|
21.ほんとに「いい」と思ってる? 22.ツ、イ、ラ、ク 23.桃 24.ハルカ・エイティ 25.コルセット(文庫改題:お金のある人の恋と腐乱) 26.ああ正妻(文庫改題:結婚は人生の墓場か?) 27.すっぴんは事件か? 28.もう私のことはわからないのだけれど(文庫改題:風のささやき) 29.リアル・シンデレラ 30.ああ、懐かしの少女漫画 |
【作家歴】、ひと呼んでミツコ、ガラスの仮面の告白、A.B.O.AB、変奏曲、ドールハウス、喪失記、H(アッシュ)、ブスのくせに!、終業式、バカさゆえ・・・ |
不倫(レンタル)、受難、初体験物語、みんなどうして結婚してゆくのだろう、整形美女、蕎麦屋の恋、すべての女は瘠せすぎである、サイケ、特急こだま東海道線を走る、よるねこ |
昭和の犬、近所の犬、部長と池袋、謎の毒親、彼女は頭が悪いから、何が「いただく」ぢゃ!、青春とは、悪口と幸せ |
●「ほんとに「いい」と思ってる?」● ☆ |
|
|
1991〜2002年にわたる長期間、あちらこちらの雑誌等に掲載したエッセイをとりまとめ、加筆訂正して1冊にしたエッセイ集だそうです。 ブランドの烙印/やっかいな自意識/意義あり!/オススメ |
●「ツ、イ、ラ、ク」● ★★★ |
|
2007年02月
|
「今年度最強の恋愛文学」という帯文句に何と大袈裟なと思いつつも、姫野さんの渾身の恋愛小説という点に惹かれ、読み始めた一冊。 ストーリィは、小学生の頃から始まり、中学生時代を中心にその20年後まで。となれば、普通は清く少女らしい恋愛小説になる筈ですが、著者が姫野さんとなればそうはいきません。 佐藤多佳子「黄色い目の魚」、森絵都「永遠の出口」と並べたい作品ですが、この恋愛小説を良しとするかどうかは好み次第。 ※本書題名は、石ノ森章太郎のマンガ「サイボーグ009」で、009と002が抱き合って空から落ちてくるシーンからきているそうです。なんともはや。 |
●「 桃 」● ★★ |
|
2007年07月
|
「わたしたちはさんざんいやらしいことをしてきた」というのが帯のPR文。 中学時代は、男子も女子も性に目覚める頃。しかし、そんな当たり前のことがこれまで余り書かれることはなかったと、本作品を前にして思います。 長編小説を読んでいなくてもかまわないと姫野さんは言っていますが、「ツ、イ、ラ、ク」を読んでいるからこそ本書の印象もまた鮮烈なのです。 卒業写真/高瀬舟、それから/汝、病めるときも すこやかなるときも/青痣/世帯主がたばこを減らそうと考えた夜/桃 |
●「ハルカ・エイティ So Happy life in case of HARUKA 」● ★★ |
|
2008年10月
|
あとがきによると、「ノンフィクションではないが、実在の人間の、戦場での体験をはじめ、事実をもとにした小説である」とのこと。 主人公の持丸遥(結婚して小野姓)は1920年(大正9)生まれ。本書は、戦前・戦中・戦後という時代を平凡かつ明るく生きてきたハルカという女性の物語です。 ハルカ80/少女/女学生/花嫁/姑/若奥様/母/女教師/人妻/娘/娘・その二/恋人 |
●「コルセット
LE
CORSET 」● ☆ |
|
2009年05月 2014年11月
|
セックスを斜に眺めているような4人の女性を描いた短篇集。4篇の主人公の間には何らかの繋がりがあり、連鎖していくような展開に特色があります。 冒頭「反行カノン」は、親に命じられるまま結婚した夫は不能者で、夫に勧められた相手と性関係を重ねる田鶴子が主人公。 セックスを物理的な行為としてしばしば捉える姫野さんらしい局面もありますけれど、総じては姫野さんにしてはちと珍しいタイプの短篇集です。姫野さんらしさの延長に生まれ得るストーリィではありますけれど、表面的に見てしまえば私にとって退嬰的で鬱陶しいストーリィでしかありませんでした。 反行カノン/フレンチ・カンカン/三幕アリア/輪舞曲 |
●「ああ正妻」● ★★ |
|
2010年04月
|
主人公の小早川正人はいつも他人に対しておどおどした態度をとるのが欠点ですが、顔立ちは整っているし、老舗出版社の編集者で高給取り。会社の福利厚生は充実しているうえに本人の能力も人並み以上なのですから、もっと堂々としていれば良いのに何故こうもおどおどしているのか。 しかし、これだけで終わらないのがヒメノ節。 “負け犬”になれない女性たちの結婚信仰の心底をヒメノ風に誇張(姫野さんに言わせればこれこそ真実か)して描いた作品かと思えば、予想もしなかった「負け犬」論を小説形式にて後半に加え、さらに姫野式分析をあちこちに散りばめるという、多層にわたる面白さ。 |
●「すっぴんは事件か?」● ★☆ |
|
2012年09月
|
相変わらず、普通の人とは違ったところから発想してくるので、姫野カオルコさんのエッセイは楽しい。 「いつも危険日」は、女性はどこにエロを感じるのか?を追求していったようなエッセイ。 「媚びれ!」に至ると、やたら自分は“初老”であると連発! 「いかがなものか」では、現在の最初に単行本、3年後に文庫化というパターンを逆転させて、最初に文庫本、その後に解説・対談も加えて愛蔵版として単行本化、というアイデアを披露。 斯くも楽しく、憂き世離れできる一冊。是非読んで楽しんでくださいませ。 いつも危険日/媚びれ!/いかがなものか |
●「もう私のことはわからないのだけれど」● ★☆ |
|
2011年07月
|
父親、母親、舅、姑等の介護に明け暮れた人を主人公にした13の物語。 13篇全体の傾向を見ると、若い時から介護に追われ、仲間や友人との付き合いも十分にできず、変わり者扱い。でも年を取ると、やっと介護を理由にして付き合いを断ってもすんなり受け入れられるのでホッとする・・・、介護(相手の死により)が終わってやっと開放された気分・・・等々。 現代ノンフィクションらしいフィクション、という一冊。 同窓会−本多彩子(静岡県44歳)/やきめし−長森美智子(群馬県53歳)/エリザベス一世−内藤伸治(神奈川県49歳)/ハッスル−保木本ゆり(鳥取県44歳)/夢の超特急−水野千春(愛知県45歳)/衣斐さんと、衣斐さんの奥さんのこと−加藤麻菜(岐阜県22歳)/年をとってよかったこと−佐伯理恵(埼玉県50歳)/横浜なんかに住んでてすみません−赤江朋子(神奈川県43歳)/偽善者−越智淑絵(愛媛県47歳)/ぱたぱた−菊池典子(岩手県44歳)/スペイン語/嫁/三十六年 |
●「リアル・シンデレラ Real Cinderella」● ★★ |
|
2012年06月
|
「シンデレラ物語」の向こうを張り、真の幸せとは何か? ひとりの女性の人生を通して語った長篇小説。 本人はいたって真面目なのだが、普通の人とはかなり感覚がズレているので、いつも浮いてしまう、食い違ってしまう、という姫野さんらしいキャラクターの持ち主が、本作品の主人公=倉島泉(せん)、1950年生まれ。 現代感覚からすると確かに、シンデレラって幸せを手に入れた女性と言えるのだろうか?と思うところがあります。要は、金持ちの息子に見初められ、嫁に迎え入れられただけのこと。男に全面的に依存してしまう人生が、女性にとって幸せとは限らないというのは、現代ではもはや常識と言って良いのではないか。 そうした理屈は別にして、本作品、読んでいてとても面白いのです。姫野作品では時に主人公のキャラが立ち過ぎて、ストーリィを引っ張られてしまうことがあるのですが、本作品では、主人公のキャラとストーリィがピタッと嵌った感じ。 |
●「ああ懐かしの少女漫画」● ★ |
|
|
姫野さんが、幼い頃に親しんだ少女漫画について、驚異の記憶力で語った一冊。 しかし、やはり縁がないというのはどうしようもない。姫野さんの語っている漫画のこと、殆ど知らないのですから懐かしさもなし。 ※本書に取り上げられた少女漫画家のうち私として覚えがあるのは、楳図かずお、忠津陽子、大和和紀ぐらいです。 |
姫野カオルコ作品のページ bP へ 姫野カオルコ作品のページ bQ へ