青春小説、スポーツ小説、という類は好きな方なので、期待して手に取ったのですが、率直に言って思惑外れ。
川西蘭「光る汗」のような爽快なアンソロジーを期待していたのですが、主人公が若くかつスポーツ絡みである点は確かながら、どれも捻ったところがあって、素直に爽快、という気分にはなれなかったところが残念。
ただし、収録6篇の中ではやはり川西蘭「ワンデイレース」が、私の望んだところに一番近い作品でした。
・「競馬場のメサイア」は、サッカー部を退部し高校も中退した主人公と、女性騎手との出会い。
・「peacemaker」は、中学放送部の2人が、剣道部で仲の好い好敵手2人の間に生じた亀裂を解決しようとする話。
・「アップセット」は、大学フットボール部の選手でもある社会福祉部の大学生と、児童相談所の問題児である少年との交流。
・「内緒だよ」は、両親と共に建設現場・飯場を渡り歩いて暮している少年が、出会った青年からバスケを教わる話。
・「見守ることしかできなくて」は、スケート場で知り合ったフィギュアスケート選手を目指す女の子と、彼女を応援する少年の話。
・「ワンデイレース」は、大手企業が協賛を取り止め開催が危ぶまれたロードレース大会を、ボランティア大会に切り替えて開催にこぎつけた主人公が、力を合わせた高校自転車部の仲間たちとレースに参加した風景を描いた話。
松樹剛史 「競馬場のメサイア」
小路幸也 「peacemaker
サウンド・オブ・サイレンス」
須藤靖貴 「アップセット」
川島 誠 「内緒だよ」
誉田哲也 「見守ることしかできなくて」
川西 蘭 「ワンデイレース」
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