石持浅海
(いしもち・あさみ)作品のページ No.2



11.
鎮憎師

12.崖の上で踊る

【作家歴】、月の扉、心臓と左手、Rのつく月には気をつけよう、温かな手、玩具店の英雄、フライ・バイ・ワイヤ、凪の司祭、罪びとよやすらかに眠れ、パレードの明暗、殺し屋やってます。

石持浅海作品のページ No.1

  


          

11.

「鎮憎師 ★☆


鎮憎師

2017年04月
光文社刊

(1500円+税)



2017/05/17



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??という題名の本作、毎回変わった趣向でミステリ風ストーリィを楽しませてくれる石持浅海さんだけに、今回はどんな趣向なのだろうかとワクワクする気持ちで手に取ったのですが、予想した連作短篇集ではなく長編ストーリィ。

大学時代のテニススクール仲間、仲間内でカップルとなった男女の結婚祝いパーティにかつての仲間たちが集まります。
しかし、3年ぶりに姿を見せた
熊木夏蓮が何と翌朝、絞殺死体となって発見されます。夏蓮は3年前に起きた<無理心中未遂事件>の当事者。今回の事件はそれと関わりあるものなのか。そして犯人は、かつての仲間8人の内の誰かなのか?

まさしくミステリの常道のような展開ですが、鎮憎師が登場する故にいつものミステリとはちょっと風向きが異なります。
主人公である
赤垣真穂が、弁護士である叔父の新妻順司に紹介されたのが、新妻曰く“鎮憎師”という沖田洋平千瀬の兄妹。
犯人捜しをする訳じゃない、事件を整理して皆が納得できるストーリィに解き明かし、復讐の連鎖が生じないよう事件を鎮める、というのがそのコンセプト。
安楽椅子探偵型、でも最後に真相を解き明かすのは事件の当事者ある一人という探偵の二重構造と、ちょっと捻ったミステリ。

仲間内で起きた事件、その犯人は仲間内の一人というのは、かなりスリリングな設定です。鎮憎師という設定は別にして、ミステリとしても十分楽しめました。
ただ、鎮憎師である沖田兄妹の魅力を本書一冊で満喫できたとはとても言い難い。まずは本書を初登場の舞台として、今後の活躍を次巻以降で期待したいところです。
乞う!続編。そうでなくては余りに勿体ない。


序章/1.再会/2.ジュリエット/3.絞り込み/4.分析/5.鎮憎師/6.機会と動機/7.事情聴取/8.残された者たち/9.状況報告/10.犯人はどちら/11.招集/12.復讐の連鎖/終章

      

12.
「崖の上で踊る Dancing on a cliff ★☆


崖の上で踊る

2018年10月
PHP研究所

(1600円+税)



2018/11/11



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新興ベンチャー企業<フウジンブレード>が販売した家庭内用効率風速発電機が及ぼした偏頭痛等の障害により、将来の夢を閉ざされる、大切な恋人・家族を喪う等々の不幸を味わった被害者たちが本ストーリィの主役。

このまま許しておく訳にはいかない、企業幹部3人に対して復讐を集まったのが10人の男女。
まずは会社の保養所に呼び寄せて開発部長だった男を殺害し、明後日の最終実行日に向けて準備を整えますが、あろうことか仲間の一人が殺害されてしまう。
疑心暗鬼に駆られた残る9人の内から、またしても犠牲者が。
犯人は、残された仲間の内の誰かなのか、そしてその狙いは何なのか・・・。

警察に通報する訳にいかないギリギリの状況、緊縮した時間の中で、連続して起きる犯行とそれに対する推理が、残された仲間うち内で繰り広げられます。

そもそも復讐なんて崖の上で踊っているようなもの。いつ足を踏み外して転落するかもしれない。でも止めない、踊り切るまで、というのが本書表題の意味らしい。

一つのミステリであることに相違ありませんが、犯行方法より、誰が? どんな狙いで? というのが興味どころ。
その答えは最後に明らかになりますが、思わず絶句。
流石は
凪の司祭のような作品を書いた石持さんらしい、容赦ないえぐさだと、仰け反るような思いです。
でも・・・私は好きだな。
何しろこれから復讐計画を実行しようというストーリィなのですから。


序章.崖の上で踊る/1.作戦開始/2.フウジンブレード/3.キーパーソンの死/4.犯行の目的/5.連続殺人/6.証拠探し/7.対立/8.真の顔/9.裏切り者/10.敵と味方/終章.崖の上で踊る

       

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