショップあたりをウロついてはアングラなエッチアニメのビデオをチェックして、これ買って途中で車に跳ねられて死んだらいったい新聞になんて書かれるんだろーと無茶な妄想に悩むのであった。家の近くで売ってくれないかな。さすがに仕事もあるのでそっちはあきらめて石丸電気へと向かい、予約しておいた「エコエコアザラク」のLD−BOX第2弾を回収。第1弾のよーに直筆サイン入りのナマ写真はつかなかったけれどジャケットの裏側にでっかく映ったミサ様さま様の顔にしばし見入り、周囲の妙な視線にハッと気が付いてあわててBOXを鞄にしまうのであった。これ持って跳ねられても心配じゃないのかって? ない(断言)。それが「愛」だ。

 さらに銀座へと遠征、じゃない会社へと向かう途中だ東映の本社下のチケット売場に寄って「ラブ&ポップ」の前売り券CD−ROM付きを購入する。もう売り切れちゃったかと思っていたのに。窓口の限定1000枚はまだ随分と余っているよーで、アニメであれだけ盛り上がった庵野ブームもしょせんは「エヴァ」という作品を介してのクリエーター人気であって、「ラブ&ポップ」という作品にはまだ跳ね返って来ていないのかと推論してみる。実際に見れば分かるがピンと来る構図はたっぷりとあって「エヴァ」の映像に惹かれた人でも楽しめるはずだし、描かれている物語も辛いながらも噛みしめなくてはいけない類のものだから、とりわけ「夏エヴァ」のエンディングでの突き放しに、通じる部分があるのかもしれない。もっとも「R指定」じゃあ、派手に宣伝もできないし、上映館も極めて少なかったりするから、売れないってのも分かるよーな気がする。「ウパ」なんてやめちゃえばいーのに。

 家に帰って覗いたCD−ROMの中身は、後ろ姿の女子高生がかけていく「予告編」の映像に、出演している女の子たちのスチル写真(もちろんカラー)がたっぷりと、それも結構高いクオリティーで収録されていて、これがチケットプラス300円で手に入るのなら、1800円払っても無駄じゃないって気がしてる。当日券で映画見たと思えばいいんだし。もらったチラシには1月9日の先行ロードショーで庵野監督と三輪明日美さんら4人の女の子の舞台挨拶があるとの報が。でもこの日って金曜日でしょ、いったい何時の回で挨拶するんだろーか、それも渋谷の真ん中のパルコパート3の劇場で。昼間だったら仕事だって言って強引に見に行くか。実際に仕事とまんざら関わりがないわけじゃないんだし。まあほとんどないけど。

 別のチラシには、出演している4人の中でトップクラスに美人でグラマな仲間由紀恵さんのファーストアルバム「遠い日のメロディー」が、来年1月21日に発売されるとの報があり、収録されている楽曲のラインアップを見て、「HUNTEDじゃんくしょん」のオープニング「心に私がふたりいる」とエンディング「トレモロ」、「みすてないでデイジー」のエンディング「ONE MORE CHANCE」、カプコンのゲームのテーマ「負けない愛がきっとある」、んでもってアスキーの「トゥルー・ラブストーリー」のテーマ「トゥルー・ラブストーリー」などといった具合に、アニメやゲームやCMの曲ばっかり唄っていたんだなー、苦労したんだなーとここへ来ての活躍に心の中でそっと拍手を贈る。ファンなら買え。

 ちょっと本屋を偵察、今も昔も代わらぬ迫力な飯野賢治さんが「エネミー・ゼロ」を発売するときにソニーからセガへと乗り換えて世間を震撼させた俗に言う「E0事件」について、レッカ社の中田宏之さんらが飯野さんや関係者へのインタビューを中心にまとめた「ゲームを変えた男 飯野賢治 E0事件の真相」(メディアファクトリー、1200円)を買う。飯野さんの顔写真の上に大きく赤のバッテンをかけたインパクトのある表紙が、タイトルの書かれた帯で隠れているのはちょっと残念に思ったけれど、そうでないと何の本なのか分からないから仕方がないし、そもそもが帯も込みの装丁になっているから、仕方がないんだろー。バーコードだって帯に書かれているもんね。

 中身は当たり前だが飯野さんの立場なり考え方をポジティブに受けとめてあって、読むほどに鞍替えの正当性と、行動の妥当性と、才能の先進性が伝わって来る。そもそもが「E0」をプレイしていない身には、完璧には実感できないのが残念で、その辺りをより深く知るために、これは1度「E0」をプレイしてみなくちゃならんなーと考える。でも夜に2人でやってってソフトでしょ、これが1番のハードル、辛いねえ。


【12月25日】 白黒抹茶あずきコーヒーゆず桜は「ポポポイのポイ、お口にポイ」なのであると知っているのか熊本県出身なのにとり・みきさんは。いや最近はどうも一部代わっているそなのだが自分も名古屋を出てかれこれ8年が経とうとしているのでよくは知らないのであるのだが、ともかくも「SFマガジン」500号に掲載された「SF小僧」のラストのコマに登場した天空を跳ぶ巨大なモノリス(みたいなウィロー)の絵に、遠く西の空をながめながら「1本まるごと食いたいと、思ったあの日はいまいずこ」などと思いに耽るのであった。ちなみにこっちは青柳で、対抗の大須は「ボンボンボンと時計がみーいっつー」なのであるのだが。以上「SF小僧」解説でした。あっ言い訳してるぞ大ゴマで。

 小松左京さんなら「復活の日」だろーなー、後「日本アパッチ族」とかって思いながらオールタイム・ベスト日本部門の結果を見る。「果てしなき流れの果て」は確かに壮大希有な話だったと思ったけど、実はよく覚えていなくって選ぶのが辛いし、「百億の昼と千億の夜」は光瀬龍さんの依然に萩尾望都さんのコミックでガッツーンと衝撃を受けた口なので、あの読みづらいオリオナエの喋りに慣れずそれから活躍しないユダに残念と思って読んだから、好きではあっても2位にはちょっと選べない。まあこーゆーのを選ぶとなるとやっぱり好きこそ物の上位なれで、神林長平さんがずらりベスト10まで並びそうだから、ずっとSFマガジンの読者であっても、臆して応募できなかったんだけどね。

 短編のベストに草上仁さんが1本しかそれも44位にようやく入っているのは何故だろう。多すぎて選べなかった評が割れた陰謀だ・・・・などと理由を探るが分からない。私は「アル牛」と「セルメック」が好きです。あと長編では、平井和正さんが1本も入っていないのがとっても解せない。がしかし、過去の名作と呼ばれる本がほとんど絶版になっている状況ではしょうがないのかもしれんなあ。せめて「狼の紋章」くらは入って欲しかった。復刊なった「死霊狩り」に次期待。アスペクトノベルが600号発行時まで生きていれば、だけど。

 しかしそれもおそらく無理だろーな的大発表が午後の4時から東京証券取引所で開かれて、運輸省担当であるにも関わらず面白そうだとのぞきにいってあれやこれや。何かってそれはあのベンチャーの雄アスキー様が、大川功さん率いるCSKの出資を受け入れて実質的は参加に入るって内容の発表で、西和彦社長の知名度を反映してか会見場には各社のテレビカメラがズラリとならび、始まる前から場内は熱気を帯びていた。そんな中をぞらりぞらりと関係者が入場、まずは結構なお歳なのに矍鑠として闊達な大川さんが挨拶、んでもって傍目から見れば軍門に下るイメージのある西さんが、意外とサバけた口調で大川さんから出資してもらえることへの喜びを訴えていて、そうかもう西さん出版にはもうあんまり興味ないんだな、むしろ育てて来た画像圧縮技術とかネットワークテクノロジーとかいった新規事業が、昨今の金融事情を反映してお金の面で潰れる前に、より大きな所とくっついて、もっともっと大きくしていきたいんだなとゆー気がして来た。

 大川さんの西さんの買いようたるや相当なもので、逆に西さんの大川さんへの入り込み具合も例の「こどもサミット」の時に二人三脚ぶりが目立った以上に進んでいるようで、これからは2人いっしょになってMPEGやらインターネットやらのビジネスを育てていくことになるんだろー。4年先5年先とか先には西さんがCSKグループを率いている可能性はあるのかな。でも「経営は下手」って大川さんに言われえうなづいていた西さんだもん、あれだけ巨大に膨れ上がったCSKグループを全面的に目配りするのは大変かもしれない。その辺り資本と経営の分離を図って、知恵袋として活用してく考えなんだろーか。

 インディペンデントの強みを生かして爆裂やって来た雑誌はどうなるんだろうって心配は、西さんはともかく専務の廣瀬さんは持っていたよーだったけど、あれだけの特色のある人たちだもの、CSKやセガの参加に入ったからといってセガべったりの記事を書くとも思えないし、そう簡単にカルチャーを変えるとは思えない。ただ大川さんが特別顧問に就任したアスキーで、当然の如く事業の見直しが始まるのは必死だろから、そこで果たしてSFへの愛、平井和正への愛が大川さんにはあるんだろーかと考えて、これはちょっとアスペクトノベル、なかなかに厳しい曲面に立たされる可能性もあるんじゃないかと考えてみた次第。現場の人はどう思っているのかな。

 そうかサム・ライミが元ネタだったのか三村美衣さんは、って「SFマガジン」の著者近況に書いてあることに驚くならまだしも、逆にサム・ライミって誰なのんと思ってしまう私はやっぱりただのアニメファンなんでしょうね。フジテレビ版が原点でしたけどテレビ東京版も結構好きなんですよ、あのほんわかーっとした展開とか名前を失念したけどあの小うるさい奥さんのキャラクターとか。で本当のところはどうなんだろうと考えて、やっぱり原典は井村ミミさんではないかと思うのですがどうでしょうか、って井村ミミって誰じゃい?


【12月24日】 「SPA!」りにゅーあるおめでとう御座いますこれで僕もご飯が食べられるようになりましたなどと意味不明の前置きをしてから今日の話題。遂に発売されたとり・みきさんの「SF大将」(早川書房、1600円)は遅れに遅れただけあって凝った装丁がレトロというかサイケというかなんというか。これだったら追加分のイラストを入れたっていってもなかなか完成しない訳だわさ。虹色のバーコードが埋め尽くしたジャケットは目にとってもポケモンで(差別用語)、振るとたちまちショックでパーになってしまうし、開けて細かいドットを見入ると、1つひとつがすべてミッキーバードの大集団で刺されでもしたら大変を殺虫剤を探したい衝動にかかれる。

 中身だってなかなかなもので、今や幻となったその存在すらも記録から抹消されたと噂の雑誌「GURU」に連載された「大星雲ショー」時代の作品と、それから我らが「SFマガジン」に連載された「SF大将」の作品とをカップリングしたその体裁たるや、右開きと左開きがインナースペースに於いて存在するかつての「某週刊アスキー」の向こうを張ったデジタルでアナログな作りとなっていて、慣れないと相当にとまどい目眩がクラクラ来てしまう。幸いにして裏表紙のミッキーバードに黒丸に白抜きで「1」と書いてあることに気が付き、それから目次手前の「読み方のお手本」ばりなイラストをながめて得心したため、何とか読み通すことができたけど、それでも右から左から進むにつれてドンドンと小さくなっていくページには、ここまで凝るかと唖然茫然してしまった。神よ私はまだまだ小さい。

 おまけにだ。帯には「これがSFだ。」なんて入っているんだぜきょうび早川だって創元だってアスペクトだってジャストシステムだって入れないくらいの大きなポイントでそれも。タイトルからして「SF大将」だしまるで書店で売ってくれるなと言わんばかりの体裁に、これはとり・みきさん今後一切の漫画家生命をかけての大英断を行ったと勝手に見た。なればこそこの「SF大将」に来年は正真正銘の「SF大賞」を取ってもらうべく、すべてのSF者は本屋にかけ込んで買い占めて1月のベストセラーリスト2月のベストセラーリスト3月は苦しいかな4月はだめだろう5月は・・・くらいの努力をしなければ親に会わせる顔がない。さあ走れ今走れ。えっ売ってない、うーんもう返本が始まったか。SFだもんなあ。

 ルイス・シャイナーの「グリンプス」(小川隆訳、創元SF文庫、940円)読了。おっとちゃんと帯に「60’sロックSFファンタジイ」って入っているけれど、これだけキーワードを散りばめられるとロックなのかSFなのかファンタジイなのかをはっきりさせずに、それぞれのどのファンにもアピールしたろってな意図が見え隠れする。逆にそれぞれのファンが中途半端だってな印象をもって買わないかもしれないのにねえ。でもご安心少なくともSFファン、ロックファン、ファンタジイファンの誰をも満足させる小説であることは間違いないと、ここに大っぴらに喧伝してしまおー。

 言ってしまえばこの小説はだ、押井守さんの「ルパン3世」とか宮崎駿さんの「リトルニモ」とか山賀博之さんの「蒼きウル」といった幻に終わった企画を夢の中から取り出して海賊版ビデオに仕立てて売るって話みたいなもんで、興味のある人から見ればとてつもなく胸にジンと来る話なんだけど、そーいった没入できる対象がないと少々しんどい父と子の対立と対話の物語ってことになってしまう。もっとも音楽やアニメに興味がなくっても、例えば試作あるいは設計のみに終わってしまった飛行機のエンジン音を集めたアルバムを漕がれる飛行機ファンにだっている訳で、つまりはそーいった思い入れの対象さえあれば、ちゃんと面白さが分かるだろー。えっ「ウル」は現在企画進行中? 出来ないうちは幻だーい。

 クリスマスイブの夜に1人アパートで「少女革命ウテナ」の最終回ビデオ録画を見るという行動を正しいと思う方は手を挙げて下さいハイ13万2383人ですね分かりました正解です。んな訳はないのだが現実そうならざるを得ない身にはあらゆる世間の嘲笑も嘲弄も耳になど入らないし入っても聴こえないのだザマアミロ。でもっていきなり主題歌もなしに突入した物語、後ろからアンシーに剣で貫かれたウテナを後目に、暁生が薔薇の門をこじ開けようと懸命になってけれども果たせず、そこにお約束なウテナが立ち上がってえーと大団円だったっけ?

 いや違う決して心躍る展開でも心休まる集結でもないのだが、それが不思議に思えないくらいに「ウテナ」という作品はとことん人の欺瞞に満ちた優しさの仮面をはぎ取って、真実の姿を見せようと務めて来た。それこそ「本当の友だちがいるなんて思っている奴はバカですよ」ってな生徒会長のセリフもそのままに、徹頭徹尾首尾一貫して主張を貫き通した、その成果がこの残酷なウテナのラストなのだとしたら、人の住む世はあまりにも厳しすぎるし寒すぎる。だが本当のラストシーンを見さえすれば、外には無限の空間が広がっていることに気づき、「卵の殻」を破って飛び出したウテナ、未だ殻に篭ったままで世界の果てを夢みるディオスの図式を見出して、希望を持つことが出来るだろう。本当のところはどんなメッセージが込められていたのか分からないんだけどね。LD見つつ補完して、さらなる真価を探っていこー。


【12月23日】 休日で本当は仕事があるかもしれないけれど知らないふりをしてアパートでふて寝を決め込む。その罰が当たって夕方近くに会社から電話、「復活折衝の様子はどーなっておるのか」との問いに慌てふためいて運輸省の広報に電話して、発表資料をファックスで取り寄せて適当に原稿を仕上げて会社のホストに叩き込む。仕事は仕事でも闇な暗黒の仕事のために買ったファックスが、こーゆー時に役にたった。あんまり素晴らしいことではないけれど、結果よければ多分オーライなのだ。どっちにしたって必ず復活することが分かっている、いわば儀式ともいえる復活折衝になんでみんな血道をあげるのかが分からない、ってそう思っているから僕は経済記者とゆーか新聞記者として大成できないんだろーね。ただ怠惰なだけ? ごもっとも。

 とゆーよーな夕方が来る前にちょっと抜け出して津田沼の漫画の森にコミケのカタログを探しにいったらもう品切れ。いよいよ来週に迫った冬コミ、多分のぞきには行くんだろーけどその前にある程度どこに何が誰とどうして出ているのかはチェックしたいので、明日にでも神田あたりで探そう。去年は年末に高熱を出して三日三晩寝込んだので行けなかった冬コミ。夏は熱い最中をのぞいてコスプレに興奮したけれど、冬はいったいどんな格好のコスプレが出ているのか興味津々、ただでさえ風の強いビッグサイトの屋上で、開田あやさんもビックリな露出系の人がいるのかいないのかいないだろうな出来ないんだろーし。トレンドはウテナか。

 てな訳で調査研究のために「少女革命ウテナ」のムック本「薔薇の告白」(小学館、2095円)を買う。うーんすごいぞ表紙からして裸のウテナに背中のアンシー、先っちょこそ髪に隠れておまけに帯までかかっているけれど、その膨らみたるやとても男装の麗人として詰め襟の制服の下に押し込んでおくなんてもったいないもったいない。是非とも本編でもどかーんと披露して頂きたいものだが果たして明日の最終回、どんな展開を見せるのか興味津々。だってムックには最終回がどんな話になるのかなんて書いてないんだもん。書いてあったら困るけどね。

 主にストーリー展開を追った写真が中心の内容で、大判ながらも余裕のあるレイアウト、それでいて最小限の情報はしっかり入っているから制作した人たちもなかなかにウテナ通なんだろー。決闘シーンの時間くらべとか幹が図っているものの全紹介とか鈴木山田田中のアクションパターン総捲りとか、レアなネタにも結構気を配ってあるから、これで値段があと500円でも安ければ、満点を上げちゃってもいーよーな気がする。ウテナとアンシーの表紙絵のテレカが当たれば満点オッケー、だから頂戴小学館様。

 「ジャンパー」(公手成幸訳、早川書房、各640円)が絶賛好評発売中なスティーヴン・グールドの新刊が早くも登場。その名も「ワイルドサイド 上・下」(冬川亘訳、早川書房、各580円)は一瞬まるでコナン・ドイルの「ロストワールド」、マイケル・クライトンの「ジュラシック・パーク」、クリフォード・D・シマックの「マストドニア」、ロバート・J・ソウヤーの「さよならダイノサウルス」だったのが、エンディングでは感動の(ピー)になってしまうとは、オールドSFファンも感動な展開に思わず「ヨッシャ!」と叫んでページを閉じて踊り出す。パラレルワールドへと繋がる扉を挟んで少年少女と軍隊がにらみあってあれこれって、実に冒険心に乏しい展開に欲求不満の冒険SFファンもいるだろーけれど、エンディングで示される壮大なテーマの前に「扉を護る意味」の大切さが伝わって来て、これで良かったんだと納得できる。

 登場人物たちはしっかり現代っ子で金儲けの算段にソツがなくアルコール中毒でホモセクシャル、って全部じゃなくってそれぞれにそーゆーキャラってことだけど、それが違和感なくとけ込んでいるってところに現代のジュブナイルSFを目指すグールドの狙いが真価を発揮しているんだろー。本当のSF童話を卒業してから次に取るのがギブスンとかカードってのがキツイなら、是非ぜひ是非ともグールドを手にとって、ジャンキーだったりアル中だったりホモセクシャルだったりする主人公たちの、現代に相応しい冒険譚に浸って現実を見直しつつ、未来に夢を馳せて欲しい。僕的には「ジャンパー」より好き。


【12月22日】 スポーツ新聞はほとんど全部がトップから2面、3面と伊丹十三監督の自殺についての報道。本当だったらトップになってた有馬記念が終面から芸能面見開きへと展開しているのが競馬ファンにとって残念だったかもしれないいけれど、有馬記念は来年あっても伊丹監督の自殺は来年は絶対にないだろーから仕方がないことと思って頂こう。さても自殺の原因については、やっぱり「フラッシュ」の報道が引き金になったとゆーのが中心で、裏があるとか闇があるとかいったスポーツ新聞らしい報道は、自殺した直後だったし遺書もあったことだから、どこも差し控えたみたい。

 もちろん当該の「フラッシュ」を読んであの程度の記事で自殺するなら、世の中自殺する人だらけだと思うし、「フラッシュ」叩きをするワイドショーとかスポーツ紙のほうがよほどしつこく個人のプライバシーに踏み込んでは、社会的な死へと至らしめているじゃんか。たとえばちょっと前の通り魔事件なんて、確か大々的に報道して犯人と書き立てた人物が、実は事件を起こしていないことが分かった時に、ほとんどフォローをしていなかったからね。実際に死なれると扱いは違うし、有名人だからさらに違うってのは見ていてとっても気持ちが悪い。

 それから伊丹監督は自ら主張する手段を持ったメディアの人間であり、市井の人の方がよほど反論の機会も与えられぬままに葬り去られてしまう可能性が高い。伊丹監督を死に至らしめた報道を槍玉に上げて報道の行き過ぎを言うメディアには、以後すべての人物について反論の機会を与えるか、さもなくば一切のプライバシーに踏み込んだ報道を差し控える覚悟があるのかと、ここに問いたい。いたずらに自らの手を縛るような言葉を軽々しく口にすべきじゃないよ、リポーター共。それでも平気で市井の人々を傷つけられるのがリポーター稼業ってもんだろーけど。

 伊丹監督といえばインターネットで自分の映画のプロモーションを展開することで知られていたけれど、その企画を実務面で取り仕切っていたのがインターネット企画会社のKAPS。監督のインタビューに始まってスタッフリストにキャストリスト、さらには撮影日記と銘打って、映画がクランクインしてからアップするまで監督なりスタッフに密着しては、映画が出来上がる経過を映像と文章で細かくフォローしていく仕事は、1つの映画が出来上がる現場を一般の人に見知ってもらうとゆー点で、とっても意味のあるものだった。

 すでに次のプロジェクトも動いていたよーで、スタッフ一同の落ち込み具合やいかばかりかと斟酌したけれど、会社がスタートしてからかれこれ3年だか4年が経過して、今では映画のプロモーションをはじパソコンとかいろいろな仕事を、インターネット上で始めているよーでちょっと安心する。インターネットをプロモーションツールとして利用する手段を定着させたこと、その手段を企画した会社を軌道に乗せていろいろな分野へと送り出したことなど、伊丹監督がインターネット業界に与えた影響は決して小さいものではなく、その意味で今回の事件を単に映画業界のことと傍観するのではなく、ネット界においても1つの事件だったと認識して欲しいと切に願う。伊丹監督の映画がすべて好きな訳じゃなかったけど、やっぱりその死は残念だ。謹んで冥福を祈ろう。

 「WIRED」を買って表紙に驚く。そーいえばこの人も伊丹監督の映画に出ていたんだなーと思い出す。当時の印象の薄さにまさか後になってぶりょんぶりょんとナイフやら呪文やらを振り回し繰り出すスーパー女子高生に変身するとは、まさか想像もつかなかった。もって女性のフトコロの広さに驚くばかり。特集は「大人のためのアニメ・ガイド」だけど、まさに「大人の(おじさんの)(サラリーマンの)(ビジネスマンの)ためのアニメ・ガイド」であって、すでに「アニメージュ」とか「日経01」とか読んでいる人には、同じよーな話が再掲されていいるといった印象で、とりたてて目新しい話はなかったな。要点の整理と数字面でのフォローは流石といったところで役に立つ。今度パクろー。

 ようやく認めたか伊達杏子の失敗をホリプロは。といっても「外人にはウケてる」的言い訳は残っていて潔くない。その点ちゃーんと分かっているのが某大助教授で「アイドルは1人ひとりが作り出す『物語』の産物」であり、あれこれと送り手側が仕込みすぎたのが失敗の原因、むしろ共感の入れ物として無駄な設定を省き、受け手があれこれと情報を付加していったり、ツルんで盛り上げていったりする”参加性”を喚起する仕掛けを作れば、ヒットする可能性は十分にあるってーな指摘には、まさに我が意を得た思いがすると西に向かって叫ぶ。ウナギは冬も美味しいかー?

 何故か2冊もまとめて出たから今日を「東条和実の日」と名付けよー。まずは新書館の傑作シリーズ「黒いチューリップ」から「悲しいほどお天気」。脳天気だったりただの馬鹿だったりする敵キャラと徒労な戦いを繰り返す少年小沢圭介は改造人間なのだが変身した姿は怪傑ゾロも顔を赤らめる「黒いチューリップ」だったのだあああ。ってか。盛り上がりはないけれど安定した底力は堅持していますので懐メロファンと八巻ファンは即ゲットね。あとコーラスシリーズから「人生はいろいろだ」がリリース。のんびり屋のお姉さんが妹の合コンに引っぱり出されて見初めた彼はとことん暗くて被害者意識の強い男だったけど、お姉さんのほんわか攻撃にとまどいながらも引っ張られていくそのプロセスに涙。ただ暗くてヘンなだけでモテるんなら俺だってと、今度は布団に頭を突っ込んでむせび泣く。意識のズレが奇妙な味を醸し出す、東条和実ならではのテーマと物語。ファンなら買え、って言われなくたって買うだろーけどね。


【12月21日】 明け方に原稿を入れて今年の秘密の仕事はたぶん終わり。別の秘密の仕事はゲラの初稿のチェックも済んで、精神圧迫な週刊ペースの仕事が2本のおまけに年末進行なあわただしさで、昼間は怠惰なリリース書だけど夜は酔っぱらいが寝ぼけ眼でひたすらひたすら原稿書きな生活も、とりあえずは悪性インフルエンザに犯されることもなく仕事納めを迎えることができました。関係者の方々に熱く御礼申し上げます来年も虐めないで下さいね。

 ほっとしたので寝て起きて秋葉原へ遠征。出かける前にペリカンがビールと日本酒の詰め合わせを運んで来たのでラッキーとサインをして受け取り冷蔵庫に詰め込む。これで年末も安心だ。電車に乗って大混雑な秋葉原に着くと目指すは行き着けの新品LD安売りショップ。入るとおーおー並んでいるぞまずは「新世紀エヴァンゲリオン」DVD版の第5巻。これまでキャラクターのイラストがジャケットだったのが今回はどーしてかエヴァ初号機がぬくっと描かれていて、赤城リツコ博士を期待していた身としては甚だ遺憾に思うあります。次は4話分入るなら多分カヲルくんが表紙になっても不思議じゃないからリツコさんはきっとないんだろーな。最終2話は劇場版をまま持って来るなら半カケの綾波がジャケットか。

 それからレギュラーな「少女革命ウテナ」をゲット。いよいよ黒薔薇編へと突入し、ダーク大和な雰囲気がジャケットからして漂っていて久々に出会える「あなたは世界を革命するしかないでしょう」のセリフに、ジャケットを手にした瞬間から身震いが起こる。関係ないけど初回限定のBOX仕様だった第2巻、中古屋でとんでもない値段で出ていたけれどそのお店には今でも新品が売ってるぞ。あるいは中古屋のはそれまで発売されたディスクが全部入っていたのかもしれないけれど、探せば結構新品あるので焦らず慌てず秋葉を歩こう。赤いうさちゃんはどっち?

 それから「フォトン」の第2話もゲット。売れているのかいないのかあまり評判を聞かない作品で、とゆーのも設定がなんとなく「天地無用!」といっしょだからってな声が内から沸き起こって来るけれど、たしかにどーぶつが宇宙船の頭脳の中核を占めるあたりなんざあまるでそのままってことだとしても、だとしたら合体ロボット物なんてだいたいが同じよーなキャラクターの配置(熱血、クール、ガキ、デブ、女)だったから、自分の文法をそのまま他でもグレードアップして使おーとする「フォトン」スタッフの試みは別に非難されるべきものではないのだ。なのだ。

 だいいちこれだけ動くアニメが今時あったであろーか、それからこれだけ健康にすっぽんぽんが出てくるアニメがあっただろーか。人間をちゃんと3次元の肉のある存在に見せるのってよほど作画がしっかりしていないと出来ないことだと思うし、金かけて頑張って結果がついてこないと後が続かないからやっぱり大宣伝をしてしまおー。第2話「新妻のキーネ」にはアウンちゃんの若いすっぽんぽんが出ますから是非ぜひ是非とも御一見を。パパチャリーノ・ナナダンの爆発演技を見た後で「エヴァ」の「男の戦い」を見ると思わず吹き出すこと必定。冬の夜のお楽しみにしてください。

 ああああああやっぱり買ってしまったぞ不思議だ始まった9月にあれだけボロケナった「VIRUS」なのに3カ月が経って見ると唯一記憶に残った作品だったったなー。「大運動会」はまだまだ続くから別にして。おそらく背後に設計された世界はとてつもなく膨大なのに、時間が足りずに十分説明仕切れなかったところがあるんじゃなかろーか。後すべてに目配りが出来なかったために回ごとに絵は代わる雰囲気も異なるってなテレビシリーズ「ならでわ」のバラエティーさが出てしまって、見る者をひどく戸惑わせる結果となったこともマイナス要因だったのかも。個人的には久々に「わくわく」する気持ちを持てて良かったけどね「来週はどうなるんだ」ってなことで。最終話では「さっきと違う」と思わずツッコミ入れましたけど。

 作り直された部分とゆーのはちょっと分からず、サージのハルシオン・スカーレットの初戦闘シーンがカッコ良くなっていると書いてあって、言われてみればそーかもしれんと画面いっぱいに飛び回り跳ね回るサージの姿に興奮する。もらたポスターはLDのジャケットと同じデザインだけど主人公がセンターにいながらもちょっと小さくサブキャラでおまけに物語への食い込み具合が一番少なかったジョウイチロウが手間で胸はだけででかーんと映っているのが謎。エリカは横のシワがメロンな胸でとっても良いです。冬コミに果たして出るのか「VIRUS」軍団は俺はエリカが見たいぞ。

 田舎だとスポーツ新聞も早い版が来るためか単にどこにも入らなかったのか、夜まぜ全然知らなかったね伊丹十三監督が自殺したなんて。潔白を証明するために飛び降りたってあったけど、その証明する潔白ってのがどうやら明日出る写真週刊誌の女性との交際の記事らしいってことに、その程度のことで死ぬんだろーかと不思議に思う。精神的に追いつめられれている部分があったのか、それとも別に理由があったのか。「マルタイの女」は配収5億でこれなんて他の死屍累々な邦画のプログラムから見れば十分な数字じゃないかと思うけど、ブランドへの信頼が崩れたってことで忸怩たるものがあったのかも。

 「CURE」の公開を控えた黒沢清監督との「スイート・ホーム」でのイザコザが原因ってのが今一番困る原因だけど、それはないみたいなのでとりあえず安心。いや安心してはいかんのだ毀誉褒貶多かれど、伊丹監督がやって来た「売れる」映画作りの方法論には産業としての映画の活性化を探る上での重要な示唆があったはず。伊丹監督が提示した映画の時代性と、撮りっぱなしじゃなく売るために腐心した伊丹監督のプロモーションの手法を、一度綿密に検証してみる必要があるだろー。


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