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フィリス・ベントリー「ブロンテ姉妹とその世界」(新潮文庫) |
●「ジェーン・エア」● ★★★ |
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1954年01月
2005/09/18
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中学1年の時に読んだきりですから、38年ぶりの再読。 英国でオースティンと並ぶ人気作家ですからいずれ再読しようかと思っていましたが、実際に踏み切ることになったのはフォード「文学刑事サーズデイ・ネクスト1−ジェイン・エアを探せ!」のお陰。 「ジェイン・エア」を人気名作に仕上げているのはどんな点か、を確かめるように読みましたので、以下の感想が評論臭くなっていることはご容赦のほど。 この第一人称による小説で一番印象づけられるのは、何と言っても主人公ジェーン・エアの独立不羈の精神でしょう。成長してからというのではなく、少女の頃から彼女はそれをしっかり備えています。その点が鮮烈です。それがある故に、読み手はこの物語に魅せられてしまうのです。 第一部分が素晴らしかったのに対し、第二部分にはどうも余りよく判らない。また、ロチェスターとの恋愛についても唐突な感じが否めず、納得感が余りない。そもそも、ジェーンの社会経験がなさ過ぎるのです。ローウッドで学んだ後に同じ場所で2年間教師をし、ローウッド以外の世界というのはソーンフィールドが初めてなのですから。 ジェーン・エアという主人公が持つ独立不羈の精神は、恋愛においても変わることがないのです。愛したからといって相手に譲ることなく、そして曖昧な恋愛=結婚観を断じて拒否するという、強烈な自己主張を備えています。 孤児となった少女の生きていく戦いに始まり、ソーンフィールドでのサスペンスティックな展開、終盤から鮮烈となる強い独立不羈の精神、困難を乗り越えての恋愛成就という波乱万丈さ。終わってみれば本書はとても忘れ難い作品です。 |
※ 映画化 →「ジェーン・エア」