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1.雨恋 (双葉文庫改題:雨の日のきみに恋をして) 4.煙とサクランボ |
●「雨
恋(あまごい)
A
Rainy Love Affair」● ★☆ |
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2007年09月 2016年10月
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雨の日毎の交わされる、幽霊となった女性とのミステリ風味を加えた切ないラブ・ストーリィ。 主人公・沼野渉は、米国赴任することになった叔母に頼まれ、留守番役としてそのマンションに移り住むことになります。 幽霊とのラブ・ストーリィ、あるいはミステリというのは意外とあるものです。 |
●「ハートブレイク・レストラン」● ★☆ |
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2008年07月
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軽く楽しめる連作ミステリー。 語り手となる主人公は、寺坂真以。28歳のフリーライターで、原稿書きにこのファミレスを利用しているという設定。 冒頭の「ケーキと指輪の問題」は切れ味鋭く、思わずたじたじ。「走る目覚まし時計の問題」は仲の良い家族の姿が微笑ましい。 ケーキと指輪の問題/走る目覚まし時計の問題/不作法なストラップの問題/靴紐と十五キロの問題/ベレー帽と花瓶の問題/ロボットと俳句の問題 |
●「九月の恋と出会うまで See You Again, My September Love」● ★☆ |
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2009年09月 2016年02月
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旅行会社に勤める北村志織が引っ越した先のマンション。 1年後の人物との接触。何やら先日観たばかりの映画“イルマーレ”のことが思い浮かびます。彼は志織にいったい何をさせようというのか。そしてそれは未来の何にどんな影響を与えることなのか。SFファンタジー的なストーリィの中にそんなミステリ要素を含んでいるところが、松尾由美作品らしいところ。 最終的に気持ち良いラブ・ストーリィに終わるところが本書の魅力です。 |
※映画化 → 「九月の恋と出会うまで」
●「煙とサクランボ」● ★ |
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2014年04月
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これまで読んだ松尾由美さんの作品は、偶々だったのか、だからこそだったのか、今となってはもう覚えていませんが、3冊とも幽霊絡みのストーリィ。 そして本書もまた、幽霊が主人公というストーリィです。 これだけ幽霊ものが多いとそれぞれ幽霊の設定も異なるもので、本書では、生きていない以上生きている人間とは異なるところがありますが、かなり普通の人間のように日常生活を送っている、という設定です。 ただし、幽霊である自分と接する相手の人間が、自分が死んでいることを知らないというのが前提(死んだと知っている人間には姿が見えないということ)。 主な舞台は、小さなバー。柳井というバーテンダーは物心ついた頃から幽霊が見えるという能力の持ち主であるため、主人公である炭津と名乗る幽霊にとっては居心地の良い場所。 そのバーに毎週火曜日ごとに訪れるのは、会社勤務の傍ら漫画家を続けているという20代後半の女性、立石晴奈。 その晴奈、幼い頃に両親と暮らしていた新築したばかりの家が放火にあって・・・という謎を実は抱えていた。 柳井がそんな晴菜に、炭津さんに相談してみたら、「ああ見えて名探偵ですから」と勧めたことから炭津、その“立石家の謎”解きに挑むことになります。 幽霊が事件の謎解きに挑むミステリ、という出だしでしたが、実は読者にとっては、晴奈と炭津の関係こそ一番の謎、肝心なミステリだったという趣向。 晴奈が炭津に対して抱く想いという要素が貴重で、それなりに楽しめる幽霊ファンタジー&ミステリ・ストーリィでした。 ※「煙」とは幽霊=炭津、「サクランボ」とは晴奈のこと。 |