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「キャクストン私設図書館」 ★★ アメリカ探偵作家クラブ賞等 原題:"Night Music:Nocturnes2" 訳:田内志文 |
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2021年05月
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2015年に英国で刊行された“Night Music:Nocturnes2”に収録されている短編13篇の内4篇を邦訳した短編集とのこと。 中でも楽しいのは、表題作である「キャクストン私設図書館」。なにしろ人気小説の登場人物たちが、人々に広く知れ渡ったが故に“実体化”し、私設図書館の中に暮らしている、というのですから。 主人公は会社を引退退職したバージャー氏。偶然、若い女性が通過する列車に飛びこむ場面を見てしまい、ショックを受けます。 さらにそれはトルストイ作品の女性主人公=アンナ・カレーニナにそっくり。 再び現れたその女性の後をつけ、バージャー氏は<キャクストン私設図書館&書物保管庫>に至るのですが・・・。 そこでバージャー氏が引き起こした騒動とは? 「虚ろな王」は、異世界冒険譚「失われたものたちの本」のスピンオフ、 「裂かれた地図書」は、関わった者をとんでもない事態に陥らせる怪奇書籍を巡るホラー的な連作物語。 そして「ホームズの活躍:キャクストン私設図書館での出来事」では、シャーロック・ホームズとワトソン博士が私設図書館に登場。 当時の司書ヘッドリー氏と共に3人で、ある人物に会いに行くのですがその目的は、そして問題を解決できたのか? ※<キャクストン私設図書館>に一番多く登場するのは、やはりディケンズ作品らしい。オリヴァー・ツイスト等々。 フィールディング作品のトム・ジョウンズは、ここでもやはりトム・ジョウンズらしいなぁ。 バージャー氏がアンナのために何かしたい、と思うのも無理ないと思いますよ。思わず同作の問題箇所を確かめてみました。 キャクストン私設図書館/虚ろな王(『失われたものたちの本』の世界から)/裂かれた地図書-五つの断片/ホームズの活躍:キャクストン私設図書館での出来事 |