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1.文学刑事サーズデイ・ネクスト1−ジェイン・エアを探せ!− 2.文学刑事サーズデイ・ネクスト2−さらば、大鴉− 3.文学刑事サーズデイ・ネクスト3−だれがゴドーを殺したの?− |
●「文学刑事サーズデイ・ネクスト1
ジェイン・エアを探せ!」● ★★☆ |
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2003年10月 2005年09月
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英文学好きには堪えられない一冊。 ディケンズ、シェイクスピア、ブロンテ等々の名作が目白押しに登場してくるのですから。 舞台は1985年のイギリス。といっても、我々の世界とはちと異なる世界。ロシア帝国とのクリミア戦争は未だ続いていますし、空の旅はジェット機でなく飛行船で。また、イギリスはウェールズ共和国と敵対している、といった風。 本書の主人公は、サーズデイ・ネクストという36歳の独身女性。クリミア戦争の帰還兵で、現在は特殊な能力を必要とする特別捜査機関(通称:スペックオプス)の「S-37文学刑事局」に属する有能な文学刑事です。 事件の発端は、発明家であるサーズデイの伯父マイクロフトが本の中へ入ることのできる装置<文の門>を発明したこと。 ところがこの「ジェイン・エア」、私が昔読んだ結末とどうも違うようなのです。 あえてストーリィを紹介してしまいましたが、
521頁とそれなりに分厚い一冊。予めストーリィを知っている方が読んでみよう!という気持ちになってもらえるのではないかと思うからです。 困難に負けず、ハードなアクションを繰り広げるヒロイン、サーデイズ・ネクストが何といっても魅力。 古典的英文学作品を題材に繰り広げられるストーリィも、英文学好きには堪らない楽しさ。是非続編も読みたいものです。 |
●「文学刑事サーズデイ・ネクスト2
さらば大鴉」● ★★ |
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2004年09月
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前作に続くストーリィ。 前作では、小説の世界の中に飛び込むというところに面白さがありましたが、本書では小説の中の登場人物たちが集まる“ジュリスフィクション”という世界が登場し、サーズデイはジュリスフィクションとサーズデイの現実世界を股に掛けて活躍します。 本書での圧巻は、ジュリスフィクションにおいてサーズデイのブックジャンプ指南役となるミス・ハヴィシャム(ディケンズ「大いなる遺産」)の人物像造形とその強面の活躍ぶり。 冒頭、ストーリィの波に乗るまでは本の厚さにげんなりしそうになりますが、ミス・ハヴィシャム登場後は楽しいばかり。本の厚さが、たっぷり楽しめるものとして逆に嬉しくなります。 |
●「文学刑事サーズデイ・ネクスト3
だれがゴドーを殺したの?」● ★☆
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2007年01月
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前巻で愛する夫ランデンを根絶されたサーズデイは、さらなる敵の攻撃から我が身の安全を図るため、ブックワールド(本の中の世界)、その中でも売れそうもない小説「カバーシャム・ハイツ」の中に逃れます。 そうした展開の所為か本巻でのストーリィは散発的で、つまらないゴタゴタがあてどもなく続くばかり、という気がしてきます。とはいえ、ジュリスフィクションに関わるストーリィの一方でエイオーニスがサーズデイの記憶を操り、サーズデイの記憶の中からもランデンを消そうと触手を伸ばしてき、ついにサーズデイはランデンの記憶を失ってしまう。 その一方、登場する作中人物はひきも切らず。 最後にサーズデイが奮闘し、“ウルトラワード”という新型OSを導入しようとしている一味に逆転勝利を収めるというスリリングな展開が楽しめますが、下巻も後半に至ってやっとということですから、もう待ちくたびれましたよ。 |
※“文学刑事サーズデイ・ネクスト”シリーズ続刊
第4巻:Something Rotten, 2004