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4.九つの、物語 5.葉桜 6.今日のごちそう 7.ハチミツ |
●「流れ星が消えないうちに」● ★ |
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2008年07月
2006/06/15
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奈緒子とその恋人の巧君、2人の恋人関係を描いたストーリィ。 加地君が文系で根気の良いタイプ、巧君は体育系でカラッと明るいタイプ。地味で目立たない存在だったということで奈緒子と加地君はお似合いのカップルだったし、互いに補うところがある故に加地と巧は親友同士だった。 ラブストーリィとしては小品でしょう。 |
●「空色ヒッチハイカー」● ★★ |
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2009年08月
2007/01/19
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1959年製キャデラック(米国を代表する大型車)を駆り、東京から九州の唐津まではるばる走り続ける夏休み。 彰二はまだ高校3年生で無免許なのですが、兄・彰一の愛車、兄の免許証を借用して走り出したという次第。 道中、特に大きなドラマがある訳ではありません。ずっと走っていればこの程度はあるさ、ということぐらい。それでもきれいな女の子を傍らに、遠くを目指してただ走り続けるということ自体が気持ち良い。それはちょうど読書に似ているのではないでしょうか。特に目的もなく読み続け、読み終わればまた次の本を読み続けるという、私の読書に。 |
●「彩乃ちゃんのお告げ」● ★★ |
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2011年03月
2008/01/27
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小学5年生の彩乃ちゃん。といっても彼女は普通の女の子ではない。なんと教祖である祖母の後を継ぐべき「教主」さま。 さる教団の教祖さまが亡くなり、後を継ぐのはその力を受け継いでいる彩乃ちゃんしかいないらしい。しかし、教団内部で主導権争いがあり、そのため彩乃ちゃんは転々と、他所の家に預けられることに。 けっして綾乃ちゃんが奇跡を起こす訳ではありません。ホンのちょっと後押しするだけ。 人に対するちょっとした心配り、後押し。そして、ささやかな幸せ。そのささやかさが何とも素敵です。 夜散歩/石階段/夏花火 |
●「九つの、物語」● ★☆ |
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2008/04/05
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「九つの、物語」というからには連作短篇集だろうと思ったのですが、れっきとした長篇ストーリィ。 各章で、上記作品のさわりを紹介しつつ各章の内容を語る意味で象徴的に使われていたり、死んだ筈の主人公の兄=禎文が各章で毎度のようにレシピを紹介しつつ料理の腕をふるうといった、ストーリィの本筋ではなく付け足しの部分に面白味がある、といった連作風長篇小説。 ただ、兄の愛情というには過剰気味と感じざるを得ない。 縷紅新草/待つ/蒲団/あぢさい/ノラや/山椒魚(改変前)/山椒魚(改変後)/わかれ道/コネティカットのひょこひょこおじさん |
●「葉 桜」● ★★ |
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2014年04月
2011/09/16
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初恋の純真な気持ちを描いた青春小説。 佳奈がずっと抱き続けてきた淡い恋心にキリをつける時期が来たのでしょう。 初恋の淡い想いを味わいたい、再び思い起こしたいという方に、お薦め。 |
●「今日のごちそう」● ★☆ |
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2012/04/08
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出会い、幸せ、別れ等々、家庭料理を題材にした掌編集、23篇。 料理を題材にした短篇集というと清水義範「12皿の特別料理」が思い浮かびます。料理方法まで細かく描かれていて、あれは楽しかった。 食べ物、料理、常に人と人との思い出に繋がるようです。幸せあり、出会いもあれば、男女関係の破綻、別れもあるといろいろ。 伊達巻/伊勢風雑煮/豆/ごまかしのカルボナーラ/アンコウ鍋/花見弁当/のり弁/うどん/トマト味の煮込み/煮豆/漬け物/ポトフ/オレキエッテ/クロックマダム/お好み焼き/素麺/味噌漬け/ラタトゥイユ/ホットコーヒー/団子/ココナッツミルクのカレー/シャンパン/ローストチキン |
7. | |
●「ハチミツ」● ★★ |
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2012/07/09
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ひとくちに三姉妹物語と言ってもいろいろなパターンがありますが、本作品は三姉妹というキャラクターを利用しての巧妙な話の進め方に特徴があって、その辺りが実に面白い。 同じ場面を三人各々の眼から描いてみたり、「おい、吉野」という男性からの声掛けに対して三者三様、シチュエーションも違えば反応も違い、そこからの展開も異なると、その辺りの趣向も実に楽しい。 ※本ストーリィで見逃せないのは、杏の料理シーンと、3姉妹がきちんと食卓に顔をそろえる食事シーン。本作品の中で良いアクセントになっています。 1.朝食/2.小鳥たちの巣/3.壁/4.お父さん/5.嵐/6.雨あがりの夜/7.ハチミツ |
8. | |
●「ふれられるよ今は、君のことを」● ★★ |
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2012/11/29
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何とも居心地の良い、私好みの作品です。 主人公の高野楓は、自らもう若くないという中学の社会科教諭。教師だからといって教育の理想に燃えたことなど一度もなく、同僚教師や生徒らともうまく付き合えない不器用な人間。だから全て諦め、たった一人、自分のペースで生きてきた。 不器用な女性のファンタジーなラブストーリィ。 とにかく読んでいて何とも言えない快さ、居心地の良さを味わえるところが、本作品の魅力。趣向はちょっと異なりますが、乙一「失踪HOLIDAY」の中の一篇「しあわせは子猫のかたち」を思い出しました。 |