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1963年東京都小石川生、学習院大学文学部ドイツ文学科・同大学院修士課程卒。89年オーストリア政府奨学金を得てウィーンに留学。以後、通訳、翻訳などの仕事をしながら約8年間、主にドイツ・フライブルクに滞在。祖母:幸田文、母:青木玉。 |
1.ハリネズミの道 2.くるみ街道 3.うさぎの聞き耳 4.幸田家のきもの |
●「ハリネズミの道」● ★★ |
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2001年12月
2001/02/28
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本書は“長篇エッセイ”とのこと。帯に「美しい季節が巡る南ドイツの学生寮で、心ひらいて語りあった友とのふれあいとかけがえのない青春の時」とあります。 まず、気持ちの良さが光ります。そして、瑞々しさがある。 ドイツ行/秋/冬/春/夏 |
●「くるみ街道」● ★ |
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2004年01月
2001/03/02
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前著が“長篇エッセイ”とあったのに対し、本書は“小説”とのこと。その違いは如何に?と思えば、それは創作部分の大小にかかるのでしょう。ではその創作部分は何処?と、?マークは続きます。
ともあれ、本書は「ハリネスミの道」の続編。松村京(ミヤコ)が再びドイツに戻り、6年の後、翻訳業で自活している日々が描かれています。 前著から本書刊行までには2年余の間があり、ストーリィにおいても6年という間がありますので、間を置いて読んでいたら、感慨はもっと大きいものだったかもしれません。 空の上の時間/柳絮の花嫁/チュニジアの虹/夜の背中/こじれる/刻む音/折れた薔薇/うつむいた友/くるみ街道 |
●「うさぎの聞き耳」● ★ |
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2005年01月 |
奈緒さんの爽やかなエッセイ集。 それは、書店店頭でページをめくった時にすぐ感じられたこと。また、きちんとした文章を読むという楽しさが、本書には感じられます。 全体の3分の2を占める“うさぎの聞き耳”のエッセイは、講談社のホームページ「講談社BOOK倶楽部」に、99年06月からおよそ2年間にわたり連載されたものの由。 爽やかで伸びのあるエッセイ、そんな印象です。時々混ざるフィクション風のものにも興味を惹かれますが、やはりドイツ絡みのエッセイに楽しさを感じます。 後半の“日本もいいし、ドイツもいい”は、「ハリネズミ」の前頃から書き始めたエッセイを収録したものの由。 (抜粋)パンドラの箱/女所帯の夕飯/ただいま普請中/夏の曲/エリクの後日談/珊瑚礁に呼ばれる/アンティーク夫妻 |
4. | |
●「幸田家のきもの」● ★★☆ |
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2011/03/30
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それ程期待した訳ではなく、幸田家絡みだから、青木奈緒さんのエッセイだからと手に取ったエッセイ本なのですが、これが予想を超えて楽しかった。 祖母=幸田文さん、母=青木玉さん、娘=奈緒さんと、幸田家の女性三代を繋ぐ、着物にまつわる思い出エッセイ。 幸田文さんの小説作品に「きもの」という名品があり、その作品を読んだ時には眼前に着物が翻っているような気がして陶然としたものです。本エッセイはその「きもの」の流れを汲んだ、着物をどう楽しく着てきたかを語った手引書という印象です。 なお、幸田文さんの思い切りの良さが、改めて本エッセイ集の中で知れることも、ファンにとっては嬉しいこと。 |