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2.夜の蝉 3.秋の花 5.六の宮の姫君 6.冬のオペラ 7.スキップ 8.覆面作家の愛の歌 9.覆面作家の夢の家 10.ターン |
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街の灯、語り女たち、ミステリ十二か月、ニッポン硬貨の謎、北村薫のミステリー館、紙魚家崩壊、ひとがた流し、玻璃の天、1950年のバックトス、北村薫のミステリびっくり箱 |
北村薫の創作表現講義、野球の国のアリス、鷺と雪、元気でいてよR2-D2、いとま申して、飲めば都、八月の六日間、慶應本科と折口信夫、太宰治の辞書、中野のお父さん |
遠い唇、ヴェネツィア便り、小萩のかんざし、中野のお父さんは謎を解くか、中野のお父さんと五つの謎 |
●「空飛ぶ馬」● ★★★ |
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1996/09/15 |
「私」と円紫師匠シリーズ第1冊目。 女子大生の「私」が
見かける日常生活の中にパズルを見出し、そこに人生のささいなドラマを発見する、といった物語集。 主人公を普通の女子大生にしていることにより、普通人の感覚で出来事を眺めることができ、読者としては素直に入り込み易い。また、探偵役の春桜亭円紫師匠、人情の機微を知るにふさわし噺家をもってきたところが、ヒット。 織部の霊/砂糖合戦/胡桃の中の鳥/赤頭巾/空飛ぶ馬 |
●「夜の蝉」● ★★ 第44回日本推理作家協会賞受賞 |
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1996/09/15 |
「私」と円紫師匠シリーズ第2冊目。 前作から少し進み、収録3作のうち2作は「私」のごく親しい人に関わる謎。 こうして読み進むと、本シリーズが「私」の成長過程を辿っていることが明らかです。女性版ビルドゥングスロマンということができます。 朧夜の底/六月の花嫁/夜の蝉 |
●「秋の花」● ★ |
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1996/09/21 |
「私」と円紫師匠シリーズ第3冊目、初の長編。 「私」の近所に住む3年下の仲の良い女子高校生二人のうちのひとりが、文化祭準備中の夜、 校舎の屋上から転落死する事故があった。残ったもう一人の子は精神不安定の状況に。そんな中「私」の家のポストに 「殺された」旨の手紙が。 なんとなく作者の術中にはまって、雰囲気とノスタルジーにため息をついてしまうが、冷静に考えると、ちょっと待って、と言いたくなるストーリィ。今回の謎解きは釈然としなかった。 |
●「覆面作家は二人いる」● ★★☆ |
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1999/01/30 |
“覆面作家”シリーズ第1作。 姓は「覆面」、名は「作家」という珍妙な名前の新人ミステリ作家が誕生したと思ったら、なんと現実においても名探偵だった。さて本人はというと、可憐な深窓の令嬢・新妻千秋・19歳。 ともかく、新妻千秋という楽しい探偵を世に送り出しただけでも絶品と言いたい作品です。現に何度読み返しても新鮮に楽しいです。 覆面作家のクリスマス/眠る覆面作家/覆面作家は二人いる |
●「六の宮の姫君」● ★★ |
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創元推理文庫化 1996/09/11 |
「私」と円紫師匠シリーズ第4冊目、長編。 NIFTY-SERVEのフォーラムで薦められて読んだのですが、思えばとんでもないところから読み始めてしまった。(^^;) |
●「冬のオペラ」● ★☆ |
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2002年05月
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春桜亭円紫、覆面作家こと新妻千秋に続く、北村薫・シリーズもの探偵の3人目が登場するミステリ短篇集。(再読)
名前は巫(かんなぎ)弓彦、職業は“名探偵”。 三角の水/蘭と韋駄天/冬のオペラ |
●「スキップ」● ★★★ |
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1999年07月
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“時と人の三部作”第1作。 17才の女子高生・一ノ瀬真理子が、突然未来(現代)へ飛んでしまうという、タイムスリップ・ストーリィ。 ちょうど本作品刊行の少し前に、グリムウッド「リプレイ」というタイムスリップの作品が評判になっていました。本作品は、それとはまったく逆の仕掛けとなっています。しかし、同じタイムスリップを題材にしていますが、本作品は決してそれが主題ではありません。むしろ、17歳から急に42歳になってしまった元高校生・真理子が、どう新たな人生に立ち向かおうとするか、という物語なのです。単にタイムスリップというSF的なものではなく、生きていくうえで大切なもの、貴重なものを捜し求めるストーリィと言えます。 17才の感覚で、新しい境遇に新鮮にチャレンジしていく真理子の姿、それが素晴らしい。そんな真理子の姿に、家族(夫、娘の美也子)も新鮮に蘇っていくようです。その感じが素敵です。青春時期の甘い思い出と、高校生活のノスタルジーを新たにさせてくれるような作品です。 本ストーリィは、最終頁も続いていきます、人生のように。この感じもまた素晴らしいものでした。 |
●「覆面作家の愛の歌」● ★★★ |
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“覆面作家”シリーズ第2作。 家人
にと思って借り出してきたのですが、つい手が出てしまいました。再読です。 覆面作家のお茶の会/覆面作家と溶ける男/覆面作家の愛の歌 |
●「覆面作家の夢の家」● ★★☆ |
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1999年10月 1997/02/22 |
“覆面作家”シリーズ第3作。 このシリーズはいつまで続くのやら、という思いが常にありましたが、現実に第3巻=最終巻となりました。 覆面作家と謎の写真/覆面作家、目白を呼ぶ/覆面作家の夢の家 |
●「ターン」● ★★★ |
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2000年07月
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“時と人の三部作”第2作。 何故か、物語は二人称で始まるストーリィ。 淡々と繰り返されるストーリィの中に強く感じることは、北村さんの優しさです。まるで、髪をなでるような印象を受けます。でも、それがずっと続くとこれだけのストーリイなのか、と失望感も感じます。しかし、そこから、思いもかけない出来事が起こります。それは電話。 それから後は、それまでのゆるやかなペースが嘘のように、新たな展開が始まります。けれども、決してむさぼるように読むという感じにはならないのです。静かな気分のまま奥底まで引きこまれていく、と言ったら良いでしょうか、そんな印象です。進展につれ、何時しか緊張感が芽生え、緊迫の度を高めつつ、ストーリィは一気に結末へ向かいます。 最後に真希が口にする一言、なんて素敵な言葉だったことでしょうか。ごく普通の言葉なのですが、そのひとことによって、静かな、けれども深い感動が、胸の内に広がっていきます。 |
※映画化 → 「ターン」
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